こんな方にオススメの内容!
- ニューカレドニアの海(ラグーン)が世界遺産登録された理由が気になる!
- 生息する生物や環境問題ついて詳しく知りたい!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- ニューカレドニアへの旅行を考えている!
遺産ポイント
- 世界最大のラグーンを持つサンゴ礁の海
- 146種ものサンゴが生息
- ジュゴンの生息数は世界トップクラス
「ニューカレドニア」のプロフィール
登録名称 | ニューカレドニアのラグーン:環礁の多様性と関連する生態系 |
---|---|
登録年 | 2008年 |
所在国 | フランス |
登録ジャンル | 自然遺産 |
登録基準 | (vii)(ix)(x) |
そもそも「ニューカレドニア」とは?
長年かけて形成された沖合いに点在する奇岩
ニューカレドニアとは、太平洋の南側に位置する日本の四国とほぼ同じ面積を有するフランス領の島です。
ニューカレドニアの特徴を表現する言葉として、よく以下が用いられます。
「天国に一番近い島」
「海の宝石箱」
ニューカレドニアは世界有数のサンゴ礁地帯として知られており、多種多様なサンゴと透き通るような美しい海が世界中の観光客を魅了しています。
なお、ニューカレドニアの世界遺産登録は、サンゴによってつくられた下記の用語がポイントになってきます。
ラグーンとは?
砂やサンゴによってつくられた遠浅の海「ラグーン」(右側)
ラグーンとは、無数のサンゴや砂によってつくられた、水域が浅いエリアを指します。
通常海は、陸から沖に向かうにつれてどんどん水深が深くなっていきますが、ラグーンと呼ばれる海域はどんなに奥まで進んでも最大で5mほどの水深しかありません。
ラグーンはもともと広大な海と繋がっていましたが、海面上昇、地殻変動、サンゴや砂などの堆積によって海から切り離されて誕生します。
そして、ニューカレドニは世界最大規模のラグーンが存在するのです!
(ニューカレドニアのラグーンの詳細は後述の「理由1:世界を代表する美しい珊瑚礁の海が見られる」で解説してます)
バリア・リーフとは?
海岸線に沿って見られるサンゴ礁の壁「バリア・リーフ」
バリア・リーフとは、陸地に接した海岸ではなく、海岸から少し離れた沖合いに位置する巨大なサンゴ礁の群れです。
この巨大なサンゴ礁の群れは海岸に沿って形成されており、上空から見ると陸や島を囲うようにして存在しているのが特徴です。
- バリア:壁、防壁
- リーフ:サンゴ礁
上記のように名前で”サンゴ礁の壁”と表現されているように、まさに陸や島を囲う天然の壁のような姿を見せているのです。
ちなみに、世界最大のバリア・リーフはオーストラリアの「グレート・バリア・リーフ(全長約2,000km)」にあります。
ニューカレドニアのバリア・リーフは、グレード・バリア・リーフに次ぐ世界で2番目の長さ(全長約1,600km)です。
なお、グレート・バリア・リーフについては下記の記事で詳しく解説してます。
ニューカレドニアと比較しながら、ぜひ併せて読んでみてください。
合わせて読みたい!【グレートバリアリーフ | 世界最大のサンゴ礁】世界遺産に登録された理由や魅力ポイントをわかりやすく解説!世界遺産登録理由
ニューカレドニアの人気シュノーケリングスポット「ピッシンヌ・ナチュレル(イル・デ・パン)」
『ニューカレドニアのラグーン』が世界遺産登録された理由は、大きく下記の3点に分けられます。
- 世界を代表する美しいサンゴ礁の海が見られる
- ジュゴンなど多種多様な生物が生息する
