こんな方にオススメの内容!
- なぜ「リオデジャネイロ」が世界遺産に登録されたのか理由が気になる!
- リオデジャネイロの都市景観や街の繁栄の歴史を魅力を知りたい!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- ブラジルへの旅行を考えている!
遺産ポイント
- ポルトガルの植民地となってから大きく栄え始める!
- 自然の地形をうまく活かして都市が築かれた!
- サンバやボサノヴァ発祥の地!
「リオデジャネイロ」のプロフィール
登録名称「リオデジャネイロ:山と海との間のカリオカの景観群」の意味とは
世界三大美港の一つに数えられる「リオデジャネイロ港」の様子
- リオデジャネイロ:世界遺産が所在する都市の名前
- 山と海との間:山と海との間に築かれた都市景観が世界遺産登録範囲
- カリオカ:リオデジャネイロの愛称
リオデジャネイロは、有名なブラジルのイベント「リオのカーニバル」が誕生した、ブラジルを代表する大都市です!
そんなリオデジャネイロの地形の特徴は、周囲を険しい山と美しい海に囲まれている点です。
そして、この山と海に囲まれた都市景観が世界遺産登録範囲になっているため、登録名称に「山と海との間」と入っているのです!
そして「カリオカ」とは、リオデジャネイロの愛称であり、都市や住民のことを指します。
日本で例えるなら、福岡市生まれの人を「博多っ子」、北海道生まれの人を「どさんこ(道産子)」と言うイメージに近いです。
まとめると下記のような表現になります。
「カリオカ」と呼ばれ愛されるリオデジャネイロの山と海の間の都市景観が美しい世界遺産
このように世界遺産登録名称を理解するだけで、どのような理由でリオデジャネイロが世界遺産に登録されたのかがわかるようになります。
ただし、他にも世界遺産に登録された理由があるので、後述でさらに深堀して解説していきます!
リオデジャネイロの街の歴史
リオデジャネイロの夕景
現在は”ブラジルを代表する都市”という位置付けですが、リオデジャネイロの歴史を振り返ると様々な転機があったことがわかります。
16世紀初頭 | ポルトガル人探検家によってリオデジャネイロが発見される(当時はまだ都市機能が弱かった) |
---|---|
16世紀半ば | ポルトガル(当時のポルトガル王国)の植民地になる。 |
18世紀 | 金の積出港(つみだしこう)として大きく栄える。 |
18世紀半ば | 植民地時代のブラジルの首都が「サルヴァドル・デ・バイア ⇨ リオデジャネイロ」へと移る。 |
19世紀初頭 | ポルトガル王室がリオデジャネイロに移り住む。 |
1809〜1821年 | 「ポルトガル・ブラジル連合王国」という国の首都となる。 |
1822年 | ブラジルがポルトガルから独立。その後もリオデジャネイロがブラジルの首都となる。 |
1960年 | ブラジルの首都が「リオデジャネイロ ⇨ ブラジリア」に移される。 |
1922年 | ブラジル独立100周年を記念して「コルコバードのキリスト像」が建造される(完成は1931年) |
16世紀にポルトガル人に発見された際は、現在のリオデジャネイロの海岸が海ではなく川であると勘違いされてました。
そのため、発見した月が1月であったため、ポルトガル語で「1月の川」という意味のリオデジャネイロという名前がつけられたのです!
リオ(英語:river):川 + デ(英語:of)の + ジャネイロ(英語:January):1月 = リオ・デ・ジャネイロ(1月の川)
リオデジャネイロが現在のような大きな都市へと変貌したのは、18世紀に入ってからの話です。
発展した大きな要因は下記の2点になります。
- 世界中に金を運ぶ港としての拠点になる。
- ブラジルの首都となる(植民地時代を含む)
18世紀頃から、現在見られるリオデジャネイロの都市景観が築かれ始めました。
現在は首都がブラジリアに移ったものの、文化と経済の中心都市の一つとして、今なおブラジルを大きく支えています。
リオデジャネイロが世界遺産に登録された理由
常に多くの観光客で賑わっている「イパネマビーチ」
リオデジャネイロが世界遺産に登録されたポイントは、大きく下記の2つに分けられます。
- 自然の地形を活かした都市景観の誕生
- ブラジル伝統の音楽や芸術を生んだ
「ブラジルの景色と言えばリオデジャネイロ!」
「リオのカーニバルが行われる都市と言えばリオデジャネイロ!」
このようにリオデジャネイロは、”ブラジルの顔”とも言える都市になっていると言えます。
「都市景観」と「文化」に着目して、リオデジャネイロの世界遺産登録の解説をしていきます!
自然の地形を活かした独特な都市景観
独特な地形に都市が築かれている様子がわかる
前述の「登録名称「リオデジャネイロ:山と海との間のカリオカの景観群」の意味とは」でも少し触れましたが、リオデジャネイロは山や海のみに価値があるとして世界遺産に登録されたわけではありません。
あくまでも、リオデジャネイロ周囲の自然の中に都市が築かれたことによって誕生した景観に価値があるのです!
