こんな方にオススメの内容!
- 世界遺産に大きく関わる機関について知りたい!
- 世界遺産登録や保全に関する具体的な取り組みについて知りたい!
- 教養として世界遺産に関する知識を習得したい!
- 世界遺産検定の対策学習にしたい!
ポイント
- 世界遺産が登録されるにはICOMOSとIUCNの調査が必ず必要!
そもそも「世界遺産委員会の諮問機関」とは
「世界遺産委員会の諮問(しもん)機関」とはその名の通り、世界遺産委員会内に設けられた、助言、意見の要求などをする専門機関のことを指します。
(世界遺産委員会の詳細に関しては別記事の「【世界遺産委員会とは?】具体的な役割や概要をどこよりもわかりやすく解説!」をご覧ください)
世界遺産委員会の代表的な諮問機関として主に下記の3つが挙げられます。
- ICCROM(International Centre for the Study of the Preservation and Restoration of Cultural Property)
- ICOMOS(International Council on Monuments and Sites)
- IUCN(International Union for Conservation Nature)
ICCROMとICOMOSは文化遺産を、IUCNは自然遺産の保全、調査、報告などを行っています。
ICCROM設立の目的と役割
ICCROMの本部が置かれているローマのサンタンジェロ城
英名 | International Centre for the Study of the Preservation and Restoration of Cultural Property |
---|---|
日本語名 | 文化財の保存及び修復の研究のための国際センター |
設立年 | 1959年 |
本部 | ローマ(イタリア) |
ICCROMは下記を目的に設立されました。
- 不動産や動産の文化遺産の保全強化をするための研究
- 保全強化の研究に伴う記録の作成、助言、技術支援
- 技術者や専門家の研修や養成
とりわけ役割の重点として置いているのが、”文化遺産に関する研修・養成において主導的な協力機関になる”ことです。
つまり、文化遺産に関することには積極的に関わっていく姿勢が求められているのです!
また、文化遺産の保全状況の監視や国際的援助要請の審議(援助をするかどうかの判断)を行うことも役割の一つになります。
ICOMOS設立の目的と役割
ICOMOSの本部が置かれているパリのエトワール凱旋門
英名 | International Council on Monuments and Sites |
---|---|
日本語名 | 国際記念物遺跡会議 |
設立年 | 1965年 |
本部 | パリ(フランス) |
ICOMOSは下記を目的に設立されました。
- 建築遺産や考古学的遺産(全てまとめて文化遺産)の保全のための理論、方法論、科学技術の応用を推進させる
ICOMOSの特徴として挙げられるのが、ヴェネツィア憲章を基に文化遺産の保全について述べている点です!
ヴェネツィア憲章とは簡単に言うと、文化遺産の修復に関するルールが示されたものです。
ルールのポイントとしては
修復の際は建設当時の工法、素材を尊重する。ただし明らかに不適切であると判断した場合のみ近代的な技術・素材を用いて良い。
この点になります。
ヴェネツィア憲章の詳細に関しては下記の記事で解説しているので、ぜひ併せて読んでみてください!
合わせて読みたい!【アテネ憲章&ヴェネツィア憲章】世界遺産の修復に関する内容の違いを小学生でもわかるように解説!ICOMOSの具体的な活動内容は下記が挙げられます。
- 世界文化遺産に推薦された遺産の専門的な調査・審査
- 文化遺産の保全状況の監視
- 国際的援助要請の審査
世界遺産に推薦された遺産は世界遺産センターを通してICOMOSに調査依頼が届きます。
その後ICOMOSが遺産の調査をして、その調査結果を再度世界遺産センターに伝えます。
そして調査結果をもとに世界遺産委員会にて、世界文化遺産に登録するかどうかの判断が出るのです!
なお、世界遺産登録に至るまでの全体的な流れに関しては別記事の「【世界遺産登録の手順】世界遺産リストへ記載されるまでの流れを小学生でもわかるように解説!」で解説しています。
IUCN設立の目的と役割
IUCNの本部が置かれているグランが接しているレマン湖
英名 | International Union for Conservation Nature |
---|---|
日本語名 | 国際自然保護連合 |
設立年 | 1948年 |
本部 | グラン(スイス) |
IUCNは下記を目的に設立されました。
- 自然の完全性(世界遺産に登録されるに相応しい条件)や多様性を保全
- 平等で生態学的に持続可能な自然資源の利用を担保
子供の教育で例えるなら、「学校」という教育環境を整えることができれば、子供に良質な教育を与えることが可能になります。
同様に科学者を支援することができれば、適切に自然を保全することや自然資源を利用することに繋げることができます。
IUCNの具体的な活動内容は下記が挙げられます。
- 世界自然遺産に推薦された遺産の専門的な調査・審査
- 自然遺産の保全状況の監視
- 国際的援助要請の審査
さらにICOMOSのような文化遺産のみの調査とは違い、IUCNの場合は自然遺産だけでなく文化遺産に関わる調査を助言するケースがあります。
そのケースとは、”文化的景観”としての文化遺産(または複合遺産)登録を目指す遺産の場合です!
文化的景観としての登録の場合、必ず自然の価値も調査する必要が出てきます。
その自然の価値や保全管理などについて文化遺産の調査をしているICOMOSへ助言する役割があるのです。
なお、文化的景観の詳細に関しては下記の記事で解説しているので、ぜひ併せてご覧ください!
合わせて読みたい!【文化的景観とは | 3つのカテゴリー】具体的な世界遺産を用いて小学生でもわかるように解説!本日の確認テスト
(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
3,4級レベル
世界遺産委員会の諮問機関として誤っているものはどれか。
- IUCN
- ICAO
- ICCROM
- ICOMOS
②
答え(タップ)>>2級レベル
ICOMOSが文化遺産の保全の基準としている憲章の名称として正しいものはどれか。
- ストックホルム憲章
- ヴェネツィア憲章
- バルセロナ憲章
- アテネ憲章
②
答え(タップ)>>1級レベル
IUCNの説明として正しいものはどれか。
- 文化的景観の価値で推薦された遺産の自然の価値や保全状況などについてICOMOSに助言することも大きな役割である。
- 保全強化を目的とした研究や記録の作成、技術者や専門家の研修や養成などを目的に設立された。
- 本部はスイスのジュネーブに置かれている。
- 建築遺産や考古学的遺産の保全のための理論や方法論、科学技術の応用を推進することを目的としている。
①
答え(タップ)>>まとめ
- 世界遺産委員会の代表的な諮問機関として「ICCROM」「ICOMOS」「IUCN」が挙げられる!
- ICCROMは文化遺産の保全強化や研修・養成を目的として設立された!
- ICOMOSは主に世界文化遺産に推薦された遺産の調査をすることを目的として設立された!
- IUCNは主に世界自然遺産、及び文化的景観に推薦された遺産の調査をすることを目的として設立された!
参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。