こんな方にオススメの内容!
- なぜシドニー・オペラハウスが世界遺産に登録されたのか理由が気になる!
- シドニー・オペラハウスの設計・デザインについて詳しく知りたい!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- オーストラリアへの旅行を考えている!
遺産ポイント
- 世界最大級のパイプオルガンを持つコンサートホールとして有名。
- デンマーク人建築家ヨーン・ウッツォンによる設計・デザイン。
- 登録基準(i)のみで登録されている珍しい世界遺産。
「シドニー・オペラハウス」のプロフィール
登録名称 | シドニー・オペラハウス |
---|---|
登録年 | 2007年 |
所在国 | オーストラリア |
登録ジャンル | 文化遺産 |
登録基準 | (i) |
備考 | 登録基準(i)のみで世界遺産登録されている非常に珍しい遺産 |
シドニー・オペラハウスとは?どんな目的で建てられた?
サンセットタイムに見せるオペラハウスの美しい姿
シドニー・オペラハウスとは、オーストラリア最大の都市シドニーの湾に突き出た「ベネロング・ポイント」と呼ばれる岬に建つコンサートホールです。
用語メモ
ベネロング・ポイントとは、かつてベネロングという人物の家が建てられていた場所。その後、砦や車庫なども建造され、現在はオペラハウスが建つ。シドニー・オペラハウスは、今ではシドニーだけでなくオーストラリアのシンボル的な存在の建築物になっています。
オペラハウスはその名の通り、オペラなどの公演などを行うために建築されました。
オペラハウス内には、主に下記の施設が備えられています。
- 世界最大級のパイプオルガンを持つコンサートホール
- ジョーン・サザーランド劇場
- リハーサル室
- レストラン
現在では、オペラ、バレエ、クラシックなど、年間1,500以上が公演されています。
シドニー・オペラハウスの世界遺産登録時には、世界遺産に登録されている文化財の中で最も建設時期が新しい建物として非常に注目されました。
(ちなみに日本の世界遺産で最も築年数が新しいのは、「国立西洋美術館」の1959年です)
このように近年では建物の歴史的価値だけではなく、近代建築の技術やデザインの美しさを評価して世界遺産登録されるケースが増えてきています。
世界遺産登録理由
オペラハウスは世界三大美港の一つ「シドニー湾」に建つ
シドニー・オペラハウスが世界遺産に登録された理由は、主に下記の2点です。
- 風景に見合ったデザイン
- 完成度の高さ
上記2つの理由は、世界遺産登録基準の(i)に該当しますが、なんとシドニー・オペラハウスは登録基準(i)のみで世界遺産登録された珍しいケースなのです!
風景との調和が取れた美しいデザイン
海に浮かぶヨットの帆をイメージして設計されたオペラハウス
シドニー湾の風景に溶け込むように考えられたデザインこそ、シドニー・オペラハウスの魅力と言っても過言ではありません。
このように周辺の風景に見合ったデザイン・建築が行われた点が、世界遺産登録の評価ポイントとなりました。
シドニーはオーストラリアを代表する港町です。
そんな港町に合うデザイン・設計を手がけた人物が、デンマーク人建築家のヨーン・ウッツォンです。
彼は港でよく見られる海に浮かぶヨットの帆をイメージして、オペラハウスのデザインを手がけました。
白い複数の屋根が折り重なるようにしてデザインされている姿こそ、ヨットの帆が海風になびいている姿を表現しているのです。
このように建築する場所の風景に合ったデザイン・設計がされた建物であれば、どんなに最近の建物であっても世界遺産登録の大きな評価ポイントになることがあるのです!
都市建築としての完成度の高さ
開放的なデザインが施されたオペラハウス内部の様子
20世紀に建築された近代的な建物の中で、世界的に見て特に完成度が高いと評価された点も、世界遺産登録に大きく影響しています。
【オペラハウスの都市建築ポイント】
- コンクリートを繋ぎ合わせて建築された技術
- 100万枚以上の白いタイルの使用
- 曲線デザインの多用
- コンピュータを持ちた構造の分析
ちなみに、シドニー・オペラハウスが世界遺産登録された時は、まだ設計者であるヨーン・ウッツォンは生きていました。
文化遺産は古い建物が中心に登録される傾向があるため、シドニー・オペラハウスのように建築家が生きている間に世界遺産登録されることは非常に珍しいのです!
同様の例としては、街や建物の設計に大きく貢献した、建築家オースカー・ニー・マイヤーの『ブラジリア』が挙げられます。
途中で建築士が変わった!?完成までの困難
オペラハウスの建設には14年もの歳月がかかっている
シドニー・オペラハウスの設計・デザインを手がけたのはヨーン・ウッツォンです。
しかし、なんとウッツォンは建設途中で現場から退いてしまったのです!
