こんな方にオススメの内容!
- なぜ「イグアスの滝」が世界遺産に登録されたのか理由が気になる!
- イグアスの滝の特徴や国立公園の魅力を知りたい!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- 南米への旅行を考えている!
遺産ポイント
- ヴィクトリアの滝は「モシ・オ・トゥニャ」とも呼ばれている!
- ものすごい高さの水煙が立ち昇る現象が特徴的!
- 滝の位置が変化している!?
「ヴィクトリアの滝」のプロフィール
登録名称 | ヴィクトリアの滝(モシ・オ・トゥニャ) |
---|---|
登録年 | 1989年 |
所在国 | ザンビア、ジンバブエ |
登録ジャンル | 自然遺産 |
登録基準 | (vii)(viii) |
備考 | トランスバウンダリー・サイト 世界三大瀑布の一つ |
世界遺産登録名称を解説
『ヴィクトリアの滝(モシ・オ・トゥニャ)』という登録名称を簡単に説明すると下記になります。
- ヴィクトリアの滝:世界中で呼ばれている滝の名前
- モシ・オ・トゥニャ:現地の人々に呼ばれている滝の名前
つまり世界中で知れ渡っている名前と、現地で呼ばれている名前を両方とも世界遺産登録名称に入れた形です。
「モシ・オ・トゥニャ」という名前は、現地の「マコロロ人」や「バツワナ人」の言葉で「雷鳴の轟く水煙」という意味になります。
その意味の通り、ヴィクトリアの滝の流れ落ちる水の音が、まるで雷が落ちた時のような凄まじい音を立てるためです。
一方で「ヴィクトリア」という名前は、19世紀にイギリスの探検家「デイビット・リビングストン」がこの地を発見したことがきっかけです。
発見された当時のイギリス国王の名前「ヴィクトリア女王」にちなんで付けられました。
ヴィクトリアの滝周辺に生息するチャクマヒヒの親子
まずヴィクトリアの滝は、ザンビアとジンバブエの2カ国にまたがっています。
そして両国が呼んでいる滝の公式名称は下記のように違います。
- ザンビアでの呼ばれ方:モシ・オ・トゥニャ
- ジンバブエでの呼ばれ方:ヴィクトリアの滝
上記のような背景から、2カ国で呼ばれている滝の名称を両方記載することに決まったのです!
ヴィクトリアの滝が世界遺産に登録された理由
上空から見たヴィクトリアの滝
前述の「世界遺産登録名称を解説」でも少し触れたように、ヴィクトリアの滝はザンビアとジンバブエの2カ国にまたがって登録されている世界遺産です。
このように複数の国にまたがって登録された世界遺産は、「トランスバウンダリー・サイト」とも言われます。
(トランスバウンダリー・サイトについては、こちらの記事で詳しく解説してます)
ヴィクトリアの滝の世界遺産登録範囲は、主に滝周辺です。
言い方を変えると、滝周辺を除く地域は世界遺産登録範囲外になります。
ちなみに、同じく滝が大きな評価を受けて世界遺産に登録された南米にある「イグアスの滝(アルゼンチン・ブラジル)」は、「イグアス国立公園」という登録名称で世界遺産になっています。
「イグアスの滝 ⇨ イグアス国立公園」という名称になっている大きな要因は、滝だけでなく周辺の自然環境や生態系も評価対象になっているためです。
雄大な滝を見ることができる美しい自然景観
運が良ければ虹がかかるヴィクトリアの滝の姿を見ることができる
ヴィクトリアの滝が世界遺産登録として評価を受けた理由の一つは、まぎれもなく雄大に流れる滝の姿です。
世界中の数ある滝の中でも、ヴィクトリアの滝ほど大迫力な姿を見れる滝はそうそうありません。
ヴィクトリアの滝の具体的な特徴としては、下記が挙げられます。
- 滝の幅は約2km
- 最大落差は約100m
- 最大で毎分約5億トンもの水が流れ落ちる
毎分5億トンの水とは、約2分半で東京ドームに水が満帆になる計算です!
そしてヴィクトリアの滝の最大の特徴と言ってもいいのが、「水煙(すいえん or みずけむり)」です!
