こんな方にオススメの内容!
- なぜシミエン国立公園が世界遺産に登録されたのか理由が気になる!
- シミエン国立公園の地形や生息する動植物の詳細を知りたい!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- アフリカへの旅行を考えている!
遺産ポイント
- ”アフリカの天井”と呼ばれる独特な自然景観が特徴
- 「ゲラダヒヒ」「ワリアアイベック」などの希少動物が数多く生息
- 一時は危機遺産リストに記載
「シミエン国立公園」のプロフィール
登録名称 | シミエン国立公園 |
---|---|
登録年 | 1978年 |
所在国 | エチオピア |
登録ジャンル | 自然遺産 |
登録基準 | (vii)(x) |
備考 | 世界で最初の世界遺産の一つ |
そもそも「シミエン国立公園」とは?
『シミエン国立公園』とは、アフリカのエチオピア北部にある、渓谷や山岳地帯を中心とした国立公園です。
氷河、火山、地殻変動など、長年にわたる様々な自然現象の影響を受けた結果、地球上の他の地域ではなかなか見られない起伏の激しい地形が誕生しました。
園内のシンボルは、エチオピア最高峰の「ラスダシャン山(標高4,620m)」です。
このように、シミエン国立公園はエチオピアの自然の魅力が凝縮された環境なのです!
世界遺産登録理由
シミエン国立公園が世界遺産登録された理由は、下記の2つに大きく分けられます。
- 独特な地形が見られる
- 希少動物&固有種が多く見られる
なおシミエン国立公園は、1978年に誕生した世界で最初の世界遺産の一つです!
(その他の最初の世界遺産は、こちらの記事で紹介してます)
また、アフリカ初の世界自然遺産でもあります。
”アフリカの天井”と呼ばれる独特な地形が見られる
同じ地球とは思えない独特な自然景観が広がる
前述の「そもそも「シミエン国立公園」とは?」でも少し解説したように、地球上の他の地域ではなかなか無い独特な自然景観が見られる点が世界遺産登録に大きく影響しています。
シミエン国立公園は、氷河や地殻変動などによって誕生した、起伏、標高差の激しい地形が最大の特徴です。
エチオピア最高峰&アフリカ第4位の高さを誇る「ラスダシャン山」をはじめ、シミエン山地には標高4,000m級の山々が連なっています。
このように高い山々が連なる姿から、”アフリカの天井”とも呼ばれているのです。
また、シミエン国立公園内の最大の標高差は、なんと東京タワー4.5本分(約1,500m)もあります!
このような標高差の激しさが、シミエン国立公園ならではの動植物の楽園を生み出してもいるのです。
(シミエン国立公園に生息する動植物の詳細は、後述の「希少動物&固有種が多く見られる」で解説します)
希少動物&固有種が多く見られる
別名「アビシニアジャッカル」と呼ばれる固有種「エチオピアオオカミ」
シミエン国立公園では、ここにしか生息しない動物や世界中見渡してもなかなか見られない動植物を見ることができます。
- ゲラダヒヒ(固有種)
- ワリアアイベック
- エチオピアオオカミ(固有種)
- アビシニアンローズ(アフリカに自生する唯一のバラ)
ここまで多くの固有種がシミエン国立公園に生息している最大の要因は、時期ではなく時間帯によって寒暖差が激しい環境だからです!
シミエン国立公園は標高差が激しい影響を受け、昼と夜で気温の変化が非常に激しいです。
そのため急激な気温の変化に対応できる動植物しか生息することができません。
結果、シミエン国立公園にしか生息できない固有種が誕生したのです。
ゲラダヒヒ(固有種)
シミエン国立公園を代表する固有種「ゲラダヒヒ」
ゲラダヒヒは人間やチンパンジーと同じ霊長類(サルに似た生物)で、シミエン国立公園を代表する動物と言っても過言ではありません。
もちろんシミエン国立公園にしか生息しない固有種で、標高2,000m以上の高原にしか生息していません。
ライオンのようなたてがみが最大の特徴で、ヒヒとしては珍しく草が主食です。
また、現地では”キリストの使い”として大切にされています。
ワリアアイベック
地球の歴史を紐解くヒントとなった「ワリアアイベック」
ワリアアイベックは、地球の歴史を知る上で大変貴重な動物です。
なぜなら、ワリアアイベックの生息によって、アフリカ大陸とヨーロッパ大陸が地続きだったことの証明になるかもしれないからです!
