こんな方にオススメの内容!
- なぜ姫路城が世界遺産に登録されたのか理由が気になる!
- 姫路城の建築構造や修理の詳細について知りたい!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- 兵庫県への旅行を考えている!


遺産ポイント
- 「狭い通路」「石落」「狭間」など防衛の工夫が随所に見られる
- 池田輝政や本多忠政によって姫路城の規模がどんどん拡大
- 「昭和の大修理」「平成の大修理」など複数回大規模な修理・拡張が行われている
「姫路城」のプロフィール
登録名称 | 姫路城 |
---|---|
登録年 | 1993年 |
所在国 | 日本(兵庫県) |
登録ジャンル | 文化遺産 |
登録基準 | (i)(iv) |
備考 | 日本で最初に登録された4つの世界遺産の一つ |
世界遺産登録理由

姫路城の周辺では桜が咲き誇る
姫路城が世界遺産登録された理由は、下記の2点に大きく分けられます。
- 世界を代表する巨大で美しい城
- 他に類を見ない城の建築技術のすごさ

ちなみに、姫路城は日本で最初に世界遺産登録された4つ遺産の中の一つです!
(その他は、「法隆寺」「白神山地」「屋久島」)
理由1:世界を代表する巨大で美しい城

木造の城としては世界最大規模
姫路城が世界遺産登録された最もわかりやすい理由が、世界を代表する美しく巨大な城である点です!
世界を代表すると言える理由は、下記などが挙げられます。
- 日本の歴代の城の中でも最大規模&完成度が高い
- ”白鷺城”と呼ばれるほど白く美しい姿がシンボル
- 一度も焼失・再建されていない数少ない城
- 国宝8点、重要文化財72点を持つ
姫路城は現存する日本式の城の中で、最大規模の大きさ、及びデザインの美しさを誇ります。
つまり、姫路城は日本の城のシンボル的存在なのです!
特に白漆喰(しろしっくい)で塗られた外観は、”白鷺城”と呼ばれるほど美しい姿であり、姫路城の知名度を上げたポイントになります。

外観は白壁のいたってシンプルなデザインですが、城の内部は複雑な構造の配置と屋根の重ね方を組み合わせた独特な工夫が施されています。
さらに、城の敷地に巡らされた螺旋状(らせんじょう)の曲輪(区画)は、他の日本の城で見られる曲輪と比較しても大規模、且つ複雑な姿をしています。

すぐに敵に攻め込まれないように大天守に向かう道は何度も曲がる設計になっている


姫路城が建てられたのは、各地方にいる権力者が激しい争いを繰り広げていた戦国時代(17世紀)です。
そんな時代に、権力者たちは自分の力を示すために立派な城を建てていったのです。
理由2:他に類を見ない城の建築技術のすごさ

姫路城は他の日本の城と比べて、当時の建築構造が良好な状態で残されている貴重な城です。
つまり、当時の建築技術のレベルの高さを目の当たりにすることができるのです!
「設計」「構成」「仕組み」
これらが綿密な計画によって決められて建てられ、高度な機能・設計が見られる日本を代表する難攻不落な砦という点が世界から高く評価されています。


現在日本で見られる城の多くが、一度戦乱や天災などによって焼失を経験しています。
つまり、現在見られる城の多くが復元された姿なのです。
そんな中、姫路城は一度も城全体が焼失した経験の無い、非常に貴重な城なのです。
(一部の建物が焼失した経験はある)
そのため姫路城は、世界的に珍しい木造の城建築の中で最も保存状態が良いとされています。

丸や三角など様々な形をした敵を迎撃するための穴「狭間(さま)」
さらに、姫路城が現在でも雄大な美しい姿を見せている理由には、定期的な修復工事も関係しています。

天守群

姫路城の天守は大天守と3つの小天守に分けられる
- 屋根を5層重ねた大天守がシンボル(唐破風や千鳥破風が特徴)
- 屋根を3層を持つ小天守が3つある
- 「石落」「狭間」など防衛のための工夫がよく見られる
用語メモ
破風(はふ)とは、屋根の側面につけられている板。防風、防火などの役割を持つ。天守群とは、1つの大天守と複数の小天守の総称です。
各天守は、渡櫓(わたりやぐら)と呼ばれる廊下で繋がっています。

「渡櫓(わたりやぐら)」の様子
そして、この天守にたどり着くまでの道のりには、下記のような工夫が凝らされています。
- 狭い通路:敵兵の侵入時間を遅らせるためクネクネしている
- 石落:石や熱湯を敵に注ぐための穴
- 狭間:矢や鉄砲で敵を撃つための穴
また、天守を支える石垣には、建物によって最適な切り込み方法が採用されています。
このことから、石垣技術の進化が見られる点でも貴重とされているのです!
西の丸

