こんな方にオススメの内容!
- なぜグアナファトが世界遺産に登録されたのか理由が気になる!
- 銀鉱山やメキシコ独立運動の歴史を知りたい!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- メキシコへの旅行を考えている!
遺産ポイント
- グアナファトは銀鉱山の発掘により発展
- 「バレンシアナ教会堂」などスペインの影響を受けた建造物が多く建つ
- グアナファト大学を始めとする学園都市としても発展
「グアナファト」のプロフィール
登録名称 | グアナファトの歴史地区と鉱山 |
---|---|
登録年 | 1988年 |
所在国 | メキシコ |
登録ジャンル | 文化遺産 |
登録基準 | (i)(ii)(iv)(vi) |
備考 | 2つの世界遺産に登録されている (詳細はこちらから) |
グアナファトの街がカラフルな理由&歴史
散策しているだけでも楽しいグアナファトの街角
グアナファトの街がカラフルになった最大の理由は、スペインのお金持ちがたくさんのカラフルな豪邸を建て続けたからです!
1548年 | グアナファトで銀鉱山が発見される。 |
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17〜18世紀 | 当時メキシコを支配していたスペイン人が数百年にも及ぶ銀の採掘を行うようになる。グアナファトがスペインの植民都市となる。 ⇨採掘された銀のほとんどがスペインへ。 |
1810年 | メキシコがスペインを追い出す動きを見せ始める(反乱軍の蜂起) |
1821年 | スペインを追い出したメキシコが独立をする(メキシコ独立記念日) |
つまり、スペインは銀によって富を得ていたため豪邸を建てる余裕があったのです。
ちなみにグアナファトは、メキシコ独立運動で反乱軍が初めてスペインに勝利した歴史的な都市でもあります。
なお、メキシコ独立運動の詳細については、後述の「シルバーラッシュがメキシコ独立運動の引き金になった!?」で解説します。
世界遺産登録理由
グアナファトは標高2,100mの山地に位置するため丘に沿って街並みが広がる
グアナファトが世界遺産登録された理由は、下記の3つに大きく分けられます。
- 美しい街並みが広がる景観
- 銀鉱山の採掘により始まった文化交流の歴史を伝える
- 豪華で美しい建物が見られる
なお、前述の「グアナファトの街がカラフルな理由&歴史」で解説したように、”植民都市”として繁栄した歴史を持つ世界遺産の多くには、登録基準の(ii)が認められやすいのがポイントです。
理由1:美しい街並みが広がる景観
スペインの植民地時代の影響を受けてカラフルになった
前述の「グアナファトの街がカラフルな理由&歴史」で解説したように、美しいカラフルな街並みが広がる景色が評価されたことも世界遺産登録の大きなポイントです。
標高2,100mのアナワク高原に位置するグアナファトは、平地から丘に沿ってカラフルな家屋が無数に点在しています。
このカラフルな街並みは、スペインがメキシコを統治していた時代の名残で、「スペイン・コロニアル風」様式の建物と言われています。
スペインの貴族たちが銀鉱山によって得た富をアピールするために、カラフルで豪華な建物(邸宅)をたくさん建てました。
その結果、カラフルな街並みが誕生したのです。
また現在グアナファトは
「植民都市 ⇨ メキシコ最大の学園都市」
このような変化を遂げています。
次々と大学や宗教関連の建物が建てられたため、大きくて豪華な建物もカラフルな街並みにより彩りを添えました。
なお、グアナファトに建てられている代表的な建物の詳細は、後述の「豪華で美しい建物が見られる」で詳しく解説します。
理由2:銀鉱山の採掘により始まった文化交流の歴史を伝える
銀鉱脈の発見はグアナファトの発展に大きな影響を与えた
前述の「グアナファトの街がカラフルな理由&歴史」でも度々登場したように、グアナファトはスペインをはじめとする国・人種との文化交流が盛んに行われた場所です。
このように、大陸を超えた交流が行われたことによって発展した都市・街並みにも高い評価を受けています。
銀鉱山が見つかる前のグアナファトは、もともと何もない不毛の地でした。
ところが、グアナファトで道路建設が行われている最中に、なんとたまたま銀の鉱脈を発見したのです。
つまり、グアナファトではゴールドラッシュならぬ、”シルバーラッシュ”が始まったのです!
