【グローバル・ストラテジーとは?】世界遺産登録に関する新たな試みを小学生にもわかるように解説!

こんな方にオススメの内容!

  • 「グローバル・ストラテジー」という難しそうな専門用語をわかりやすく知りたい!
  • グローバル・ストラテジーという考えが誕生した背景を知りたい!
  • 世界遺産検定対策として専門用語を押さえておきたい!
  • 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!

おもしろわかる!世界遺産ユニバーシティ ブルートラベラー 青野真
今回は重要ワードの一つでもある「グローバル・ストラテジー」についておもしろ&わかりやすく学んでいきましょう!

なんかカッコいい名前だね!小学生やカメレオンでもわかるように解説お願いします!
おもしろわかる!世界遺産ユニバーシティ レオンくん

当記事のポイント!

  1. 世界遺産が登場してからしばらくはヨーロッパ寄りの考えで文化遺産が登録されていた!
  2. グローバル・ストラテジーによりエリア・登録条件がより寛容的になった!
  3. 現在は世界遺産登録において自発的な制限や条件審査が設けられている!

グローバル・ストラテジーの基本情報&制定背景

おもしろわかる!世界遺産ユニバーシティ グローバル・ストラテジーとは?
名称グローバル・ストラテジー
正式名称世界遺産一覧表における不均衡の是正及び代表性・信頼性の確保のためのグローバルストラテジー
制定年1994年(第18回世界遺産委員会)

「グローバル・ストラテジー」とは簡単に言うと、下記のような考えを指します。

世界遺産を均等に平等に登録していく

世界遺産条約が成立して各国に世界遺産が誕生するようになってから、数年数十年の間は主にヨーロッパの世界遺産(特に文化遺産)が中心に登録されていきました。

その理由は、世界遺産条約の締約国の多くがヨーロッパだったたからです!

さらに、ヨーロッパの文化財を中心に世界遺産登録を考える傾向が自然と強まっていきました

ヨーロッパ思考での世界遺産登録が多かったんだね!
おもしろわかる!世界遺産ユニバーシティ レオンくん

またこのようなヨーロッパに偏った世界遺産登録に関する指摘として、「奈良文書」というものもあります。
(奈良文書に関してはこちらの記事で詳しく触れています)

このような偏った登録によって偏った考えが生まれてしまい、世界遺産条約を締約しているにも関わらずヨーロッパ以外の国で世界遺産登録がされていない国が続出する事態になってしまいました。

そこで世界遺産リストの不均衡を正して世界遺産条約への信頼性を取り戻す必要があるとして、グローバル・ストラテジーという考えが誕生したのです!

世界遺産登録の不均等を無くす4つの強化対策

おもしろわかる!世界遺産ユニバーシティ グローバル・ストラテジーとは? 世界遺産登録の不均等を無くす4つの強化対策

このグローバル・ストラテジーでは、大きく分けて3つの見直しポイントが提示されました。

  1. 地理的
  2. 時代的
  3. 内容的

おもしろわかる!世界遺産ユニバーシティ ブルートラベラー 青野真
上記の3つのポイントを踏まえて具体的にどんな対策が練られてきたかを解説します!

強化対策①:地理的拡大

おもしろわかる!世界遺産ユニバーシティ グローバル・ストラテジーとは? 強化対策①:地理的拡大

「地理的拡大」とは、世界遺産を持っていない、または世界遺産の登録件数が少ない国・地域を優先的に考慮する考えです!

具体的な対策としては下記が挙げられます。

  • 世界遺産が少ない国への登録サポート(暫定リスト・推薦書の作成など)
  • 世界遺産委員会での登録において優先的に審議する

また、地理的拡大によって初めて世界遺産が登録された国が増えることで、世界遺産登録に必要な条件や保護・保全活動の経験・知識が身に付く国が増え、その後は率先して世界遺産登録に尽力を注ぐきっかけに繋げることができます!

