こんな方にオススメの内容!
- なぜイエローストーン国立公園が世界遺産に登録されたのか理由が気になる!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 次の旅行先の候補地を探している!


遺産ポイント
- 世界初の国立公園&世界遺産第一号のうちの1件!
- 「オールドフェイスフル間欠泉」「グランド・プリスマティック・スプリング」などマグマによって誕生した自然現象が見られる!
- 「ウィルダネス」という独特な手法で公園を保護!
「イエローストーン国立公園」のプロフィール
登録名称 | イエローストーン国立公園 |
---|---|
登録年 | 1978年 |
所在国 | アメリカ |
登録ジャンル | 自然遺産 |
登録基準 | (vii)(viii)(ix)(x) |
備考 | 世界初の国立公園、世界遺産第一号の一つ、自然遺産の登録基準を全て満たす |
世界初の国立公園になった理由と歴史

国立公園内で最大級の滝「ロアー滝」


19世紀になるまでは、イエローストーンはほとんど人の出入りの無い「未知の聖域」状態でした。
イエローストーンにいる先住民族のスー族からは、「霊気に満ちた場所」と呼ばれ恐れられていたほどです!

その後19世紀に入ると、アメリカ人が初めてイエローストーンに足を踏み入れました。
しかしこの時はあまり注目されず、イエローストーンの調査はほとんど行われなかったのです。
その後ついに、「1869〜1872年」にかけて計4回の調査が行われました!
そしてこの調査によってイエローストーンの自然環境が明らかとなり、アメリカの人々は自分たちの国にこんなにも自然豊かな環境があることに非常に驚いたそうです!
こういった自国の貴重な自然環境を保護するために、当時のアメリカ大統領のユリシス・グラントは、「イエローストーン公園法」に署名し、1872年に世界初の国立公園に指定されたのです!
また、イエローストーンが国立公園に指定された100年後に世界遺産条約が採択され、世界初の世界遺産の1つにもなりました!

しかし過去には、河川の上流で鉱物資源調査などが本格的に行われた影響で、イエローストーンの生態系が脅かされてしまった歴史があります。
そのため実は、1995〜2003年の間イエローストーン国立公園は危機遺産リストに掲載されていたのです!
(危機遺産に関してはこちらの記事で詳しく解説してます)
その後環境の回復に努め、計画の見直しをしたため危機遺産から脱することができました!

イエローストーンの自然美・自然現象

色鮮やかな姿を見せる「グランド・プリスマティック・スプリング」
イエローストーンが世界遺産になった理由は様々ありますが、その理由の中でも特に「自然美・自然現象」に対しては高い評価を受けました!
またイエローストーン国立公園の観光の目玉になっているのも自然現象になります!

巨大なカルデラの形成

イエローストーンではこれまで、「200万年前」「120万年前」「60万年前」の計3回の大規模な噴火が発生しています
(ちなみにこのイエローストーンの火山噴火(再現)は、2012年に公開されたハリウッド映画「2012」のシーンに登場するので気になる方はぜひ見て観てください!)
そして最後の火山噴火の際に地面がドーム状に隆起しました。
そのドームの裂け目からマグマが噴出して、巨大な「カルデラ」が形成されたのです!


オールド・フェイスフル間欠泉に代表される地球の息吹

現在もイエローストーンの地下ではマグマ活動が活発です。
そのマグマに地表の割れ目から染み込んできた雨水が到達すると、迫力満点な自然現象が発生します!
その現象とは、「間欠泉」です!

国立公園内にはいくつもの間欠泉が存在しますが、その中でも特に有名で規模が大きいのが、「オールド・フェイスフル間欠泉」です!
平均70分間隔で熱湯が噴出される、大迫力な自然現象を見ることができます。

また間欠泉の周りには、「テラス」と呼ばれる石灰棚が数多くある点も特徴的です。

このテラスをつくっている石灰は熱湯が噴出する際に出る水分に含まれる石灰分からきています。
代表的なテラスとしては「マンモス・ホットスプリングス・テラス」が挙げられます!

同じくテラス(石灰棚)が有名な世界遺産だと、トルコの「パムッカレ」などが挙げられますね!

数多くの間欠泉があるということは、当然ながら温泉もたくさんあります!(しかし暑すぎて入れません、笑)
特に有名なのが、「グランド・プリスマティック・スプリング(エメラルド湖)」です!


湖内に生息するバクテリアや藻類の活動によって、鮮やかなエメラルド色を作り出しています。
間欠泉や温泉などの熱水現象はイエローストーン国立公園内の約1万カ所で発生していると言われ、全世界に存在する熱水現象の半分がイエローストーンにあるとされているほどです!

