こんな方にオススメの内容!
- そもそもポブレー修道院がどういう建物なのかを知りたい!
- なぜポブレー修道院が世界遺産に登録されたのか理由が気になる!
- ポブレー修道院の特徴や魅力を知りたい!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- スペインへの旅行を考えている!
遺産ポイント
- ポブレーの修道院はスペイン最大級のシトー会修道院!
- 修道院のみならず、宮殿、神殿など他に類を見ないユニークな構造が特徴的!
- ロマネスク様式やバロック様式など様々な建築様式が見られる!
「ポブレー修道院」のプロフィール
登録名称 | ポブレー修道院 |
---|---|
登録年 | 1991年 |
所在国 | スペイン |
登録ジャンル | 文化遺産 |
登録基準 | (i)(iv) |
ポブレー修道院とは?
まず「ポブレー」とは、スペイン北東部のカタルーニャ州にある小さな村の名前です。
そのポブレーという村に建てられた修道院のため、「ポブレー修道院」と呼ばれています。
ポブレーの歴史は、現在のスペインをローマという強大な国が統治していた時代から始まります。
そのためポブレー周辺の街では、今でもローマ統治時代の遺跡や歴史的建造物が数多く残されている姿を見ることができます!
ローマの支配後は、主にイスラム教がスペインを支配していました。
そしてこのイスラム教のスペイン支配こそ、ポブレーに巨大な修道院が建設されるきっかけとなったのです!
季節ごとの花々が美しい修道院内のパティオ(中庭)
後にイスラム教はスペインに攻め入ったキリスト教に撃退されることとなり、スペイン本土は現在のようにキリスト教の国となります。
当然ポブレーもキリスト教の村になり、それを機にラモン・ベレンゲール4世という人物がこのポブレーの土地をシトー会に与えることを決断したのです!
シトー会は土地を与えられると、自分たちの修道院を建てて、ポブレーをシトー会の活動拠点の一つにすることに決めました!
そして、現在もポブレーの修道院はスペイン最大規模のシトー会修道院として君臨しています。
なお、修道院の建造目的は様々ですが、ポブレー修道院の場合は聖母マリアにお祈りを捧げる環境を作ることが目的でした。
世界遺産に登録された理由
ポブレー修道院が世界遺産に登録された理由は、主に下記の2つになります。
- 建築美
- 独特な建物構造
そして世界遺産登録のポイントは、前述の「ポブレー修道院とは?」でも触れた下記の2点です。
- シトー会
- イスラム教から土地を奪還
上記の2ワードこそ、ポブレー修道院が世界遺産登録される上で重要な手掛かりになってきます。
ちなみにポブレー修道院は、現在もシトー会の修道院として使用されている現役の修道院なのです!
他の修道院とは異なる建物としての美しさ
修道院内の中庭を囲む美しい回廊
ポブレー修道院が美しい修道院と言われる理由は、主に下記の2点が挙げられます。
- 派手な装飾をしていない
- 様々な建築様式が用いられている
他の修道会とは違い、シトー会は派手な装飾を禁じています。
そのため、修道院の外観にも内装にも目立った装飾が見られない点が特徴の一つです!
また、ポブレー修道院には様々な建築様式が用いられている点も特徴になります。
ポブレー修道院で見られる主な建築様式は下記です。
- ロマネスク様式
- ゴシック様式
- バロック様式
特にバロック様式は、フランスのヴェルサイユ宮殿などにも使われているように豪華な様式として知られていますが、ポブレー修道院では豪華さ無く控えめに見られます。
あくまでもそれぞれの建築様式の良さを出しつつ、シトー会のルールに従った修道院建設になっているのです!
ちなみにポブレー修道院は19世紀に一度荒廃してます。
しかし、20世紀に修復が進められ、現在も修道士を中心に大切に保護され続けています。
「修道院+宮殿」独特な建物構造
シンプルなつくりの修道院内部
世界遺産登録名称では「ポブレー”修道院”」と明記されていますが、実は”宮殿”としての顔も持っているのです!
他のスペインの修道院と比較すると、ポブレー修道院は完成するまでに膨大な歳月をかけています。
ここまで長い年月がかかると、その時代に併せて用途が変わったり、その時代の様式トレンドが採用されたりと、建物の顔も変わってくるものです。
さらにポブレー修道院は、下記のような施設も併設しています。
- イスラム教の反撃に備えた館
- カタルーニャとアラゴンの王をまつる神殿
イスラム教からポブレーを含む地域を奪い取った後に、またイスラム教が攻撃を仕掛けてきても対応できるように、国の最高権力者が常に監視できるような館を修道院に建設しました。
さらに、ポブレーのあるカタルーニャ州と隣のアラゴン州の王様にお祈りを捧げるための神殿も建設しました。
このように複数の施設や建築様式が混在してる構造が、世界遺産としての価値をより高めているのです。
本日の確認テスト
(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
2級レベル
現在もポブレー修道院を使用しているキリスト教の組織名称として正しいものはどれか。
- ベネディクト
- アルビジョワ
- プロテスタント
- シトー
④
答え(タップ)>>1級レベル
『ポブレー修道院』に関する説明として正しいものはどれか。
- 聖堂の内壁にはキリスト教の8つの奇跡を描いたフレスコ画が存在する。
- 修道院のみならず敵の侵攻を監視する館や神殿などを併設する独特な構造が特徴。
- 12世紀の建造当初はラテン十字型プランのロマネスク様式だった。
- 黒い木彫りの聖母像が祀られているスペインにおけるマリア侵攻の中心として発展した。
②
答え(タップ)>>※「3,4級」レベルのトレーニングテストは対象外になります。
まとめ
- ポブレーの修道院はスペイン最大規模のシトー会修道院!