1つの世界遺産登録によって自国の自然や文化財の保護の知見が身に付くきっかけにもなるんだね!
おもしろわかる!世界遺産ユニバーシティ レオンくん

強化対策②:産業関係、鉱山関係、鉄道関係の強化

おもしろわかる!世界遺産ユニバーシティ グローバル・ストラテジーとは? 強化対策②:産業関係、鉱山関係、鉄道関係の強化

これまで産業に関する遺産は文化財としてみなされることがほとんどなく、世界遺産登録の対象になることがほぼありませんでした。

しかしこのグローバル・ストラテジーをきっかけに、「人類の技術の進化の証拠」「人類の生活の変化のきっかけ」、として貴重であることが認められ始めました。

産業遺産を世界遺産登録にする問題点としては、現在も稼働中の遺産があり保護・保全に尽力を注ぐことが難しい点が挙げられます。

とはいえ、産業遺産は人類の文明と言っても過言ではないため、ユネスコは積極的に保護するように強く呼びかけています。

人類の文明ほど貴重なものなら全人類で守っていかないとね!
おもしろわかる!世界遺産ユニバーシティ レオンくん

日本の世界遺産だと、「明治日本の産業革命遺産」などが該当します。

しかし稼働中の資産も含むため、通常は文化庁が推薦するところを内閣官房が推薦したことで少し話題になりました!

おもしろわかる!世界遺産ユニバーシティ ブルートラベラー 青野真
ちなみに産業遺産は世界遺産登録基準だと「科学技術の発展段階を示す遺産」として(iv)に該当しやすくなります。

産業遺産に該当する世界遺産(一例)
富岡製糸場と絹産業遺産群世界屈指の絹生産の地として繁栄した工場と関連する遺産。日本
石見銀山遺跡とその文化的景観16世紀に世界屈指の銀山として栄えた文化的景観。日本
ポントカサステの水路橋と運河産業革命真っ只中の19世紀に完成したイギリスで最も長く高い水路橋。イギリス
インドの山岳鉄道群「ダージリン・ヒマラヤ鉄道」「ニルギリ山岳鉄道」「カールカー・シムラー鉄道」の3つから構成される山岳鉄道群。インド
オウロ・プレット歴史地区金の採掘場として栄えた都市の景観。ブラジル
キンデルダイク・エルスハウトの風車網風車を中心としたオランダ伝統の排水システム。オランダ

強化対策③:先史時代の遺跡群の強化

おもしろわかる!世界遺産ユニバーシティ グローバル・ストラテジーとは? 強化対策③:先史時代の遺跡群の強化

未だに多くの謎に包まれたイギリスの「ストーン・ヘンジ」

世界遺産条約が制定された当初も先史時代の遺跡の登録自体はありました。

しかし遺跡価値を示す科学的証拠や法的な保全体制が不十分であることから登録が避けられていた事実があります。

確かに価値の証明や保護が難しいと登録を先送りにしちゃう気持ちはわかるかな〜
おもしろわかる!世界遺産ユニバーシティ レオンくん

おもしろわかる!世界遺産ユニバーシティ ブルートラベラー 青野真
レオンくん、気持ちがわかっちゃうんだね(笑)

しかし先史時代の遺跡は、「人類誕生の最初の時代の貴重な証拠」であるため登録の強化が求められています!

先史時代の遺跡群に該当する世界遺産(一例)
北海道・北東北の縄文遺跡群縄文時代の人々の暮らしがわかる大規模な集落跡やストーンサークルなどが残る。日本
アルプス山脈周辺の先史時代の杭上住居群アルプス山脈周辺の湖の上に建てられた伝統的な湖上集落群。スイス、イタリアなど計6カ国
ストーンヘンジ、エーヴベリーと関連する遺跡群未だ謎に包まれた最大で40トン以上の重さを持つ巨石群。イギリス
周口店の北京原人遺跡周口店にある北京原人の骨や遺物の発掘現場。中国
トゥウェイフルフォンテーン狩猟採取生活に関する線画が見られる岩石線画群からなる遺跡。ナミビア

強化対策④:20世紀以降の文化遺産

おもしろわかる!世界遺産ユニバーシティ グローバル・ストラテジーとは? 強化対策④:20世紀以降の文化遺産

20世紀を代表する独創的な建造物の「シドニー・オペラハウス」

え!最近立てられた建物って世界遺産になることがあるの!?
おもしろわかる!世界遺産ユニバーシティ レオンくん

おもしろわかる!世界遺産ユニバーシティ ブルートラベラー 青野真
実は「あること」が認められれば最近の建物であっても世界遺産に登録されることはあるんだよ!