- 固有種や独自の進化を遂げた生物が見られる
なお、世界遺産登録エリアは大きく分けて6つで構成されており、一部の陸地も含まれています。
【世界遺産登録エリア】
- 西海岸エリア
- 北東海岸エリア
- べレップ諸島&グランラゴンノー
- ウベア環礁&ボートンボープレ
- グランラゴンスッド
- アントルカストー環礁
理由1:世界を代表する美しいサンゴ礁の海が見られる
世界最大規模のサンゴ礁の海が広がるニューカレドニア
ニューカレドニアが世界遺産登録された最もわかりやすいポイントが、美しいサンゴ礁の海が見られることです。
ただし、単純に美しい海が見られるだけではなく、ニューカレドニアの海は下記のような特徴を持っている点が高く評価されました。
- 世界最大のラグーンを持つ(約2万3,400k㎡)
- 世界第2位のバリア・リーフを持つ(全長約1,600km)
ラグーンの総面積はなんと東京都の約20倍に相当し、このうち半分の面積が世界遺産登録されています。
また、バリア・リーフの長さは日本の本州の長さとほぼ同じです。
このように海が世界遺産登録される場合は、ただ美しい海という点だけでなはく、地球を代表する自然として大きな特徴を持っている必要があります。
理由2:ジュゴンなど多種多様な生物が生息する
多種多様な生物が見られるニューカレドニアはダイビングスポットとしても人気がある
ニューカレドニアの世界遺産登録理由は、サンゴ礁の美しい海が見られることだけではありません。
海を中心に多種多様な生物が生息する点も高く評価されているのです。
- 146種のサンゴ
- 約1950種の魚類
- 約5,000種の甲殻類
全ての生物を合計すると、なんと約1万5,000種にも及びます。
この数字は、全世界に存在する生物の種類のおよそ5%に相当するのです。
なかでも、ジュゴンの生息数は世界第3位を誇り、クジラなどの大型海洋哺乳類も見ることができます。
(ちなみにジュゴン生息数世界一は、同じく世界遺産登録されているオーストラリアのシャーク湾)
このようにニューカレドニアの海は、美しい景観と生物多様性を併せ持つ貴重なサンゴ礁なのです。
理由3:固有種や独自の進化を遂げた生物が見られる
ニューカレドニアならではの動植物が生息する点も評価されている
ニューカレドニアには、独自の進化を遂げた動植物や、ここでしか見られない生物が多数生息してます。
- オウムガイ:”生きた化石”と呼ばれる生物。他の一部の地域でも見られるが、ニューカレドニアが世界最大の生息地。
- カグー:ニューカレドニア固有種。天敵がいないため飛ばない鳥へと進化。
- 南洋杉:かつて恐竜が食していたとされる植物。食する生物がいなくなったためトゲが無くなり柔らかい葉を持つようになった。
もともとニューカレドニアは、近くのオーストラリアやニュージーランドと陸続きでした。
ところが、海面が上昇したことでオーストラリアやニュージーランドとの間に海が誕生したのです。
すると、陸続きの時代に比べて天敵が減ったことや環境に変化が訪れたことで、もともと生息していた生物が新しい環境に適した姿へと変わっていきました。
なおニューカレドニア近辺では、生きたサンゴだけでなくサンゴの化石も多く発見されています。
ニューカレドニアのサンゴの化石は、南太平洋の生物の進化や環境の変化の歴史を知る上での貴重な史料ともなっているのです。
環境保護・保全の取り組み
ニューカレドニアが世界遺産登録された要因は、美しい海や多種多様な生物が見られる点だけではありません。
長年政府が取り組んできた、自然環境に対する積極的な保護・保全活動が評価された点も大きく影響しているのです!
