こんな方にオススメの内容!
- なぜエトナ山が世界遺産に登録されたのか理由が気になる!
- エトナ山の火山噴火の歴史や周辺環境について知りたい!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- イタリア(シチリア島)への旅行を考えている!
遺産ポイント
- エトナ山は世界で最も活発に活動している成層火山
- 2,700年前から噴火していた記録が残る
「エトナ山」のプロフィール
登録名称 | エトナ山 |
---|---|
登録年 | 2013年 |
所在国 | イタリア |
登録ジャンル | 自然遺産 |
登録基準 | (viii) |
そもそも「エトナ山」とは?
エトナ山の麓にはカターニアの市街地が広がる
『エトナ山』とは、イタリア・シチリア島の東海岸にそびえる火山です。
地中海周辺の島で最も高い山で、標高は富士山より少し低い3,326mもあります。
そしてなんと、現在でも噴火を繰り返している活火山なのです!
世界を見渡しても、エトナ山ほど頻繁に噴火を繰り返している火山はあまりなく、世界で最も活発に活動している成層火山として知られています。
用語メモ
成層火山(せいそうかざん)とは、同じ場所で何度も噴火が起こる影響で、きれいな円錐型をした火山。日本の富士山やアフリカ最高峰のキリマンジャロなどが該当する。火山噴火の歴史
エトナ山の噴火は歴史上甚大な被害を及ぼしてきた
研究によると、エトナ山はなんと50万年前から噴火していることがわかっています!
そんな長い噴火の歴史を持つエトナ山で、特に有名な噴火が下記の2つです。
1669年の噴火 | 流れ出た溶岩が近くのカターニア市の市街地を破壊。最も大きな被害を出した噴火として記録されている。 |
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1992年の噴火 | 溶岩の流れを人の手による制御で初めて成功した。大きな人的被害が免れた歴史的な出来事。 |
1669年の噴火は、同じく火山噴火によって大きな被害を受けたことで知られている「ポンペイ」と似たような状態です。
そのため、”シチリア版ポンペイ”とも言えます。
一方で1992年の噴火は、過去の教訓を活かして、被害を最小限に食い止めることができた歴史的な出来事でした。
具体的な対策としては、堤防をつくって溶岩の流れをコントロールしつつ、溶岩が流れるための道を人工的につくるというものでした。
その結果、人のいない安全な方向に溶岩を流すことに成功したのです!
エトナ山はギリシャ神話にも登場している!?
噴火を繰り返すエトナ山でも冬には雪が積もり白銀の世界となる
驚きべきことに、なんとエトナ山はギリシャ神話に登場する神聖な山でもあるのです!
用語メモ
ギリシャ神話とは、古代ギリシャから語り継がれている、様々な神様が登場する物語。「ゼウス」「ポセイドン」「ヘラクレス」など著名な歴史上の人物が登場し、ギリシャでは必修教科となっている。ギリシャ神話では、エトナ山の噴火を”怪物の活動”と考えられています。
怪物名は「テュポン」と言い、ギリシャ神話の神々である「オリュンポス」と戦っているとされています。
最終的には、ギリシャ神話の最高神ゼウスが、エトナ山をテュポンに投げつけて山の下に閉じ込めて落ち着きます。
そのため、エトナ山の噴火はテュポンの吐く火と考えられているのです。
世界遺産登録理由
エトナ山の火口は大きく分けて4つに分けられる
『エトナ山』が世界遺産登録された理由は、火山噴火における貴重な研究の場となっているためです!