イエローストーン川がおりなす大渓谷

国立公園の名前にもなっている「イエローストーン」の由来は、渓谷の岩肌が黄色くなっているところから来ています。
そしてこの岩肌を削って大渓谷をつくっているのが、「イエローストーン川」です!
この川は公園内で下記のような流れをしています。
- 源流はワイオミング山地
- イエローストーン湖に流れ込む
- 落差94mのロワー滝を下る
- その後大渓谷を生み出す
この流れのサイクルによって岩肌が削られて現在見られる大渓谷が形成されたのです!
貴重な動植物相と「ウィルダネス」という独特な保護体制

イエローストーン国立公園の食物連鎖の頂点に立つ「グリズリー」
イエローストーン公立公園の魅力は、大迫力の自然現象や美しい自然景観だけではありません。
公園内に生息する貴重な植物や動物が見られる点も、また魅力の一つなのです!
公園内で見られる代表的な動植物は以下の通りです。
動物 | アメリカバイソン、ナキハクチョウ(鳥類)、グリズリー、ヘラジカ |
---|---|
植物 | (ロッジポールマツのような)針葉樹林、アメリカオキナグサ、モンキーフラワー |
またイエローストーン国立公園の自然保護体制は、「ウィルダネス」という独特な手法を用いています!
ウィルダネスとは簡単に言うと、”ありのままの自然を尊重する”というものです。
要するに、人の手を一切加えない保護体制ということです!
当然ながら公園内で開発や建設はしません。
さらにそれだけでなく、公園内で起きた自然現象にも一切触れないのです!

山火事が発生 → 消化活動は行われない → 雨や雪による自然消化に任す

このようにウィルダネスという手法は、たとえ自然の保護・保全に関わる活動であったとしても人間の手が加わることには変わりはないため、どんな状況でも一切人間が自然を操作しないことを掲げているのです!

この手法でも自然保護は世界的に注目を集めています!
本日の確認テスト


(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
3, 4級レベル
熱湯が噴出する際に出る水分に含まれる石灰分によってつくられる石灰の棚田の名称として正しいものを選びなさい。
- テラス
- ガイザー
- スプリング
- グレイシャー
①
答え(タップ)>>2級レベル
「ウィルダネス」の説明として正しいものを選びなさい。
- 同じ領域であっても標高差によって生育する植物が大きく異なる。
- 先住民族が暮らす地域での保護活動には先住民族からの許可が必ず必要になる。
- 自然に起きた現象は人間の手によって操作をせずにその後も自然の成り行きに任せる。
- 年間を通して水温が一定な湖には特定の排卵期が存在しないため年中卵や稚魚が見られる。
③
答え(タップ)>>1級レベル
イエローストーン国立公園に関する説明として誤っているものを選びなさい。
- イエローストーンが国立公園に指定された100年後に世界遺産条約が採択された。
- 先住民族のスー族からは「霊気に満ちた場所」として恐れられていた。
- 公園内にはメガネグマやヤマバクなどの貴重な動物が生息する。
- イエローストーン川の源流はワイオミング山地でその後イエローストーン湖に流れ込む。
③
答え(タップ)>>「イエローストーン国立公園」のまとめ

- イエローストーンは先住民族スー族が恐れるほどの未知の領域で世界初の国立公園にもなった!
- 「オールドフェイスフル間欠泉」や「グランド・プリスマティック・スプリング」などマグマによって誕生した自然現象が見られる!
- イエローストーン川によって岩肌が削られ大渓谷が誕生した!
- アメリカバイソンやグリズリーといった貴重な動植物の生息地にもなっている!
- 人の手を一切加えない「ウィルダネス」という手法で保護をしている!
おまけ:イエローストーン国立公園のプチ観光情報

園内には野生のバイソンが多数生息している
最寄りの都市 | ジャクソン(ワイオミング州) |
---|---|
最寄りの空港 | ジャクソン・ホール空港(ワイオミング州) (国立公園までは車で約1時間半) |
時差 | 15時間(東京 – イエローストーン間) ※日本の方が15時間進んでます。 |
観光のベストシーズン | 4月下旬〜8月 |
入園料 | 個人:$20 車1台:$35(2021年時点) ※7日間有効。 |
治安 | 良好 |
物価 | 少し高い(日本の1.3倍ほど) ※特に宿泊費は高め。 |
イエローストーン国立公園は、大自然が広がる世界だからこそ自然の影響を受けて様々な規制が入ることがよくあります。
- 大雪による道路封鎖や事故による規制
- 山火事による公園内への立ち入りの禁止・制限
本文の「貴重な動植物相と「ウィルダネス」という独特な保護体制」でも触れたウィルダネスという手法で保護をしているため、良くも悪くも自然の影響を受けやすいのです!

雪化粧をした冬のイエローストーン国立公園
また非常に広大な国立公園であるため、「現地ツアーへの参加」or「レンタカー利用」がオススメです!
観光地だけでなく道中でも貴重な動物に遭遇することがあるため、イエローストーンドライブは人気の観光スタイルになっています!

参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。