こんな方にオススメの内容!
- なぜペトラ遺跡が世界遺産に登録されたのか理由が気になる!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- ヨルダンや中東の歴史に興味関心がある!
- 次の旅行先の候補地を探している!
遺産ポイント
- ペトラの街は商人たちの交易路として繁栄し都市が築かれた!
- ペトラには巨大な建造物や用水路などいくつもの都市遺跡が残る!
- 築かれた遺跡群の用途は未だ明確には分かっていない!
「隊商都市ペトラ(ペトラ遺跡)」のプロフィール
登録名称 | 隊商都市ペトラ |
---|---|
登録年 | 1985年 |
所在国 | ヨルダン |
登録ジャンル | 文化遺産 |
登録基準 | (i)(iii)(iv) |
備考 | 新・世界七不思議に選出 |
そもそも登録名称の「隊商都市」とは?
遺跡の近くに数多くいるラクダは観光の移動手段として人気
まず「隊商」とは、主に砂漠のある地域で隊を組んで行き来する商人(商売をする人)の一団を指します。
英語だと「キャラバン」という言い方をしますね。
おそらく「隊長」というワードを聞いたことがある方は多いかと思いますが、これは隊商の中で指揮を取って統一した行動をさせるリーダー的存在の人を指します。
また、砂漠の中をラクダが列をなして歩いている写真なども見たことあるかと思いますが、あの写真こそ隊商である可能性が高いですね!
そしてこの「隊商」というワードに「都市」がつくことで
各地の商人たちが訪れる中継地点として栄えた都市
このような意味になります。
もっと簡単に言うと
「人の交流や商品の売買で栄えた都市」みたいなイメージですかね!
ちなみになぜ商人は列をなして砂漠を移動していたかというと、集団になることで略奪や暴行から身を守るためです!
また砂漠の途中で誰かの身に危険があってもすぐに他の人が助けてくれますからね。
ペトラに遺跡が築かれた歴史と発見
ナバテア王国の首都として繁栄したペトラ
ペトラ周辺は広大な砂漠に囲まれている
ペトラは前2世紀ごろからナバテア王国(ナバテア人が築いた国)の首都として栄えました。
栄えた大きな要因は、前述の「そもそも登録名称の「隊商都市」とは?」でも触れた人や商品の交流、つまり交易路としてペトラの街が頻繁に利用されたためです!
その後ペトラの街は下記のような歴史を歩んでいきました。
2世紀初頭 | ローマ帝国に併合されて衰退。 |
---|---|
4〜5世紀 | キリスト教徒が入ってきて教会などが建てられていった。 |
7世紀 | イスラム教徒の支配下となる。 |
12世紀 | 十字軍の城塞が築かれたのを最後に砂に埋もれることになる。 |
ペトラに遺跡群が築かれた理由をまとめると、下記のようになります。
- ナバテア王国という大きな国が築かれ、この国に各地から人や物が集まるようになった!
- ペトラの街は数々の国や宗教派がやってきたことにより宗教関連の建物を中心に様々な施設が築かれていった!
ペトラ遺跡の発見
岩の最上部から臨む巨大遺跡「アル・カズネ」
12世紀に砂に埋もれて以降、しばらくはペトラの存在を知る者はほとんどいませんでした。
しかし19世紀初頭に、スイス人のイスラム学者であるヨハン・ルートヴィッヒ・ブルクハルトによってペトラの遺跡群が再発見されたのです!
そして、ここから本格的にペトラの都市遺跡の発掘調査が行われ始めました。
現在も発掘調査は行われていますが、未だに全容が明らかになっていません!
なお下記の書籍では、今回解説したペトラの謎をより深堀してわかりやすく解説してます。
気になる方は、ぜひ一度手に取って読んでみてください。
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世界遺産に登録されている遺跡群
ペトラ遺跡周辺にいる猫(イスラム圏では猫は大切にされている)
ペトラの都市遺跡は主に
岩山に築かれた巨大な建物 + 用水路
この2つで構成されています。
その中でも特に観光地として有名な2つの巨大な遺跡について深堀していきますね!
ちなみにペトラにある遺跡の特徴としては、岩壁を彫刻のように彫り抜いて造られている点です。
ヨーロッパや北アフリカなどに多い、石を積み重ねた造りとはまた違う高度な技術が必要なことから、かつてこの街に暮らしていた人々の技術的な高さも世界遺産としての評価対象となっています!
また遺跡以外にも、数多くの用水路が築かれていた形跡があります。
これは、水が少ない砂漠地帯でも高度な技術を持って生活に十分な水を引いていた証になっています!
アル・カズネ(エル・カズネ)
映画「インディ・ジョーンズ」の舞台にもなったペトラ最大の見どころ「アル・カズネ(エル・カズネ)
「ペトラ遺跡 = アル・カズネ」
このように言ってもいいほどペトラで最も有名な遺跡がアル・カズネです。
アル・カズネ周辺に暮らすベドウィンからは、「カズネ・ファルウン(ファラオの宝物庫)」とも呼ばれています。
現在も調査が行われているものの、この巨大な遺跡がどんな目的で建てられたのかは未だにはっきりとわかっていません。
ただ、2003年の調査でこの遺跡の内部から埋葬された痕跡が見つかりました。
このことから、アル・カズネは墳墓(お墓)として使われていたのではないかと推測されています!
