こんな方にオススメの内容!
- なぜ京都の社寺が世界遺産に登録されたのか理由が気になる!
- 世界遺産に登録されている社寺のそれぞれの詳細を知りたい!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- 京都への旅行を考えている!
遺産ポイント
- 世界遺産に登録された社寺は計17
- 「国風文化」を中心に京都発祥の文化・様式が日本全国へ広がる
- 京都の街をモデルに日本全国に”小京都”が誕生していった
「古都京都の文化財」のプロフィール
登録名称 | 古都京都の文化財 |
---|---|
登録年 | 1994年 |
所在国 | 日本(京都府 / 滋賀県) |
登録ジャンル | 文化遺産 |
登録基準 | (ii)(iv) |
構成資産 | 賀茂別雷神社(上賀茂神社)、賀茂御神社(下鴨神社)、延暦寺、教王護国寺(東寺)、清水寺、醍醐寺、仁和寺、平等院鳳凰堂、宇治上神社、高山寺、西芳寺、天龍寺、鹿苑寺(金閣寺)、慈照寺(銀閣寺)、龍安寺、本願寺、二条城(計17件) |
世界遺産に登録された理由
桂川にかかる風情ある京都を代表する橋「渡月橋」
京都の文化財が世界遺産に登録されたポイントは、大きく分けて下記の2点になります。
- 日本の建築様式・街造りの象徴的存在の古都
- 建築・街づくりにおける日本全国への影響力
要するに、一言で表現するならば
京都を見れば日本の文化や発展の歴史を知ることができる
という点に世界遺産としての価値があったのです!
ちなみに世界遺産登録の対象は、あくまでも神社や寺などの文化財のみです。
京都の街自体が世界遺産に登録されているわけではありません。
街が世界遺産に登録されている場合は、下記のような登録名称になっているケースが多いです。
- ○○○○歴史地区
- ○○○○旧市街
街全体が世界遺産に登録されているチェコの首都「プラハ」の歴史地区
反対に今回の京都のように、点在する文化財がまとめて世界遺産登録されている場合は「シリアル・ノミネーション・サイト」という登録の仕方に該当します。
なお、シリアル・ノミネーション・サイトに関しては、下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひ併せて読んでみてください。
合わせて読みたい!【シリアルノミネーションサイトとトランスバウンダリーサイトの違いとは?】世界遺産の登録範囲のポイントをわかりやすく解説!理由①:日本の建築様式を知る上で重要な文化財が点在
世界遺産に登録されている「醍醐寺」の五重塔
京都の社寺を見れば日本の各時代の建築・造園様式を知れる
このように言っても過言ではありません!
京都では各時代ごとに様々な文化が大きく繁栄しました。
「和様」「桃山文化」「浄土庭園」「枯山水(庭園様式)」など、挙げればきりがありません!
つまり、日本における各時代の建築様式や庭園様式の代表例が京都に集まっているのです!
このことから、京都は日本の建築・造園様式の発展の歴史を伝える重要な資料が揃っていると言えます。
なお、各様式の発展の歴史の詳細に関しては、後述の「京都に数多くの美しい社寺が残されている理由」で解説します。
理由②:建築・街づくりにおける日本全国への影響力
京都の街並みの影響を受けて全国には京都に似た街が点在する
京都の街並みは、日本の街づくりの原型と言っても過言ではありません。
なぜなら、京都の街並みや都市計画の影響を受けてつくられた街が日本全国に点在しているからです。
現在の京都を上空から見ると、綺麗に縦横に線が引かれたような道が整備されています。
そして、その道の合間に神社やお寺などが建てられています。
この碁盤の目のような京都の正確な街づくりは、次第に日本全国の街づくりにも大きな影響を与えることになります。
小京都
この表現は主に、京都の都市計画をモデルにつくられた街を指します。
以上のことから、京都こそ日本の街の象徴と言えるのです!
