こんな方にオススメの内容!
- なぜ「グレートバリアリーフ」が世界遺産に登録されたのか理由が気になる!
- 世界最大のサンゴ礁が誕生した歴史を知りたい!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- オーストラリアへの旅行を考えている!


遺産ポイント
- 世界最大のサンゴ礁で日本列島とほぼ同じ面積に相当する!
- 自然遺産の4つの登録基準全てを満たしている!
- ジェームズ・クックとマシューフリンダースによるグレートバリアリーフの正体が明らかになっていく!
- グレートバリアリーフの島々の形成にはサンゴが大きく関わっている!?
「グレートバリアリーフ」のプロフィール
登録名称 | グレートバリアリーフ |
---|---|
登録年 | 1981年 |
所在国 | オーストラリア |
登録ジャンル | 自然遺産 |
登録基準 | (vii)(viii)(ix)(x) |
備考 | 自然遺産の登録基準全てを満たしている! |
グレートバリアリーフとは?名前の由来は?

どこまでも続くサンゴ礁
グレートバリアリーフとは、オーストラリアの北東の海域にある世界最大のサンゴ礁です!
サンゴ礁の全長は約2,300kmになり、総面積は348,700㎢です。
これは、日本列島がそのままサンゴ礁になったぐらいの大きさに匹敵します。


グレートバリアリーフという名前の構成は、それぞれ下記になります。
- グレート:大きな
- バリア:障壁(かべ)
- リーフ:サンゴ
つまり、”大きな壁のように連なっているサンゴ”というのが、グレートバリアリーフの名前の由来になります!
漢字表記にすると、「大堡礁(だいほしょう)」です。
これは、海岸から離れた沖合に存在するサンゴ礁のことを指します。
以上をまとめると、グレートバリアリーフをよりわかりやすく表現すると下記になります。
海岸から離れた沖合に存在する、非常に大きなサンゴ礁の壁
グレートバリアリーフの誕生

沖合いには透明度の高いビーチを有する島がいくつも点在する
グレートバリアリーフにサンゴ礁が形成され始めたのは、今から約1,800万年前のことだとされています。
これは、アフリカに人類の祖先が誕生した時代よりもさらにはるか昔に相当します。

このようにグレートバリアリーフは、地球でサンゴ礁が誕生した歴史を知る上で、非常に貴重な資料となっているのです!
なお今回のグレートバリアリーフのように、地球の歴史を知る上で重要な自然景観や自然現象への価値は、世界遺産登録基準の(viii)が認められやすいです!
(世界遺産登録基準に関しては、こちらの記事で詳しく解説してます)

ちなみにサンゴとは、ポリプという体の一部を使って岩などに張り付いて生息する造礁(ぞうしょう)サンゴのことを指します。
この造礁サンゴの主な成分は石灰質で、サンゴ礁やサンゴ礁付近に誕生する島の形成に大きく貢献するのです!
そしてこの造礁サンゴが集まったものをサンゴ礁と呼びます。

補足として、見た目は異なるサンゴとイソギンチャクですが、「刺胞(しほう)動物」という同じ種属であるため、分類上は仲間と言えます!
なお、サンゴによって誕生する島の過程の詳細に関しては、後述の「サンゴを起点とした島や生態系の誕生」で解説します!
グレートバリアリーフ発見の歴史

グレートバリアリーフが発見されたのは1770年のことです。
発見のきっかけは、海洋探検家であるジェームズ・クック(別名 : キャプテン・クック)が、オーストラリア付近を航海中にサンゴでつくられた浅瀬に乗り上げてしまった出来事でした。
この乗り上げたサンゴ礁こそ、現在のグレートバリアリーフなのです!
この座礁の話は瞬く間に世界に広がり、グレートバリアリーフの存在が知られていきました。


そして、グレートバリアリーフという名で世界中に知れ渡ったのは、1802年にイギリスの探検家マシュー・フリンダースがグレートバリアリーフの調査のため航海した頃からです。

ちなみにフリンダーズのグレートバリアリーフ調査の最大の目的は、グレートバリアリーフ付近を航海する時に使用する地図を作成することでした。
残念ながら現在は彼が作成した航海地図は使われていないものの、近年までは使われており、彼の地図をベースに現在使われている海図が作られたと言っても過言ではありません。