アル・カズネを造ったナバテア人は、岩壁に設計図を書きその設計図の輪郭に沿って彫り進めました。
ちなみに、この後紹介する別の遺跡も同様の手順で造られています。
補足として、アル・カズネを訪れる際は必ず「シーク」と呼ばれる渓谷の間の道を進むことになります。
そう、この渓谷の道がとても幻想的で観光客からは非常に好評なのです!
そして、渓谷の道を抜けた先に突如姿を表す巨大なアル・カズネが圧巻です。
エド・ディル
アル・カズネよりもひとまわり大きい「エド・ディル」
前述のアル・カズネほど有名ではないものの、エド・ディルもペトラを代表する巨大な遺跡です!
アル・カズネ同様に岩壁を彫って造られた遺跡ですが、こちらの遺跡は修道院または神殿として建てられたとされています。
またアル・カズネよりも一回り大きい跡である点も特徴で、ペトラ遺跡ツアーなどではアル・カズネと併せて訪れることが多いですね!
補足:日本政府がペトラ遺跡保護を援助している?
幻想的な姿を見せるライトアップされた「アル・カズネ」
実は2019年に日本の政府開発援助によってペトラ博物館が完成しました!
ペトラの発掘調査で出てきた遺跡や発掘物を博物館で厳重に管理することで、数百年数千年前のものであっても状態良く保存することが可能になります。
今回のペトラのように、日本は他国の世界遺産に対して援助をしているケースがよくあるのです。
本日の確認テスト
(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
3,4級レベル
アラビア語で「宝物庫」と言われ墳墓として建てられたと推測される建造物の名称として正しいものはどれか。
- アヤ・ソフィア
- ルクソール
- アル・カズネ
- ワット・プラシー・サンペット
③
答え(タップ)>>2級レベル
前2世紀ごろにペトラを首都としていた国名として正しいものはどれか。
- クシュ王国
- チャンパー王国
- ヒヴァ・ハン国
- ナバテア王国
④
答え(タップ)>>1級レベル
『隊商都市ペトラ』に関する説明として正しいものはどれか。
- 「ペトラ」とはアラビア語で「岩」を意味する。
- 4〜5世紀ごろにキリスト教の教会が建てられ7世紀ごろにイスラム教徒の支配下に入る。
- 19世紀初頭にフランス人の考古学者マドレーヌ・コラーニによって発見された。
- アル・カズネの内部からはヒエログリフをもとにしたとされるメロエ文字が見つかっている。
②
答え(タップ)>>「隊商都市ペトラ(ペトラ遺跡)」のまとめ
- ペトラはナバテア王国の首都で商人たちの交易路として栄えた!
- 19世紀にヨハン・ルートヴィッヒ・ブルクハルトによってペトラの都市遺跡が発見された!
- ペトラの遺跡・遺構は大きく分けて「岩山に築かれた巨大な建物 + 用水路」で構成されている!
- アル・カズネは墳墓として建造されたと推測されている!
- 発掘物の保護のために2019年に日本の政府開発援助によってペトラ博物館が完成した!
おまけ:ペトラ遺跡のプチ観光情報
空港のある最寄の街 | アンマン(ヨルダンの首都) |
---|---|
最寄の空港 | クイーンアリア国際空港 |
時差 | 6時間(東京 – アンマン間) ※日本の方が6時間進んでます。 |
観光のベストシーズン | 3〜5月、10〜11月 ※夏は外出が厳しいほど暑いためおすすめできません。 |
入場料 | 1日券:約7,000円(1日増えるたびに「+約600円」 ※2020年時点) |
治安 | 普通(都市部に比べると比較的良い) |
物価 | 安い(日本の1/3ほど) ※ただし、観光客向けのレストランは日本とあまり変わらない。 |
2021年時点では、残念ながら日本からペトラ遺跡のあるヨルダンまでの直行便は就航していないため中東諸国、またはヨーロッパの各都市の空港での乗り継ぎが必要です。
主に下記のフライトがアクセスが良いです。
- 日本 → ドバイ(UAE) → クイーンアリア国際空港(フライト時間:約15時間00分)
- 日本 → イスタンブール(トルコ) → クイーンアリア国際空港(フライト時間:約15時間00分)
ちなみに国際空港のある首都アンマンからペトラの街までは車で約4時間ほどかかるものの、アンマンからペトラまでの直通のバスは何本も出ています。
ですので、アンマン発の日帰りバスプラン、またはアンマン発のペトラ周辺のホテルに宿泊のプランのどちらかになることが多いですね!
またペトラの遺跡は、”世界で最も高い入場料の世界遺産”と言われるほど入場料が高額であることで有名です(苦笑)
全く嬉しくない情報ですが、そのぐらいの高額な金額を支払ってでも見る価値はあります!
それに2日3日続けて観光する場合は、たったの数百円で追加できるので日数で割れば1日あたりの料金は安く感じます。
参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。