こんな方にオススメの内容!
- なぜラヴォー地区のブドウ畑が世界遺産に登録されたのか理由が気になる!
- 農業・産業に関する世界遺産が誕生する経緯を知りたい!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- スイスへの旅行を考えている!
遺産ポイント
- ラヴォー地区はローザンヌからシヨン城までの地域を指す。
- ブドウ農園やワイン工場のある村が世界遺産登録の対象。
- 文化的景観が認められている。
「ラヴォー地区のブドウ畑」のプロフィール
登録名称 | ラヴォー地区のブドウ畑 |
---|---|
登録年 | 2007年 |
所在国 | スイス |
登録ジャンル | 文化遺産 |
登録基準 | (iii)(iv)(v) |
備考 | 文化的景観が認められている |
そもそも「ラヴォー地区のブドウ畑」とは?
ラヴォー地区の終着点にある「シヨン城」
『ラヴォー地区のブドウ畑』とは、スイス西部のラヴォー地区に広がるブドウ畑の景観を指します。
フランスとの国境に近い「レマン湖」周辺で見られるブドウ畑で、古くからワイン生産のためにブドウの栽培が行われてきました。
そのブドウ栽培のためにつくられた広大な畑や周辺の景観などが、世界遺産として高く評価されました。
具体的にラヴォー地区とは、国際オリンピック委員会の本部が置かれていることで有名な「ローザンヌ」から、スイスを代表する城「シヨン城(モントルー郊外)」までの約30kmの範囲を指します。
この範囲の中に点在する、ブドウ農園やワイン工場のある村が世界遺産登録の対象です。
【具体的な村の名前】
- リヴァ
- キュリー
- グランヴォー
- サン・サフォラン
- シェーブル
世界遺産登録理由
湖の対岸にはアルプス山脈が連なる絶景
『ラヴォー地区のブドウ畑』が世界遺産登録された理由は、大きく分けて下記の2つになります。
- 世界に影響を与えた伝統的なブドウ栽培&ワイン製造
- ブドウ畑の中に伝統的な建物が建つ美しい景観
ちなみに、ブドウ畑のように農業や産業に関わる世界遺産の多くは登録基準(v)を満たしやすいです。
なぜなら、人間が自然環境をうまく利用してつくり上げた集落、景観などが評価されているためです。
(登録基準に関しては、こちらの記事で詳しく解説してます)
世界に影響を与えた伝統的なブドウ栽培&ワイン製造
山の斜面に沿ってブドウの段々畑が広がる
古くからラヴォー地区で行われてきた、伝統的なブドウ栽培が世界に影響を与えた点は、世界遺産登録に大きく関係しています。
ラヴォー地区では、なんと古代ローマ時代からブドウ栽培が行われきました。
その後、現在に至るまでの約1,000年間受け継がれてきました。
ラヴォー地区でのブドウ栽培の大きな特徴は、山の斜面に沿って湖沿いに永遠と続くブドウの段々畑です。
斜面にブドウ畑をつくることで日光が均等に当たり、より多くの品質の高いブドウ栽培が可能になります。
現在では、ラヴォー地区の段々畑のような栽培景観が世界中で見られます。
ちなみに、ラヴォー地区で栽培されているブドウの品種は、合計8つです。
しかし、生産量が少ない上に、完成したワインの多くがスイス国内で消費されてしまうため日本に出回ることがほとんどないのです。
ブドウ畑の中に伝統的な建物が建つ美しい景観(文化的景観)
ブドウ畑の中に村が点在する景観
ラヴォー地区に点在する村には、ブドウ畑だけでなく、農家の家屋や栽培に関連する施設なども多く建てられていきました。
このように、ブドウ畑に関連する伝統的な建物が立ち並ぶ姿も、世界遺産としての評価を受けたポイントの一つなのです。
さらに、周辺をレマン湖やアルプスの山々に囲まれた自然環境の中に、人間の手によってつくりあげられた地形・建物が混在する独特な景色に対しては、文化的景観という点で大きく評価を得ました。
合わせて読みたい!【文化的景観とは | 3つのカテゴリー】具体的な世界遺産を挙げてわかりやすく解説!また、景観だけでなく、ワインづくりの長い伝統と歴史も高く評価されました。
都市部では急速に近代化が進む中、ラヴォー地区では昔ながらの伝統栽培や伝統家屋を守ってきました。
このように文化や伝統が廃れることなく、今なお受け継がれてきている点は、保護保全の観点で世界遺産登録にふさわしいと言えるのです。
他に世界遺産登録されているワインの生産地
世界遺産登録されているフランス・ブルゴーニュ地方のブドウ畑の景観
今回紹介したスイスの『ラヴォー地区のブドウ畑』のように、世界にはワインづくりに関する世界遺産がいくつかあります。
ブルゴーニュのブドウ栽培の景観 | フランス |
---|---|
シャンパーニュの丘陵、醸造所と貯蔵庫 | |
ピエモンテのブドウ園の景観:ランゲ・ロエロとモンフェッラート | イタリア |
コネリアーノとヴァルドッビアーデネのプロセッコ栽培丘陵群 | |
アルト・ドウロのワイン生産地域 | ポルトガル |
トカイ地方のワイン産地の歴史的文化的景観 | ハンガリー |
なお、上記の世界遺産には全て文化的景観が認められています。
農業関連の世界遺産には文化的景観が認められやすい
このようなイメージを持っておきましょう!