用語メモ
ゴールドラッシュとは、現在のカリフォルニア州に眠っていた金鉱脈の発見を機に、一攫千金のために世界中から人々が採掘に集まった出来事。アメリカ発展の大きなきっかけになった。18世紀頃(約300年前)のグアナファトの銀産出量は、なんと全世界の25%にも及びました。
あまりにも多くの銀が見つかったことで、グアナファトの人口は10万人に到達し、豪邸や教会なども次々と建てられていきました。
ちなみに、銀鉱山が衰退してからは、銀発掘のために掘られた道は地下道として住民に利用されるようになりました。
なお、世界遺産登録範囲には、グアナファトの街並みだけでなく、銀鉱山も含まれています。
シルバーラッシュがメキシコ独立運動の引き金になった!?
グアナファトで大量の銀が見つかったものの、発掘された銀のほとんどが当時メキシコを統治していたスペインのものとなってしまいました。
この対応に怒りを示したメキシコは、自国からスペインを追い出そうとしたのです。
つまり、結果的にグアナファトでの銀採掘がメキシコ独立運動を加速させることになりました。
また、銀の多くがスペインのものになったものの、銀採掘のために働かされたのは現地で生活をする住民(インディオやメスティソという表現がよく使われる)でした。
銀採掘の現場は劣悪な環境で、さらに低賃金だったため、住民の怒りは次第にヒートアップしていきます。
メキシコ独立運動に影響を与えた出来事をまとめると、下記の通りになります。
- グアナファトで見つかった銀なのにほとんどスペインのものになる。
- 銀採掘のために働かされたのは住民。
- 働いても低賃金&労働環境がひどい。
理由3:豪華で美しい建物が見られる
イエローカラーの可愛らしい「サンタ・マリア・デ・グアナファト聖堂」
グアナファトには、主に下記のような美しい建物が建てられています。
- バレンシアナ教会堂:「ウルトラ・バロック」と称される豪華な装飾が特徴。黄金がたくさん使われている。
- サンタ・マリア・デ・グアナファト聖堂:華麗なファサード(建物の正面)がシンボル。内部にはスペイン国王フェリペ2世が送った聖母像がある。
- グアナファト大学:1732年創設。グアナファトが学園都市と呼ばれるようになったきっかけの建物。
- フアレス劇場:1903年建設。外観は18世紀以降にヨーロッパで流行した新古典主義。内装は比較的新しいアール・ヌーヴォー様式。
グアナファトはスペインの植民都市であったため、建物のほとんどに当時ヨーロッパで流行していた建築様式が採用されています
グアナファトは2つの世界遺産に登録されている!?
驚くべきことに、グアナファトは2つの世界遺産に登録されているのです!
- グアナファトの歴史地区と鉱山
- カミノ・レアル・デ・ティエラ・アデントロ
『カミノ・レアル・デ・ティエラ・アデントロ』とは、採掘された銀などを他国に運ぶ際に整備された道を指します。
つまり、グアナファトで採掘された銀がこの道を使って運ばれていたのです。
『カミノ・レアル・デ・ティエラ・アデントロ』は、あくまでも文化交流・交易が行われた歴史が評価されています。
一方でグアナファトは、歴史だけでなく街並みや建物も評価されています。
このように評価ポイントが大きく異なる場合には
「街単体 + 道など」
このように2重で登録されるケースもあるのです。
同様の例としては下記なども挙げられます。
- フランスのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路:モン・サン・ミシェルとその湾(フランス)
- 16世紀から17世紀のヴェネツィアの防衛施設群:コトルの自然と文化 – 歴史地域(モンテネグロ)
特徴としては、片方の世界遺産が”シリアル・ノミネーション・サイト”である点です。
合わせて読みたい!【シリアルノミネーションサイトとトランスバウンダリーサイトの違いとは?】世界遺産の登録範囲のポイントをわかりやすく解説!本日の確認テスト
(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
3,4級レベル
グアナファトで見つかり後に街の発展に大きく影響した天然資源の名称として正しいものはどれか。