具体的なリオデジャネイロの世界遺産登録範囲は下記になります。
【山(地区)】
- チジュカの森、プレスト・フォロス、コヴァンカ(チジュカ国立公園)
- ぺドラ・ボニータとぺドラ・ダ・カヴェア
- カリオカ山脈
【海】
- グアナバラ湾周辺と人工の海岸線(コパカバーナ海岸)
上記4つに囲まれるようにして、リオデジャネイロの都市が築かれたのです。
さらに、リオデジャネイロには数多くの丘があります。
その丘の上や周辺にもリオの人々が築いた建造物があります。
代表的なものとしては、コルコバードの丘に建っている「コルコバードのキリスト像」です!
内部は礼拝堂になっていて入ることができる
丘の南側にはリオデジャネイロ植物園がつくられているなど、あらゆる土地を使って都市づくりがされていることがわかります。
このように、自然の地形を活かした都市づくりがされている点が評価されたことで、単純な世界遺産ではなく、ブラジル初の文化的景観が認められた世界遺産にもなっているのです!
なお、「文化的景観」の詳細に関しては、下記の記事で詳しく解説しています。
合わせて読みたい!【文化的景観とは | 3つのカテゴリー】具体的な世界遺産を用いて小学生でもわかるように解説!ブラジルの伝統を生んだ歴史
コルコバードの丘の上に立つ観光名所「コルコバードのキリスト像」
ブラジルの伝統と言えば下記の2つをイメージする方が多いのではないでしょうか?
- サンバ
- ボサノヴァ
上記2つはともにブラジルを代表する音楽のジャンルです。
これらの音楽が誕生した背景にも、リオデジャネイロが大きく関わっているのです!
リオデジャネイロでサンバとボサノヴァが誕生したのは、20世紀初頭と比較的新しく、その誕生の背景として”移民”が大きく関わっています。
サンバはもともとバイーア(現在のサルバドール)という都市で誕生したものです。
(現在の都市名のサルバドールがサンバの語源です)
バイーアにはアフリカから多くの黒人奴隷が連れて来させられました。
その黒人たちの間で、娯楽として誕生した音楽がサンバだとされています(諸説あり)。
その後、黒人たちがリオデジャネイロにサンバを持ち込んで、ブラジルの他の音楽やヨーロッパの要素が混じった結果、現在のサンバが誕生したのです!
一方のボサノヴァは、名前の語源をたどってみると誕生した背景が明らかになります。
- ボサ(bossa):こぶ、特性、個性(ポルトガル語)
- ノヴァ(nova):新しい(ポルトガル語)
つまり、「新しい個性」「新しい感覚」のような解釈になります。
ボサノヴァの誕生は1950年頃で、サンバよりも新しい音楽のジャンルになります。
ボサノヴァは、リオデジャネイロを代表する「コパカバーナビーチ」「イパネマビーチ」エリアに暮らす白人の学生やミュージシャンたちによって作られました。
従来のサンバよりもより心地よい音楽であったことから、ポルトガル語で「新しい感覚」という意味を持つボサノヴァと名付けられたのです!
リオ市民と観光客で常に賑わうビーチ
現在は「サンバ」と「ボサノヴァ」の音楽を使って、「リオのカーニバル」という世界的にも有名なお祭りがリオデジャネイロで開催されています。
このように、ブラジルを代表する文化が誕生したリオデジャネイロの歴史にも価値があると評価された点も世界遺産登録に大きく関わったのです。
ちなみにサンバやボサノヴァのような「伝統・記憶」に関する評価では、日本の世界遺産だと「富士山」などに認められています。
富士山の世界遺産登録に関しては下記の記事で解説してるので、気になる方は併せてご覧ください。
合わせて読みたい!【富士山 | なぜ自然遺産ではなく文化遺産?】世界遺産の評価ポイントを小学生でもわかるように解説!本日の確認テスト
(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
3・4級レベル
キリスト像が建てられている丘の名称として正しいものはどれか。
- オルノカル
- アクロポリス
- サンクリストバル
- コルコバード
④
答え(タップ)>>2級レベル
『リオデジャネイロ:山と海との間のカリオカの景観群』の説明として正しいものはどれか。
- 植民地時代には奴隷たちが労働から逃れるために丘を隠れ家として使っていた痕跡が残っている。
- リオデジャネイロの独特な都市景観はサンバやボサノヴァといったブラジルの音楽や芸術にも影響を与えた。
- 要塞集落を含む様々な遺跡から、かつてリオデジャネイロが交易の中心として栄えたことがわかっている。
- 16世紀にスペインの植民地となり、18世紀には鉄鉱石の積出港として大きく繁栄した。
②
答え(タップ)>>1級レベル
『リオデジャネイロ:山と海との間のカリオカの景観群』の世界遺産登録範囲として誤っているものはどれか。
- パトス湖
- カリオカ山脈
- グアナバラ湾
- チジュカ国立公園
①
答え(タップ)>>まとめ
- ポルトガルの植民地となってから大きく栄え、ブラジルの首都にもなった歴史がある!
- 「コパカバーナビーチ」や「イパネマビーチ」などの自然を活かした都市が築かれた!