特にエトナ山は、地球上で起きている火山活動の仕組みや歴史を知る上で非常に重要な山です。
エトナ山には、主に下記の4つの火口が存在します。
- ポッカ・ヌオーバ
- ボラジネ
- 北東火口
- 南東火口
上記4つの火口は現在も活発に活動し続けており、山頂は人の立ち入りができない地域になっています。
理由1:火山噴火における貴重な研究の場となっている
エトナ山は現在でも度々噴火を繰り返している活火山
エトナ山は、地球上に存在する全ての火山と比較しても、火山噴火の歴史を色濃く残す貴重な山なのです。
噴火の歴史は、なんと今から約50万年前までさかのぼることができます。
この年数は、火山噴火の最も古い歴史と考えられているほどです。
具体的な噴火の記録としては、少なくとも2,700年前からあります。
現在でも継続的に噴火を繰り返しており、ここ40年は2年に1度のペースで噴火しています。
このように頻繁に火山噴火を見ることができるため、エトナ山は火山学、地球物理学、地球科学などに関する貴重な研究の場となっているのです。
動植物の生態系は登録理由になっていない
厳しい環境でも力強く自生する植物
エトナ山は頻繁に噴火を繰り返すことから、火山灰などが周辺の土壌に栄養をもたらしています。
さらに火山灰は、周辺の海には魚の大好物である植物プランクトンの増殖にも繋がり、エトナ山周辺は豊な動植物の生態系が広がっているのです。
このようにエトナ山の存在は、地球の生態系にとって欠かせないものとなっています。
しかし、残念ながらエトナ山の動植物の生態系は、世界遺産登録における評価ポイントにはなっていません。
評価されなかった理由は下記などが考えられます。
- 貴重な動植物が生息しているわけではない。
- 独自の進化を遂げた生物が生息していない。
- 生物多様性とは言い難い。
- 公式に発表されているものではなく、あくまでも筆者の考察です。
ただし、今後生態系に関する新たな発見などがあれば、動植物に関わる登録基準(ix)(x)が認められる可能性もあります。
本日の確認テスト
(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
2級レベル
『エトナ山』に認められている登録基準として正しいものはどれか。
- (vii)
- (viii)
- (ix)
- (x)
②
答え(タップ)>>1級レベル
『エトナ山』に関する説明として誤っているものはどれか。
- 噴火の歴史は2,700年前から記録されている。
- 4つの火口を持ち山頂は立ち入りが禁止されている。
- 世界で最も活発に活動している成層火山。
- 10万年前の火山噴火によって海域に小島を形成した。
④
答え(タップ)>>※「3,4級」レベルのトレーニングテストは対象外になります。
まとめ
- エトナ山は世界で最も活発に活動している成層火山。
- ギリシャ神話に登場するほど神聖な山。
- 2,700年前から噴火していた記録が残されている。
- 今なお継続的に噴火しているため火山学や地球物理学などの研究の場として重宝されている。
- 動植物の生態系は世界遺産登録のおける評価ポイントにはなっていない。
おまけ:「エトナ山」のプチ観光情報
エトナ山は気軽に登山ができる人気スポットでもある
最寄り都市 | カターニア |
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最寄り空港 | カターニア・フォンターナロッサ空港 |
公用語 | イタリア語 |
通貨 | ユーロ |
観光のベストシーズン | 5〜10月 ※冬季は雪が積もるため散策しづらい |
時差 | 7時間(サマータイム時は8時間) ※日本の方が7時間進んでます。 |
治安 | 良い |
物価 | 普通(日本と同じぐらい) |
エトナ山観光の最寄り都市は、シチリア島第二の都市カターニアです(第一の都市はパレルモ)。
カターニアの治安は、イタリア本土と比べると良い方です。
ただしイタリアは全土でスリなどの軽犯罪が多いので、観光中の手荷物管理には気をつけましょう。
アクセス
エトナ山観光の拠点となるカターニアの街並み
残念ながら、日本からエトナ山の最寄り都市カターニアまでの直行便は就航していません。
一方で、同じイタリアのローマとミラノへの直行便は就航しているため、イタリア国内経由でのアクセスになります。
- 日本の各空港 [フライト時間:約12時間]⇨ ローマ or ミラノ [フライト時間:1時間30分〜2時間]⇨ カターニア・フォンターナロッサ空港
- カターニア市内 [バス乗車時間:約1時間]⇨ エトナ山の駐車場(標高約1,900m地点)
カターニアからエトナ山までは、ツアー参加で訪れるのが一般的です。
(自力だと基本的にレンタカーになります)
また、標高2,920m地点まではロープウェイとシャトルバスで行けるため、登山や長時間のトレッキングなどの心配もありません。
ホテル情報(カターニア周辺)
カターニアは小規模な4つ星ホテルが中心
- 4つ星ホテルがメイン
- ビーチに面したリゾートホテルはほぼ無し
- コストパフォーマンスに優れている
カターニアは、シチリア島を代表する観光都市です。
そのため、4つ星ホテルを中心にホテルが充実しています。
ただし残念ながら、5つ星ホテルといった高級ホテルはほとんどありません。
また、市街地近くにビーチがあまりないため、リゾートホテルもほぼありません。
一方で、ホテルの価格はイタリア本土に比べると安いのが魅力です。
4つ星ホテル以上であれば設備や清潔感に問題はないため、コスパに優れた街と言えますね!
参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。