20世紀に入ってからさらに調査が進められました。
- オーストラリアの地理学協会による調査委員会の設立
- ヘロン島に常設の研究所の設置
上記のような取り組みが進められた結果、グレートバリアリーフに生息する生物が徐々に明らかになっていきました!
(具体的な生物名や生息数に関しては、後述の「多様な生物が生息するグレートバリアリーフ」で解説します)
グレートバリアリーフが世界遺産に登録された理由

グレートバリアリーフは、なんと4つの自然遺産の登録基準(vii、viii、ix、x)全てを満たしている世界遺産なのです!
4つ全て満たしている自然遺産はあまりないので、グレートバリアリーフの自然の価値がいかに高いかがわかるかと思います。
(登録基準の詳細に関してはこちらの記事で解説してます)


4つの登録基準全てを満たしているということは、グレートバリアリーフが世界遺産に登録されたポイントが4つあるということです。
- 美しいサンゴ礁を見ることができる自然美
- 地球でサンゴ礁が誕生した歴史を知る上で非常に重要な資料
- サンゴの進化の過程を知ることができる重要さ
- 多種多様な海洋生物を見ることができる貴重さ
②に関しては、前述の「グレートバリアリーフの誕生」で解説したように、人類が誕生するはるか昔からサンゴ礁が存在していたことがわかっています。

他に類を見ない美しい世界最大のサンゴ礁

前述の「グレートバリアリーフとは?名前の由来は?」でも解説したように、グレートバリアリーフは世界最大のサンゴ礁です!
世界で最も有名なサンゴ礁 = グレートバリアリーフ
上記のような式が成立するほどですね。
つまり、それほど世界からの認知度が高いのです!
特によくメディアなどで取り上げられるようなグレートバリアリーフの美しい自然景観は、ウィットサンデー諸島の島々であることが多いです。


ハートリーフ

ハートの形をしたサンゴ礁
- その名の通りハート型のサンゴ礁を見ることができる。
- 上陸はできないため基本的には遊覧飛行で見ることになる、
- 保護区域に指定されているため近海でのシュノーケリングやダイビングは禁止。


ホワイトヘブンビーチ

まるで天国にいるかのような錯覚を覚える美しいビーチ
- 全長約7kmにも及ぶグレートバリアリーフ海域にあるビーチで最大級の長さ。
- まるで天国にいるかのような錯覚を起こすほどの美しさを誇ることが名前の由来。
- トリップアドバイザーによる「世界のベストビーチ」ランキングで1位に輝いたことがある。
ウィットサンデー島という島にあるビーチで、「ウィットサンデー諸島国立公園」として厳重に保護されています。

グリーン島

ケアンズからの日帰りツアーで人気の「グリーン島」
- サンゴや砂が蓄積してできた島。
- 歩いて約1時間ほどで一周できてしまうほど小さな島。
- グレートバリアリーフの観光拠点であるケアンズから比較的アクセスしやすい。

ハミルトン島

リゾート開発が進む「ハミルトン島」
- 美しいビーチとして有名な「ホワイトヘブンビーチ」や「ハートリーフ」へのアクセス拠点となる島。
- 他の島と比べてホテルやレストランが充実している(リゾート開発が積極的に行われている)
- 空港があるためケアンズやブリスベンから飛行機でアクセスが可能。

サンゴを起点とした島や生態系の誕生

前述の「他に類を見ない美しい世界最大のサンゴ礁」で挙げた「グリーン島」や「ハミルトン島」などの島々は、サンゴや周辺に生息する生物によって作られました。


グレートバリアリーフの島々は、下記のような流れで誕生しました(全ての島ではない)。
- サンゴが産卵をする。
↓ - サンゴが増殖し巨大なサンゴ礁を形成する。
↓ - 産卵を終え一生を終えたサンゴは白化し、石灰質となって海に沈澱する。
↓ - 沈澱したサンゴの石灰質が蓄積されて、次第に海面に姿を表すようになる。
↓ - サンゴでできた小さな陸地は鳥の貴重な休息地となる。
↓ - サンゴの島で鳥がフンをすることで、フンが栄養分となって植物が生育し始める。
↓ - 植物が育つことによって陸地の地盤が安定し始める。
↓ - 安定した地盤にさらに鳥が集まるようになって島の面積が大きくなっていく。
グレートバリアリーフで見られる島々の多くが、上記のような過程で誕生していきました!
なお、現在グレートバリアリーフに存在する島は約600島と言われています。

さらにサンゴは島の誕生のきっかけになっただけでなく、海洋生物の生息にも大きく貢献しています!
前述の「グレートバリアリーフとは?名前の由来は?」でも解説したように、グレートバリアリーフのサンゴ礁は大きな壁のような形状になっています。
この壁のようなサンゴの形状が、グレートバリアリーフに侵入する外敵から守る役割を果たしていたのです!

