こんな方にオススメの内容!
- なぜ「金閣寺(鹿苑寺)」が世界遺産に登録されたのか理由が気になる!
- 「金閣寺」の建造理由&歴史を知りたい!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- 京都への旅行を考えている!
遺産ポイント
- 「池泉廻遊式庭園」「借景庭園」といった京都発祥の庭園様式が見られる点が高く評価された。
- 金閣(舎利殿)は世界遺産の登録対象外。
「金閣寺」のプロフィール
文化財名 | 金閣寺(鹿苑寺) |
---|---|
登録名称 | 『古都京都の文化財』の構成資産の一つ |
登録年 | 1994年 |
建造年 (推定) | 1397年 |
建造人物 | 足利義満(あしかがよしみつ) |
所在地 | 京都府京都市北区 |
登録ジャンル | 文化遺産 |
登録基準 | (ii)(iv) |
世界遺産登録理由
金閣寺の中心に位置するシンボルの池「鏡湖池(きょうこち)」
金閣寺が世界遺産に登録された理由は、下記の点を高く評価されたためです。
日本を代表する美しい庭園が見られる
正式名称を「鹿苑禅寺(ろくおんぜんじ)」という金閣寺は、今から約600年前の室町時代に建てられた禅寺(ぜんでら)です。
用語メモ
禅寺(ぜんでら)とは、仏教の宗派の一つである禅宗(ぜんしゅう)に関係するお寺を指す。金閣寺にある建物として最も有名な「金閣(舎利殿)」の周囲には、2つの特徴を持った広大で美しい庭園が広がっています。
- 池を中心に庭園が整備されている「池泉廻遊式庭園(ちせんかいゆうしきていえん)」
- 周囲の自然景観と融合した「借景庭園(しゃっけいていえん)」
池泉廻遊式庭園とは、池を中心として庭園を整備し、石や小山などを点在するように配置することで、訪れた人の視線を前後左右に動かせ、庭園に奥行きを与える造園技法です。
さらに池の中には葦原島(あしはらじま)をはじめとする大小の島々や、ユニークな岩なども配置されています。
一方で借景庭園とは、周囲の山や森林などの自然環境を庭園の一部として取り入れた造園技法です。
金閣寺の場合だと背後に衣笠山(きぬがさやま)がそびえ、境内から庭園を見るとちょうど山の景色と庭園がつながって見えるようになっています。
金閣寺は背後の「衣笠山(きぬがさやま)」を庭園の景観に取り入れている(借景庭園)
池泉廻遊式庭園や借景庭園に代表されるように、金閣寺に残る日本独自の庭園様式や、その庭園様式が日本全国、及び世界へ影響を与えた点が高く評価されました。
日本の世界遺産登録の条件としては、「国宝」「特別史跡」「特別名勝」などに指定されていることが挙げられます。
金閣寺の庭園はこのうち「特別史跡」「特別名勝」の2つを満たしています(要するに保全・保護体制がばっちり)。
一方で、金閣寺の建物はいずれも満たしていません。
よって、世界遺産登録の対象からは漏れてしまったのです。
なお、金閣寺の建物が世界遺産登録対象外になってしまった理由は、後述の「金閣(舎利殿)は世界遺産ではない!?金閣寺の歴史」で詳しく解説します。
金閣(舎利殿)は世界遺産ではない!?金閣寺の歴史
目玉の「金閣(舎利殿)」は世界遺産登録の対象外になってしまっている
前述の「世界遺産登録理由」でも触れた通り、金閣は世界遺産登録対象外です。
その最大の原因は、金閣は近年再建された建物だからです!
