こんな方にオススメの内容!
- 世界遺産がどのように保全されているのか具体的に理解したい!
- 「MAB計画」「生物圏保存地域」などの専門用語の内容を理解したい!
- 世界遺産が抱えている問題点を利したい!
- 教養として世界遺産に関する知識を習得したい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!


ポイント
- ”MAB計画”は人間と自然環境との間で発生する問題を解決していくために必要な計画!
- MAB計画の最重要ワードは「生物圏保存地域(ユネスコパーク)」!
- 生物圏保存地域に指定されている地域は3つの区域によって保全されている!
MAB計画とは

まず答えから言うとMAB計画とは下記のことを指します。
人間の営みと自然環境の相互関係を理解して環境資源の持続可能な利用と環境保全を促進することを目的に立ち上がった研究計画

簡単に言うと
「人間と自然環境の間で発生する数多くの問題を計画的に解決していく」
といった感じですね!

MAB計画が立ち上がった背景

人間は自然環境(既存の環境)をうまく利用しながら生活環境を整えていきます。
つまりそれは人間が自然環境に変化を与える可能性があるということです。
その自然環境の変化の状態を確認するためにMAB計画が立ち上がりました。
具体的には下記のような取り組みをしています。
- 科学的な研究
- モニタリング(監視)
- 人材育成
そして人間の生活と自然環境には多くの接点があるのでその接点で発生する問題を解決していかなければなりません。
例えば下記のような問題が挙げられます。
- 人間の生活域を広げるために自然の生育地を減らす。
- 経済発展をさせるために必要な自然の資源を利用する。

このように人間と自然環境との間で起きる状態の変化を厳密に監視していく役割がMAB計画にあるわけです。
MAB計画の具体的な取り組み

MAB計画の具体的な取り組みの中で最も重要なのが「生物圏保存地域(ユネスコパーク)」です!
内容としては”生物多様性の保全”になります。



3つの段階とは下記のようなイメージになります。

上記の図解のように内側から
- 核心地帯(コア・エリア)
- 緩衝地帯(バッファー・ゾーン)
- 移行地帯(トランジション・エリア)
このような3つの分け方になります。
・核心地帯(コア・エリア)
生物が生息している中心地域で、この区域を保全するために他の2つの地帯が存在する。
・緩衝地帯(バッファー・ゾーン)
人間の活動が核心地帯に影響を及ぼさないように保護するために設けられた区域(人間の活動を制限する区域)。
・移行地帯(トランジション・エリア)
持続可能な社会経済開発ができる区域(自然環境を考慮した開発を行う区域)。
生物圏保存地域(ユネスコパーク)と世界遺産の関係

生物圏保存地域に指定されているタンザニアの世界遺産「セレンゲティ国立公園」


生物圏保存地域に登録されている地域は、基本的には3つの区域で保護することになっています。
しかし世界遺産に関しては
「核心地帯(コア・エリア)」 + 「緩衝地帯(バッファー・ゾーン)」
この2つの区域で十分とされています。


生物圏保存地域に指定されている世界遺産には下記のような特徴があります。
- バッファー・ゾーンは世界遺産の登録範囲には含まれない(つまり核心地帯のみ世界遺産登録範囲)。
- バッファー・ゾーンの設定は自然遺産だけでなく文化遺産にも厳格に求められている。
- 世界遺産登録後にバッファー・ゾーンの範囲を変更する場合は世界遺産委員会の了承を得る必要がある。
- バッファー・ゾーンを設定しない場合は理由を世界遺産の登録推薦書に記載する必要がある。
なお世界遺産地域には現状不要とされている移行地帯(トランジション・エリア)ですが、設定していないことによってバッファー・ゾーン付近で森林伐採や都市開発が行われるなどが大きな問題となっています。

生物圏保存地域に指定されている日本の地域

生物圏保存地域に指定されている世界遺産の「屋久島」
2021年時点で国内では10の地域が生物圏保存地域に指定されています。
1980年登録 | ||
---|---|---|
志賀高原 | 長野県 | |
白山 | 石川県・岐阜県 | |
大台ヶ原・大峯山・大杉谷 | 奈良県・三重県 | ※大峯山は「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録 |
屋久島・口永良部 | 鹿児島県 | ※屋久島は世界遺産に登録 |
2012年登録 | ||
綾 | 宮崎県 | |
2014年登録 | ||
只見(ただみ) | 福島県 | |
南アルプス | 山梨県 | |
2017年登録 | ||
みなかみ | 群馬県 | |
祖母・傾・大崩(おおくえ) | 大分県・宮崎県 | |
2019年登録 | ||
甲武信(こぶし) | 山梨県・長野県・埼玉県・東京都 |

なお屋久島に関しては下記の記事で紹介しているので、よければ併せてご覧ください!

本日の確認テスト


(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
2級レベル
バッファー・ゾーンに関する説明として正しいものはどれか。
- 世界遺産の登録範囲には必ずバッファー・ゾーンが含まれる。
- バッファー・ゾーンを変更する際には世界遺産委員会の了承を得る必要がある。
- バッファー・ゾーンの設定は自然遺産にのみ適用されている。
- 持続可能な社会経済開発ができる区域をバッファー・ゾーンという。
②
答え(タップ)>>1級レベル
『生物圏保存地域(ユネスコパーク)』に登録されている日本の地域として誤っているものはどれか。
- 白山
- 甲武信
- 大台ヶ原・大峯山・大杉谷
- 隠岐諸島
④
答え(タップ)>>※「3,4級」レベルのトレーニングテストは対象外になります。
まとめ

- 人間と自然環境との間で発生する問題を解決するためにMAB計画が立ち上がった!
- MAB計画では主に「科学的な研究」「モニタリング」「人材育成」が行われている!
- 「生物圏保存地域(ユネスコパーク)」はMAB計画で最も重要な取り組み!
- 生物圏保存地域は「核心地帯(コア・エリア)」「緩衝地帯(バッファー・ゾーン)」「移行地帯(トランジション・エリア)」の3つに分けられる!
- 世界遺産には核心地帯(コア・エリア)と緩衝地帯(バッファー・ゾーン)の2つが定められていれば良い!
- 2021年時点では日本の10の地域が生物圏保存地域に指定されている!
参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。