- 銀
- 金
- コバルト
- ダイヤモンド
①
答え(タップ)>>2級レベル
『グアナファトの歴史地区と鉱山』以外に登録されている世界遺産登録名称として正しいものはどれか。
- ティワナク文化の宗教的・政治的中心地
- カミノ・レアル・デ・ティエラ・アデントロ
- グアラニのイエズス会布教施設群(※一部省略)
- カパック・ニャン・アンデスの道
②
答え(タップ)>>1級レベル
グアナファトに実在する建物の名称として誤っているものはどれか。
- フアレス劇場
- ロザリオの聖母礼拝堂
- サンタ・マリア・デ・グアナファト聖堂
- バレンシアナ教会堂
②
答え(タップ)>>まとめ
- スペインのお金持ちがたくさんの豪邸を建てた結果カラフルな街並みが誕生。
- グアナファトはメキシコ独立運動で初めてスペインに勝利した歴史的な都市。
- スペイン・コロニアル風様式の建物が立ち並ぶ。
- たまたま発見された銀鉱山の発掘により大きく発展。
- 18世紀のグアナファトの銀産出量は全世界の25%を占めた。
- 世界遺産登録範囲には街並みだけでなく銀鉱山も含まれている。
- 「バレンシアナ教会堂」などのスペイン風の建物が数多く建つ。
- 現在はグアナファト大学を始めとする学園都市として有名。
- 2つの世界遺産に登録されている。
おまけ:「グアナファト」のプチ観光情報
グアナファトの宝石を散りばめたような美しい夜景
最寄り空港 | メキシコ・シティ国際空港 |
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公用語 | スペイン語 |
通貨 | メキシコ・ペソ |
観光のベストシーズン | 11〜4月 |
時差 | 15時間(サマータイム時は14時間) ※日本の方が15時間進んでます。 |
治安 | 普通(地域によってはあまり良くない) |
物価 | 少し安い(日本の約1/2) |
あまり治安が良くないイメージのメキシコですが、残念ながらグアナファトも地域によっては治安が良くありません。
夜間や観光地から外れた人気の少ない地域を散策することはなるべく避けましょう。
一方で、グアナファトはメキシコを代表する観光地であるため、観光客の多い昼間の中心部であれば比較的安心して散策できます。
グアナファト近くには日本の自動車工場があるため、日本人観光客も多く訪れる場所でもあります。
アクセス
メキシコの玄関「メキシコ・シティ」の近代的な街並み
グアナファトにアクセスする際に利用する空港は、首都のメキシコ・シティにあります。
なお、日本からメキシコ・シティへの直行便は就航しています。
- 成田 [フライト時間:約13時間]⇨ メキシコ・シティ国際空港
- メキシコシティ北バスターミナル [バス乗車時間:約5時間]⇨ グアナファト・バスターミナル [ローカルバス乗車時間:約30分]⇨ グアナファト市内中心部
- 「メキシコ・シティ – グアナファト」間のバス運賃(片道):3,000〜4,000円(一等車のバスは+2,000円ほど)
- 運行本数は1〜2時間毎に1本。
グアナファトまではバスで約5時間という長距離移動になるため、メキシコ・シティからの日帰り観光は困難です。
そのため、一般的にはグアナファトで最低1泊することになります。
また、もし体力的に5時間もバスに乗ることが厳しい場合は、同じく世界遺産に登録されている「モレリア」「ケレタロ」といった都市を挟んでアクセスするのもおすすめです。
人気の展望台「ピピラの丘」
「ピピラの丘」からはカラフルな街並みを一望することができる
グアナファトのカラフルな美しい街並みを見渡せるスポットが、「ピピラの丘」です!
市内中心部に位置するためアクセスが良く、徒歩だけでなくケーブルカーも整備されているため、グアナファト観光のマストスポットです!
丘の上からは、グアナファトの街の全景を見ることができます。
さらに、グアナファトは宝石を散りばめたような美しい夜景が見られることでも有名です。
ですので、昼と夜の2回に分けて訪れてみましょう!
参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。