こんな方にオススメの内容!
- フマユーン廟とはなにかを知りたい!
- フマユーン廟が世界遺産登録された理由が気になる!
- なぜ建造されたのか歴史ついて詳しく知りたい!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- インドへの旅行を考えている!
遺産ポイント
- フマユーン廟とはムガル帝国2代皇帝フマユーンが眠る墓
- ペルシア×インドの建築様式の融合が見られる
- チャハルバーグと呼ばれる庭園が見られるのが特徴の一つ
「フマユーン廟」のプロフィール
登録名称 | デリーのフマユーン廟 |
---|---|
登録年 | 1993年(2016年:範囲変更) |
所在国 | インド |
登録ジャンル | 文化遺産 |
登録基準 | (ii)(iv) |
そもそも「フマユーン廟」とは?
『フマユーン廟』とは、ムガル帝国2代皇帝フマユーンの棺(ひつぎ)を納めるために建造された巨大な墓です。
用語メモ
ムガル帝国とは、約500年前に現在のインド、パキスタン、アフガニスタン付近で繁栄したイスラム教の国。最盛期にはインド全土に勢力範囲を広げたが、誕生してから約300年後に大反乱によって滅亡した。フマユーン廟建造の大きなきっかけとなった国が、かつてインドとその周辺で大きく繁栄したムガル帝国です。
このムガル帝国の繁栄の歴史をたどることで、フマユーン廟の歴史を紐解くことができます。
歴史
1526年 | ムガル帝国の誕生。 |
---|---|
1530年 | 第2代ムガル帝国の王様としてフマユーンが任命される。 |
1556年 | フマユーンが亡くなる。 |
1569年 | フマユーン廟の建造開始。 |
1570年 | フマユーン廟完成。 |
1857年 | 反乱が発生したことでムガル帝国が衰退する。 |
1858年 | ムガル帝国が終わりを迎える。 |
よくフマユーン廟は、”ムガル帝国の象徴”と言われます。
その理由は、ムガル帝国の栄光をアピールする目的も含めて建造されたこと、そしてムガル帝国最期の日をこのフマユーン廟で迎えたためです。
ムガル帝国が繁栄していた時代のインドは、イギリスによって植民地支配が行われていました。
そこで、支配に大きく反発したムガル帝国の人々は、イギリスに対して反乱を起こします(シパーヒーの反乱)。
しかし、結果はムガル帝国の惨敗。
当時のムガル帝国の王様はフマユーン廟の中で捕まり、隣国のミャンマーに追放されてしまいました。
このように、フマユーン廟はムガル帝国の繁栄と衰退の歴史を刻んでいる貴重な歴史的建造物なのです。
建築の特徴
前述の「そもそも「フマユーン廟」とは?」の用語メモで触れたように、ムガル帝国はイスラム教の国として誕生しました。
つまり、フマユーン廟はイスラム教の建造物です。
ただし、純粋なイスラム教建築ではなく、
「ペルシア(イスラム)建築 × インドの伝統建築」
このように複数の国の建築様式が混在している点が特徴です。
【イスラム建築の特徴】
- 先端が尖ったアーチを多用
- 巨大な大理石のドーム
- 様々な図形(幾何学)を混在させたデザイン
- 水路で十字に区切られた庭園(チャハルバーグ)
【インド伝統建築の特徴】
- 赤い砂岩の壁に白い大理石を埋め込む
- ドームの周りにチャトリ(小塔)を設置
なお、フマユーン廟はインド初のイスラム式の墓であり、当時のムガル帝国の国王の妻からの指示を受けたペルシア人ミーラーク・ミールザー・ギヤース指導のもと建造されました。
このフマユーン廟建築は、後に他のインドの建築にも大きな影響を与えました。
(詳しくは後述)
世界遺産登録理由
『フマユーン廟』が世界遺産登録された理由は、大きく下記の2点に分けられます。
- 複数の建築様式が融合した美しい墓
- 他の墓建造に大きな影響を与えた
理由1:複数の建築様式が融合した美しい墓
赤褐色と白大理石のコントラストが美しいフマユーン廟
世界遺産登録理由の1つ目は、複数の建築様式が融合した美しい墓が見られることです。
前述の「建築の特徴」でも解説したように、フマユーン廟は「ペルシア(イスラム)建築 × インドの伝統建築」が融合して建造された墓です。
墓を雄大で美しく見せるためにペルシア建築の特徴を取り入れつつ、インドを象徴する建物にすべくインドの伝統建築も取り入れています。
なお、インド国内にはムガル帝国時代に建てられた世界遺産が数多く存在します。
つまり、歴史上イスラム(ペルシア)建築が採用されて建物が造られる傾向が強いのです。
今回のインドの建築様式のように、過去に複数の宗教が信仰されていた国には、複数の建築様式が混在した建物が多く残されています。
理由2:他の墓建造に大きな影響を与えた
有名な世界遺産「タージマハル」もフマユーン廟建築に影響を受けて建てられた