1338年 | 室町幕府が誕生し鎌倉から京都に政治権力が戻る。中国文化が混ざった北山文化が花開く。 |
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1397年 | 鎌倉時代に建てられた貴族の別荘を、足利義満(あしかがよしみつ)が北山文化を取り入れた宮殿(北山殿)へと造り替え始める。 |
1422年 | 足利義満の死後、夢窓疎石(むそうそせき)が現在金閣寺と呼ばれる寺院へと建て替えた。 |
1950年 | 放火により建物が焼失。 |
1955年 | 再建される。 |
金閣・舎利殿(当時は国宝に指定)は、昭和時代に何者かによって放火されてしまいました。
焼失から約5年後に再建されますが、現在見られる金閣の歴史の長さは100年も経っていない歴史の浅い建物なのです。
当然、再建された建物には歴史的価値の評価はされません。
庭園は当時の姿をとどめているため世界遺産の評価対象になっている
他の日本の世界遺産の同様の例としては、『北海道・北東北の縄文遺跡群』の構成資産の一つとして世界遺産登録されている「三内丸山遺跡」などが挙げられますね。
地上で見られる縄文住居などは再建(厳密には再現)されたものですが、建物が建っていたという痕跡(遺構)が残されているため、世界遺産には登録されています。
三内丸山遺跡に関しては下記の記事で詳しく解説しているので、金閣寺の世界遺産登録と比較しながら見てみてください。
合わせて読みたい!【三内丸山遺跡はなぜ世界遺産?】歴史や魅力を小学生でもわかるように解説!金閣寺単独で世界遺産登録されたわけではない
雪化粧をした冬の金閣もまた美しい
金閣寺は単独で世界遺産登録されているわけではありません。
『古都京都の文化財』という名称で複数登録されている社寺の中の一つとして、世界遺産に登録されています。
言い方を変えると、金閣寺単体での世界遺産登録はおそらく難しかったと考えられます。
- 庭園以外に評価ポイントが少なかったため。
- 京都の建築・造園の歴史の流れの中の一部として評価されたため。
- 金閣寺以外にも歴史的・文化的価値の高い社寺・庭園がたくんさんあったため。
金閣寺は、「北山文化」「池泉廻遊式庭園」「借景庭園」といった、京都独自の建築・造園の発展が見られる点が評価されています。
とはいえ他の社寺でも見られることや、京都の建築・造園の歴史の流れの1ページというくくりで評価されているため、他の社寺と合わせて世界遺産登録されるのが好ましいのです。
仮に単独での世界遺産登録を目指すのであれば、奈良県にある世界遺産『法隆寺』のように、時代背景が全く異なり、”世界最古の木造建造物”といったインパクトのある特徴を持つ必要が出てきそうですね。
本日の確認テスト
(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
2級レベル
金閣寺に取り入れられている庭園様式の名称として正しいものはどれか。
- 池泉廻遊式庭園
- 浄土式庭園
- 露地
- 枯山水
①
答え(タップ)>>1級レベル
北山殿を金閣寺へと立て替えた人物として正しいものはどれか。
- 藤原不比等
- 夢窓疎石
- 坂上田村麻呂
- 細川勝元
②
答え(タップ)>>※「3,4級」レベルのトレーニングテストは対象外になります。
まとめ
- 金閣寺の正式名称は「鹿苑禅寺(ろくおんぜんじ)」。
- 「池泉廻遊式庭園」や「借景庭園」が見られる点が高く評価された。
- 金閣(舎利殿)は近年再建されたため世界遺産としての評価を受けていない。
- 足利義満によって金閣寺の起源となる宮殿が建てられた。
- 夢窓疎石が宮殿を金閣寺へと改築した。
- あくまでも『古都京都の文化財』の構成資産の一つとして世界遺産登録されている。
おまけ:「金閣寺」のプチ観光情報(営業時間、アクセス、他)
目安参拝時間 | 最低2時間 |
---|---|
拝観可能時間 | 09:00〜17:00 |
休業日 | 無休 |
参拝料 | 大人:400円 小・中学生:300円 |
ベストシーズン | 通年 |
【アクセス】
- 京都駅発の市バス「101/205系統」に乗車、「金閣寺堂」バス停から徒歩約5分
金閣寺は清水寺と並んで京都を代表する世界的観光地です。
常に大勢の参拝客で混雑しているため、なるべく開園と同時に入ることをオススメします。
参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。