城の主の妻が過ごした「化粧櫓(けしょうやぐら)」の様子
- 城の主の妻(千姫)が過ごした「化粧櫓(けしょうやぐら)」が残る
- 隠し狭間が見られる
城の西側にある広大な敷地が西の丸です。
城の主の妻(千姫)が暮らしていた場所で、当時の身分の高い女性がメインで生活してました。
なお、西の丸は「西の丸百間廊下(にしのまるひゃっけんろうか)」と呼ばれる廊下に取り囲まれています。
備前丸(本丸)

大天守前に広がる備前丸跡地は絶好の大天守ビュースポット
- 城の主の屋敷があった建物跡
- 1882年の火災によって焼失
1882年の火災によって焼失するまでは、姫路城の機能の中心を担っていた重要な建物でした。

現在は空き地となっており、姫路城を間近で見上げることができる人気ビュースポットとなっています。
なお、姫路城の各建物の詳細や築城の魅力については、下記の書籍内でわかりやすいイラスト付きで解説してます。
今回の記事内容の参考にもしているので、ぜひ一度手に取って読んでみてください。

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姫路城の築城&修理の歴史

「平成の大修理」の様子
現在のような壮大で美しい姫路城を見ることができる理由は、姫路城の建築の歴史を知ることで理解することができます。
また、前述の「他に類を見ない城の建築技術のすごさ」でも触れたように、姫路城は定期的に大規模な修理が行われた文化財としても有名です。
1580年 | 豊臣秀吉による決断で姫路城の建造が決定 |
---|---|
1601〜1609年 | 池田輝政(いけだてるまさ)により大改修を実施 |
1617年 | 本多忠政(ほんだただまさ)による西の丸の整備 |
1919年 | 「史跡名勝天然記念物保存法」によって保存の取り組み実施 |
1931年 | 国宝に指定 |
1934年 | 豪雨により大きく損傷 ⇨政府により修理計画案が上がる |
戦後(1945年以降) | 戦争のため中断していた修復工事が再開(二の丸などの建造物を修復) |
1956年 | 「昭和の大修理」の実施 |
2009年 | 「平成の大修理」の実施(5年半にも及ぶ天守群の保全修理) |

姫路城は、時代の流れとともに新しい建物が次々と建てられていったため、徐々に巨大な城へと変貌したのです。
また、17世紀から20世紀にかけて行われた拡張・修復工事は、姫路城の建築が始まった当時の技術やデザイン(意匠)を引き継いで実施されています。
姫路城建造の決定

姫路城の建造決定は、日本を代表する武将豊臣秀吉の決断によるものでした。
建造を決めた最大のポイントは、当時の日本最大規模の一族だった毛利家を攻めるためです!
当時の毛利家は、現在の広島などがある中国地方を統治しており、秀吉としては西日本を自分たちの支配地域にするためにはなんとしても奪いたい地域でした。
奪うためには、当時交通の重要拠点だった姫路に目をつけて、姫路から毛利家を攻めようと考えたのです。

建造を開始してから、まずは城の主要部分である3層の天守閣が建築されていきました。
池田輝政による大改修&本多忠政による城の拡張

姫路城の濠(ほり)は内濠と外濠の2重構造になっている
豊臣秀吉による姫路城の建造スタート以降は、様々な人物によって城に次々と建物が付け加えられていきました。
まずは、池田輝政(いけだてるまさ)による姫路城の大改修です。
【改修・整備箇所】
- 屋根を5層重ねた大天守
- 2重の濠(内濠、外濠)

その後、当時の城の主だった本多忠政(ほんだただまさ)によって、西の丸が整備されました。
さらに、姫路城周辺には城下町も整備されたのです。
しかし、江戸時代が幕を下ろすと、姫路城は明治政府によって軍用地として扱われることとなったのです。
そのため、軍事施設とは関係の無い天守閣などは、補修工事もされずに放置されてしまいました。
当然、年が経つにつれて廃れていき、一時は取り壊し案も出るほどの状態になってしまったのです。

昭和の大修理(ヴェネツィア憲章との関連性)

姫路城内で見ることができる「昭和の大修理」の様子の資料
昭和の大修理とは、その名の通り昭和に行われた姫路城史上最大規模の修理を指します。
【主な修復箇所】
- 大天守の解体
- 基礎構造物の取り替え
姫路城のシンボルである大天守を一度解体した大規模な修理を行ったことで、完成当時に近い姿の天守を取り戻すことに成功しました。
さらに、工事途中には創建の際に記録された多くの書物(銘文)が発見されたのです!

