こんな方にオススメの内容!
- クトゥブミナールとはなにかを知りたい!
- クトゥブミナールが世界遺産登録された理由が気になる!
- なぜ建造されたのか歴史ついて詳しく知りたい!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- インドへの旅行を考えている!
遺産ポイント
- 世界遺産登録されている建物は「クトゥブミナール」と「クッワト・アルイスラム・モスク」の2つに分けられる
- イスラムの力を示す記念としてアイバクがクトゥブミナールを建設
- イスラム建築の中にインド風のデザインが見られるのが特徴
「クトゥブミナール」のプロフィール
登録名称 | デリーのクトゥブミナールとその関連施設 |
---|---|
登録年 | 1994年 |
所在国 | インド |
登録ジャンル | 文化遺産 |
登録基準 | (iv) |
そもそも「クトゥブミナール」とは?
「クトゥブミナール」とは、ニューデリー市内に造られた高さ約70mのイスラム様式の塔です。
- デリー:「クトゥブミナール」と関連施設が造られた都市の名前(現在のインドの首都)
- クトゥブミナール:イスラム様式で建てられた塔
- その関連施設:クトゥブミナール周辺に残されているイスラム建築物群
ミナールとは、モスクなどのイスラム建築でよく見られる「ミナレット」と同じ意味を持ちます。
このミナールやミナレットは、イスラム教を信仰する人々に対して
「神様にお祈りをしましょう」
という呼びかけをする目的で建てられています。
ちなみに、クトゥブミナールの頂上にはテラスが設けられていますが、現在は宗教の観点や建物保護の観点から登ることは禁止されています。
建てられた目的・理由
クトゥブミナールは、当時のインドを制圧したイスラムの国が自分たちの力を示すための記念として建てられました。
つまり、数百年前のインドではイスラム教が広く伝わっていたのです。
クトゥブミナールを建てた人物は、当時北インドを制圧して大きな国を作り上げていったアイバクです。
アイバクは、その後奴隷王朝といイスラム教の国をつくり、初代国王に就任しました。
用語メモ
奴隷王朝とは、13世紀の約100年間繁栄したインド初のイスラム王朝。名前の由来は、アイバクを含め、歴代のスルタンや権力を持つ人々に奴隷出身者が多かったため。しかし、アイバクが北インドを制圧した際、まだ周辺にはヒンドゥー教やジャイナ教といった別の宗教の建物が多く残されていました。
そこで、イスラム教とは関係ない建物を取り壊し、跡地にクトゥブミナールをはじめとするイスラム様式の建物を次々と建てていったのです。
こうしてイスラム教関連の建物が整備され、その後インド初のイスラム教の国である奴隷王朝が誕生しました。
建物の特徴
塔をよく見ると細かな彫刻が施されている
世界遺産登録されたイスラム様式の建物には、主に以下のような特徴が見られます。
- 建物によって造られた時代が異なる
- 随所でインド風デザインの面影が見られる
- 繊細な彫刻が施されている
まず最初に造られたイスラムの建造物は、クトゥブミナールではなくモスクです。
その後、モスクに付属する塔(ミナール)という役割としてクトゥブミナールが造られました。
さらに、モスクは度々増築されていったため、建物やデザイン箇所によって時代が異なっているのです。
また、前述の「建てられた目的・理由」でも解説したように、イスラム様式の建物ができる以前はヒンドゥー教など他の宗教の建物が残されていました。
その後、他の宗教の建物は壊されましたが、壊した際に出た建材を活用してイスラム様式の建物が造られたため、イスラム建築でありつつ、インド風のデザインを感じさせるような造りになったのです。
世界遺産登録理由
「クトゥブミナール」が世界遺産登録された最大の理由は、インドにおける初期のイスラム様式の建築物が保存の良い状態で残されている点です。
現在、インド国内にはイスラム様式で建てられた建造物が数多く残されています。
なかでも、クトゥブミナールとその周辺の建物は、記念すべきインドで最初に建てられたイスラム様式の建築物群なのです。
そんな保存状態の良いイスラム様式の建築物として、現在は主に下記の2つが残されています。
- クトゥブミナール(塔)
- クッワト・アルイスラム・モスク
クトゥブミナール
- 赤色の岩石が使われているため塔が赤く見える
- 現在もインドで最も高い石造建築物
- コーランの文章を絵で表現した彫刻が施されている
用語メモ
コーランとは、イスラム教の教えやルールが記されている書物。現在でもコーランに記されていることを忠実に守っている地域や民族がいるが、多くのイスラム教の国では記されていることに対して寛容的になってきている。クトゥブミナールは、高さ70m以上、最大直径15mという、インド最大級の石造りの建築物です。
高さにおいては現在でもインド最高層の石像建築物として知られており、当時の建築技術の高さをうかがうことができます。
また、クトゥブミナールはコーランの文章を絵で表現した彫刻がいたるところに施されている点も特徴の一つです。
