こんな方にオススメの内容!
- なぜ「イグアスの滝」が世界遺産に登録されたのか理由が気になる!
- イグアスの滝の特徴や国立公園の魅力を知りたい!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- 南米への旅行を考えている!
遺産ポイント
- イグアスとは先住民グアラニ人の言葉で「巨大な水」という意味!
- 世界遺産登録範囲の多くがブラジルにあるがイグアスの滝の8割はアルゼンチンに属する!
- 滝などの自然景観だけでなく貴重な生物が数多く生息している点も評価されている!
「イグアス国立公園(イグアスの滝)」のプロフィール
登録名称 | イグアス国立公園 |
---|---|
登録年 | 1984年(登録範囲拡大:1986年) |
所在国 | アルゼンチン、ブラジル |
登録ジャンル | 自然遺産 |
登録基準 | (vii)(ix) |
そもそもイグアスとは
上空から見たイグアスの滝
イグアスとは、アルゼンチンとブラジルを流れるイグアス川を中心とした自然環境です。
そのイグアス川が水源となって誕生した滝が「イグアスの滝」です。
さらに、そのイグアスの滝を含む広大な地域を国立公園として保護しているため、世界遺産登録名称が「イグアス国立公園」となっているのです。
後述の「豊富な生物が生息する貴重な環境」でも詳しく解説しますが、イグアス川周辺に様々な貴重な生物が生息している点も世界遺産登録の評価対象になっています。
つまり、滝という自然景観だけが評価されたわけではなく
「滝(自然景観) × 生物の豊富さ」
これこそイグアスの魅力なのです!
以上の登録背景を考えると、世界遺産登録名称を「イグアスの滝」のように滝を強調するのには違和感が発生してきます。
ちなみにイグアスという名前の由来は、イグアス国立公園で暮らす先住民「グアラニ人」の言葉で「巨大な水」という意味から来ています。
その意味の通り、イグアス国立公園内にあるイグアスの滝の水量の多さが名前のきっかけになっているのです。
世界遺産に登録された理由
イグアス国立公園の世界遺産登録年と登録範囲には、下記のような特徴があります。
- 世界遺産に登録された1984年当初はアルゼンチン側のみで、その2年後にブラジル側が追加登録された。
- 国立公園の面積は「アルゼンチン:550km² ブラジル:1,700km²」と圧倒的にブラジル側の方が広い。
- 一方で、イグアスの滝の8割はアルゼンチン国土に属する。
ちなみに世界遺産登録範囲の総面積約2,250km²という広さは、沖縄県に属する全ての島の総面積に匹敵する広さなのです!
壮大な滝を見ることができる
水量が多くなる雨季には虹が見られる日もある
イグアス国立公園が世界遺産に登録された最もわかりやすい理由が、イグアスの滝を代表するような壮大な自然景観が見られる点です。
世界各地で一般的に見られる滝とイグアスの滝の大きな違いとしては、下記などが挙げられます。
- 幅は約3km、最大落差は約80mで流れ落ちている。
- 流れ落ちる滝の水量は世界最大を誇る。
- 大小275もの滝に分かれて一斉に流れ落ちる。
前述の「そもそもイグアスとは」でも触れたように、そもそもイグアスの滝はイグアス川の途中が崖のように崩れ、そこから流れ落ちる部分を指しています。
その崖の部分の近くには、別の「パラナ川」という川が流れており、この川と合流する手間が崖になっています。
このように、別の川と合流する部分には独特な地形や自然現象が発生するケースが比較的多いのです。
ちなみに、雨季になるとイグアスの滝の水量は毎秒6万5,000tにも及びます。
この水量は、25mプールがわずか4秒でいっぱいになる計算になるのです!
このように膨大な量の水がごう音を立てて一気に流れ落ちる姿から、「ガルガンタ・デル・ディアブロ(悪魔ののど笛)」とも呼ばれています。
また、イグアスの滝は一般的によく見られる滝と違い、水の色が赤褐色(茶色に近い赤)をしている点も特徴です。
これは、イグアスの滝から流れ落ちる水の量があまりにも多いため、「ラテライト」と呼ばれる酸化鉄や酸化アルミニウムを含んだ赤色の要因となる土地を削り落としながら流れているためです。
豊富な生物が生息する貴重な環境
絶滅危惧種に指定されている「オセロット」
イグアス国立公園の目玉の一つは紛れもなくイグアスの滝ですが、国立公園内には多種多様な生物が生息している点も世界遺産登録の評価の一つです!