なお、海外でも京都のように計画的に街づくりがされた都市があります。
有名な街を挙げると、フランスの首都「パリ」も計画的につくられた街です。
パリの街づくりの詳細や世界遺産登録のポイントに関しては下記の記事で解説してますので、良ければ合わせて読んでみてください。
合わせて読みたい!【パリのセーヌ河岸】世界遺産登録理由&各名所の詳細をわかりやすく解説!また、京都の影響力は街づくりだけではありません。
一時代で大きく繁栄した京都には、数多くの神社やお寺、庭園もつくられました。
そして建築や造園の面でも、京都で誕生した数多くの様式・技術が日本全国へと広まっていったのです!
京都の街づくりや建築様式は、日本各地の都市計画・建築のモデルになっているのです。
なお、お寺や庭園の具体的な様式に関しては、後述の「京都に数多くの美しい社寺が残されている理由」で詳しく解説します。
世界遺産に登録された社寺(構成資産)
世界遺産「仁和寺」の境内にある国宝の「金堂」
『古都京都の文化財』に含まれている世界遺産の社寺(構成資産)は、合計17件あります。
平安時代 | 賀茂別雷神社(上賀茂神社) |
---|---|
賀茂御神社(下鴨神社) | |
教王護国寺(東寺) | |
清水寺 | |
延暦寺 | |
醍醐寺 | |
仁和寺 | |
平等院 | |
宇治上神社 | |
鎌倉時代 | 高山寺 |
室町時代 | 西芳寺 |
天龍寺 | |
鹿苑寺(金閣寺) | |
慈照寺(銀閣寺) | |
龍安寺 | |
桃山時代 | 本願寺 |
二条城 |
賀茂別雷神社(上賀茂神社)
【ポイント】
- 京都全域の守り神である「賀茂別雷命(かもわけいかづちのみこと)」をまつっている
- 背後には”賀茂別雷大神が降臨した山”とされる「神山(こうやま)」がそびえる
- 平安京ができた当初の時代を伝える神社
世界遺産に登録されている社寺の中で最も北に位置しています。
そのため、神社の背後にそびえる山も神社の敷地内です。
賀茂御神社(下鴨神社)
平安時代以前からの長い歴史を持つ「下鴨神社」
【ポイント】
- 「賀茂別雷神社(上賀茂神社)」から分かれて独立した神社
- 神社の周囲に広がる「糺の森(ただすのもり)」も世界遺産
- 「賀茂建角身命(かもたけつぬみのみこと)」「玉依比売(たまよりびめ)」の2つの神様をまつっている
「糺の森」とは、人の手が一切加えられていない自然の姿がそのまま残っている森林を指します。
そんな貴重な森林が神社を囲うようにして生育してる点も、世界遺産登録の評価対象になっているのです。
教王護国寺(東寺)
約55mもの高さを誇る五重塔で有名な「東塔」
【ポイント】
- 当時の政府による指示で建造された(官寺)
- 日本で最も高い五重塔を持つことで有名
- 現存する文化財のほとんどが再建されたもの
京都駅の近くに建てられているため、京都を訪れた人々の多くが目にする、京都を代表するお寺です。
特に迫力満点の五重塔は、他の五重塔とは一線を画しています。
清水寺
テレビや雑誌などでよく映される「清水の舞台」
【ポイント】
- 延鎮(えんちん)が建てた民間の仏教寺院が起源の平安時代のお寺
- 現在見られる姿は江戸時代に再建されたもの
- 本堂は坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)が建造
清水寺最大の特徴とも言える山の斜面に建てられた姿は、「懸造(かけづくり)」と言う独特な建築様式です。
延暦寺
世界遺産登録されている社寺の中で唯一滋賀県に位置する「延暦寺」
【ポイント】
- 最澄(さいちょう)が建てた
- 各仏教の宗派の修行をする人々が学びの場として訪れていた
- 「瑠璃堂」「相輪」以外は消失しその後再建された
延暦寺は、「比叡山(ひえいざん)」という山全域を境内とする珍しいお寺です。
醍醐寺
美しい庭園を持つことで知られる醍醐寺の「三宝院」
【ポイント】
- 874年からは「山上伽藍」が整備
- 904年からは「平地伽藍」が整備
- 15世紀に戦争によって消失するがその後再建される
「伽藍(がらん)」とは、寺院の建物の総称で各建造物の配置を示す際によく使われる単語です。
また、美しい庭園を持つ「三宝院(さんぽういん)」は、あの豊臣秀吉が自ら設計したとして知られています。
三宝院を含む醍醐寺敷地内には国宝や重要文化財が点在し、京都の数ある社寺の中でも、特に多数の重要な文化財を抱える非常に貴重なお寺なのです!
