こんな方にオススメの内容!
- なぜ「ガラパゴス諸島」が国全体として世界遺産に登録されたのか理由が気になる!
- ガラパゴス諸島に珍しい生物が多く生息する理由を知りたい!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- ガラパゴス諸島(南米)への旅行を考えている!
遺産ポイント
- ガラパゴス諸島を語る上で欠かせない人物は「ダーウィン」
- 「ウミイグアナ」「フィンチ」 など様々な生物の進化した姿を見ることができる
- 人の手による生態系の破壊が懸念されて一時は危機遺産リストへ入る
「ガラパゴス諸島」のプロフィール
登録名称 | ガラパゴス諸島 |
---|---|
登録年 | 1978年 |
所在国 | エクアドル |
登録ジャンル | 自然遺産 |
登録基準 | (vii)(viii)(ix)(x) |
備考 | 生物圏保存地域に指定 世界で初めて登録された12の世界遺産の一つ |
そもそもガラパゴス諸島とは?場所は?
ガラパゴス諸島の名前の由来にもなった「ゾウガメ」
ガラパゴス諸島とは、南アメリカ大陸の国エクアドル領の太平洋に浮かぶ大小19の島々を指します。
この島々の大きな特徴は下記になります。
- 大陸からかなり離れている
- 火山の噴火によって誕生した
特に”大陸から離れている”という特徴は、ガラパゴス諸島が世界遺産に登録される大きな要因にもなってくるのです!
詳しくは後述の「ガラパゴス諸島のキーパーソン「ダーウィン」とは?」で解説します。
ちなみに”ガラパゴス”という名前は、「ゾウガメ」のスペイン語訳「ガラパゴ」の複数形が由来になっています。
つまり、この島々で発見されたゾウガメの生態系も、ガラパゴス諸島の特徴的な姿の一つに関係してくるのです!
世界遺産に登録された理由
街中でもよく見られるアシカのリラックスした姿
ガラパゴス諸島が世界遺産に登録された理由は、下記の4点に大きく分けられます。
- 景観の美しさ(世界遺産登録基準 vii)
- ガラパゴス諸島誕生の経緯(世界遺産登録基準 viii)
- 独特な生物(世界遺産登録基準 ix)
- 生物の多さ(世界遺産登録基準 x)
上記を見て分かる通り、なんとガラパゴス諸島は世界自然遺産に登録されるための4つの条件全てを満たしているのです!
さらにガラパゴス諸島は、1978年の最初に誕生した12の世界遺産の中の一つなのです!
つまり、それほど昔から地球上でも重要な環境であることが知られていたことになります。
美しい火山群島の景観や海
ガラパゴス諸島には真っ青な美しいビーチがいくつもある
前述の「そもそもガラパゴス諸島とは?場所は?」でも少し触れたように、ガラパゴス諸島は火山噴火によって誕生した火山群島です。
火山によって形作られた島々と、島周辺を取り囲む美しい海との特徴的な景観は、世界各地を見渡してもなかなか見られない姿です。
ここまで美しい自然が残されている要因の一つとして挙げられるのが、人が多く暮らす大陸から約1,000kmも離れているその距離です。
1,000kmというと、東京から北海道の札幌までの距離に相当します。
しかし、近年はガラパゴス諸島の自然環境が脅かされてしまっているのも事実です。
脅かされている理由や改善策の詳細に関しては、後述の「一時は危機遺産リストに掲載!?ガラパゴス諸島の問題点」で解説します。
地球の歴史を感じさせる地形
独特な地形の美しい景観を見ることができる
前述の「そもそもガラパゴス諸島とは?場所は?」でも少し説明したように、ガラパゴス諸島は大陸からかなり離れた距離に位置します。
最も近い南アメリカ大陸でも約1,000kmも離れています。
マグマのホットスポットとは、海底に存在するマグマが特に集中している地点のことを指します。
つまり海底にあるマグマの集中地点は、地上に向けてマグマが噴き上げる可能性の高いエリアということです。
当然、マグマが地上に現れたら地上にある空気に冷やされて固まり、その固まりが地上にどんどん広がることで陸上が出来上がります。
この海底にあるマグマが海底火山によって何度も噴き上げられて陸上が作られた場所こそ、ガラパゴス諸島の成り立ちなのです。
要するにガラパゴス諸島は、地形の変化によって大陸から切り離された島々ではなく、大陸とは一度も繋がったことのないオリジナルの小さな陸地なのです!
ガラパゴス諸島と同じく海底のマグマが噴き上げたことで誕生したハワイ諸島
なお、ガラパゴス諸島が誕生するきっかけとなった海底火山の噴火は、今から約500〜1000万年前に起こったとされています。
そして、なんと現在でも噴火は続いており、新たな陸地が次々と誕生しているのです!
ガラパゴス諸島はただ美しい自然環境が広がっているだけでなく、地球の成り立ちの歴史を知ることのできる大変貴重な環境でもあるのです!