そもそも滝が所在する地域は世界遺産登録範囲の一部に過ぎず、登録範囲のほとんどが生物の保護のために広がっているイメージです。
イグアス国立公園内に生息している主な生物としては、下記などが挙げられます。
- オセロット(絶滅危惧種)
- アメリカバク(絶滅危惧種)
- ジャガー
- レオパード
- オニオオハシ
広大なイグアス国立公園ですが、一般の観光客が入れる地域はイグアスの滝の周辺とそのほかの一部地域のみです。
つまり、滝は目にすることができるが、生物を観察できる地域を見ることはほとんどできないのです!
このような背景から、一般の観光客が訪れることのできる滝エリアのイメージが強く残っていると考えられます。
滝周辺は前が見えないほどの水しぶきに覆われている
前述の「壮大な滝を見ることができる」でも触れたように、イグアスの滝は非常に多くの水量を誇る滝です。
多くの水が一気に流れ落ちるため、滝周辺には数百mもの高さになる霧が立ち込めます。
霧が発生することで常に滝周辺には水がもたらされ、豊富な植物が生育する環境になっていきます。
そして、豊富な植物を求めて多くの動物がイグアスの滝周辺に集まり、多種多様な動物が生息する楽園をつくったのです!
ちなみにイグアスの滝には、滝の裏側をすみかにしている「オオムジアマツバメ」という特徴的な鳥も生息しています。
これは滝の裏側に巣をつくることで、流れ落ちる水によって外敵の侵入を防ぎ巣を守っているのです。
このように滝は、動物たちの貴重なすみかにもなっています。
イグアス国立公園はトランスバウンダリー・サイトではない!?
滝の約8割はアルゼンチン国土に位置している
イグアス国立公園は、アルゼンチンとブラジルという複数国にまたがるようにして世界遺産登録されているため、トランスバウンダリー・サイトを満たした世界遺産という見方をよくされます(トランスバウンダリー・サイトに関してはこちらの記事で詳しく解説してます)
。しかし実際は、イグアス国立公園はトランスバウンダリー・サイトを満たした世界遺産ではありません!
イグアス国立公園がトランスバウンダリー・サイトを満たした世界遺産ではない理由としては、下記などが考えられます。
- 自然環境や生息する生物の背景の繋がりが2カ国間では違いがある(繋がりが薄い)
- アルゼンチンとブラジルそれぞれで別々の保護体制を整えている。
- 自国の世界遺産登録件数だけにカウントしたかった。
トランスバウンダリー・サイトとして世界遺産登録されると、アルゼンチンとブラジル2カ国で1件の世界遺産を保有していることになります。
一方で、別々の世界遺産として登録されると「アルゼンチン:1件 ブラジル:1件」のようにカウントされ、同じ世界遺産名であるにも関わらず、合計2件のイグアス国立公園という世界遺産が存在することになります。
ただし、トランスバウンダリー・サイトとして登録された場合は2カ国で共同で世界遺産を管理しなければなりません。
共同で管理することを苦と考える国であれば、これまで通り自国の独自の保護体制で管理し続ける方が、一から保護体制を考える負担が減り、その負担が無くなることがメリットと捉えるかもしれません。
そもそも、トランスバウンダリー・サイトだからといって、通常登録の他の世界遺産より評価が上がるわけではありません。
つまり、途中からトランスバウンダリー・サイトとしての登録に変更する必要性がないのです。
本日の確認テスト
(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
2級レベル
イグアスという名前の由来に関係している先住民として正しいものはどれか。
- ハバスパイ
- グアラニ
- コチミ
- ぺモン
②
答え(タップ)>>1級レベル
『イグアス国立公園』に関する説明として正しいものはどれか。
- 1984年にブラジル側が世界遺産に登録され2年後にアルゼンチン側が登録された。
- 土壌からは1億年以上も前の藍藻類(らんそうるい)の化石が発見されている。
- 滝の約8割はアルゼンチンの国土に属している。
- メガネグマやアンデスコンドルなど希少な動物が生息している。
③
答え(タップ)>>※「3,4級」レベルのトレーニングテストは対象外になります。
まとめ
- イグアスの名前の由来は先住民グアラニ人の言葉で「巨大な水」という意味から来ている!
