こんな方にオススメの内容!
- シャーク湾が世界遺産登録された理由が気になる!
- ストロマトライトの正体や地球最古の生態系と言われる理由について理解したい!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- オーストラリアへの旅行を考えている!
遺産ポイント
- 地球最古の生命体「ストロマトライト」が生息
- 世界最大の海草藻場&世界最大のジュゴンの生息地
- 魚類や鳥類など生物多様性な環境
「シャーク湾」のプロフィール
登録名称 | 西オーストラリアのシャーク湾 |
---|---|
登録年 | 1991年 |
所在国 | オーストラリア |
登録ジャンル | 自然遺産 |
登録基準 | (vii)(viii)(ix)(x) |
そもそも「シャーク湾」とは?
地球上の景色とは思えな色とりどりな景観が広がる
『シャーク湾』とは、オーストラリア西部の西オーストラリア州に位置する湾(入り江)を指します。
【シャーク湾の特徴】
- 南北約200km、東西約100kmに及ぶ広大な面積(東京湾の約15倍)
- 水深10m以下の浅瀬が続く
- 湾沿いには赤色の大地が広がる
- 地球最古の生命体から絶滅危惧種まで幅広い生物が生息
湾の名前に”シャーク(サメ)”と入っているものの、サメだけでなく多種多様な生物が生息しています。
(シャーク湾に生息する具体的な生物に関しては、後述の「ジュゴンなど様々な生物が見られる多様さ」で詳しく解説します)
また湾だけでなく、湾周辺の自然環境にも大きな特徴を持っている点も魅力の一つです。
日本ではあまり聞き慣れない湾の名前ですが、シャーク湾は地球の歴史や生物の誕生を知る上で、非常に重要な自然環境なのです。
世界遺産登録理由
砂ではなく貝殻でできた「シェルビーチ」はシャーク湾を代表する景色
シャーク湾が世界遺産登録された理由は、下記の4点に大きく分けられます。
- ここでしか見られない美しい海と独特な大地
- 地球最古の生命体「ストロマトライト」が存在する
- オーストラリアやシャーク湾にしか生息しない固有種が見られる
- ジュゴンなど様々な生物が見られる多様さ
特に「ストロマトライト」と「ジュゴン」は、シャーク湾が世界遺産登録される上で非常に大きな評価を得たポイントになります!
なおシャーク湾は、自然遺産の登録条件(vii)(viii)(ix)(x)全てを満たしている、非常に貴重な自然遺産でもあるのです。
理由1:ここでしか見られない美しい海と独特な大地
赤い大地が広がる独特な景色
地球上の他の地域ではなかなか見られない、青く透き通った美しい海と荒涼とした赤い大地が入り混じる独特な自然景観は、世界遺産登録において高い評価を受けました。
シャーク湾に突き出たペロン半島は、崖沿いを中心に真っ赤な大地が広がります。
この赤色の要因は、大地に含まれる鉄分が酸素に反応したことで起きた自然現象です。
そんな赤色の大地のすぐ横には、広大な美しいシャーク湾が広がります。
このような、他の地域ではなかなか見られない自然色のコントラストは、シャーク湾の大きな特徴の一つになっているのです。
さらに、もう一つシャーク湾の代表的な自然景観があります。
「シェルビーチ」です!
通常ビーチは白い砂などで作られていますが、シェルビーチはその名の通り”貝殻”で作られたビーチになります。
この貝殻のビーチはなんと約110kmも続き、ここまでの規模はシャーク湾でしか見られない景色です。
多くの貝殻が残されている最大の理由は、湾の中の海水の水温と塩分濃度が高く、貝の外敵となる生物の生息を妨げているからです!
貝にとっての天敵がほぼ皆無のため、食べられて無くなることなく、どんどん生息数を広げて堆積していったのです。
ちなみに、現在見られるシェルビーチの貝殻は、約4,000年前から堆積(たいせき)したものと考えられています。
理由2:地球最古の生命体「ストロマトライト」が存在する
地球最古の生命体と言われている「ストロマトライト」
驚くべきことに、シャーク湾には地球最古の生命体が存在するのです。
その名も、「ストロマトライト」。
【ストロマトライトの特徴】
- 藍藻類(らんそうるい)など微生物の集合体
- 35億年前から光合成を繰り返して成長し続けている(年間約0.3〜0.4mmペースで成長)
- 海中の砂などを取り込んでいるためドーム型(岩のような形)に成長する
35億年前という数字からも推測できるように、ストロマトライトは地球最古の生命体と考えられています。
加えて、ストロマトライトは大昔から光合成を行い酸素を作り出していることが判明しているため、現在の地球の大気をつくり出した大元であると推測されているのです!