仁和寺
貴重な文化財に囲まれた仁和寺の美しい庭園「南庭」
【ポイント】
- 宇多天皇が建造
- 天皇やその一族が住職を担う「門跡寺院」として知られている
- 平安時代に建てられるが焼失し江戸時代に再建される
数ある京都の庭園の中でも、特に美しいと称されるのが「仁和寺御所庭園(にんなじごしょていえん)」です。
庭園には、歴史上数多くの増改築が行われた建物が点在し、国指定の名勝にも指定されています。
また仁和寺は、日本三大随筆(書物)として有名な「徒然草(つれつれぐさ)」にも出てきます!
平等院
一度も消失したことのない長い歴史を今に伝える平等院の「鳳凰堂」
【ポイント】
- 藤原頼通(ふじわらのよりみち)が貴族の別荘を寺院へと改築したのが始まり
- 寺院と庭園は清らかな世界「極楽浄土(ごくらくじょうど)」を表現している
- 阿弥陀如来をまつっている「鳳凰堂(ほうおうどう)」が有名
平等院とは、けがれや悪事のない世界「浄土」を表現している寺院と庭園群です。
そして、阿字池(あじいけ)のある庭園は「浄土庭園」と呼ばれ、その庭園の前には鳥が翼を広げたような姿をする鳳凰堂が建てられています。
ちなみに平等院のシンボル鳳凰堂は、平安時代に建造されてから現在に至るまで一度も消失したことがないため約1000年の歴史を今に伝えているのです!
合わせて読みたい!【平等院はなぜ世界遺産?宇治上神社とは?】登録理由&魅力をわかりやすく解説!宇治上神社
日本屈指の長い歴史を持つ宇治上神社の「本殿」
【ポイント】
- 現存する最古の神社本殿建築
- 平等院とその一帯を守るための神様「鎮守神(ちんじゅしん)」がまつられている
- 「檜皮葺(ひわだぶき)」と呼ばれるヒノキの樹皮を素材とした屋根が特徴的
鴨川を挟んで平等院の対岸に位置する神社です。
今では多くの神社にある本殿(神様がいる建物)ですが、その本殿を持つ最も古い建物がこの宇治上神社なのです。
合わせて読みたい!【平等院はなぜ世界遺産?宇治上神社とは?】登録理由&魅力をわかりやすく解説!高山寺
学問所として使用されていた国宝に指定されている「石水院」
【ポイント】
- 明恵上人(みょうえしょうにん)によって整備される
- 国宝の「鳥獣人物戯画(ちょうじゅうじんぶつぎが)」という絵巻物があることで有名
- 鎌倉時代に建造された建物で今も残っているのは「石水院」のみ
明恵上人とは
「華厳 × 真言密教 = 厳密(ごんみつ)」
という独自の宗教をつくった人物です。
そんな明恵に関係する文化財を多く抱えるのが高山寺の特徴の一つです。
西芳寺
通称「苔寺」と呼ばれる美しい苔の庭園で有名な「西芳寺」
【ポイント】
- 「夢窓疎石(むそうそせき)」が禅宗(ぜんしゅう)と呼ばれる仏教の宗派の寺として建てた
- 約120種類の苔が生育する庭園を備えているのが特徴
- 通称「苔寺」
日本庭園史上最も重要、且つ美しいと称される庭園を備えているのが、西芳寺最大の特徴です!
天龍寺
美しい庭園と巨大な龍が描かれた天井が見られることで有名な「天龍寺」
【ポイント】
- もともとは離宮として建てられた嵐山を背景とするお寺
- 「三門」「仏殿」「法堂」「方丈」が一直線上に並んでいるのが特徴の一つ
- どこから見ても龍の目が追ってくる「雲龍図(うんりゅうず)」が有名
天龍寺の特徴は、なんと言っても龍の目がどこまでも追ってくる「雲龍図(うんりゅうず)」です!
