こんな方にオススメの内容!
- なぜ「自由の女神像」が世界遺産に登録されたのか理由が気になる!
- 自由の女神像が建てられた目的や歴史を知りたい!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- ニューヨークへの旅行を考えている!
遺産ポイント
- アメリカ独立100周年を祝福するフランスからの贈りもの!
- 「自由」を象徴するようなデザインが施されている!
- 建造に関わった主要人物は「ラブライエ」「バルトルディ」「エッフェル」の3名!
「自由の女神像」のプロフィール
登録名称 | 自由の女神像 |
---|---|
登録年 | 1984年 |
所在国 | アメリカ |
登録ジャンル | 文化遺産 |
登録基準 | (i)(iv) |
ニューヨークに自由の女神像が建造された目的
自由の女神像とマンハッタンの摩天楼
自由の女神像が建造された目的は下記になります。
フランスがアメリカの独立100周年をお祝いするため
自由の女神像の建造には、主に下記の人物が大きく関わっています。
建造の発案 | エドゥアール・ドゥ・ラブライエ(政治家) |
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建造の指揮 | フレデリック・バルトルディ(彫刻家) |
建造の問題解決 | ギュスターヴ・エッフェル(建築家) |
女神像は、1776年の独立からアメリカ経済の中心として大きく発展した、アメリカの顔とも言えるニューヨークに建造されました。
1886年の10月に自由の女神像が完成すると、その除幕式では建築の指揮を握ったバルトルディが担当しました。
自由の女神像が建造される数十年前(19世紀半ば)のアメリカは、南北戦争により大きな傷を負っていました。
そんな困難な状況に苦しんでいたアメリカに、少しでも勇気と希望を与えようと、フランスが友好の証として自由の女神像を贈ることにしたのです!
そもそも、イギリスに支配されていたアメリカに対して、独立を支援したのがフランスでした。
なお、自由の女神像が建っている島の名前は「リバティ島」といいます。
英語では「Statue of Liberty = リバティ島の像」という表現になります。
つまり、名称には「free(自由)」といったワードは含まれていないのです!
自由の女神像のモデル・デザインの特徴
自由の女神像は、「世界を照らす自由」と名付けられています。
この「自由」というワードが、自由の女神像の建造モデル・デザインの大きなポイントになります!
なぜなら、独立したアメリカでこの自由の女神像を建造することは、”全ての人には自由がある”ことを世界に発信することに大きく貢献するからです。
そしてこの自由に対する表現は、自由の女神像のモデルやデザインにも込められているのです。
像のモチーフ | ローマ神話の自由の女神「リーベルタース」 |
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像の顔のモデル | ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」 |
像の建造に大きく関わったバルトルディの母親 | |
右手 | 希望の象徴である「たいまつ」が掲げられている。 |
左手 | 独立宣言書を抱えている。 |
左足 | 奴隷制や専制政治を象徴する鎖を踏みつけている。 |
冠(かんむり) | 7つの突起があり、これは「7つの大陸と7つの海に自由が広がる」ことを象徴している。 |
女神の顔はドラクロワの名作「民衆を導く自由の女神」がモデルになっている
なお、現在の自由の女神像の色は緑色をしていますが、完成時の色は茶色に近い色でした。
変色した大きな要因は、潮風の影響を受けて鉄がさびてしまった(酸化)からです。
世界遺産登録理由
自由の女神像が世界遺産に登録されたポイントは大きく分けて下記の2つになります。
- 美しく壮大な建造物である!
- 高度な建築技術を集結させて建てられた!
「どうして自由の女神像には常に世界中から多くの観光客が訪れるのか」
この要因は、自由の女神像が世界遺産に登録された理由を理解することで判明します。
アメリカを象徴とする壮大な建造物
19世紀に建造されて今なお世界を代表する建造物となっている自由の女神像は、やはりその大きさと美しくそびえる姿に魅力があります。
だからこそ、世界中の観光客に愛され続けているのです!
現在でこそ自由の女神像よりも大きな像は世界中にありますが、建造された当時では自由の女神像は世界最大級の大きさを誇る像でした。
このように、世界を代表するような壮大で美しい建築物には、世界遺産登録基準の(i)が認められやすいです!
(登録基準の詳細に関しては、こちらの記事で詳しく解説しています)
このような壮大で美しい像の建造が実現したのも、フランス人を中心とした当時の世界屈指の建築家や多くの技術が集まったことがポイントです。
自由の女神像の建造に使われた具体的な技術に関しては、後述の「19世紀最高傑作と言われる技術力」で詳しく解説します。
19世紀最高傑作と言われる技術力
夕暮れ時の自由の女神像
自由の女神像には、19世紀当時の最高の技術と技術者が集まって建造されました。
つまり、自由の女神像は19世紀の最高傑作の建造物と言っても過言ではないのです!