今なお生きているストロマトライトはシャーク湾などの一部地域でしか見ることができず、大半の地域では化石となったストロマトライトしか見つかっていません。
シャーク湾では生きているストロマトライトが見られる要因は、前述の「理由1:ここでしか見られない美しい海と独特な大地」のシェルビーチの際にも解説した、シャーク湾の塩分濃度の高さが影響しています。
ストロマトライトが多く生息する「ハメリン・プール」と呼ばれるエリアは、通常の海の約2倍もの塩分濃度を持ちます。
さすがにこの濃い塩分濃度では、ストロマトライトをエサとしたい他の生物は生息できないです。
ちなみに、地球を代表する自然景観として有名なエベレストの誕生が約4,500万年前、グランドキャニオンの誕生が約20億年前ということを考えると、シャーク湾は地球の歴史上で見て最古級の自然景観と言えます。
理由3:オーストラリアやシャーク湾にしか生息しない固有種が見られる
オーストラリアの固有種「エミュー」が見られる
シャーク湾は、自然景観やストロマトライトだけが高く評価されたわけではありません。
海や陸地に生息する、オーストラリアやシャーク湾でしか見られない固有種が生息する点も高く評価されました。
【シャーク湾周辺に生息する生物】
- アゴヒゲトカゲ
- ハリモグラ
- モロクトカゲ
- カンガルー
- エミュー
「オーストラリアの固有種+約30種のシャーク湾の固有種」
このように、貴重な生物が数多く生息しているところも、シャーク湾の大きな特徴の一つです。
また、ストロマトライトのように古代から生息していた生物が今なお存在する点もポイントになります。
理由4:ジュゴンなど様々な生物が見られる多様さ
シャーク湾はジュゴンの生息数が世界トップクラス
シャーク湾は、生息する生物の豊富さも魅力の一つです。
ミサゴやアジサシ、ウミドリといった230種の鳥類から、ジンベイザメやマンタなどの323種の魚類、ザトウクジラなどの海洋哺乳類など、その種類は非常に幅広いです。
中でも、シャーク湾は絶滅危惧種ジュゴンの最大の生息地として知られています!
ジュゴンの主食は海草です。
シャーク湾は年間を通して温暖な気候のため、海草が繁殖するのに適した環境になります。
実際に、シャーク湾の海草藻場(様々な海草が生育する密集地帯)の広さは、4,800km²と世界最大です!
この海草の豊富さこそ、シャーク湾がジュゴン生息に最適な環境になっている理由なのです。
現在はシャーク湾に1万頭以上のジュゴンが生息しています。
本日の確認テスト
(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
2級レベル
シャーク湾を最大の生息地としている絶滅危惧種の生物名として正しいものはどれか。
- ジュゴン
- オタリア
- ザトウクジラ
- オニイトマキエイ
①
答え(タップ)>>1級レベル
「シャーク湾」に関する説明として誤っているものはどれか。
- 地球最古の生命体「ストロマトライト」が生息する。
- 世界第2位の規模の珊瑚礁が広がる。
- 酸化鉄を含んでいる影響で赤色の大地が広がる。
- 自然遺産の登録基準全てを満たしている。
②
答え(タップ)>>※「3,4級」レベルのトレーニングテストは対象外になります。
まとめ
- 自然遺産の登録条件全てを満たしている。
- 酸化鉄の影響で赤色の大地が広がる。
- 約4,000年前から貝殻が堆積してできた「シェル・ビーチ」が有名。
- 35億年前から光合成をし続けている地球最古の生命体「ストロマトライト」の生息が最大の特徴。
- 絶滅危惧種ジュゴンの最大の生息地。
おまけ:「シャーク湾」のプチ観光情報
最寄り都市 | デナム |
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最寄り空港 | シャーク・ベイ空港(国際空港はパース) |
公用語 | 英語 |
通貨 | オーストラリア・ドル |
観光のベストシーズン | 通年(一年中温暖) |
時差 | 1時間 ※日本の方が1時間進んでます。 |
治安 | 非常に良い |
物価 | 少し高い(日本の1.3倍ほど) |
オーストラリアは物価が少し高いものの、治安が非常によく日本との時差がほとんど無いため、海外旅行初心者にオススメの国の一つです。
シャーク湾の最寄り都市「デナム」は非常に小さな街ですが、シャーク湾の観光拠点ということもあり、オーストラリア国内を中心に多くの観光客が集まる街です。
もし買い物やエンタテインメントなどを楽しみたい場合は、必ず経由することになる大都市「パース」で1〜2泊するのも良いでしょう。
アクセス
西オーストラリアの玄関都市「パース」の街並み
残念ながら、日本からデナム(または国際空港のあるパース)までの直行便は就航していません。
オーストラリア国内、またはアジア諸国を1〜2度経由してアクセスすることになります。
- 日本各空港 [フライト時間:5〜11時間]⇨ オーストラリア国内経由(シドニー、ケアンズ、他) or アジア諸国経由(香港、マレーシア、他) [フライト時間:5〜8時間]⇨ パース [フライト時間:約2時間]⇨ デナム(シャーク・ベイ空港) [車:約1時間]⇨ ハメリン・プール(ストロマトライトが生息する海域)
ストロマトライトが生息する人気観光スポット「ハメリン・プール」へは、最寄り空港から車で1時間ほどで着きます。
ただし、公共交通機関があまり発達していないので、事前にツアーやレンタカーを手配しておくと安心です。
シャーク湾おすすめ滞在日数は「2泊3日」
「モンキー・マイア」では野生のイルカと触れ合うことができる
- ストロマトライトが生息する「ハメリン・プール」はマストスポット
- 野生のイルカと触れ合える「モンキーマイア」は大人気
- 基本的にツアーや車チャーターで巡る
シャーク湾観光でおすすめの滞在日数は「2泊3日」です!
1日目 | シャーク湾海域観光(ハメリン・プール、シェルビーチ、他) |
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2日目 | フランソワ・ペロン国立公園観光(赤い大地を駆け巡る、オーストラリア固有種と触れ合う) |
3日目 | モンキーマイア観光(野生のイルカと触れ合う) |
シャーク湾は非常に広大なため、最低でも3日は滞在するのがおすすめです。
もし滞在時間に余裕がない場合は、2日あれば主要スポットである「ハメリン・プール」や「シェル・ビーチ」を周ることも可能です。
参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。