クッワト・アルイスラム・モスク
- インドで最初に造られたモスク
- 2度の拡大建築が行われた
- モスクの敷地内にクトゥブミナールが建つ
クッワト・アルイスラム・モスクは、クトゥブミナール同様にインドで最初期に造られたイスラム建築物です。
モスクとしてはインド最古のもので、アラビア語で”イスラームの力”という意味を持つように、インド・イスラムの象徴的な建築物として今なお残されています。
また、13〜14世紀にかけて2度の拡大建築が行われ、もともとモスクの敷地外にあったクトゥブミナールはこの拡大建築によってモスクの敷地内の取り込まれました。
まったくサビない神秘の鉄柱の不思議
前述のクッワト・アルイスラム・モスクの敷地内には、世にも不思議な鉄柱がそびえています。
その不思議とは、何百年経ってもサビることなく綺麗に建ち続けていることです。
鉄柱は、インドがイスラムの支配を受ける前に建造されたと推測されているため、モスクやクトゥブミナールよりも長い歴史を持ちます。
そんな古い鉄柱であるにもかかわらずサビない理由は、鉄の純度が非常に高いことが要因であると研究でわかってきています。
しかし、当時の技術力でここまで完成度の高い鉄をつくることはほぼ不可能とされています。
本日の確認テスト
(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
2級レベル
『クトゥブミナール』の人物名として正しいものはどれか。
- アイバク
- バーブル
- シャー・ジャハーン
- アウラングゼーブ
①
答え(タップ)>>1級レベル
『クトゥブミナール』に関する説明として誤っているものはどれか。
- クッワト・アルイスラム・モスクは2度の拡大建築が行われた。
- イスラム建築物が造られる以前にはヒンドゥー教やジャイナ教の建物が建っていた。
- 敷地内には時計塔や学校などの公共施設が造られている。
- クトゥブミナールは現在でもインドで最も高い石造りの建築物。
③
答え(タップ)>>※「3,4級」レベルのトレーニングテストは対象外になります。
まとめ
- クトゥブミナールとはイスラムの力を示すための記念に建築された石造りの塔。
- 後にインド初のイスラム王朝「奴隷王朝」を建国するアイバクによって建設された。
- イスラム建築でありながら随所でインド風のデザインが見られる。
- インドにおける初期のイスラム様式の建築物が保存の良い状態で残されているため世界遺産登録された。
- 世界遺産登録された建物は主に「クトゥブミナール」と「クッワト・アルイスラム・モスク」。
- モスクで行われた2度の拡大建築によってクトゥブミナールはモスクの敷地内に取り込まれた。
- モスク敷地内にはまったくサビない不思議な鉄柱がそびえている。
おまけ:「クトゥブミナール」のプチ観光情報
拠点となる都市 | ニューデリー(首都) |
---|---|
最寄り空港 | インディラ・ガンディー国際空港 |
公用語 | ヒンディー語 |
通貨 | インドルピー |
営業時間 | 07:00 – 21:00 |
休業日 | 無し |
料金 | 600ルピー(外国人料金) |
観光のベストシーズン | 10〜4月 |
時差 | 3時間30分 ※日本が3時間30分進んでます。 |
治安 | 普通(スリなどの軽犯罪には要注意) |
物価 | 安い(日本の1/4ほど) |
ビザ | 必要(アライバルビザ、e-visaあり) |
クトゥブミナールのあるニューデリーはインドの首都で、多くの人口を抱える大都市です。
洗練されたエリアがある一方、スラム街と言われる貧困層が暮らすエリアも混在しているため、散策しても問題ないエリアは事前に確認しておきましょう。
一方で、物価は非常に安く、1日500〜1,000円で押さえることが可能なため、コスパ良く美味しい料理を堪能できる点が魅力の一つです。
アクセス
日本からクトゥブミナールのあるニューデリーへの直行便は就航しています。
航空会社:日本航空(JAL) JL39
フライト時間:10時間05分
乗車時間:約30分
徒歩:約25分
最寄り駅があるとはいえ、クトゥブミナールのあるモスク敷地内までは徒歩で25分ほどかかるため、駅前からオートリクシャーを使ってアクセスするのがおすすめです。
ニューデリーのホテル情報
- 高級ホテルは市内南側に集中
- 安宿はニューデリー駅西側に集中
- 3つ星ホテルの相場は3,000〜6,000円
外資系ホテルなどの高級ホテルは、インド門などの観光地が多く点在する市内南側に位置しています。
一方で、ゲストハウスなどの安宿はニューデリー駅の西側に広がる「パハール・ガンジ」というエリアに密集しています。
ちなみに、クトゥブミナール周辺にはゲストハウスなどの安宿から、シェラトンをはじめとする外資系の高級ホテルも点在しています。
ニューデリー中心部と比べて落ち着いた雰囲気のため、静かに滞在したい方はクトゥブミナール周辺で宿を取ることを検討してみてもいいかもしれません。
参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。