これまでは下記のような理由で、現代の建築物が世界遺産に登録されることは困難であるとされていました。

  • 歴史が浅いため時代の検証がしづらい
  • 文化財を保護する各国の法体制から外れていることが多い

しかしどんなに歴史が浅い建築物であっても、「顕著な普遍的価値」が認められれば積極的に保護して世界遺産登録を目指すことが可能です!
(顕著な普遍的価値に関してはこちらの記事で解説しています)

先史時代の遺跡群に該当する世界遺産(一例)
ル・コルビュジエの建築作品フランス人建築家「ル・コルビュジエ」が世界で設計を手掛けた建築作品群。フランス、日本など計7カ国
フランク・ロイド・ライトの20世紀建築作品群アメリカ人建築家「フランク・ロイド・ライト」がアメリカで設計を手掛けた建築作品群。アメリカ
シドニー・オペラハウス世界遺産としては世界で最も建造年代が新しい独創的な形状のコンサートホール。オーストラリア
ブラジリア未開拓の地にわずか5年あまりで完成したブラジルの首都の人工都市。ブラジル
テルアビブの白い都市白色や明るい色の建造物群が建てられたイスラエル最大の都市テルアビブの都市景観。イスラエル

グローバル・ストラテジーに見られる変化

おもしろわかる!世界遺産ユニバーシティ グローバル・ストラテジーとは? グローバル・ストラテジーに見られる変化

グローバル・ストラテジーが採用された当初は主に「文化財」に適用されていました。

しかし最近は、グローバル・ストラテジーが「自然遺産」や「複合遺産」にも適用されています!

また世界遺産を推薦する際は、下記を考慮することが求められています。

  • 既に複数の世界遺産を持つ国は登録推薦の間隔を空ける
  • 世界遺産を持たない国の登録推薦と連携する
  • 登録の少ない分野の遺産を推薦する

3つ目の「登録の少ない分野の遺産を推薦する」に関しては、前述の「世界遺産登録の不均等を無くす4つの強化対策」で挙げられた「産業遺産」「20世紀以降の文化遺産」などを指しています!

世界遺産:トレーニングテスト

おもしろわかる!世界遺産ユニバーシティ グローバル・ストラテジーとは?

おもしろわかる!世界遺産ユニバーシティ ブルートラベラー 青野真
今後「世界遺産検定」の受験を考えている方はぜひ下記の問題にトライしてみてください!

(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)

3級レベル

グローバル・ストラテジーの用語の説明として正しいものを選びなさい。

  1. 世界各地の世界遺産の保護・保全活動に共通の厳格なルールを設ける施策。
  2. 世界遺産の登録手順を見直して、より登録推薦しやすい手順に見直す施策。
  3. 世界遺産委員会で審議される前に途上国などに対して推薦書の執筆のサポートをする施策。
  4. 世界遺産リストの不均衡を是正して世界遺産条約への信頼性を取り戻す施策。

答え(タップ)>>

2級レベル

グローバル・ストラテジーの考えをもとに登録強化される具体案として誤っているものを選びなさい。

  1. 産業遺産の登録
  2. 古代ギリシャ・ローマ時代の遺跡群の登録
  3. 20世紀以降の文化財の登録
  4. 先史時代の遺跡群の登録

答え(タップ)>>

1級レベル

グローバル・ストラテジーに関連する説明として正しいものを選びなさい。

  1. 現在もグローバル・ストラテジーは文化遺産にのみ適用されている。
  2. 世界遺産委員会は世界遺産の保有が少ない国の遺産の審議を優先的に行うとしている。
  3. グローバル・ストラテジーは1990年の第14回世界遺産委員会で採択された。
  4. これまで20世紀以降の文化遺産は建築家による世界遺産登録の許可が下りづらかったため少なかった。

答え(タップ)>>

「グローバル・ストラテジー」のまとめ

おもしろわかる!世界遺産ユニバーシティ グローバル・ストラテジーとは?
  • グローバル・ストラテジーとは世界遺産登録における不均衡を無くすための施策!
  • 地理的拡大」「産業遺産」「先史時代の遺産」「20世紀以降の建造物」これらが登録の推薦として強く求められている!
  • 近年では文化遺産のみならず自然遺産・複合遺産にもグローバル・ストラテジーが適用されている!
  • 既に多くの世界遺産を持つ国は推薦する間隔を空けたり登録の少ない分野での推薦が推奨されている!
おもしろわかる!世界遺産ユニバーシティ レオンくん ブルートラベラー