まずは像の大きさに驚かされます。
土台から像のてっぺんまでの高さは約93m。
女神像自体の大きさは約46mもあります。
これは、日本の世界遺産「東大寺の奈良の大仏(約15m)」の約3倍の高さの像ということになります。
当然、こんなにも巨大な建造物をフランスからアメリカに運ぶことは不可能です。
そのため、まずは約200ものパーツに分解して、少しずつアメリカに運んでいきました。
そしてパーツがアメリカに着くと、アメリカで1つ1つのパーツを組み立てて像の形に作り上げていったのです。
このように巨大な建造物を分解して小さいパーツにし、運搬していく方法は他の世界遺産の移築の際などでも用いられています。
ただし、自由の女神像を建造する場所「リバティ島」には、とある2つの問題がありました。
- 海辺の近くであるため強風に耐えられる構造にしなければならない。
- 総重量100トン以上ある巨大な建造物をうまく支える構造にしなければならない。
そこで女神像の強度を上げるために、下記の2つの案が出されました。
- 女神像の内部に砂を敷き詰める。
- 鋼鉄製の骨組みを女神像の内部に組む。
自由の女神像の建築構造はパリのエッフェル塔にも活かされている
そして最終的に採用されたのが、後者の骨組み案でした。
この内部の構造を骨組みにする案を出したのは、あのパリの象徴である「エッフェル塔」の設計に携わったギュスターヴ・エッフェルです!
エッフェル塔の構造を見るとすぐわかりますが、多くの骨組みを組み上げて塔が支えられています。
エッフェル塔でも採用された建造技術が、アメリカの自由の女神像の建造にも採用されていたのです!
自由の女神像に採用された内部を骨組みにする画期的なアイディアは、当時建てられていた建造物の中でも異質なものでした。
そして自由の女神像に採用されて以降は、エッフェル塔などの巨大な建造物にも多く用いられるようになったのです!
つまり、自由の女神像の建造は、その後の建築業界に大きなインパクトを与えたことになります。
なお、自由の女神像の建築構造などの詳細については、下記の書籍内でイラスト付きでわかりやすく解説されてます。
気になる方は、ぜひ一度手に取って読んでみてください。
- 商品名:歴史がわかる世界遺産イラスト大図鑑
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本日の確認テスト
(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
3・4級レベル
アメリカに自由の女神像を贈った国として正しいものはどれか。
- スペイン
- フランス
- ドイツ
- イギリス
②
答え(タップ)>>2級レベル
自由の女神像の建造を発案した人物として正しいものはどれか。
- フランク・ロイド・ライト
- エドゥアール・ドゥ・ラブライエ
- アンドレ・ル・ノートル
- ギュスターヴ・エッフェル
②
答え(タップ)>>1級レベル
自由の女神像の内部構造に関する説明として正しいものはどれか。
- 砂や砂利を詰めている。
- アーチ型のフレームが並行して連なっている。
- 像の中心に「心柱」と呼ばれる巨大な柱が建っている。
- 鉄鋼製の骨組みが組み立てられている。
④
答え(タップ)>>まとめ
- アメリカの独立100周年を記念して友好国であるフランスから贈られたもの!
- 「世界を照らす自由」と名付けられ、自由を象徴するデザインに施されている!
- 建造を発案したのは政治家の「エドゥアール・ドゥ・ラブライエ」!
- 建造の指揮を握ったのは彫刻家の「フレデリック・バルトルディ」!
- 像の強度を増す構造を提案したのは建築家の「ギュスターヴ・エッフェル」!
- 像の内部で鉄鋼製の骨組みを組むことで強風にも強い像が実現した!
- 自由の女神像の構造はパリのエッフェル塔にも用いられている!
おまけ:「自由の女神像」のプチ観光情報
自由の女神像観光の拠点となる都市「ニューヨーク」
最寄り都市 | ニューヨーク |
---|---|
最寄の空港 | ジョン・F・ケネディ国際空港 ニューアーク・リバティー国際空港 |
通貨 | USドル |
観光のベストシーズン | 通年 |
治安 | 比較的良好(スリなどの軽犯罪には要注意) |
物価 | 高め(日本の1.3〜1.5倍ほど) |
世界中の観光客が訪れる自由の女神像であるため、フライトに関しても現地の交通手段に関してもアクセスは充実しています。
ただし、訪れる際の注意点が多いのも特徴です。
訪問前には、必ず現地の情報を収集してから訪れるようにしましょう!
