こんな方にオススメの内容!
- なぜアランフエスの街が世界遺産に登録されたのか理由が気になる!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- ”文化的景観”の概要について詳しく知りたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- スペインへの旅行を考えている!


遺産ポイント
- アランフエスにはブルボン家の反映を伝える宮殿・庭園が点在!
- フランスのヴェルサイユ宮殿を模して王宮を建造!
- アランフエスは文化的景観として世界遺産に登録されている!
「アランフエスの文化的景観」のプロフィール
そもそも「アランフエス」とは?

アランフエス市街の全景


まずアランフエスの場所ですが、スペインの首都マドリードの南に約50km行ったところに位置する人口約6万人の小さな都市です。
この都市では、11世紀以降からスペイン本土を拠点とするカスティーリャ王国と、中東を拠点とするイスラム諸国による領土争奪戦が行われていました。
その影響もあって、今でもスペイン文化とイスラム文化の面影が建物などに色濃く残っています。




今回世界遺産に登録された範囲は、アランフエスの街の中に点在する宮殿・離宮・庭園などです。
そして登録名称にも書かれているように、アランフエスには文化的景観という概念が認められています。
文化的景観が認められた大きな要因として、宮殿の建造や庭園の造園が大きく関わってきます。
(文化的景観が認められた理由に関しては後述の「アランフエスに文化的景観が認められた理由」で詳しく解説します!)
ちなみにホアキン・ロドリーゴが作曲した「アランフエス協奏曲」は、スペイン内戦で大きな被害を受けたこのアランフエスの街の平和を願って作曲した曲です!
今でもアランフエスの街中には記念碑が建てられています。
ブルボン家の繁栄を伝える宮殿と庭園

街のシンボル「アランフエス王宮」の正面口



ブルボン家とはかつてのフランス、現在のスペイン王家(国王とその一族の総称)のことで、今回のアランフエスの王宮や庭園の建造・造園に大きく関わった一族です。
つまりブルボン家が存在しなければ、アランフエスにはここまで多くの宮殿などがつくられることはなかったかもしれません。
また、ブルボン家の繁栄の象徴としてこれら宮殿が建造されていきました。
「ヴェルサイユ宮殿」をマネて建造した!?

アランフエス王宮のモデルとなったフランスの「ヴェルサイユ宮殿」
今でも「宮殿」というワードを聞くと、多くの方が下記のようなイメージを持つのではないでしょうか。
「宮殿 = ヴェルサイユ宮殿」
アランフエス王宮を建造する際も、まさしくこのように「宮殿といえばヴェルサイユ」という認識がされていました。
そしてアランフエス王宮は、フランスにあるヴェルサイユ宮殿を模して建造されていくことになったのです!
幾度も火災の被害を受けたためその都度改修されていますが、そういった改修の度にアランフエスにある王宮は美しい建造物へと生まれ変わっていきました。

このようにヨーロッパの宮殿を中心に、フランスのヴェルサイユ宮殿を模して宮殿を建造するケースはよくあります。
なおヴェルサイユ宮殿に関しては下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひ併せて読んでみてください!
合わせて読みたい!アランフエス王宮(離宮)・庭園の特徴

アランフエス王宮周辺に広がる庭園
アランフエスには、15〜18世紀に建造・造園された宮殿・離宮や庭園が数多く点在しています。


アランフエスにある宮殿・離宮の特徴は主に下記が挙げられます。
- 同じく世界遺産に登録されている「エル・エスコリアル修道院」を建造したファン・デ・トレドが建造の指揮を取った!
- イタリアで花開いたルネサンス建築のスペイン版(スペイン・ルネサンス様式)が採用されている!
- 部屋全体が白い陶磁器のタイルで覆われた「陶磁器の間」がある!
- イスラム風の装飾が施された部屋である「アラブの間」がある!
- 王族達の衣装が展示されている「王族衣装博物館」が併設されている!
要するに、スペインとイスラムの文化が取り入れられ独特な部屋が数多く点在する宮殿ということです。
このように各国の文化が合流して繁栄した背景が評価されて、世界遺産の登録基準(ii)が認められたのです!

