こんな方にオススメの内容!
- ル・モーン(ル・モルヌ)とは何かを知りたい!
- ル・モーン(ル・モルヌ)が世界遺産登録された理由が気になる!
- 奴隷貿易や負の遺産について理解したい!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- モーリシャスへの旅行を考えている!
遺産ポイント
- ル・モーンは逃亡奴隷「マルーン」の隠れ家として利用された岩山
- 東方奴隷貿易の船が立ち寄る島として発展
- 負の遺産と文化的景観の2つを満たしている
「ル・モーン(ル・モルヌ)」のプロフィール
そもそも「ル・モーン(ル・モルヌ)」とは?
『ル・モーン(ル・モルヌ)』とは、インド洋に浮かぶ島国モーリシャス南西部にある岩山(標高556m)を指します。
海に突き出た半島に一際目立つ独特な形をした山であるため、現在ではモーリシャスで最も有名な山の一つになっています。
独特な形の岩山が見られる点や、周囲に生息する動植物が評価されて世界遺産登録されたわけではありません。
実は、岩山と関係する歴史的出来事が世界遺産登録に大きく関係しているのです!
世界遺産登録理由
『ル・モーン(ル・モルヌ)』が世界遺産登録された理由は、下記の2点に大きく分けられます。
- 奴隷貿易の記憶を刻む貴重な場所
- 奴隷たちに関連するものが多く見つかている
そう、ル・モーンの世界遺産登録のキーワードは、”奴隷貿易”なのです。
つまり、負の遺産に該当します。
合わせて読みたい!【負の世界遺産とは?】登録条件を含む概要を具体的な世界遺産を挙げてわかりやすく解説!理由1:奴隷貿易の記憶を刻む貴重な場所
モーリシャスは奴隷貿易の中継地として繁栄した歴史を持つ
ル・モーン(岩山)が奴隷貿易に大きく関係する点は、奴隷としてモーリシャスに連れてこられた人々が奴隷労働から逃れるための隠れ家にしたことです!
つまり、ル・モーンは逃亡奴隷が身を隠した岩山という表現になるのです。
モーリシャスがイギリス領だった18〜19世紀にかけて、アフリカ、インド、東南アジアなどから東方奴隷貿易の奴隷船がモーリシャスへ次々と立ち寄ってきました。
モーリシャスの立地は、アフリカとアジアのちょうど中間に位置するため、モーリシャスを拠点に労働環境へ運搬するのが好都合だったのです。
しかし、船がモーリシャスに着くと、奴隷たちはモーリシャスの自然を利用して身を隠し、奴隷労働から逃れようと行動しました。
この身を隠す際に利用されたのが、海岸沿いにそびえ立つモ・ルーンです。
【モルーンが身を隠すのに最適だった理由】
- 海岸沿いに位置するため船から脱出してすぐ隠れられる
- 険しい土地のため人の出入りが厳しい(監視官に見つかりづらい)
- 岩山には洞窟や森林などが豊富にあった
ちなみに、奴隷から逃げ出した”逃亡奴隷”のことを専門用語で「マルーン」と呼びます。
このようにモーリシャスは、かつて奴隷貿易の拠点として栄えた歴史を持つことから、一時は「マルーン共和国」と呼ばれていたのです。
その後、欧米で奴隷制の廃止が決定したため、次第に世界各国で奴隷貿易が無くなっていきました。
そのため、警備官がル・モーンなどに隠れている人々に報告をしに来ましたが、人々は疑いを止めませんでした。
報告を受けても隠れ続けた人や、最悪のケースでは逃れるために岩山から飛び降り亡くなってしまった人も数多くいたのです。
このように、ル・モーンには奴隷貿易の悲しい歴史が刻まれているため、負の遺産として広く知れ渡っているのです。
ル・モーン = 自由を求めた奴隷たちの抵抗のシンボル
このような表現ができますね。
なお、ル・モーンと同じように奴隷労働から逃れるために活用された岩山などが世界遺産登録されているものとして、キューバの「ビニャーレス渓谷」なども挙げられます。
理由2:奴隷たちに関連するものが多く見つかている
前述の「奴隷貿易の記憶を刻む貴重な場所」で解説した通り、ル・モーンには数多くの奴隷扱いされてきた人々が身を隠して生活してました。
そのため、ル・モーンや周辺の地域からは、アフリカ本土、マダガスカル、インド、東南アジアといった奴隷の出身地と関係する物資が数多く見つかっているのです。
人々は、岩山にある洞窟などを利用して住居を構えてました。
周辺には森林が広がり、人の出入りが容易ではなかったため、住居を含む生活必需品などが良好な状態で残されていたのです。