【具体的な保護・保全取り組み】
- 生き物へ触れることの禁止
- 釣りなど許可の無い生物の捕獲の禁止
- 環境を配慮した宿泊施設の建設
- プラスチックごみ排出の制限
近年、世界では「持続可能な開発目標(SDGs)」が強くうたわれていますが、ニューカレドニアではSDGsという言葉が広まる以前から、環境に配慮した取り組みが多く行われていました。
特に世界遺産登録される上で懸念しなければならないポイントが、観光客増加にともなう自然景観の破壊です。
しかしニューカレドニアでは世界遺産登録される以前から、「グリーンキー」と呼ばれる環境に配慮したホテルに認められる称号が適用されるなど、積極的な取り組みが行われていました。
ニューカレドニアのように、環境の保護・保全政策が積極的に取り組まれている遺産は、世界遺産登録されやすい傾向があります。
一方で、どんなに美しい自然や建築物であっても、具体的な保護・保全政策が示されていないと世界遺産登録されないこともよくあるのです。
本日の確認テスト
(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
2級レベル
ニューカレドニアに生息するサンゴの種類の数として正しいものはどれか。
- 146種
- 188種
- 213種
- 246種
①
答え(タップ)>>1級レベル
生息数世界第3位を誇るニューカレドニアに生息する生物の名称として正しいものはどれか。
- マッコウクジラ
- アオウミガメ
- ジュゴン
- スナメリ
③
答え(タップ)>>※「3,4級」レベルのトレーニングテストは対象外になります。
まとめ
- 世界最大のラグーン、世界最大級のバリア・リーフを持つサンゴ礁の海。
- 世界遺産登録範囲は大きく分けて6つのエリアで構成。
- 146種のサンゴの生息が確認されている。
- ジュゴンの生息数は世界第3位を誇る。
- 「オウムガイ」「カグー」「南洋杉」など固有種も多く生息する。
- 長年政府が取り組んできた自然環境に対する積極的な保護・保全活動が評価された。
おまけ:「ニューカレドニア」のプチ観光情報
カップルから絶大な人気を誇るハート形のマングローブ林
最寄り都市 | ヌーメア |
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最寄り空港 | ヌーメア・ラ・トントゥータ国際空港 |
公用語 | フランス語 |
通貨 | CFPフラン |
観光のベストシーズン | 9〜12月 |
時差 | 2時間 ※日本が2時間遅れてます。 |
治安 | 非常に良い |
物価 | 非常に高い(日本の約2倍) |
ビザ | 不要 |
ニューカレドニアの物価は「フランス×リゾート地」という土地柄高めです。
一方で、治安が非常によく、日本が寒い時期にベストシーズンを迎えるため、近年日本人観光客の人気も高まっています。
アクセス
成田と関西からニューカレドニアのヌーメアへの直行便は就航してます。
- 成田 or 関西 [フライト時間:約8時間30分] ⇨ ヌーメア・ラ・トントゥータ国際空港 [空港シャトルバス:約1時間] ⇨ ヌーメア市内中心部
ニューカレドニアの交通手段は、主に「路線バス」と「タクシー」の2択です。
路線バスは有名な観光地などを結んでおり利用しやすいです。
一方で、ラグーンなどへのアクセスは公共交通機関でアクセスすることは難しいため、現地のツアーに参加して訪れましょう。
ニューカレドニア世界遺産登録エリア観光の案内
『ニューカレドニアのラグーン』として世界遺産登録されているエリアで、多くの観光客に人気のスポットは主に下記の2箇所になります。
【パン島(イル・デ・パン)】
- 本島(グランドテール島)から飛行機で約30分
- ラグーンが世界遺産
- 「ピッシンヌ・ナチュレル」でのシュノーケリングが大人気
- リゾートホテルが充実
【ウベア島】
- 本島(グランドテール島)から飛行機で約40分
- 周辺のサンゴ礁が世界遺産
- ビーチだけでなく教会や洞窟など見どころがたくさん
- ホテルはそこまで多くない
どちらも中心都市ヌーメアから国内線で数十分のところに位置しており、手付かずの美しい自然が残されているエリアです。
パン島であれば日本の旅行会社でパン島に宿泊するプランが販売されています。
一方で、ウベア島は宿泊施設が少ないため、本島から出発する日帰りツアーで訪れる観光客が多いです。
参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。