水煙とは文字通り”水の煙”です。
あまりにも多くの水が一気に流れ落ちるため、滝周辺は煙のように立ち込める霧(きり)で覆われます。
水煙の高さは最大で約800mにも達し、なんとヴィクトリアの滝から約20km離れたところからでも水煙が見えるのです!
また滝から立ち昇る水煙によって、周辺の環境に豊な水をもたらします。
この豊な水の影響で、ヴィクトリアの滝周辺には豊富な動植物が生息しています。
つまり、ヴィクトリアの滝の水煙が生物の生息環境をつくっていると言っても過言ではないのです!
地形の変化を観察できる貴重な地域
夕暮れ時のヴィクトリアの滝の美しい姿
ヴィクトリアの滝の水は、全長約2,800kmの「ザンベジ川」というアフリカ屈指の大きな川からできています。
(北海道から沖縄までの距離に相当する長さ)
さらにザンベジ川周辺は、「玄武岩」といわれる溶岩が固まってできた比較的硬めの岩の大地が広がっています。
この大地に、約250万年前に起きたとされる大きな大地の隆起(土地が盛り上がる現象)によって、川周辺に大きな切れ目が発生しました。
この切れ目にザンベジ川の水が流れ落ち、次第に大地を削り落として、徐々に巨大な滝を作り上げていったのです!
玄武岩という比較的硬い部類に入る岩であるにもかかわらず、ここまで大きな滝を作り上げたということは、それだけザンベジ川に流れる水の勢いが強いという表れと、水量の豊富さを象徴しているのです!
さらに驚くべきことに、ヴィクトリアの滝による大地の浸食は現在も続いています。
その証拠に、年々滝の位置がザンベジ川上流へと移動しているのです!
入り組んだ渓谷になっている箇所はかつてヴィクトリアの滝だった場所
なお今回のヴィクトリアの滝のように、現在進行形で土地の変化が観察できたり、地球の歴史を感じさせる自然環境が残っていると、世界遺産登録基準の(viii)が認められやすくなります。
(登録基準の詳細はこちらの記事で解説しています)
本日の確認テスト
(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
2級レベル
ザンビア側で呼ばれているヴィクトリアの滝の別称として正しいものはどれか。
- テ・ワヒポウナム
- ウジュン・クロン
- ワディ・アル・ヒタン
- モシ・オ・トゥニャ
④
答え(タップ)>>1級レベル
『ヴィクトリアの滝』に関する説明として正しいものはどれか。
- 生活水による汚染が原因で一時は危機遺産に登録されていた。
- 滝周辺の川や湖にはシクリッド科の魚が生息しているため生命の進化を知る貴重な観察地となっている。
- アフリカ最大のクロサイの生息地でもあるため滝を含む広大な地域が国立公園に指定されている。
- 水の力によって大地に亀裂が走り滝が流れ落ちる位置が変化している。
④
答え(タップ)>>※「3,4級」レベルのトレーニングテストは対象外になります。
まとめ
- ヴィクトリアの滝はザンビアとジンバブエにまたがるため「トランスバウンダリー・サイト」を満たしている!
- ザンビア側では「モシ・オ・トゥニャ」、ジンバブエ側では「ヴィクトリア」と呼ばれている!
- あまりにも多くの水が流れ落ちるため滝周辺には水煙が立ち込めている!
- 滝の勢いで大地が削られるため流れ落ちる位置が年々川の上流に移動している!
おまけ:「ヴィクトリアの滝」のプチ観光情報
ラフティングを楽しむ観光客
最寄りの都市 | リビングストン(ザンビア側)or ビクトリアフォールズ(ジンバブエ側) |
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最寄の空港 | リビングストン空港(ザンビア側)or ビクトリアフォールズ空港(ジンバブエ側) |
時差 | 7時間(東京 – リビングストン間) ※日本の方が7時間進んでます。 |
観光のベストシーズン | 4〜8月(雨季が終わり水量が多くなる時期)平均気温も20度前後と赤道に近い地域にしては過ごしやすい ※逆に雨季の時期は水量が多すぎるため、水煙の立ちこもり過ぎて滝自体が見づらくなる(3月までが雨季) |
治安 | 比較的良好(観光地であるため) |
物価 | 非常に安い(日本の1/3ほど) ※ただし、宿泊費は高め。 |
ヴィクトリアの滝は2カ国にまたがっており、それぞれの国で観光拠点となる街があります。
そしてどちらの都市にも空港があり、アフリカの主要国(南アフリカ、エチオピアなど)から直行便が就航しているため、意外にも決してアクセスは悪くないのです!
