こんな方にオススメの内容!
- なぜアマルフィ海岸が世界遺産に登録されたのか理由が気になる!
- アマルフィ海岸に街が築かれた理由・歴史を知りたい!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- イタリアへの旅行を考えている!
遺産ポイント
- 断崖に張り付くように造られた街並みが文化的景観として評価されている。
- アラブ・ノルマン様式のアマルフィ大聖堂がシンボル
「アマルフィ海岸」のプロフィール
登録名称 | アマルフィ海岸 |
---|---|
登録年 | 1997年 |
所在国 | イタリア |
登録ジャンル | 文化遺産 |
登録基準 | (ii)(iv)(v) |
備考 | 文化的景観が認められている |
世界遺産登録理由
アマルフィ海岸沿いの人気観光地の一つ「ポジターノ」の雰囲気
アマルフィ海岸が世界遺産登録された理由は、主に下記の3つに分けられます。
- 地中海を支配して発展した歴史を刻む
- 海岸に沿って美しい街並みが広がる
- 歴史的な価値を持つ建造物が建つ
そもそもアマルフィ海岸とは、イタリア南部にあるソレント半島の南側の海岸を指します。
アマルフィの世界遺産登録範囲
上記の海岸沿いが世界遺産登録範囲となり、周辺の山や断崖も含まれています。
理由1:地中海を支配して発展した歴史を刻む
海岸に沿って連なる山々が天然の防壁となって敵国からの攻撃を防いだ歴史を持つ
様々な人種・国の人々が行き来して発展した歴史を持つ点が、アマルフィが世界遺産登録された理由の一つです!
世界中の人々が行き来し盛んに交流が行われた主な要因は、アマルフィがかつて「アマルフィ海運共和国」という力強い国として繁栄していたためです。
様々な人がやってきた理由を探るために、ここでアマルフィの歴史を簡単に見てみましょう。
4世紀 | ローマ人(現在のイタリア)がアマルフィに住み着く。 |
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6世紀 | ビザンツ帝国(現在のイタリア南東部付近)のもと海上交通が発展する。 |
9世紀 | 「アマルフィ海運共和国」が誕生する。 |
10〜11世紀 | アマルフィの最盛期が訪れる。同じく現在のイタリアにある「ピサ」「ジェノヴァ」「ヴェネツィア」と並んで四大海運都市国家となる。 ⇨地中海で4つの国の争いが繰り広げられる。 |
11〜12世紀 | ノルマン人(現在のスウェーデン付近にいた人)が攻めてくる。 |
12世紀 | 地中海争いを繰り広げていたピサとの戦いで敗れてしまう。 ⇨アマルフィの衰退。 |
アマルフィが最も繁栄した時代には、「アマルフィ法」と呼ばれる航海に関する法律が定められるほど、地中海で大きな力を持っていました。
アマルフィ法は、のちに国際的な海に関する法律のモデルにもなっています。
最終的にはライバルのピサに敗北してしまったものの、世界を揺るがす国として発展した歴史を刻んでいる点には大きな価値があるのです。
なお、そんなアマルフィに勝利したピサの歴史や世界遺産登録理由に関しては、下記の記事で詳しく解説してます。
合わせて読みたい!【ピサのドゥオモ広場 | 斜塔はなぜ傾いている?】世界遺産登録理由&歴史をわかりやすく解説!理由2:海岸に沿って美しい街並みが広がる
海岸に沿って家屋が軒を連ねる姿がアマルフィの特徴
海岸沿いに美しい街並みが広がる姿こそ、アマルフィ海岸が世界遺産登録された最もわかりやすい理由です!
アマルフィ海岸には、波の力によって海岸が削られて誕生した断崖や、海岸に沿ってそびえる山々の斜面など、限られた陸地にいくつもの家屋が立ち並んでいます。
この限られた海岸沿いにある陸地に家屋が密集している街並みこそ、アマルフィ最大の特徴です。
前述の「理由1:地中海を支配して発展した歴史を刻む」で解説したように、かつてアマルフィは地中海を巡って他国と争っていました。
アマルフィが他国との争いに参加することになった理由こそ、アマルフィ海岸の地形が大きく関係しているのです。
- 海岸沿いにある深い入り江が天然の良港になった。
- 断崖絶壁のため海から簡単に侵入することができない。
- 背後の山々が天然の防壁の役割を果たしてくれる。
国としてのアマルフィが衰退してからも、海岸沿いには多くの人々が暮らしていました。
そして現在でも、農業や観光を主な収入源として伝統的な暮らしを続けているのです。
今回のアマルフィのように、自然の地形を活かして誕生した伝統的な集落・街並みには、「文化的景観」が認められる傾向があります。
(文化的景観に関しては、後述の「”世界一美しい海岸”と言われる理由は「文化的景観」が大きく関係」で詳しく解説します)
理由3:歴史的な価値を持つ建造物が建つ
9世紀ごろに建てられたアラブ・ノルマン様式の「アマルフィ大聖堂」
アマルフィ海岸の魅力は、なにも海岸沿いの美しい街並みだけではありません。
海岸沿いの街に点在する歴史的建造物も高く評価されているのです!