ただし、昭和の大修理で一つ大きな問題が発生しました。
その問題とは、姫路城が建造された時代の技術、素材で修理すると、天守倒壊の恐れがあったのです!
(基本的に、修理する際の技術や素材は当時のものを採用するルールがある)
この問題の解決策として出てくる専門用語が、ヴェネツィア憲章です!
合わせて読みたい!
一般的に歴史的建造物を修理する場合は、建造当時の伝統的な素材や技術を使用することがルールです。
しかし、ヴェネツィア憲章によるルールを適用すれば、修理に適した近代的な素材・技術を使うことができます。
近代的な対応が取られた姫路城の具体的な修理箇所は、以下です。
古い礎石(建物の支え)を取り除き、鉄筋コンクリート製の基礎構造物に取り替えた
この修理により、天守の重みに耐えられず傾いていた姫路城をもとの姿に戻すことができました。

平成の大修理

「平成の大修理」の漆喰の塗り直しによってこれまで以上に白い姿となった
前述の「昭和の大修理」に続き、平成にも大規模な修理が行われました。
【主な修復箇所】
- 漆喰(しっくい)の塗り替え
- 瓦の全面取り替え
中でも目を引くのが、漆喰の塗り替えです。
この塗り替えにより、今まで以上に真っ白な美しい姫路城の姿を見せることになりました。


今後しばらくは大規模な修理の予定はありませんが、今でも常にこまめな修復は行われています。
本日の確認テスト



(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
3, 4級レベル
姫路城の別名として正しいものはどれか。
- 瀬戸内城
- 白亜城
- 関ヶ原城
- 白鷺城
④
答え(タップ)>>2級レベル
城内の住居である「西の丸」を築いた人物名として正しいものはどれか。
- 徳川家康
- 本多忠政
- 池田輝政
- 豊臣秀吉
②
答え(タップ)>>1級レベル
「昭和の大改修」の説明として誤っているものはどれか。
- 修復工事中に銘文が発見され築造工程が明らかとなった。
- 天守群の全ての瓦が替えられた。
- 建築当時の技法ではなく鉄筋コンクリート製の基礎構造物を用いた改修を行った。
- 大天守の解体工事が実施された。
②
答え(タップ)>>まとめ

- 姫路城は日本で最初に世界遺産登録された4つの遺産の中の一つ。
- ”白鷺城”と呼ばれるほど白く美しい外観が特徴。
- 城の内部は複雑な構造の配置と屋根の重ね方を組み合わせた独特な工夫が施されている。
- 日本最大規模の螺旋状の曲輪(区画)を持つ。
- 一度も焼失・再建してないため当時の建築構造が良好な状態で残されている。
- 「狭い通路」「石落」「狭間」など随所に防衛のための設計が見られる。
- 池田輝政によって初めての大改修が行われた。
- 本多忠政によって西の丸が整備された。
- 姫路城は明治時代以降は政府によって軍用地として扱われるようになった。
- 「昭和の大修理」ではヴェネツィア憲章のルールに基づき鉄筋コンクリート製の基礎構造物に取り替える工事が行われた。
- 「平成の大修理」によって白漆喰が塗り直され白く美しい姿を取り戻した。
おまけ:「姫路城」のプチ観光情報

姫路城の天守閣からの眺め
最寄り空港 | 神戸空港 or 大阪国際空港(伊丹空港) |
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最寄り駅 | JR姫路駅 |
目安観光時間 | 最低2時間 |
営業時間 | 09:00〜16:00 |
休業日 | 年末 ※公式ホームページにて要確認 |
入場料 | 大人(大学生以上):1,000円 小学生〜高校生:300円 小学生未満:無料 |
ベストシーズン | 通年 |
公式ホームページ | https://www.city.himeji.lg.jp/castle/ |
アクセス

JR姫路駅周辺(姫路駅を出るとすぐ姫路城が視界に入る)
姫路城は、数ある日本の世界遺産の中でも、最もアクセスの良い世界遺産の一つです。
【飛行機利用の場合】
- 神戸空港 or 大阪国際空港(伊丹空港) [鉄道乗車時間:1時間〜1時間30分]⇨ JR姫路駅 [徒歩約20分]⇨ 姫路城
【新幹線利用の場合(東京発)】
- JR東京駅(新幹線名:ひかり) [乗車時間:約3時間30分]⇨ JR姫路駅 [徒歩約20分]⇨ 姫路城
- 新幹線のぞみを利用する場合は、「新大阪駅」または「新神戸駅」で乗り換えが必要になります。
ちなみに「姫路駅 – 姫路城」間には、「神姫バス」という循環バスが走行しているため、タイミングが合えば利用してみてください。
(姫路城の降車バス停名は「姫路城大手門前」)
姫路城を美しく見れる眺望スポット

姫路駅からすぐ見える姫路城のアングル
- キャッスルビュー
- 姫路市配水池公園(男山)
- ダイワロイネットホテル姫路
キャッスルビューは、JR姫路駅北口にある眺望デッキです。
姫路に降り立って真っ先に姫路城を眺めることができる、定番のビュースポットです。
姫路市配水池公園(男山)は、周辺の景色を含めて姫路城の全体像を眺めるのに適したビュースポットです。
キャッスルビューとは違い、近くに城を遮るような建物が無いため、絶好の撮影スポットとなっています。


「姫路市配水池公園(男山)」は観光客が少なく好きなだけ撮影できるのが魅力
宿泊しながら姫路城を眺めたい場合は、「ダイワロイネットホテル姫路」がおすすめです。
もし、姫路城を眺められる客室を希望の場合は、「キャッスル・ビュー」と呼ばれる客室を指定しましょう!
- ダイワロイネットホテル姫路
- 兵庫県姫路市駅前町353

参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。