こんな方にオススメの内容!
- 「ナイアガラの滝」「イグアスの滝」「ヴィクトリアの滝」それぞれの違い&魅力を知りたい!
- ”世界三大瀑布”と言われる理由が気になる!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- 「ナイアガラの滝」「イグアスの滝」「ヴィクトリアの滝」への旅行を考えている!
遺産ポイント
- 世界三大瀑布は全て2カ国にまたがっている
- 世界遺産登録されているのはイグアスの滝とヴィクトリアの滝のみ
- 滝周辺の環境は大きく異なる
「世界三大瀑布」のプロフィール
通称 | イグアスの滝 |
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世界遺産登録名称 | イグアス国立公園 |
登録年 | 1984年(アルゼンチン側) 1986年(ブラジル側) |
所在国 | アルゼンチン / ブラジル |
登録基準 | (vii)(x) |
規模 | 最大落差:82m 滝幅:2,700m |
通称 | ヴィクトリアの滝 |
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世界遺産登録名称 | モシ・オ・トゥニャ / ヴィクトリアの滝 |
登録年 | 1989年 |
所在国 | ザンビア / ジンバブエ |
登録基準 | (vii)(viii) |
規模 | 最大落差:108m 滝幅:1,708m |
通称 | ナイアガラの滝 |
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世界遺産登録名称 | – |
登録年 | – |
所在国 | カナダ / アメリカ |
登録基準 | – |
規模 | 最大落差:56m 滝幅:675m |
3つの滝の共通点
三大瀑布の中で滝の落差が最大のヴィクトリアの滝
世界三大瀑布(滝)として挙げられる「ナイアガラの滝」「イグアスの滝」「ヴィクトリアの滝」ですが、意外にも共通点は少なめです。
よく挙げられる共通点としては、下記の2つになります。
- 他の滝とは圧倒的に違う水量
- 2カ国にまたがっている
他の滝とは圧倒的に違う水量
三大瀑布の中で最も水量が多いイグアスの滝
”世界三大瀑布”にも数えられるだけあり、ナイアガラの滝、イグアスの滝、ヴィクトリアの滝の水量は、世界中に点在する他の滝と比べると一線を画しています。
イグアスの滝 | 約40億トン/分 |
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ヴィクトリアの滝 | 約5億トン/分 |
ナイアガラの滝 | 約2億トン/分 |
オーグラビーズ滝(三大瀑布を除く最大級の滝) | 約5万トン/分 |
称名滝(日本最大級の水量) | 約6,000トン/分 |
特にイグアスの滝の水量は他を圧倒しており、なんと東京ドームをわずか20秒で満タンにしてしまうほどの水が流れているのです!
2カ国にまたがっている
ナイアガラの滝は手前の滝が「アメリカ滝」奥の滝が「カナダ滝」と2カ国に分かれて流れている
イグアスの滝 | アルゼンチン / ブラジル |
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ヴィクトリアの滝 | ザンビア / ジンバブエ |
ナイアガラの滝 | カナダ / アメリカ |
三大瀑布はいずれも2カ国にまたがって流れています。
国境が決められる際にポイントとなりやすいのが、大きな川の有無です。
三大瀑布ほどの巨大な滝が誕生するには、幅が広く水量の多い川が流れていることが条件になります。
つまり、滝によって国境が定められたと考えるよりも、滝の水源となっている大きな川によって国境が定められたと考えるのが自然なのです。
3つの滝の異なる点
水が流れ落ちる姿を間近でみることができるナイアガラの滝
ナイアガラの滝、イグアスの滝、ヴィクトリアの滝は、見た目こそ”大迫力な滝”という共通点が強調されがちですが、細かく見ると、むしろ異なる点の方が多いのです。
よく挙げられる異なる点としては、下記の6つになります。
