こんな方にオススメの内容!
- なぜ「ウジュン・クロン国立公園」が世界遺産に登録されたのか理由が気になる!
- 「クラカタウ火山」の大噴火の実態について詳しく理解したい!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- インドネシアへの旅行を考えている!
遺産ポイント
- 美しく貴重な低地熱帯雨林が生い茂る!
- ジャワサイなどの貴重な動物の生息地!
- クラカタウ山の大噴火によって人や自然環境に大きな被害が及んだ!
「ウジュン・クロン国立公園」のプロフィール
登録名称 | ウジュン・クロン国立公園 |
---|---|
登録年 | 1991年 |
所在国 | インドネシア |
登録ジャンル | 自然遺産 |
登録基準 | (vii)(x) |
ウジュン・クロン国立公園とは
「ウジュン・クロン国立公園」とは、東南アジアのジャワ島西部に位置するインドネシア初の国立公園です。
国立公園の名前にも入っている「ウジュン・クロン」とは半島の名前です。
世界遺産の登録範囲は、ウジュン・クロン半島と周辺の海に浮かぶ「クラカタウ諸島」です。
こちらの島々は国立公園ではなく、「クラカタウ諸島自然保護区」という保護区に指定されています。
つまり
ウジュン・クロン国立公園 + クラカタウ諸島自然保護区
上記2つのエリアが合わさって「ウジュン・クロン国立公園」という名前で登録されていることになります!
なお、クラカタウ諸島にあるクラカタウ島には「クラカタウ山」という火山活動が活発な山があります。
クラカタウ山はウジュン・クロン国立公園の自然景観や生態系に大きな影響を与えています!
クラカタウ火山については、後述の「クラカタウ火山の噴火による被害」で詳しく解説します。
世界遺産に登録された理由
ウジュン・クロン国立公園の自然遺産登録ポイントは、大きく分けて下記の2つになります。
- 美しい熱帯雨林が広がる自然景観
- 熱帯雨林に生息する貴重な動植物
そして上記2つのポイントには、クラカタウ諸島の火山と深い関係があります!
関係の詳細に関しては、後述の「クラカタウ火山の噴火による被害」で解説します。
美しい自然景観
ウジュン・クロン国立公園やクラカタウ諸島自然保護区内には、世界的に見ても美しく貴重な熱帯雨林が広がっています。
この熱帯雨林の美しさは、紛れもなくウジュン・クロン国立公園の価値は引き立てています!
ウジュン・クロンの熱帯雨林は「低地熱帯雨林」に属し、開発の進むジャワ島でここまで低地熱帯雨林が素晴らしい姿で残っている点は非常に貴重です。
ちなみに低地熱帯雨林とは、その名の通り平野などの低い地域に熱帯雨林が生い茂っているエリアです。
反対に、山などの比較的標高の高い地域に生い茂る熱帯雨林のことを「熱帯山地林」と言います。
熱帯山地林と比べて低地熱帯雨林は、比較的人が出入りしやすい環境にあるため、人口が急激に増えている東南アジアでは都市開発が進み、低地熱帯雨林の面積が減少傾向にあります。
そしてここウジュン・クロンも例外ではありません。
- 国立公園近隣に人が定住するようになった。
- 世界規模の基調変動の影響を受けて原生林が減ってきている。
上記の2つの理由により、熱帯雨林の面積は縮小傾向にあります。
とはいえ、他の地域に比べるとまだ多くの低地熱帯雨林が残っているため、世界遺産登録をして保護を強化しようという意図があるのです!
現在見られる美しい熱帯雨林も、もしかしたら今後さらに減っていってしまうかもしれません。
だからこそ、自然遺産の価値を認識して、みんなで自然を保護する意識を持つことが大切ですね!
「ジャワサイ」などの貴重な動植物の宝庫
絶滅危惧種に登録されているウシ科の「バンテン」
前述の「美しい自然景観」で触れた熱帯雨林は、その見た目の自然景観の美しさだけでなく、動植物の貴重な生息地にもなっています!
ウジュン・クロンの低地熱帯雨林には、主に下記のような動物が生息しています。
- ジャワサイ(絶滅危惧種)
- バンテン(絶滅危惧種・ウシ科)
- インドクジャク
- カニクイザル
特に、ジャワサイに関しては角が薬になることが考えられていたため、人による密猟が相次ぎ絶滅の危機に瀕しています。
かつては東南アジア一帯に生息していたことが確認されていました。
しかし、現在はここウジュン・クロン国立公園内でしか生息が確認されていません。
そのためインドネシア政府は、ジャワ島の隣のスマトラ島にジャワサイを移動させるために、スマトラ島を調査しているほどです!
クラカタウ火山の噴火による被害
前述の「ウジュン・クロン国立公園とは」で少し触れたように、世界遺産登録範囲にあるクラカタウ山は、現在も続く火山活動が頻繁な山として有名です。
しかしその火山噴火の影響で、膨大な被害を生んだ歴史があります。
最も有名なのが、1883年の噴火によって近隣に暮らす約36,000人の命が奪われた被害です!