1957年 | 国際的な設計のコンペティション(競技会)でウッツォンのデザインが採用される。 |
---|---|
1959年 | シドニー・オペラハウスの工事が着工。 |
1966年 | 建設を管轄するオーストラリア政府とウッツォンとの間で意見が対立。 ⇨ その後ウッツォンはオペラハウス建築から手を引き、二度とオーストラリアを訪れることはなかった。 |
1973年 | シドニー・オペラハウス完成 |
意見が対立した原因は、建設工事の期間や建設費用の折り合いがつかなかったためです。
シドニー・オペラハウスは、その斬新なデザインや構造、建てられた場所などから建設難易度が非常に高いものでした。
それでも設計通りに建設したいウッツォンは、オーストラリア政府に建設当初とは大きく異なる提案をしたのです。
- 建設期間:10年近くの延長(最終的には14年かかった)
- 建設費用:当初の14倍
当然政府は認めるわけにはいかなかったため拒否すると、ウッツォンは納得がいかず、オーストラリアから出ていってしまったのです。
最終的には、オーストラリア建築家3名が工事を引き継いで、14年の歳月をかけて完成しました。
本日の確認テスト
(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
3・4級レベル
シドニー・オペラハウスの設計を担当した建築家の名前として正しいものどれか。
- オスカー・ニー・マイヤー
- ピエール・ポール・リケ
- アルベルト・パラシオ
- ヨーン・ウッツォン
④
答え(タップ)>>2級レベル
シドニー・オペラハウスのコンサートホール内の特徴として正しいものはどれか。
- 世界最大級のパイプオルガンを持つ
- 360度観客席が配置されている
- 天井が開閉式で屋外ホールにもなる
- 現存する世界最古のバイオリンが展示されている
①
答え(タップ)>>1級レベル
『シドニー・オペラハウス』に関する説明として誤っているものはどれか。
- 登録基準(i)のみで世界遺産登録されている。
- 建築家が存命中に世界遺産登録された。
- 当初は宿泊施設も併設する予定だった。
- 完成までに14年の歳月がかかった。
③
答え(タップ)>>まとめ
- 世界最大級のパイプオルガンを持つコンサートホールとして有名。
- 世界遺産に登録されている文化財の中で最も建設時期が新しい建物として注目された。
- 登録基準(i)のみで登録された珍しい世界遺産。
- 周辺の風景と調和された設計・デザインが高く評価された。
- 設計・デザインを担当したのはデンマーク人建築家のヨーン・ウッツォン。
- 世界的に見て完成度の高い20世紀を代表する近代建築物。
- 建築家が生きている間に世界遺産登録された非常に珍しい遺産。
- 建設工事の期間や建設費用の折り合いがつかなかったためウッツォンが途中で退いた。
おまけ:「シドニー」のプチ観光情報
ライトアップされた美しいオペラハウス
最寄の空港 | シドニー(キングスフォード・スミス)国際空港 |
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公用語 | 英語 |
通貨 | オーストラリア・ドル |
観光のベストシーズン | 通年(ビーチを楽しむなら12〜2月) |
時差 | 1時間(サマータイム時は2時間) ※シドニーの方が1時間進んでます。 |
治安 | 良い |
物価 | 少し高い(日本の1.3〜1.5倍) |
シドニーは治安が良く、時差がほとんどなく、日本から比較的アクセスが良いため、海外旅行初心者におすすめできる都市の一つです。
また1年を通して非常に過ごしやすい気候のため、シーズン問わずシドニー観光を楽しむことができる点も魅力です。
アクセス
シドニーは年間を通して過ごしやすい気候
日本からシドニーへの直行便は就航しています。
【東京発の場合】
- 羽田or成田 [フライト時間:約10時間]⇨ シドニー国際空港
- 羽田or成田 [フライト時間:約7時間30分]⇨ ケアンズ [フライト時間:約3時間]⇨ シドニー国際空港
【東京以外の空港発の場合】
- 日本の各空港 [フライト時間:7〜8時間]⇨ 東南アジア経由(クアラルンプール、シンガポール、他) [フライト時間:7〜9時間]⇨ シドニー国際空港
東京発のケアンズ経由だとLCC(ローコストキャリア)のJetstar利用が可能になるため、直行便よりもよりお得な価格でシドニーへ行くことができます!
東京以外の空港発の場合は主に東南アジア経由になりますが、国内線を利用して東京へ向かい、東京発のシドニー直行便を利用するアクセス方法も人気です。
オペラハウス自体はシドニーの中心部の海沿いに位置しているため、街を歩いていれば必ず目にすることができます。
オペラハウスの光のショー「ビビット・シドニー(Vivid Sydney)」
イベント期間中はプロジェクションマッピングされた姿が見られる
開始年 | 2009年 |
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開催期間 | 5月下旬〜6月中旬 ※年により変動あり |
開催時間 | 18〜23時 |
料金 | 無料 |
シドニー・オペラハウスを訪れたなら、一度は見ておきたい光のショーがあります。
その名も、「ビビット・シドニー(Vivid Sydney)」です!
もともとは地元を盛り上げるための小さなイベントでしたが、年々イベントの規模が大きくなり、今ではオーストラリア最大規模のイベントとなっています。
【ショーのテーマ】
- 光
- 音楽
- 発想
イベント時間になると、オペラハウスにプロジェクションマッピングが映し出されます。
普段見るオペラハウスとは全く異なる姿を見ることができるため、ビビット・シドニーを観るために海外から多くの観光客が集まるほどです!
参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。