外敵が入ってくることが少なかったグレートバリアリーフでは、次第に海洋生物が増えていきました。
さらに、グレートバリアリーフの海域内で食物連鎖が発生し、大型の魚類や海洋哺乳類も生息するようになっていったのです!
多様な生物が生息するグレートバリアリーフ

前述の「サンゴを起点とした島や生態系の誕生」で触れたように、グレートバリアリーフの生態系はサンゴによってもたらされたものと言っても過言ではありません。
現在グレートバリアリーフで見られる生物は以下の通りです。
- 約1,500種に及ぶ魚類
- 約4,000種に及ぶ軟体動物(イカなど)・海綿動物(イソギンチャクなど)
- ジュゴンやザトウクジラなどの海洋哺乳類
- ウミガメなどのカメ類
- 約170種の鳥類

サンゴは魚類の貴重なすみかとなり、その魚類をエサとする大型の生物の生息地ともなるわけです。
そして餌となる生物や栄養分が豊富な海には、絶滅の危機に瀕している貴重な動物の生息地にもなります。

このような生物多様性という観点においても、グレートバリアリーフは重要な自然環境と言えるのです!
(なお、生物多様性や絶滅危惧種の生息地としての価値は世界遺産登録基準の(x)が認められやすいです)
グレートバリアリーフが直面した危機(危機遺産に登録?)

海水温の上昇の影響を受けて白化してしまったサンゴ
美しいサンゴ礁の姿がよくピックアップされるグレートバリアリーフですが、別の面では「サンゴの白化」という危機に直面しているのも事実です。

グレートバリアリーフのサンゴが白化してしまう原因としては、主に下記の3点が挙げられます。
- 地球温暖化による海水温の上昇
- サイクロンなどの自然災害の影響
- グレートバリアリーフ沿岸で行われている工事などから出る土砂の流入
上記のような危機的状況を受けて、2012年にはグレートバリアリーフを危機遺産に登録する話が上がりました。
そして実際に2015年の世界遺産委員会では、グレートバリアリーフを危機遺産に登録するか否かの審議が行われたのです。
(危機遺産の詳細に関してはこちらの記事で解説しています)


グレートバリアリーフの危機遺産登録が見送られた最大の要因は、オーストラリア政府による環境保全計画が評価されたことです!
この保全計画の名称は、「リーフ2050年長期持続可能性計画」です。
簡単に言うと、「まずは2050年という期間でサンゴの保全に力を入れる」というものです。
数年単位の短期的な目標ではなく、長い期間で保全に尽力を注ぐことをアピールした形になります。

本日の確認テスト


(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
3・4級レベル
『グレートバリアリーフ』の特徴として正しいものはどれか。
- 世界最南端のサンゴ礁
- 世界最大のサンゴ礁
- 世界最深の海洋
- 世界最多の魚類が生息する海洋
②
答え(タップ)>>2級レベル
『グレートバリアリーフ』が抱えた問題として正しいものはどれか。
- 大規模なリゾート開発による島部の森林伐採。
- 海水温の上昇や汚水によるサンゴの白化。
- 外来種の増加による生態系の崩れ。
- 捕鯨によるザトウクジラの生息数の急激な減少。
②
答え(タップ)>>1級レベル
『グレートバリアリーフ』に関する説明として正しいものはどれか。
- 現在見られるサンゴ礁が誕生したのは約8,000〜6,000年前とされ地球の歴史を知る上で貴重な資料となっている。
- 沖合の島々の多くが地殻変動や海底火山の活動によって誕生した。
- 陸地部分のケープレンジ半島には多くの鳥類や爬虫類が生息している。
- グレートバリアリーフという名は探検家のエリザ・フレーザーがサンゴ礁近海を航海中に決めた。
①
答え(タップ)>>まとめ