さらに、クラカタウ山の噴火は人命だけでなく、周辺の森や野生動物にも大きなダメージを与えました。
- クラカタウ山が噴火する。
↓ - 噴火の影響で島が大きく陥没する。
↓ - 陥没によって高さ約40mの巨大な津波が発生する。
↓ - 津波が周辺の森などを直撃する。
↓ - 森の木々はなぎ倒され、森を住処としていた野生動物の住処が失われる。
このように火山の噴火が巨大な津波を引き起こし、周囲の自然環境に多大な影響を与えたのです!
しかし現在は、減少した熱帯雨林が再生しつつあり、海岸沿いにはマングローブが生育し始めるなど、噴火前の美しい自然姿を取り戻しつつあります!
とはいえ、クラカタウ山いまだに定期的に噴火を繰り返しています。
そのため、前述の「「ジャワサイ」などの貴重な動植物の宝庫」でも触れたように、貴重な動物を火山噴火の影響を受けない地域に移動させたり、火山噴火の研究が進められたりしています。
ちなみにウジュン・クロンとは反対に、自然に起きることは人の手を一切加えず、自然の流れに完全に任せる「ウィルダネス」という施策を取っている国立公園もあります。
その代表的な国立公園が、アメリカの「イエローストーン国立公園」です!
ウィルダネスを含む、イエローストーン国立公園の詳細に関しては下記の記事で解説しているので、ぜひ併せて読んでみてください!
合わせて読みたい!【イエローストーン国立公園 | 世界遺産登録第一号!】世界初の国立公園の誕生秘話と大自然の魅力を解説!本日の確認テスト
(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
3・4級レベル
大噴火によって大きな被害をもたらした山の名称として正しいものはどれか。
- ムル山
- キナバル山
- クラカタウ山
- ジャヤ山
③
答え(タップ)>>2級レベル
『ウジュン・クロン国立公園』に関する説明として正しいものはどれか。
- 火山の大噴火によって失われた熱帯雨林は現在は復活しつつある。
- 標高に応じて異なる植物が生育する「植物の垂直分布」を見ることができる。
- 世界遺産登録範囲はウジュン・クロン国立公園だけでなく、小スンダ列島自然保護区も含まれている。
- 世界最大規模の洞窟があり大規模な鍾乳洞を見ることができる。
①
答え(タップ)>>1級レベル
『ウジュン・クロン国立公園』に生息する動物として誤っているものはどれか。
- バンテン
- ソデグロヅル
- カニクイザル
- ジャワサイ
②
答え(タップ)>>まとめ
- 世界遺産の登録範囲は「ウジュン・クロン国立公園」「クラカタウ諸島自然保護区」の2つから成る!
- 美しく貴重な熱帯雨林が広がる自然景観!
- ジャワサイなどの絶滅危惧種を始めとする動植物の宝庫!
- クラカタウ山の大噴火によって数万人の命が奪われた過去がある!
- 火山噴火によって一時熱帯雨林が減少したものの、近年は熱帯雨林が再生しつつある!
おまけ:「ウジュン・クロン国立公園」のプチ観光情報
ウジュン・クロン国立公園は厳重に保護されている影響もあり、他の国立公園と比べてアクセスしづらいのが特徴です!
また、個人で訪れることは非常に困難であるため、現地のツアーに参加して訪れる方法が一般的です。
日帰りで訪れることも難しいため、1泊2日のプランが多いですね!
「ウジュン・クロン国立公園」までのアクセス
インドネシアの玄関口となる首都「ジャカルタ」の街並み
日本からインドネシアの首都ジャカルタまで行き、そこからバスを使って最寄りの街までアクセスする方法が一般的です。
しかし、ウジュン・クロン国立公園を訪れるツアー自体が少ないことから、非常にアクセスが悪い点をご了承ください。
(そもそもネット上にもウジュン・クロン国立公園までのアクセス情報が少ない状況)
- 日本(羽田・成田・関空) ⇨ ジャカルタ (フライト時間:約8時間) ⇨ ラブアン、チャリタビーチなど(高速バス:約4時間)
国立公園付近に着いても、そこからスピードボートに乗船したりなど、やはり旅慣れた方向けの国立公園と言えますね。
また、スピードボートは当日の気象条件によって運行しないこともあります。
「ウジュン・クロン国立公園」周辺のホテル情報
残念ながら、ウジュン・クロン国立公園周辺にはほとんど宿泊施設はありません。
ツアーで訪れる際は、数少ない貴重なホテルに宿泊することになります。
しかし、最低限の設備しか整っていないため、「ホテルライフを楽しみたい」と考えている方にはあまり向いてないでしょう。
ですので、宿泊するホテルに関しては事前に指定することは難しいため、申し込んだツアー内容を確認して初めてホテル名がわかるイメージですね。
参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。