世界遺産登録理由の2つ目は、フマユーン廟の存在が他の墓建造に大きな影響を与えたことです。
前述の「建築の特徴」で詳しく解説したように、フマユーン廟はペルシア(イスラム)建築とインド伝統建築が融合した傑作です。
このフマユーン廟完成後、フマユーン廟をお手本にインド国内で巨大な建築物が建てられていきました。
その代表例が、インドで最も有名な建造物とも言える「タージマハル」です。
タージマハルは、フマユーン廟が完成してから約100年後に建造されました。
フマユーン廟と同様に、タージマハルにも大理石でできた巨大なドームやチャハルバーグという庭園が存在します。
このように、フマユーン廟は初期のインド墓建築のお手本となったのです。
ちなみに、フマユーン廟には国王フマユーン以外にも、王妃、王子、著名人など累計約150人が埋葬されています。
一方のタージマハルは、当時のムガル帝国の国王シャー・ジャハーンの妻ムムターズ・ハマルしか眠っていません。
この二人の愛の物語やタージマハル建造の魅力については、下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひ今回のフマユーン廟と比較しながら読んでみてください。
合わせて読みたい!【タージマハルとは?なぜつくられた?】世界遺産登録理由&歴史をわかりやすく解説!本日の確認テスト
(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
2級レベル
『フマユーン廟』が建造された時代にインドに存在した国の名称として正しいものはどれか。
- メーワール王国
- ムガル帝国
- ヒジャーズ王国
- ブハラ・ハーン国
②
答え(タップ)>>1級レベル
『フマユーン廟』建造の指揮を取った人物名として正しいものはどれか。
- ミマール・スィナン
- ミーラーク・ミールザー・ギヤース
- アフメッド・シャー
- アウラングゼーブ
②
答え(タップ)>>※「3,4級」レベルのトレーニングテストは対象外になります。
まとめ
- フマユーン廟はムガル帝国2代皇帝フマユーンの棺を納めるために建造された墓。
- 「ペルシア(イスラム)建築 × インドの伝統建築」という複数の建築様式が融合。
- 水路で十字に区切られた「チャハルバーグ」と呼ばれる庭園がイスラム建築の特徴。
- 当時のムガル帝国の国王の妻からの指示を受けたミーラーク・ミールザー・ギヤース指導のもと建造。
- 有名なタージ・マハルはフマユーン廟を手本に建造された。
おまけ:「フマユーン廟」のプチ観光情報
拠点となる都市 | ニューデリー(首都) |
---|---|
最寄り空港 | インディラ・ガンディー国際空港 |
公用語 | ヒンディー語 |
通貨 | インドルピー |
営業時間 | 06:00 – 18:00 |
休業日 | 無し |
料金 | 600ルピー(外国人料金) |
観光のベストシーズン | 10〜4月 |
時差 | 3時間30分 ※日本が3時間30分進んでます。 |
治安 | 普通(スリなどの軽犯罪には要注意) |
物価 | 安い(日本の1/4ほど) |
ビザ | 必要(アライバルビザ、e-visaあり) |
フマユーン廟のあるニューデリーはインドの首都で、多くの人口を抱える大都市です。
洗練されたエリアがある一方、スラム街と言われる貧困層が暮らすエリアも混在しているため、散策しても問題ないエリアは事前に確認しておきましょう。
一方で、物価は非常に安く、食費なら1日500〜1,000円で押さえることができるため、コスパ良く美味しい料理を堪能できる点が魅力の一つです。
アクセス
日本からフマユーン廟のあるニューデリーへの直行便は就航しています。
航空会社:日本航空(JAL) JL39
フライト時間:10時間05分
乗車時間:約30分
徒歩:約15分
空港からフマユーン廟へは鉄道のみでアクセスすることができますが、ニューデリー駅着後バスやオートリクシャー(スクーター)を使ってアクセスすれば、フマユーン廟入り口近くで降りることができるためオススメです。
ニューデリーのホテル情報
- 高級ホテルは市内南側に集中
- 安宿はニューデリー駅西側に集中
- 3つ星ホテルの相場は3,000〜6,000円
外資系ホテルなどの高級ホテルは、インド門などの観光地が多く点在する市内南側に位置しています。
一方で、ゲストハウスなどの安宿はニューデリー駅の西側に広がる「パハール・ガンジ」というエリアに密集しています。
ただし、パハール・ガンジは決してい治安の良いエリアとは言えないため、インド初心者は市内南側や、「コンノート・プレイス」というショッピングエリアで宿を取りましょう。
参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。