- グレートバリアリーフは世界最大のサンゴ礁!
- 自然遺産の4つの登録基準全てを満たしている!
- 造礁(ぞうしょう)サンゴの石灰質はグレートバリアリーフの島の誕生に大きく影響している!
- ジェームズ・クックによって発見され、マシュー・フリンダースによって本格的に調査が行われた!
- 「ハートリーフ」「ホワイトヘブンビーチ」など美しいサンゴ礁の自然景観を見ることができる!
- ジュゴンやザトウクジラの生息など生物多様性な自然環境を持つ!
- 地球温暖化などによる影響でサンゴの白化が深刻な問題となり、一時は危機遺産登録も考えられた!
おまけ:「グレートバリアリーフ」のプチ観光情報

人気観光地「グリーン島」にある桟橋
人口(ケアンズ) | 約15万人 |
---|---|
最寄の空港 | ケアンズ国際空港 |
通貨 | オーストラリア・ドル |
観光のベストシーズン | 12,4月(雨量の少ない夏のシーズン)、5〜11月(雨量が少なく暑過ぎない冬のシーズン) |
治安 | 良好 |
物価 | 日本とほぼ同じ(ツアーなどはやや高め) |
グレートバリアリーフは「世界最大のサンゴ礁」ということもあり、世界中から観光客が訪れる人気の観光地です!
拠点となる都市のケアンズには日本からの直行便が就航しているため、日本人観光客にも大人気です。
グレートバリアリーフ観光の拠点は、大きく分けて下記の2つになります。
【オーストラリア本土:ケアンズ】
- 日本からの直行便が就航しているグレートバリアリーフ近辺で最も大きな都市
- グリーン島へのアクセスはこの都市から
【グレートバリアリーフにある島:ハミルトン島】
- グレートバリアリーフにある島々の観光の拠点
グレートバリアリーフまでのアクセス

【グリーン島が目的地の場合】
- 成田・関空 ⇨ ケアンズ (フライト時間:約7時間半) ⇨ 「リーフ・フリート・ターミナル」という港からフェリーやクルーズ船に乗船(約1時間)
- 基本的にはツアーに参加する形になる。
- あまり大きくない船で揺れを感じやすいため、事前に酔い止めを飲んでおきましょう。
【ハミルトン島が目的地の場合】
- 日本の各空港 ⇨ ケアンズ、シドニー、メルボルン(フライト時間:約7〜10時間) ⇨ ハミルトン島(フライト時間:最も近いケアンズからだと1時間半)
- ハミルトン島を拠点にハートリーフやホワイトヘブンビーチに行くイメージ。
どちらにいくにしても、とりあえずケアンズに行けばOKです。
(グリーン島に行きたいのに、ケアンズ以外の都市に向かうと、最終的にはケアンズに着かなければならないため、かえって遠回りになる)
グレートバリアリーフ近辺のホテル情報

グレートバリアリーフの玄関都市として有名なケアンズですが、意外にもケアンズには遊泳できるようなビーチはありません!
つまりそれは、ビーチに面したリゾートホテルも無いということです!
もしビーチに面したリゾートホテルに宿泊したい場合は、沖合の島にあるリゾートホテルに宿泊する必要があります。

ハミルトン島のおすすめホテル:ハミルトン・アイランド・ビーチ・クラブ
- ホテルの目の前は美しい白浜ビーチ!
- ハミルトン島随一の高級ホテル!
- 数多くのオーシャンビュー客室を完備!
ハミルトン島に数あるホテルの中でも、特に高級感があり設備が充実している人気のリゾートホテルです!
目の前がビーチのため、気軽にマリンアクティブティを満喫できます。

- ハミルトン・アイランド・ビーチ・クラブ

ケアンズのおすすめホテル:ダブルツリー・バイ・ヒルトン・ホテル・ケアンズ
- 人気のヒルトン系列のホテルの中でも比較的料金をおさえて宿泊できる!
- 目の前が海でオーシャンビュー客室も完備!
- 「市街地」「空港」「港」いずれにもアクセス良好!
ケアンズの中心部に位置する数あるホテルの中でも、海岸沿いにあり大型プールを併設している、数少ないビーチリゾート風ホテルです!
また、人気観光地のグリーン島などに向かう際に利用する「リーフ・フリート・ターミナル」という港に近いため、観光の拠点としても非常に便利です。


- ダブルツリー・バイ・ヒルトン・ホテル・ケアンズ

参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。