法堂(はっとう)と呼ばれる仏教の講義が開かれる建物の天井全体に、巨大な龍が描かれています。
また、池を中心とした「曹源池(そうげんち)」という美しい庭園を持つことでも知られています。
鹿苑寺(金閣寺)
京都屈指の人気観光地である金閣寺の庭園の様子
【ポイント】
- 足利義満(あしかがよしみつ)の死後に「夢窓疎石(むそうそせき)」が禅宗(ぜんしゅう)と呼ばれる仏教の宗派の寺として建てた
- 「衣笠山(きぬがさやま)」を庭園の背景として取り入れている
- 金閣は1955年に再建されたもので世界遺産対象外
黄金に輝く寺として有名な金閣寺ですが、実は現在見られる姿は近年再建されたものです。
そのため、世界遺産及び国宝の対象外となっています。
また金閣寺の特徴の一つとして、「借景(しゃっけい)」が挙げられます。
簡単に言うと、周辺の景色を庭園の一部として活かしているつくりです。
慈照寺(銀閣寺)
「盛り砂」があることで有名な銀閣寺の庭園
【ポイント】
- 足利義政(あしかがよしまさ)の死後に禅宗(ぜんしゅう)と呼ばれる仏教の宗派の寺として建てられた
- 室町時代の住宅様式である「書院風(しょいんふう)」「仏堂風(ぶつどうふう)」が見られる
- 「銀沙灘(ぎんしゃだん)」「向月台(こうげつだい)」と呼ばれる盛り砂がある庭園が特徴的
庭園にある盛り砂は
「月の鑑賞をするため」
「月の光を反射するため」
などいくつか説がありますが、未だにつくられた目的はわかっていません。
なおこの盛り砂は、慈照寺が建てられた後の改築のタイミングで加えられました。
龍安寺
石や砂で水の流れが表現された「方丈庭園(石庭)」
【ポイント】
- 細川勝元(ほそかわかつもと)が貴族の別邸を改築して建造
- 枯山水の「方丈庭園(石庭)」が世界的に有名
- 石庭の造りや配置の理由・目的は未だに不明
龍安寺は、「枯山水(かれさんすい)」という石や砂で水の流れを表現した庭園で有名です。
石庭(庭園)には15の石が配置されていますが、全ての石を見ることができる角度を探すのは非常に困難です。
本願寺(西本願寺)
国宝に指定されている西本願寺の「御影堂(ごえいどう)」
【ポイント】
- 世界遺産に登録されている社寺の中では比較的新しいお寺
- 大阪にあった「浄土真宗本願寺」が京都へ移されたもの
- 唐門(からもん)や飛雲閣(ひうんかく)が有名
「唐門」とは、「唐破風(からはふ)」と呼ばれる丸みを帯びた独特な形の屋根を持つ門を指します。
また「飛雲閣」とは、三層の木の板を重ねた屋根などを指す建築様式の建物です。
ちなみに西本願寺の東には、独特な噴水などを備える「東本願寺」もあります。
しかし、東本願寺は世界遺産には登録されてはいません。
二条城
江戸時代に建造された京都の中心に建つ「二条城」
【ポイント】
- 徳川幕府が京都御所を守る役割として建造
- 徳川慶喜(とくがわよしのぶ)が大政奉還(たいせいほうかん)を行った場所
- 「池泉回遊式(ちせんかいゆうしき)」の二の丸庭園が有名
二条城は、慶喜が政治権力の返上を明治天皇へ申し上げた場所として有名なお城です。
ただお城とは言っても、同じく世界遺産に登録され、石垣の上に築かれている「姫路城」などとは違い、二条城は住居機能が中心となるため、移動しやすいように平地に建てられています。
このように平地に築かれたお城のことを「平城(ひらじろ)」と言います。
また「池泉回遊式」とは、庭園内を巡って散策することを前提とした造りです。
庭園を歩き回ることで、景色の変化を楽しむことができるという特徴があります。
京都に数多くの美しい社寺が残されている理由
竹林の並木道が美しい人気観光スポット「竹林の小径」
現在の京都の始まりは、今から約1300年前の「平安時代」までさかのぼります。
この「平安(へいあん)」とは、当時の京都の呼び名である「平安京」から来ています。
現在京都で見られる社寺の建築の始まりは、ちょうど平安京が日本の首都になった時代あたりからなのです。
そしてこの時代に、日本全国に大きな影響を与える文化が誕生します。
「国風文化(こくふうぶんか)」です!