また庭園に関しては下記のような特徴があります。
- 碁盤目状(ごばんめじょう)に綺麗に区画が整備されている!
- テージョ川やタホ川に沿って造園されている!
- 周囲の自然と調和している!
代表的な庭園としては
「島の庭園」「王子の庭園」「パルテレ庭園」
これらが挙げられます。
王子の庭園

庭園自体も魅力的ですが、庭園内に建てられている「農夫の家」が特に有名です。
この家は当時の王様である「カルロス4世」が、フランスのヴェルサイユ宮殿に似たような建造を命じて作らせた狩猟館です。
内部には「トラヤヌスの柱時計」と言われる非常に大きな時計がそびえています。
アラブの間

イスラム文化を色濃く残した部屋です。
スペインで特にイスラムの雰囲気を残す建物として有名な、グラナダにある「アルハンブラ宮殿」の「二姉妹の間」という部屋をまるまるコピーして建てられています。
アルハンブラ宮殿の二姉妹の間では建造当時の姿をあまり見ることができませんが、アランフエスのこのアラブの間では今でもイスラムの美しい装飾を見ることができます!

アランフエスに文化的景観が認められた理由

登録名称にも書かれているように、アランフエスは”文化的景観”が認められて登録されている世界遺産です。
(文化的景観の概念に関してはこちらの記事で詳しく解説しているので併せて読んでみてください)
アランフエスに文化的景観が認められた理由を一言でまとめると、下記のようになります。
アランフエスに点在する宮殿・離宮・庭園が、テージョ川やタホ川を中心としたアランフエスの自然と見事に調和している
要するに、自然との共存がうまくできている景観が評価されたということですね!
反対にもしアランフエスの王宮などが周辺の自然と全く関連性がなかったら、世界遺産登録に至っていなかった可能性があります。


このような建造や造園の観点で、世界に大きな影響を与える文化財がアランフエスに多く存在する点が評価されたことも世界遺産登録に至った大きな要因です!
本日の確認テスト


(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
2級レベル
アランフエス王宮を建造するにあたって模範とした宮殿の名称として正しいものはどれか。
- ヴェルサイユ宮殿
- ブレナム級殿
- フォンテーヌブロー宮殿
- サンスーシ宮殿
①
答え(タップ)>>1級レベル
『アランフエスの文化的景観』に関する説明として正しいものはどれか。
- 18〜19世紀にかけてはイギリスの富豪たちが数多くの離宮を建造していった。
- 王宮はコンスタンツ地方のボーデン湖付近に建造された。
- フランス式庭園の一部には自然を活かしたイギリス式の庭園が造園されている。
- 点在する宮殿や庭園はブルボン家出身の王たちが整備したものである。
④
答え(タップ)>>※「3,4級」レベルのトレーニングテストは対象外になります。
「アランフエスの文化的景観」のまとめ

- アランフエスにはブルボン家の繁栄を伝える宮殿や庭園が点在する!
- アランフエス王宮はフランスのヴェルサイユ宮殿をモデルにして建てられた!
- 宮殿にはイスラム文化の影響を反映した装飾がされている部屋がある!
- 周辺の自然とのちょうわが見事に取られた建造・造園がされている点から文化的景観が認められている!
おまけ:アランフエスのプチ観光情報

空港のある最寄の街 | マドリード |
---|---|
最寄の空港 | マドリード・バラハス空港 |
時差 | 7時間(東京 – アランフエス間) ※日本の方が7時間進んでます。 |
観光のベストシーズン | 特になし |
治安 | (小さな街であるため)良好 |
物価 | 普通(日本とほぼ同じ) |
アランフエスには国際便が乗り入れる空港は無いため、最寄りの空港は首都マドリードにあるバラハス空港になります。
最寄り空港のマドリードへは2016年からイベリア航空の直行便が就航しています。
しかし、決して本数が多くない点と度々就航中止になることがあるため、経由便利用でマドリードへアクセスする方法が一般的です。
そもそも直行便だとフライト時間が14時間と非常に長いため、あえて乗り継ぎ便を選択して経由地で休憩を入れる選択をすることもオススメですね。
- 成田 ⇨ マドリード・バラハス空港(フライト時間:約14時間)
- 成田・関空 ⇨ ドバイ ⇨ マドリード・バラハス空港(フライト時間:約20時間半)

マドリードの空港に着いたら、まずはマドリードの中心部まで行きます。
マドリードの中心部からは電車、またはバスで簡単にアランフエスまでアクセスが可能です(直線距離で約50km)!


参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。