一方で、同じく世界遺産に登録されている日本の「小笠原諸島」は、ガラパゴス諸島やハワイ諸島とはまた違った誕生の仕方をしてます。
その誕生過程や世界遺産登録理由が気になる方は、ぜひ下記の記事も併せて読んでみてください。
合わせて読みたい!【小笠原諸島 | 東洋のガラパゴス諸島】世界遺産登録理由&独自の生態系をわかりやすく解説!独自の生態系
大陸にいるイグアナとは大きく異なる特徴を持つ「ウミイグアナ」
ガラパゴス諸島の世界遺産登録最大の理由と言っても過言ではないのが、ガラパゴス諸島ならではの生態系を見ることができる点です!
言い方を変えると、ガラパゴス諸島独自の生物の進化が行われているのです。
前述の「地球の歴史を感じさせる地形」で解説したように、ガラパゴス諸島は大陸から分離して誕生した島々ではなく、海底にあるマグマが地上に噴き上げたことで誕生しました。
つまり、ガラパゴス諸島には大陸にいるような生物がほとんど生息していません。
ガラパゴス諸島で誕生した生物が大半を占めているのです!
赤いノドを持つ特徴的な鳥「フリゲート」
ここで、ガラパゴス諸島にしか生息しない生物の進化を簡単に見てみましょう。
○ウミイグアナ
- 陸上にはあまりエサとなる植物が存在しないため、水中の海藻を食べれるように尾っぽが泳ぎやすいよう平たく進化。
- 岩から海藻を剥ぎ取るために大陸にいるイグアナよりもより鋭い爪を持つようになった。
- 水中にいる時間が長いため、水中でもより多くの太陽光を吸収できるよう体全体が黒っぽい。
○ゾウガメ
- 火山の多い乾燥した大地が続くガラパゴス諸島には、地上にあまり多くの植物が生えていないため、背の高い植物を食べられるように起き上がりやすいよう甲羅の形が変化。
○ダーウィン・フィンチ
- 大陸に比べて食せる植物が少ないため、植物だけでなくサボテンの実やウミイグアナの古い皮膚も食せるよう、くちばしを様々なものを食べれるような形に進化。
また、大陸によくいるような肉食動物が少ないことが、各生物の進化の妨げになることがなかったポイントと考えられています。
数多くの生物が生息する楽園
ガラパゴス諸島周辺の海には多種多様な海洋生物も生息する
様々な種の生物が生息している点も、ガラパゴス諸島が世界遺産に登録された大きな要因です。
ガラパゴス諸島は、様々な生物が生息できるような環境が整っています。
生物が生息するのに適した環境と言える理由は、主に下記が挙げられます。
- 島々周辺には「ペルー海流」と「パナマ海流」が合流する地点があり、海の栄養分となるバクテリアなどが豊富。
- 肉食の大型哺乳類がほとんど生息しないため、動物同士が食し合うことがあまりない。
- 火山による乾燥した大地から広大な海まで、狭い範囲に様々な環境が整っている。
○主な生息生物の数
- 植物:約900種
- 爬虫類:約20種
- 鳥類:約60種
- 昆虫:約1,000種
- 魚類:約300種
- 貝類:約600種
- 海洋哺乳類(イルカ、クジラなど):多数
もちろんガラパゴス諸島に生息する生物の多くが、ガラパゴス諸島にしか生息しない固有種と呼ばれるものです。
つまり、大半が固有種であるにも関わらず生物が豊富に生息する、地球全体を見ても大変貴重なエリアなのです!
ガラパゴス諸島のキーパーソン「ダーウィン」とは?
ガラパゴス諸島の環境に適した進化を遂げた植物
ガラパゴス諸島を語る上で欠かせない人物がいます。
その人物とは、イギリス人博物学者「チャールズ・ダーウィン」です!
今から約200年前に、ダーウィンがガラパゴス諸島近くで海の深さや海底の地形の調査を行っていた際に、たまたまガラパゴス諸島を発見しました。
そしてガラパゴス諸島の探索や調査を行った結果、わかった事実があります。
その事実こそ、”ガラパゴス諸島では独自の生物の進化を見ることができる”点です!
もちろん、大陸や他の島々とは異なる生物が生息する点も発見の一つですが、ダーウィンはさらなる発見をします。
その発見とは、同じガラパゴス諸島地域でも島によって生物の形や特徴が異なっている、という事実です!