またアフリカと聞くと治安の悪さを想像してしまいますが、ヴィクトリアの滝は世界的な観光地であるため、治安も悪くはありません。
ヴィクトリアの滝までのアクセス
ヴィクトリアの滝の水源「ザンベジ川」には多くのカバが生息している
ヴィクトリアの滝の最寄り空港としては、主に下記の2つが挙げられます。
- ヴィクトリア・フォールズ空港
- リビングストン空港
しかし残念ながら、日本からヴィクトリアの滝付近の空港への直行便は就航していません。
また、基本的には2回以上の乗り継ぎが必要になるため、飛行機での移動だけでも少し複雑です。
ただし、唯一成田空港からであれば、「アディスアベバ(エチオピア)」経由で乗り継ぎ1回でヴィクトリアの滝にアクセスすることが可能です!
- 成田 ⇨ アディスアベバ(エチオピア) ⇨ ヴィクトリア・フォールズ空港(フライト時間:約22時間)
- 日本の各空港 ⇨ 中東や東南アジア ⇨ ヨハネスブルク(南アフリカ) ⇨ リビングストン空港 or ヴィクトリア・フォールズ空港(フライト時間:約22時間)
最寄り空港からヴィクトリアの滝入り口までは、車で約20分ほどと比較的近いです(リビングストン空港、ヴィクトリア・フォールズ空港問わず)。
宿泊ホテルによってはヴィクトリアの滝ツアーを主催しているので、現地でツアーに申し込んで観光することもできます!
ヴィクトリアの滝のおすすめホテル:ロイヤル・リビングストン・ホテル・アナンタラ(Royal Livingstone Hotel by Anantara)
○宿泊ポイント
- ヴィクトリアの滝に非常に近い5つ星高級ホテル!
- 客室の多くがコテージタイプのプライベート空間!
- ホテルの敷地内ではシマウマやキリンなどの野生動物が見れることも!
ヴィクトリアの滝の水源にもなっているザンベジ川沿いに建っていることもあり、ヴィクトリアの滝へのアクセスは抜群に良いです!
川近くにあるデッキからは、ヴィクトリアの滝の水煙や川に沈む夕陽を鑑賞することもできます。
また、ホテルの敷地内に野生動物が入ってくることが頻繁にあるため、ホテルに滞在しながらサファリをしているような体験ができるのも特徴です!
ちなみに、ヴィクトリアの滝の上流は高級リゾート地として有名で、ヨーロッパからの観光客を中心に賑わいを見せています。
引用:ロイヤル・リビングストン・ホテル公式HPのギャラリーより
世界最恐のプール!?「デビルズプール」とは
ヴィクトリアの滝が流れ落ちるすぐ横の水溜りに入ることができる「デビルズプール」
ヴィクトリアの滝の近くには、「世界で最も恐ろしいプール」などと言われるプールがあります。
その名も「デビルズプール(悪魔のプール)」です!
デビル(悪魔)と呼ばれる最大の理由は、プールのすぐ横が滝が流れ落ちる断崖絶壁になっているからです。
滝の手前に少しくぼみがあるため、プールのような水たまりができています。
そのくぼみのおかげで水の勢いに流されずに済むのです。
なおデビルズプールへのアクセスは、川沿いに位置するホテルなどから出ているボートに乗船し、滝の手前にあるリビングストン島という島まで目指します。
島に着いたら、あとは少し歩いてデビルズプールに向かうだけです。
ちなみに、デビルズプールに入れるのは川の水量が最も少なくなる9〜12月の間のみです。
川が増水する雨季は、流されてしまう危険が伴うため入ることができませんのでご注意ください。
参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。