- 世界遺産登録範囲はブラジル側が広いが、イグアスの滝の8割はアルゼンチン国土に属している!
- 膨大な量の水がごう音を立てて一気に流れ落ちる姿から「ガルガンタ・デル・ディアブロ(悪魔ののど笛)」と呼ばれている!
- 土壌の性質の影響でイグアスの滝の水の色は赤色!
- 「オセロット」や「アメリカバグ」など貴重且つ多様な生物が生息している!
おまけ:「イグアス国立公園(イグアスの滝)」のプチ観光情報
最寄りの都市 | フォス・ド・イグアス(ブラジル) or プエルト・イグアス(アルゼンチン) |
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最寄の空港 | フォス・ド・イグアス – カタラタス国際空港 |
時差 | 12時間(東京 – サンパウロ間) ※日本の方が12時間進んでます。 |
観光のベストシーズン | 10〜3月(雨季に入り滝の水量が多く大迫力な姿を見ることができる) 5〜8月(雨が少なく観光しやすいが滝の水量は少なめ) |
治安 | 普通(他のブラジルの都市に比べると安全) |
物価 | 普通(イグアスの滝ツアーの相場は「5,000〜20,000円」) |
位置的には南米大陸の内陸の秘境にありますが、イグアスの滝は南米屈指の観光スポットということもあり、遊歩道や展望台などが整備されています。
ちなみにイグアスの滝にアクセスの良いホテルは、アルゼンチン側の都市「プエルト・イグアス」に集中しています。
なお日本人であれば、アルゼンチンへの入国にはビザが不要なため、入国審査所でパスポートを提示すればOKです!
イグアス国立公園周辺の地図(濃い緑色が国立公園エリア)
イグアスの滝までのアクセス
滝周辺には遊歩道が整備されていて観光しやすい
滝のメインはアルゼンチン側ですが、最寄りの空港は「フォス・ド・イグアス」というブラジル側の街にあります。
そのためブラジルの国内線を利用して、最寄り空港へアクセすることになります。
- 日本の各空港 ⇨ アメリカの各都市(ニューヨーク、ダラス、他) ⇨ ブラジルの主要都市(サンパウロ、リオデジャネイロ、他) ⇨ フォス・ド・イグアス国際空港(フライト時間:約24時間)
空港からイグアス国立公園の入り口までは、主に下記のアクセス方法があります。
【ブラジル側からのアクセス】
- フォス・ド・イグアス国際空港 ⇨ フォス・ド・イグアス(バスやタクシーで約30分) ⇨ イグアス国立公園行きのバス(約30分)
【アルゼンチン側からのアクセス】
- フォス・ド・イグアス国際空港 ⇨ プエルト・イグアス(バスやタクシーで約40分) ⇨ イグアス国立公園行きのバス(約30分)
- 途中でアルゼンチンに入国するため入国審査があります。
【ホテル送迎利用】
- フォス・ド・イグアス国際空港 ⇨ ホテルの送迎車に乗車 ⇨ ホテル着 ⇨ イグアス国立公園
- 宿泊するホテルによって移動時間は異なります。
イグアス国立公園の入り口(ビジターセンター)からは、公園内を走行するシャトルバスを利用して移動することになります。
ちなみにサンパウロやリオデジャネイロから、イグアスの滝の最寄り都市の一つである「フォス・ド・イグアス」には長距離バスが毎日数本運行していますが、乗車時間が17〜22時間と非常に長いためあまりおすすめしません。
イグアスの滝のおすすめホテル:ロワ・スイーツ・イグアス・ホテル(Loi Suites Iguazu Hotel)
引用:公式ホームページより
○宿泊ポイント
- 国立公園入り口にほど近い!
- 国立公園周辺にあるホテルの中でも特に口コミ評価が高い!
- 複数のレストランやプール、スパなど施設が充実!
数あるイグアス国立公園周辺のホテルの中でも、特に人気の高いリゾートホテルです!
プエルト・イグアスの市街地からは少し離れており、反対に国立公園周辺の豊かな自然に囲まれているため、大自然の空気を感じながらのゆっくりとした滞在を楽しめます。
(有料ではあるものの)空港の送迎やツアーの予約デスクも完備しているので、「空港 – ホテル – 国立公園」間の移動が楽なのは非常に助かりますね!
引用:公式ホームページより
参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。