- 世界遺産か否か
- 水の色
- 滝周辺の生物の豊富さ
- 滝が凍るか否か
- アクセス難易度
- 観光施設の充実度(周辺含む)
世界遺産か否か
水力発電やライトアップなど人の手が入りすぎているためナイアガラの滝は世界遺産として認められていない
イグアスの滝 | 世界遺産 |
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ヴィクトリアの滝 | 世界遺産 |
ナイアガラの滝 | 非世界遺産 |
ナイアガラの滝だけ世界遺産登録されていない原因としては、主に下記の3点が挙げられます。
- 滝周辺の過度な開発
- 流れる水を人工的にコントロールしている
- イグアスの滝やヴィクトリアの滝と比較すると見劣りする
ナイアガラの滝では、大量に流れる水を利用して水力発電が行われています。
さらに、滝の水による浸食で周辺の建物が流されないよう、水量が人工的にコントロールされているのです。
また、滝周辺は観光施設が充実しているなど、過度な開発が行われています。
また、ナイアガラの滝よりも、滝幅、落差、水量ともに上回っているイグアスの滝やヴィクトリアの滝と比較すると、自然遺産としての価値を証明しづらい点も考えられます。
世界遺産登録理由の違い
滝の水圧によって日々地形を変えている点がヴィクトリアの滝の特徴の一つ
世界遺産同士のイグアスの滝とヴィクトリアの滝でも、その世界遺産登録の理由には大きく異なる点があります。
イグアスの滝 | 滝だけでなく、周辺の生態系(動植物)にも価値があるため、”国立公園”として世界遺産登録されている。 |
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ヴィクトリアの滝 | 滝がつくり出す自然景観に価値がある。 |
イグアスの滝は、「イグアス国立公園」という登録名称で世界遺産登録されています。
その理由は、滝だけに価値があるのではなく、国立公園内に生息する動物の豊富さでも高い評価を受けたためです。
一方で、ヴィクトリアの滝は、滝がつくり出した自然景観が高く評価されました。
具体的には、水の流れによって日々形を変化させている地形面です。
このように、一見、登録理由が同じように見える2つの滝でも、登録詳細を深堀するとそれぞれ価値が異なることがわかります。
なお、イグアスの滝とヴィクトリアの滝の詳細は、下記の記事でそれぞれ解説してます。
合わせて読みたい!【イグアスの滝(国立公園)| 世界一の水量】世界遺産登録理由&魅力をわかりやすく解説!合わせて読みたい!【ヴィクトリアの滝(モシ・オ・トゥニャ)】世界遺産登録理由&魅力をわかりやすく解説!トランスバウンダリーサイトか否か
アルゼンチンとブラジルで別々に世界遺産登録されているイグアスの滝
イグアスの滝 | アルゼンチンとブラジルで別々の世界遺産登録 |
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ヴィクトリアの滝 | ザンビアとジンバブエにまたがる世界遺産登録(トランスバウンダリー・サイト) |
ヴィクトリアの滝は、ザンビアとジンバブエの2カ国が共同管理(共有)している世界遺産です。
一方で、イグアスの滝はアルゼンチンとブラジル別々に登録されている、珍しい世界遺産なのです。
イグアスの滝が別々の世界遺産として登録されている理由は、以下の2点が考えられます。
- 世界遺産登録されたタイミングが違う
- 登録範囲に大きな違いがある
イグアスの滝は、まず1984年にアルゼンチンの世界遺産として登録されています。
その2年後、ブラジルの世界遺産として登録されています。
世界遺産登録のタイミングに違いが出た理由は、滝と国立公園の管理範囲が大きく異なるためと考えられます。
(”考えられます”という言い回しを使用している理由は、公式に発表されているわけではないため)
【世界遺産登録範囲】
- 2割:アルゼンチン
- 8割:ブラジル
【イグアスの滝の範囲】
- 8割:アルゼンチン
- 2割:ブラジル
世界遺産登録範囲はブラジル側が圧倒的に広い一方で、滝の面積はアルゼンチン側が圧倒しているのです!