アマルフィ大聖堂 | 9〜10世紀に完成。漁師の守り神の「聖アンドレア」がまつられている。 |
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天国の回廊 | 13世紀に完成。アマルフィ大聖堂に隣接する貴族の墓地。イスラム風のアーチが見られるのが特徴。 |
大聖堂と回廊はともに、アラブ・ノルマン様式と呼ばれるアラブ文化とノルマン文化が融合して誕生した建築様式の様子を見ることができます。
用語メモ
ノルマンとは、現在のスウェーデンなど北欧地域に暮らしていた人々のことを指す。11世紀にアマルフィに攻めてきた民族の一つでもある。”世界一美しい海岸”と言われる理由は「文化的景観」が大きく関係
周辺の自然と一体となっているアマルフィは文化的景観が認められている
アマルフィが”世界一美しい海岸”と呼ばれる理由は、アマルフィ最大の特徴とも言える、海岸に沿って独特の美しい街並みが広がる点を高く評価されたからです!
そして美しい街並みが形成された背景には、自然と人間の暮らしが一体となって見せる「文化的景観」が大きく関わっています。
昔の人々は、アマルフィの特徴的な地形・自然環境を自分たちの暮らしに活かせないか試行錯誤しました。
その結果、断崖や山々に沿って多くの家屋・教会などが軒を連ねる、他に類を見ない絶景が誕生したのです。
なお、大昔の古代ギリシャでも、アマルフィはギリシャ神話で”世界一美しい場所”と称された記録があります。
用語メモ
ギリシャ神話とは、2,000年以上も前のギリシャで誕生した、多くの神々が人間のような愛や憎しみを繰り広げる物語。自然と人間の共同作品とも言えるアマルフィの景観は、はるか昔の人々にも感動を与えていたのです。
合わせて読みたい!【文化的景観とは | 3つのカテゴリー】具体的な世界遺産を挙げてわかりやすく解説!本日の確認テスト
(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
2級レベル
「アマルフィ大聖堂」に採用されている建築様式として正しいものはどれか。
- フランボワイヤン様式
- アラブ・ノルマン様式
- ゼツェッション様式
- マニエリスム様式
②
答え(タップ)>>1級レベル
『アマルフィ海岸』に認められている登録基準として誤っているものはどれか。
- (i)
- (ii)
- (iv)
- (v)
①
答え(タップ)>>※「3,4級」レベルのトレーニングテストは対象外になります。
まとめ
- 地中海を巡った戦いや海上交通の発展などの影響でアマルフィには様々な人種・国の人々がやってきた。
- 海岸沿いに街並みが広がる姿がアマルフィ最大の特徴。
- 自然の地形を活かして造られた街並みは文化的景観の評価を受けている。
- アマルフィ大聖堂や天国の回廊などの歴史的建造物が見られる。
- アラブ・ノルマン様式という独特な建築様式が採用されている。
おまけ:「アマルフィ海岸」のプチ観光情報
フェリーでアクセスすると海岸沿いの街並みを一望することができる
最寄り都市 | ソレント or サレルノ |
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最寄り空港 | ナポリ・カポディキーノ国際空港 ※日本からの直行便発着はローマの「フィウミチーノ空港」 |
公用語 | イタリア語 |
通貨 | ユーロ |
観光のベストシーズン | 4〜10月 |
時差 | 7時間(サマータイム時は8時間) ※日本の方が7時間進んでます。 |
治安 | 非常に良い |
物価 | 少し高い(日本の1.2〜1.3倍) |
イタリアはスリなどの軽犯罪が多いことで知られてますが、アマルフィは国内でも有数の治安の良いエリアです。
アクセスは決して良いとは言えませんが、”世界一美しい海岸”とも称される絶景は一見の価値があります。
アクセス
アマルフィの最寄り空港のあるナポリの街並み
残念ながら、日本からアマルフィ最寄り空港であるナポリまでの直行便は就航していません。
一方で、イタリアの首都ローマへの直行便は就航しています。
一般的に日本人観光客の多くは、ローマから鉄道でナポリへアクセスし、アマルフィ観光をするケースが多いです。
- 成田or関西 [フライト時間:約13時間]⇨ フィウミチーノ空港(ローマ)
- ローマ・テルミニ駅 [高速鉄道IC:約2時間]⇨ ナポリ中央駅 [約1時間20〜40分] ⇨ サレルノ駅 or ソレント駅
- サレルノ or ソレント [SITAアマルフィ海岸バス]or[フェリー 約30〜40分]⇨ アマルフィ
なお、ナポリ、ソレント、サレルノからであればアマルフィ日帰り観光が可能です。
ホテル事情
- アマルフィ海岸のホテル密集エリアは「アマルフィ」「ポジターノ」。
- 中心都市「アマルフィ」付近には約30軒ほどのホテルが点在。
- 鉄道が通っている「ソレント」「サレルノ」でホテルを取り日帰りでアマルフィ観光する観光客も多い。
アマルフィ海岸には海岸沿いに3〜5つ星ホテルが点在しています。
しかし、必ずしも中心都市「アマルフィ」や人気都市「ポジターノ」にホテルがあるとは限りません。
また、アマルフィ海岸沿いの交通手段はバスしかありません。
そのためアマルフィ、ポジターノ以外の街にあるホテルを予約した場合は、基本的にホテルの送迎車を利用してアクセスすることになります。
一般的には、アマルフィ海岸沿いのホテルを予約せずに、アマルフィ観光の拠点となる「ソレント」や「サレルノ」でホテルを取り、日帰り観光でアマルフィを訪れる観光客が多いです。
ソレントやサレルノからであれば、アマルフィ以上にホテルのバリエーションが充実しており、またフェリーでのアクセスも可能になります。
参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。