鮮やかな青色の足を持つ「アオアシカツオドリ」
このように生息する種が同じでも、島によって違った独特な特徴を持つ生物が生息する発見をしたのです。
なお、他の地域では全く見られないような進化を遂げた生物のことを「亜種(あしゅ)」と呼びます。
ダーウィンはガラパゴス諸島で発見した独自の進化の話を、「進化論」といった形でまとめました。
この進化論でダーウィンは、下記のような結論を発しています。
共通の祖先を持っていても、環境により進化の方向性を変える
現代の私生活で例えるなら、同じ飲食チェーン店であっても、国や地域によってご当地の味が追加されたメニューが誕生するイメージです。
このダーウィンの進化論はまたたくまに世界に知られ、同時にガラバゴス諸島の存在も世界に広く知られるようになっていきました。
一時は危機遺産リストに掲載!?ガラパゴス諸島の問題点
現在はツアー客を中心に賑わいを見せるガラパゴス諸島
前述の「ガラパゴス諸島のキーパーソン「ダーウィン」とは?」で解説したように、ダーウィンの進化論にガラパゴス諸島の名前が登場して以降、ガラパゴス諸島の名は世界的に有名になっていきました。
その影響もあり、現在はガラパゴス諸島の生物や自然景観を見ようと世界中から多くの観光客が押し寄せています。
しかし、観光客の増加やガラパゴス諸島で暮らす人の増加によって、現在ガラパゴス諸島は下記のような問題をかけています。
- 観光地化による生物の生息域の減少
- 生物の密猟や乱獲
- 大陸から持ち込まれた家畜の増加による生態系の崩れ
つまり、ガラパゴス諸島に上陸する人の数が増え、人の行動範囲がどんどん広がることによって、自然環境や生物の生息に悪影響を与えてしまっているということです。
このような人の手によるガラパゴス諸島の環境への悪影響を踏まえて、2007年にはガラパゴス諸島は危機遺産リストに掲載されてしまったのです。
(危機遺産に関してはこちらの記事で詳しく解説してます)
危機遺産リストに掲載されてからは、主に下記のような環境保全への取り組みが積極的に行われていきます。
- ガラパゴス諸島への移住の制限
- 観光客が立ち入ることのできる範囲の制限
- 太陽光発電など環境に配慮した計画の提案
上記の取り組みが評価されて、2010年に危機遺産リストから見事外れることができました。
ただし、環境保全への取り組みは計画段階にとどまっているものも多いのが現状です。
つまり、実際に実行されて環境保全に変化が見られるまでは、決して侮れない状況が続いていきます。
本日の確認テスト
(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
3・4級レベル
ガラパゴス諸島を発見し「進化論」を出した人物名として正しいものはどれか。
- リビングストン
- ウォルコット
- ダーウィン
- アニング
③
答え(タップ)>>2級レベル
ガラパゴス諸島の名前の由来にもなった生物名として正しいものはどれか。
- ゾウガメ
- フィンチ
- ウミイグアナ
- フリゲート
①
答え(タップ)>>1級レベル
ガラパゴス諸島が誕生した過程として正しいものはどれか。
- 海底のプレートの隆起によって誕生した。
- 白化したサンゴが堆積して誕生した。
- 地殻変動によって大陸から分断されて誕生した。
- 海底火山の噴火によってマグマが冷え固まって誕生した。
④
答え(タップ)>>まとめ
- ガラパゴス諸島の名前の由来は、島に生息するゾウガメをスペイン語訳して複数形にしたもの。
- 1978年の最初に誕生した12の世界遺産の中の一つ。
- 島々の誕生に大きく関係するのがマグマのホットスポット。
- 「ウミイグアナ」「ゾウガメ」「ダーウィン・フィンチ」などのの独自の進化を遂げた固有種が豊富。
- 博物学者「チャールズ・ダーウィン」が「進化論」として発表したことがガラパゴス諸島の認知が広まったきっかけ。
- 生態系の崩れなどが原因で2007年に危機遺産リストに登録された。
おまけ:「ガラパゴス諸島」のプチ観光情報
海底火山の噴火によって誕生した島々では独特な景観を見ることができる
人口 | 約25,000人 |
---|---|
最寄の空港 | バルトラ空港 サンクリストバル空港 |
通貨 | USドル |
観光のベストシーズン | 6〜11月 |
時差 | 14時間(東京 – ガラパゴス諸島間) ※日本の方が14時間進んでます。 |
治安 | 比較的良い |
物価 | 日本より少し安い |
残念ながら、日本からガラパゴス諸島への直行便は就航していません。
主にアメリカ各都市とエクアドルの首都キト2回の経由をしてアクセスすることになります。
【直行便利用の場合】
- 羽田・成田 ⇨ アメリカ各都市(アトランタ、ヒューストン、他) ⇨ キト ⇨ バルトラ空港(フライト時間:19〜21時間)
- 基本的にキトで1泊してから翌日にガラパゴスへ向かう流れになる(うまく乗り継ぎができないため)
- ガラパゴス諸島へ出発する空港のカウンターで「ガラパゴス入島管理カード」を作成する必要がある
入島管理カードは、ツアーに申し込んでいれば団体でカードを作ってくれるため、比較的スムーズにカードを入手することができます。
一方で個人でカードを作成する場合は、カードの作成に時間がかかることもあるため、通常の空港到着時間よりもさらに余裕を持って空港に着くようにしておきましょう。
また、ガラパゴス諸島の空港に着くと、入島料として100USドル支払う必要があります。
参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。