- コルコバードの丘にはキリスト像が建てられている!
- 「サンバ」や「ボサノヴァ」といったブラジル特有の文化の発祥地でもある!
おまけ:「リオデジャネイロ」のプチ観光情報
リオデジャネイロの貧困層が生活する「ファヴェーラ地区」
人口 | 約670万人 |
---|---|
最寄の空港 | リオデジャネイロ国際空港 (アントニオ・カルロス・ジョビン国際空港) |
通貨 | レアル |
観光のベストシーズン | 通年(リオのカーニバルの時期は宿泊代金が高騰する) |
治安 | (一部地域を除いて)あまり良くない |
物価 | 普通(日本より少し安いぐらい) |
リオデジャネイロはブラジルを代表する世界的な観光都市です。
しかし、治安は決して良いとは言えません。
リオデジャネイロの治安悪化の最大の原因は、「ファヴェーラ」の存在です。
ファヴェーラ = スラム街(貧困層の人々が生活する地区)
とりあえずは、上記のような認識でOKです。
観光地のすぐ近くにもスラム街があり、少し観光地から離れるだけでいつの間にかスラム街に足を踏み入れてしまうケースもあります。
リオデジャネイロは貧富の差が激しいため、こういったスラム街が生まれてしまうのです。
またファヴァーラ以外の地域でも、スリなどの軽犯罪が多いため、リオデジャネイロ滞在中は常に警戒が必要です。
とはいえ、今回紹介した世界遺産地区やリオのカーニバルを含め、リオデジャネイロには魅力的な観光地が多いので、人生で一度は訪れる価値があります!
リオデジャネイロまでのアクセス
リオデジャネイロ近辺には美しいビーチが点在している
2022年時点では、残念ながら日本からのリオデジャネイロへの直行便は就航していません。
(そもそも南米諸国への直行便自体が存在しない)
そのため、主にアメリカやヨーロッパの各都市を経由してアクセスすることになります。
- 日本の各空港 ⇨ アメリカ各都市(ヒューストン、アトランタなど) ⇨ リオデジャネイロ国際空港(フライト時間:約12時間半〜13時間)
- 日本の各空港 ⇨ ヨーロッパ各都市(パリ、アムステルダムなど) ⇨ リオデジャネイロ国際空港(フライト時間:約12時間半〜13時間)
- 基本的には「リオデジャネイロ国際空港 = アントニオ・カルロス・ジョビン国際空港(ガレオン空港)」になります。
- 場合によっては「サンパウロ ⇨ リオデジャネイロ」のようにブラジル国内での乗り継ぎもあります(国内線の場合は、到着空港が「サントス・ドゥモン空港」になる場合があります)。
空港からリオデジャネイロ市内へのアクセスは、主に下記の選択肢があります。
ホテルの送迎バス | 4つ星グレード級のホテルであればサービスに含まれていることが多い。ホテルに直接向かえるため非常に安全。 |
---|---|
ハイヤータクシー | 安心安全で料金交渉が不要だが、通常のタクシーと比べて少し割高。 |
タクシー | 料金交渉が必要だが、ハイヤーよりも安く済む(もちろん安全)。 |
空港バス | 旅費に余裕のない方におすすめ。 |
メトロ(鉄道) | 乗り換えがあるため旅行上級者向けで、安全面の保証はできない。 |
前述の「おまけ:「リオデジャネイロ」のプチ観光情報」でもお伝えしましたが、リオデジャネイロの治安はあまり良いとは言えません。
そのため、「安全をお金で買う」選択が最もおすすめできます。
つまり、安全面を最優先すると「メトロ」という移動手段は必然的に無くなります。
最も安全で効率よく移動できるのは、やはりホテルの送迎バスです。
出費はかさむものの、安心安全な4つ星以上のホテルに宿泊して、サービスに含まれる空港送迎を利用するのが最良の選択と言えるでしょう。
市内の移動の場合も、ビーチ沿いを少し散策するぐらいであれば徒歩でも大丈夫ですが、少し長めの移動の場合はタクシーを使うことをおすすめします。
見物は可能?「リオのカーニバル」について
リオのカーニバルの様子
リオデジャネイロ = リオのカーニバル
このようなイメージを持っている方も多いのではないでしょうか?
ただし、誰でも気軽にカーニバルを見られるわけではありません。
リオのカーニバル目的で、毎年世界中から参加者・観客含め約100万人が集まると言われています。
そのため当然、観客席の確保が重要になってきます。
【リオのカーニバルの観客席確保の方法】
- オプショナルツアー販売サイトなどで自分で購入する。
- 旅行代理店のカーニバル観覧ツアーに参加する。
- リオデジャネイロの地元の人に確保してもらう。
最も確実なのが、旅行代理店が販売するカーニバル観覧ツアーに参加することです!
ツアーに組み込まれているため、天候による中止にならない限り確実に席に座って観覧することができます。
なお、カーニバルは数日にわたって開催されます。
せっかくはるばるリオデジャネイロを訪れるなら、リオのカーニバルに合わせて訪問も検討してみましょう!
参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。