自由の女神像までのアクセス
ニューヨークの中心駅である「グランド・セントラル駅」
アメリカ最大の都市にして世界経済の中心地でもある影響もあり、ニューヨークへ渡航する人の数は非常に多いため、フライトはとても充実しています。
もちろん、日本からニューヨークへの直行便は複数空港から就航しています。
- 羽田・成田・関空 ⇨ ジョン・F・ケネディ国際空港(フライト時間:約13時間)
- 成田 ⇨ ニューアーク・リバティー国際空港(フライト時間:約12時間半)
他の都市の空港でも、アメリカやカナダ、またはアジアの都市を1度経由するだけでアクセスが可能です!
そして、空港から自由の女神像のあるリバティ島までのアクセス方法は、主に下記の2パターンに分かれます
【バッテリー・パークから乗船する場合】
- ジョン・F・ケネディ国際空港 ⇨ バッテリーパーク(所要時間:約1時間半) ⇨ リバティ島(所要時間:約20分)
- ニューアーク・リバティー国際空港 ⇨ バッテリーパーク(所要時間:約1時間) ⇨ リバティ島(所要時間:約20分)
●ポイント
- マンハッタン(ニューヨーク中心部)からフェリー乗り場までのアクセスが良好!
- フェリーの運行本数が充実している!
- 多くの観光客が利用するため非常に混雑する。
【リバティー州立公園から乗船する場合】
- ジョン・エフ・ケネディ国際空港 ⇨ リバティー州立公園(所要時間:約2時間) ⇨ リバティ島(所要時間:約20分)
- ニューアーク・リバティー国際空港 ⇨ リバティー州立公園(所要時間:約30分) ⇨ リバティ島(所要時間:約20分)
●ポイント
- バッテリーパークと比べて空いている!
- 空港がニューアーク利用の場合であればバッテリーパークよりも非常に近い!
- 鉄道などの公共交通機関があまり充実していない(特にマンハッタンからアクセスする場合)。
バッテリーパークから自由の女神像を目指す場合であれば、ジョン・F・ケネディでもニューアークでも同じぐらいアクセス方法が充実しています。
そのバッテリーパークがあるマンハッタンまでは、大きく分けて下記の3つの方法でアクセスすることになります。
- 「エアトレイン」という空港直結の鉄道+地下鉄
- エアポートバス
- タクシー(イエロー・キャブ)
リバティー州立公園からはマンハッタンの摩天楼を一望できる
一方で、リバティー州立公園からのアクセスの場合、ジョン・F・ケネディ国際空港から直接向かうとかなりの時間を要するため、宿泊拠点をマンハッタンにして訪れることをおすすめします。
反対に、ニューアーク・リバティー国際空港からであれば、バッテリーパークよりも圧倒的に近いため、タクシー利用ですぐに訪れることが可能です!
さらにリバティー州立公園を訪れると、フェリーに乗船しなくても下記のような体験をすることもできます!
- 珍しい自由の女神像の後ろ姿を見られる!
- ハドソン川越しのマンハッタンの摩天楼を眺めることができる!
フェリー乗船&チケット購入のポイント&注意点
自由の女神像のすぐ近くを通るフェリーの様子
常に世界中の観光客で賑わっている自由の女神像を訪れる際には、様々な注意点があります。
主な注意点としては以下の通りです。
- リバティ島へ向かうフェリーの当日券は非常に混むため事前に購入しておいた方が安心。
- フェリーを予約した場合は、最低でも乗船30分前にはフェリー乗り場に着いていること。
- 自由の女神像内部への入場は完全予約制。
- 女神像の冠(最上部)への入場の可否は流動的であり、入れないケースが多い。
まず、フェリーに乗船すること自体が”混雑”によって困難になる場合があります。
また、たとえフェリーに乗船できたとしても、女神像内部に入るには事前の予約が必要です!
ですので、「フェリー乗船チケット」「自由の女神像の入場チケット」この2つは必ず予約しておきましょう。
ちなみに、リバティ島に渡りたいだけの場合は、「ニューヨークシティパス」という、ニューヨークの名所の入場料が全て組み込まれたパスを利用するもの一つの手です!
パスを購入することで、主に下記の施設を訪れることができます。
- 自由の女神像(リバティ島へ渡るフェリー代金のみ)
- メトロポリタン美術館
- グッゲンハイム美術館(世界遺産)
- エンパイアステートビル展望台
- トップ・オブ・ザ・ロック(ロックフェラーセンター展望台)
- 9.11メモリアル&ミュージアム
なお、パスの料金や入場できる施設の詳細に関してはこちらのサイトをご覧ください。
参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。