ワリアアイベックはアフリカ大陸にしか生息しない動物と考えられてきましたが、なんとヨーロッパ大陸(ユーラシア大陸)でも似たような種類が確認されました。
そのため、かつてヨーロッパとアフリカが繋がっていたという説がより有力になったのです。
このようにシミエン国立公園に生息する動物は、珍しいだけでなく、様々な研究面でも貴重な資料となっています。
過去には危機遺産登録にも!?問題点・課題点
かつてシミエン国立公園は、下記のような問題を抱えていました。
- 人口増加に伴い進んだ農地開拓による環境破壊
- 密猟
- 道路の建設計画
上記のような複数の問題を抱えた結果、1996〜2016年の間は危機遺産リストに記載されてました。
しかしその後、エチオピア政府主導のもと、「農地の縮小」「人間の移住」「道路建設の中止」などの対策によって危機遺産リストから脱することに成功したのです。
本日の確認テスト
(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
2級レベル
『シミエン国立公園』に生息する固有種の名称として正しいものはどれか。
- ゲラダヒヒ
- ボノボ
- ケツァル
- メガネグマ
①
答え(タップ)>>1級レベル
『シミエン国立公園』が抱えていた問題として誤っているものはどれか。
- 密猟による動物の減少
- 人口増加に伴い進んだ農地改革による自然破壊
- 天然資源の採掘による環境汚染
- 道路の建設計画による環境破壊
③
答え(タップ)>>※「3,4級」レベルのトレーニングテストは対象外になります。
まとめ
- 1978年に誕生した世界で最初の世界遺産の一つ&アフリカ初の自然遺産。
- エチオピア最高峰ラスダシャン山をはじめとする標高の高い山が連なる。
- 起伏&標高差の激しい景観が広がることから”アフリカの天井”と呼ばれている。
- 「ゲラダヒヒ」「エチオピアオオカミ」など固有種が多く生息する。
- 「ワリアアイベック」はアフリカとヨーロッパが地続きだった証明になりうる希少動物。
- 複数の問題を抱えていたため一時期は危機遺産リストに記載されていた。
おまけ:「シミエン国立公園」のプチ観光情報
最寄り都市 | ゴンダール |
---|---|
最寄り空港 | ゴンダール・アゼゾ空港 (国際便発着空港は「ボレ国際空港(アディスアベバ)」) |
公用語 | アムハラ語 |
通貨 | ブル |
観光のベストシーズン | 10〜4月 ※雨季の5〜9月の観光は困難 |
時差 | 6時間 ※日本の方が6時間進んでます。 |
治安 | あまり良くない(特にエチオピア北部、及びソマリア国境付近) |
物価 | 安い(日本の1/2〜1/3ほど) |
エチオピアで最も気にしなければならないことは、治安です。
首都のアディスアベバ周辺を除いては、あまり観光には適さないほど治安が悪いです。
ただし、事前にツアーに申し込んで警護が付いていれば観光することは可能です。
一方で、物価は非常に安いため、世界の中でも独特な食文化を持つエチオピアで、ぜひ様々な料理を堪能してみてください!
アクセス
近代的なビルが立ち並ぶ首都「アディスアベバ」はエチオピア旅行の玄関都市
形式上は直行便が運行しています。
ただし、一度仁川空港(韓国)で保安検査を受けて同じ機材に乗る必要があるため、行程的には経由便になる。
- 成田 [フライト時間:約2時間30分]⇨ 仁川国際空港 [フライト時間:約14時間]⇨ ボレ国際空港(アディスアベバ) [フライト時間:約1時間]⇨ ゴンダール・アゼゾ空港
- 「ゴンダール – シミエン国立公園」間は基本的にツアーでアクセス。
- シンガポール、バンコクなど東南アジア経由でアクセスすることも可能。
シミエン国立公園を訪れる場合、エチオピア北部に位置する「ゴンダール」を拠点に観光することが一般的です。
事前にオプショナルツアーを申し込んだ際も、多くのケースでゴンダール発になります。
シミエン国立公園観光の注意点
- 必ず日本で事前にツアーの予約をする。
- 防寒具は必ず持っていく。
- 歩きやすい靴で訪れる。
シミエン国立公園を訪れる場合は、治安面と環境保全を理由に必ず警護付きのツアーに参加しなければなりません。
ですので、できれば日本で事前にツアーの予約をしておきましょう。
また、シミエン国立公園は寒暖差が非常に激しい環境のため、日中の気温が高くても必ず防寒具は持っていきましょう。
ハイキングをする場合は起伏の激しい場所を歩くことになるため、運動靴一択になります。
参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。