本日の確認テスト
(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
2級レベル
ラヴォー地区に実在する城の名称として正しいものはどれか。
- デルモンテ城
- シヨン城
- シュノンソー城
- ユッセ城
②
答え(タップ)>>1級レベル
『ラヴォー地区のブドウ畑』に関する説明として正しいものはどれか。
- レマン湖畔に広がるブドウ畑は古代ローマ時代から築かれたもの。
- 周辺の火山によってできた栄養分の高い土壌がブドウ栽培に適している。
- 世界三大貴腐ワインの一つ「アスーワイン」の産地として有名。
- ブドウが栽培されている畑の区画「クリマ」の景観が高い評価を受けた。
①
答え(タップ)>>※「3,4級」レベルのトレーニングテストは対象外になります。
まとめ
- ラヴォー地区はローザンヌからシヨン城までの約30kmの範囲を指す。
- 山の斜面に沿って湖沿いに永遠と続くブドウの段々畑が特徴。
- 文化的景観が認められている。
- ワインづくりの長い伝統と歴史が守られてきた点も高く評価された。
なお、今回解説した『ラヴォー地区のブドウ畑』と同様に、世界には世界遺産登録されているワイン産地は数多く存在します。
下記の記事で一覧にして紹介しているので、ぜひ併せて読んでみてください。
合わせて読みたい!【世界遺産のワイン産地一覧】登録理由&主な銘柄の特徴をわかりやすく解説!おまけ:「ラヴォー地区のブドウ畑」のプチ観光情報
最寄り都市 | ローザンヌ |
---|---|
最寄り空港 | ローザンヌ空港(日本からの直行便就航の空港は「チューリッヒ空港」) |
公用語 | ドイツ語(一部、フランス語、イタリア語) |
通貨 | スイス・フラン |
観光のベストシーズン | 6〜8月 |
時差 | 7時間(サマータイム時は8時間) ※日本の方が7時間進んでます。 |
治安 | 非常に良い |
物価 | 非常に高い(日本の2.5倍ほど) |
スイスは、治安面やインフラ面に関しては世界トップクラスです!
一方で、物価の高さも世界トップクラスであり、日本の物価の倍以上というイメージを持っておきましょう。
また、ラヴォー地区のブドウ畑を訪れる場合は、美しい農園を見るために必ず夏のシーズンに訪れましょう。
アクセス
レマン湖沿いを走る鉄道
今回は、一般の観光客でも気軽に訪れることのできる「キュリー」という村のブドウ畑にアクセスする方法を紹介します。
残念ながら、最寄り空港のあるローザンヌと日本との直行便就航はありません。
そのため、スイス最大の都市チューリッヒの空港経由でアクセスすることになります。
- 成田 [フライト時間:約12時間30分]⇨ チューリッヒ空港
- チューリッヒ中央駅 [乗車時間:約2時間]⇨ ローザンヌ [乗車時間:約30分]⇨ キュリー
おすすめの観光プラン
ラヴォー地区観光の拠点となる街「ローザンヌ」
『ラヴォー地区のブドウ畑』のオススメは、ローザンヌから「キュリー」「リヴァ」という2つの村を訪れる観光プランです!
- キュリー:よく写真で見るような美しいブドウ畑が広がる。観光都市ローザンヌからのアクセスが良い。
- リヴァ:予約無しで入れるワイン製造の工程などを学べるビジターセンターがある。
2つの村は、ローザンヌを拠点に鉄道で結ばれています。
さらに、レマン湖沿いに位置するため、レマン湖クルーズによるアクセスもできます。
また、各村のブドウ畑の間の小道はハイキングスポットとして開放されているため、ブドウ畑をより間近で見ることができる点も魅力です。
参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。