このように、自然景観を生かして独自の生活を送っていた記録が残されていることから、文化的景観としての価値もあると評価されています。
合わせて読みたい!【文化的景観とは | 3つのカテゴリー】具体的な世界遺産を挙げてわかりやすく解説!ル・モーンは、負の遺産でありながら文化的景観も認められている非常に珍しい世界遺産なのです。
本日の確認テスト
(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
2級レベル
ル・モーンに身を潜めていた逃亡奴隷の別名として正しいものはどれか。
- モレーン
- マルーン
- アンマ
- クメール
②
答え(タップ)>>1級レベル
『ル・モーンの文化的景観』で認められている登録基準として正しいものはどれか。
- (ii)
- (iii)
- (iv)
- (v)
②
答え(タップ)>>※「3,4級」レベルのトレーニングテストは対象外になります。
まとめ
- 東方奴隷貿易によって大きく発展。
- 奴隷貿易の歴史を刻むため負の遺産とされている。
- ル・モーンは逃亡奴隷「マルーン」が身を隠した岩山。
- ル・モーンからは奴隷の出身地と関係する物資が数多く見つかっている。
- 自然景観を活かして生活していた記録が残されているため文化的景観が認められている。
おまけ:「ル・モーン」のプチ観光情報
美しい珊瑚礁の海が最大の魅力(奥に見えるのが「ル・モーン」)
最寄り空港 | サー・シウサガル・ラングーラム国際空港 |
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公用語 | 英語 |
通貨 | モーリシャス・ルピー |
観光のベストシーズン | 12〜3月 |
時差 | 5時間 ※日本の方が5時間進んでます。 |
治安 | 非常に良い |
物価 | 少し安い(日本の2/3ほど) ※ただしリゾートホテルは日本と変わらない。 |
モーリシャスは情勢が不安定な国が多いアフリカに属するものの、インド洋に浮かぶ島国でリゾート地として人気が高いため、治安は非常に良いです。
物価は他のアフリカ諸国と比べると高くなるものの、日本と比較すると物価は少し安めです。
ベストシーズンの12〜3月の間はヨーロッパを中心に観光客で賑わうため、飛行機やホテルの予約はなるべく早く済ませておきましょう。
アクセス
モーリシャスの中心地は首都の「ポートルイス」
残念ながら、日本からモーリシャスへの直行便は就航していません。
一般的には、中東やヨーロッパ各都市を経由してアクセスすることになります。
- 日本各空港 [フライト時間:11〜13時間]⇨ 中東各都市(ドバイ、イスタンブール、他) or ヨーロッパ各都市(パリ、フランクフルト、他) [フライト時間:7〜11時間]⇨ サー・シウサガル・ラングーラム国際空港 [タクシー乗車時間:約1時間10分]⇨ ル・モーン
モーリシャスは公共交通機関があまり発達していないため、空港からル・モーンまでは基本的にタクシーを利用してアクセスすることになります。
一方で、ル・モーン近くにはホテルが点在しているため、ル・モーン近くのホテルを予約して、ホテルの送迎車を利用してアクセスするのも手段の一つです。
ちなみに、意外にもル・モーンにはトレッキングコースが整備されているため、誰でも気軽に登頂することが可能です。
ル・モーン周辺には遮るものがないため、頂上からは360度の絶景パノラマを楽しむことができます!
ル・モーン周辺のホテル事情
海岸沿いには多くのリゾートホテルが立ち並ぶ
- ル・モーンの西側のビーチ沿いに高級ホテルが集中
- 有名外資系ホテルも点在
- 車で30分ほど離れるとホテルバリエーションが増える
「インターコンチネンタル」「ウェスティン」「ル・メリディアン」などの有名な外資系リゾートホテルは、ル・モーンのある南部ではなく、首都などがある北部に集中しています。
一方で、一部の外資系ホテル(セントレジスなど)や、コスパに優れたホテルはル・モーン周辺にも点在しています。
ただし、モーリシャスは非常に小さな島国であるため、30分ほど車を走らせれば希望通りのホテルを見つけることも可能です。
参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。