この国風文化の誕生こそ、京都に多くの社寺が建てられるようになったきっかけと言っても過言ではありません。
国風文化誕生により大きく繁栄する平安時代の京都
平安時代を代表する寺院「平等院」にある「阿字池」
平安時代の京都は、「平安京」という名前の街でした。
そして後に日本全国に街づくりの影響を与えることにもなる、平安京の大規模な都市計画が開始されます。
平安京の街づくりのモデルとして、「都城(とじょう)」と言われる中国の都市計画が参考にされました。
そして平安京に入ってから約400年にわたって、京都及び日本の繁栄に大きく関わってくる国風文化が花開くのです!
国風文化が栄えると同時に、平安京では建造物の建築において厳しい制限が設けられました。
その制限とは
「官寺を除いて平安京内での寺院建立を禁止とする」
というものでした。
官寺 | 国が管理している寺院(国家プロジェクトのようなもの) |
---|---|
私寺 | 民間が建てた寺院(株式会社のようなもの) |
このような具体的な建築制限が出てきたからこそ、平安京は計画的で機能的な街づくりを行えたと言えます。
京都駅近くに建つ有名な官寺「東寺」
ちなみに世界遺産に登録されている社寺の多くが、京都市内の中心部ではなく、京都市周辺の山間部近くに点在しているのが特徴です。
山間部近くに世界遺産の社寺が点在している理由は、主に下記が挙げられます。
- 京都中心部は厳しい建物制限が設けられているため。
- 山や森など周辺の自然も境内の一部として取り入れたかったため。
『古都京都の文化財』の構成資産の分布
一方で、国が建築を進めた「東寺」や平安時代以降に建てられた「二条城」などは、市内中心部に建造されていることもわかります。
このように平安時代の京都の都市計画を知ることで、文化財が点在する地理的理由も理解することができるのです!
鎌倉時代以降の京都の街の変化
室町時代に建造された「天龍寺」の美しい庭園
平安時代が終わり鎌倉時代に入ると、また京都では様々な文化が花開き、多様な社寺が建築されていきます。
時代 | 概要 | 関係する代表的な社寺 |
---|---|---|
鎌倉時代 | 国の政治権力が「平安京⇨鎌倉」に移る。ただし、天皇や貴族を中心に様々な文化が京都に取り入れられて社寺の建築は進んでいく。 | 高山寺 |
室町時代 | 再び京都に政治権力が戻る。中国文化と融合した「北山文化」や北山文化をさらに洗練させた「東山文化」などが誕生する。 | 金閣寺(鹿苑寺)、銀閣寺(慈照寺) |
15世紀頃 | 「応仁の乱」によって京都の街は壊滅的な被害を受ける。しかし、「町衆」と呼ばれる力を持つ市民らによって焼失した社寺が再建・保護されるようになる。 | なし |
江戸時代 | 江戸幕府の誕生により京都の政治が安定する。都市部では「桃山文化」と呼ばれる豪華絢爛な文化が栄える。 | 本願寺、二条城、醍醐寺(再建)、清水寺(再建) |
また、京都で花開いた代表的な文化・様式は、以下の通りです。
様式・文化名 | 概要 | 代表的な社寺 |
---|---|---|
和様 | 大陸(中国など)の様式が日本風にアレンジされた様式。低い天井や簡素な装飾が特徴。 | |
北山文化 | 「天皇などのお偉いさんの”公家文化”×”中国文化”」が融合した文化。 | 金閣寺(鹿苑寺) |
東山文化 | 北山文化をさらに洗練させた室町時代の文化。 | 銀閣寺(慈照寺) |
桃山文化 | 戦乱からの目覚ましい復興によって大きな富を得た商売人を中心に花開いた壮大で華やかな文化。 | 醍醐寺、二条城 |
浄土庭園 | 一切のけがれや悪事の無い世界「浄土(じょうど)」を表現している庭園様式。 | 平等院 |
枯山水 | 水を利用しないで、石や砂を用いて川や湖を表現している庭園。庭園は室内から鑑賞することを前提に造園されている。 | 龍安寺、西芳寺、天龍寺 |
借景庭園 | 山や森など周囲の自然も庭園の一部に取り入れた様式。 | 天龍寺、金閣寺(鹿苑寺) |
現在に至るまで保護・保全がされてきた京都の街並みや文化財
清水寺へと向かう際に通る歴史ある街並み「三年坂」
現在でも貴重な文化財を見ることができる最大の要因は、やはり文化財を保護・保全する仕組みができている点です!