このように同じ世界遺産名であっても、管理する自然環境に大きな違いがある場合は別々の登録になるケースがあります。
水の色
イグアスの滝の水の色は青色や水色ではなく茶色
イグアスの滝 | 茶色(赤褐色) |
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ヴィクトリアの滝 | 青色 |
ナイアガラの滝 | 青色 |
イグアスの滝のみ、流れ落ちる水の色が茶色です。
このように流れ落ちる水の色に違いがある理由は、滝付近の大地が含む成分が大きく影響してます。
イグアスの滝付近の大地は、「酸化鉄」や「酸化アルミニウム」といった大地を赤色に染める成分が含まれています。
その大地を滝が削り落としながら流れているため、大地の赤色と水が混ざり合って茶色に見えるのです。
滝周辺の生物の豊富さ
ヴィクトリアの滝周辺は大型哺乳類など多くの動物を見ることができる
イグアスの滝 | 多種多様な生物が生息している。絶滅危惧種も生息する。 |
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ヴィクトリアの滝 | 大型哺乳類動物を中心に生息する。 |
ナイアガラの滝 | イグアスの滝とヴィクトリアの滝に比べると動物は少なめ。 |
イグアスの滝は、世界遺産登録名称に”国立公園”が入っていることからもわかる通り、滝以外の面でも高く評価されました。
その滝以外の面こそ、貴重な動植物が多く生息する点です。
(イグアス国立公園に生息する動植物の詳細は、こちらの記事で解説してます)
ヴィクトリアの滝もまた、周辺に多くの国立公園が点在しているため、ゾウやキリンなどの大型哺乳類を見ることができます。
一方で、ナイアガラの滝周辺に生息する動物は、アメリカ国内やカナダ国内でよく見られるリスなどの小動物が中心です。
もちろん滝の上流までのぼれば希少動物に遭遇することもできますが、滝周辺という範囲に限るとイグアスとヴィクトリアには劣ります。
滝が凍るか否か
冬季のナイアガラの滝では滝が凍った姿を見ることできる
イグアスの滝 | 凍らない |
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ヴィクトリアの滝 | 凍らない |
ナイアガラの滝 | 凍る |
三大瀑布の中で滝が凍った姿を唯一見れるのが、ナイアガラの滝です!
ナイアガラの滝はアメリカとカナダの国境に位置する、比較的高緯度(北極圏に近い)にあるため、12〜2月の期間で運が良ければ滝が凍る姿を見ることができるのです。
一方で、イグアスの滝とヴィクトリアの滝は比較的赤道に近いため、滝が凍ることはありません。
その代わり、滝周辺が深い熱帯雨林に囲まれているため、多くの動植物を見ることができる環境なのです。
アクセス難易度
イグアスの滝は日本の裏側に位置するため移動に1日以上かかる
イグアスの滝 | 最低2回の空港乗り継ぎが必要 |
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ヴィクトリアの滝 | 最低2回の空港乗り継ぎが必要 |
ナイアガラの滝 | 直行便でアクセス可能 |
ナイアガラの滝は、日本からカナダ最大の都市「トロント」への直行便を利用すれば、空港での乗り継ぎ無しでアクセスができます。
トロント中心部からナイアガラの滝へは、鉄道を利用すれば片道2時間でアクセスできるため、日帰り観光が可能です。
一方で、イグアスの滝とヴィクトリアの滝は最低でも2回の空港乗り継ぎが必要になってしまいます。
そもそも、アルゼンチン、ブラジル、ザンビア、ジンバブエへの直行便が就航していないため、入国するだけでも1回の乗り継ぎが必要になります。
観光施設の充実度(周辺含む)
滝周辺の商業施設が充実している点はナイアガラの滝の特徴の一つ
イグアスの滝 | ホテル数軒 |
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ヴィクトリアの滝 | ホテル数軒 |
ナイアガラの滝 | 観光施設が充実(ホテル、飲食店、ショッピングセンター、他) |
そもそもイグアスの滝とヴィクトリアの滝は、国立公園に指定され厳重に管理されているため、近代的な建物がほぼ無いです。
よって、ホテル以外の観光施設はあまりありません。
一方で、ナイアガラの滝は集客に力を入れているため、ホテルや飲食店だけでなく、ショッピングセンターなど大型商業施設もあります。
ただし、ナイアガラの滝はあまりにも観光開発が行われ過ぎているため、景観破壊などの問題が指摘されています。
まとめ
- 三大瀑布の主な共通点は「圧倒的な水量」「2カ国にまたがっている」の2点。
- ナイアガラの滝のみ世界遺産登録されていない。
- イグアスの滝の水は茶色をしている。
- イグアスの滝とヴィクトリアの滝周辺には大型哺乳類や貴重な動植物が生息している。
- 赤道から離れているナイアガラの滝は冬季に滝が凍ることがある。
- ナイアガラの滝へは日本から直行便でアクセスが可能。
- 世界遺産登録されているイグアスの滝とヴィクトリアの滝周辺は環境保護のため商業施設が少ない。
参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。