- 修道院には派手な装飾は見られないシンプルなデザイン!
- ロマネスク、ゴシック、バロックなど時代に合わせて様々な建築様式が採用されている!
- 宮殿、監視する館、神殿など複雑な建物構造が特徴的!
おまけ:「ポブレー修道院」のプチ観光情報
ポブレー修道院最寄りの村「レスプルガ・デ・フランコリ」
所在都市名(村) | ポブレー |
---|---|
最寄りの大きな都市 | タラゴナ |
最寄の空港 | バルセロナ・エル・プラット国際空港 |
最寄の駅 | レスプルガ・デ・フランコリ(L’espluga De Francoli)駅 |
時差 | 7時間(東京 – バルセロナ間) ※日本の方が7時間進んでます。 |
観光のベストシーズン | 通年(ぶどう畑の美しい景観を見たい場合は収穫前の「5〜9月」がおすすめ) |
治安 | 非常に良い |
物価 | 日本より少し安い |
残念なことに、ポブレー修道院へのアクセスは非常に悪いです。
一方で視点を変えると、訪れる観光客が少ないからこそ、当時の姿に近い状態で修道院が残されているということです!
さらに、観光客が少ないが故にゆっくりと静かな環境で自分のペースで観光をすることができます!
認知度が低い世界遺産だからこそ、訪れるメリットも多いことがわかりますね。
ポブレー修道院を訪れる際は、主に「①最寄り駅から徒歩」「②近くの大きな街からタクシー利用」の2パターンに分かれます。
【最寄り駅から徒歩の場合】
- バルセロナ・サンツ駅 ⇨ タラゴナ駅(所要時間:約1時間)
- タラゴナ駅 ⇨ レスプルガ・デ・フランコリ駅(所要時間:約1時間)
- レスプルガ・デ・フランコリ駅 ⇨ 徒歩で「ポブレー修道院」へ(所要時間:約50分)
【タクシー利用の場合】
- バルセロナ・サンツ駅 ⇨ タラゴナ駅(所要時間:約1時間)
- タラゴナ駅 ⇨ タクシーにて「ポブレー修道院」へ(所要時間:約50分)
「最寄り駅のレスプルガ・デ・フランコリ駅からタクシーを拾えばいいのでは?」
このように思った方も多いと思います。
しかし残念ながら、「レスプルガ・デ・フランコリ」は非常に小さい村のためタクシーは全く走っていません。
よって、レスプルガ・デ・フランコリからのアクセスだと、ほぼ間違いなく徒歩でのアクセスになります。
ポブレー修道院の観光拠点となる地中海沿いの街「タラゴナ」
徒歩の場合、往復だと約2時間もかかります。
昔の修道士気分で楽しく歩ける方であれば問題ない距離ですが、スムーズに観光をすることを優先させる場合は、最寄りの大きな街「タラゴナ」からタクシーで移動する方法が得策でしょう!
もちろんタクシー利用だと交通費はかなりかかるので、金銭的に余裕のある場合は検討してみましょう。
なお、ポブレー修道院へのより詳しいアクセスに関しては、下記の記事で解説してます。
合わせて読みたい!【ポブレー修道院 | アクセス】バルセロナ・タラゴナからの行き方を徹底解説!ポブレーはワインの産地として有名
修道院周辺には広大なぶどう畑が広がる
ポブレーの村は、大きく分けて下記の2つの顔を持っています。
- 世界遺産の修道院がある街
- スペイン有数のワインの生産地
ポブレーの気候と土地(土壌)はぶどうの生産に非常に適しています。
そのため古くからぶどうの生産が豊富で、ぶどうから生成されるワインの名産地になっていったのです!
実際にポブレーを訪れると、下記のようにワインの生産が盛んである様子が見てわかります。
- ポブレー修道院の周辺にはぶどう畑が広がっている。
- 修道院近辺では様々な種類のワインを販売している。
- 修道院近くのカフェやレストランではポブレー産ワインを提供している
ポブレー修道院のお土産店にはワインが並べられている
ポブレー内のカフェやレストランではポブレー産ワインを堪能することが可能です。
また、ワイナリー見学やぶどう畑を見て周ることもできます!
修道院を見学しつつ、美しいぶどう畑を見ながらレストランでワインを堪能する旅プランなんかは面白そうですね!
参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。