- 古社寺保存法
- 国宝保存法
- 文化財保護法
京都府にある国宝の総数は、2022年時点で約「240件」と東京都に次ぐ全国2位を誇っています!
ただ、東京都の場合は博物館や美術館にあるような展示品の数が多数を占めているので、国宝に指定された”建造物”という点では京都が全国1位になります。
本日の確認テスト
(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
3,4級レベル
15世紀に起きて京都にある多くの建造物が焼失した内乱の名称として正しいものはどれか。
- 大塩平八郎の乱
- 平治の乱
- 島原の乱
- 応仁の乱
④
答え(タップ)>>2級レベル
清水寺の本堂を建立した人物名として正しいものはどれか。
- 明恵上人
- 最澄
- 宇多天皇
- 坂上田村麻呂
④
答え(タップ)>>1級レベル
高山寺に現存する唯一の建造物の名称として正しいものはどれか。
- 石水院
- 阿弥陀堂
- 三宝院
- 金色堂
①
答え(タップ)>>まとめ
- 京都から「国風文化」「北山文化」「東山文化」など現代の日本建築の起源となる文化が多く誕生した
- 現在の日本でよく見られる「浄土庭園」「枯山水」「借景庭園」などは京都から全国へ広まったもの
- 京都の街づくりは日本全国の街づくりもモデルとなった(全国に小京都の誕生)
- 世界遺産に登録された社寺は合計17
- 応仁の乱などで焼失した多くの社寺はその後再建されて現在の姿を見せる
- 世界遺産登録以外にも「古社寺保存法」「国宝保存法」など京都の社寺は厳重に保護・保全されている
おまけ:京都市内を走るバス1日乗り放題パスがお得!
非常にお得な京都市内「バス1日券」
世界遺産に登録されている京都の社寺は、合計17もあります。
しかし残念ながら、必ずしも京都市内のアクセスの良い場所に建てられているとは限りません。
つまり、全ての社寺を全て周ろうとするとなかなか大変なのです。
そんな時は、「京都市内バス1日券」を活用しましょう!
○ポイント
- わずか700円で1日バス乗り放題!
- 世界遺産に登録されている社寺のほとんどを網羅できる!
- 比較的本数が多く乗り継ぎも簡単!
京都には地下鉄が数本走っています。
ただし景観保護の問題上、世界遺産に登録されている社寺の近くには通っていません。
仮に最寄り駅と言える駅で降りても、そこからお寺まで徒歩20〜30分というケースはよくあります。
一方でバス利用の場合、お寺近くの通りで停車してくれるケースがよくあります。
つまり、なるべくお寺の近くまでアクセスしたい場合は、断然バス利用がおすすめなのです!
バス1日券の購入ができる自動販売機
なお、バス1日券の購入場所は、JR京都駅北口にあるバスターミナル付近の自販機 or バスインフォメーションセンターになります。
限られた時間で効率よく世界遺産登録された社寺巡りをしたい方は、ぜひバスのパスポートを購入しましょう!
参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。