こんな方にオススメの内容!
- カッパドキアとギョレメ国立公園が世界遺産登録された理由が気になる!
- カッパドキアが誕生した理由について理解したい!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- トルコへの旅行を考えている!
遺産ポイント
- 世界遺産登録範囲は主に「ギョレメ国立公園」と地下都市「カイマクル」「デリンクユ」に分けられる
- 奇岩はイコン破壊運動などから逃れるためにキリスト教徒が身を隠していた住居
- 「リンゴの聖堂」「暗闇の聖堂」など宗教関連施設が数多く残る
「カッパドキア」のプロフィール
登録名称 | ギョレメ国立公園とカッパドキアの岩窟群 |
---|---|
登録年 | 1985年 |
所在国 | トルコ |
登録ジャンル | 複合遺産 |
登録基準 | (i)(iii)(v)(vii) |
そもそも「ギョレメ国立公園」「カッパドキア」とは?
人気観光スポットの一つ「三人姉妹の岩」と呼ばれる奇岩
『ギョレメ国立公園とカッパドキアの岩窟群』がどんな世界遺産なのかを理解するためにも、まずは登録名称について分析してみましょう。
- ギョレメ国立公園:渓谷に位置する”ギョレメ”という街を中心とした国立公園。岩を掘って造られた数多くの聖堂や修道院が見られる。
- カッパドキアの岩窟群:洞窟住居や地下都市などで構成されている奇岩の総称。ギョレメにも数多くのカッパドキアがある。
カッパドキアとギョレメ国立公園は、トルコ中部に位置する奇岩群が見られることで有名な場所です。
一般的には「カッパドキア」という名前で広く知られています。
カッパドキアは、ギョレメ国立公園を中心にアナトリア高原に広く点在しています。
中には、奇岩の中をくり抜いて住居や聖堂に造り替えたり、渓谷の地層を活用した地下都市が築かれたりしているものもあります。
世界遺産登録理由
ギョレメ国立公園内で最も標高が高い丘「ウチヒサール城」
カッパドキアが世界遺産登録された理由は、下記の4点に大きく分けられます。
- ここでしか見られない奇岩群の絶景が広がる
- 地下都市や独特な洞窟住居の街並みが広がる
- 完成度の高い洞窟住居・聖堂・修道院が見られる
- キリスト教徒の生活跡が残されている
なお、世界遺産登録範囲は主に下記の3箇所で構成されています。
- ギョレメ国立公園
- カイマクル(地下都市)
- デリンクユ(地下都市)
理由1:ここでしか見られない奇岩群の絶景が広がる
キノコのような形をした奇岩群が見られる景色こそカッパドキア最大の特徴
カッパドキア最大の見どころと言っても過言ではないのが、自然の力によって誕生した奇岩群です。
カッパドキアでしか見られない奇岩群がつくりだす独特な自然景観は、自然遺産として高く評価を受けました。
カッパドキアが誕生したポイントは、巨大火山の噴火です。
- 約300万年前に現在のカッパドキア近くにある2つの火山が大噴火
- 一帯を大量の溶岩と火山灰が覆いつくす
- 溶岩と火山灰がどんどん堆積(たいせき)され深い地層が完成(地層の成分は「凝灰岩(ぎょうかいがん)」と「玄武岩(げんぶがん)」)
- 長い歳月をかけて雨風によって地層が削られていく
- 柔らかい凝灰岩の部分が削られ、硬い玄武岩の部分が残される
⇨カッパドキアの誕生!
そして、カッパドキアには独特な名前が付けられた岩がたくさん存在します。
- キノコ岩
- ラクダ岩
- 三人姉妹の岩
- ウチヒサール城:ギョレメ国立公園内で最も標高が高い丘。岩の中には複数の住居があり”集合住宅”のような存在。
また、カッパドキアには特有の植物が100種以上存在し、アカギツネやオオカミなどが生息する野生動物の宝庫でもあります。
理由2:地下都市や独特な洞窟住居の街並みが広がる
奇岩を利用した洞窟住居が無数に点在する
前述の「理由1:ここでしか見られない奇岩群の絶景が広がる」では、カッパドキアの自然遺産としての評価ポイントを解説しました。
一方で、カッパドキアには自然だけでなく文化としての評価ポイントもあります(つまり、複合遺産として登録)。
その代表的なポイントが、地下都市や独特な洞窟住居の街並みが見られる点です!
紀元前4000年頃(約6000年前)、カッパドキアをくり抜いて造られた初めての住居が誕生しました。
さらにその後、地層を掘り出して、以下に代表されるような”地下都市”の建設にも取り組み始めたのです。
- カイマクル:1万人以上が住んだと考えられている代表的な地下都市。
- デリンクユ:トルコ語で「深い井戸」を意味する、地下8階、深さ約85mもある巨大地下都市。
- この2つの地下都市が世界遺産に登録。
現在でも36の地下都市が発見されており、なんと最盛期には300箇所もの地下都市が存在していたと考えられているのです!
また、地下都市には最大で約10万人もの人々が暮らし、エレベーターなどの設備も整えられていた形跡が残されています。
ただし、洞窟住居や地下都市を
「だれが」「いつ」「どんな目的で築いた」
これらが全くわかっていないのです。
このように巨大な建造物であるにもかかわらず、不明な点が多いことから”世界の不思議○選”によく選出されます。
なお、カッパドキアにある地下都市の謎については、下記の書籍でより詳しく分析しています。
今回の記事内容の参考にもしているので、ぜひ一度手に取って読んでみてください。
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理由3:完成度の高い洞窟住居・聖堂・修道院が見られる
独特な地形の下には快適な環境の「地下都市」が存在する
カッパドキアは、なにも住居用としてのみ活用されていたのではありません。
なんと、聖堂や修道院など宗教関連の施設としても使われていたのです!
さらに、「学校」「厨房」「ワイナリー」など、カッパドキア一帯だけで一つのまちが形成されていたことがわかっています。
このように多くの施設を造ることができた最大の要因は、様々な形に加工しやすい凝灰岩が多く堆積していた点です。
現存する宗教関連施設として特に有名なのが、以下の聖堂です。
- リンゴの聖堂:聖堂の入り口にリンゴの木があったことが名前の由来。内壁には「最後の晩餐」の壁画が描かれている。
- バックルの聖堂:カッパドキア最大の聖堂。キリスト教徒の生涯を記録したものなどが表現されている。
- 暗闇の聖堂:聖堂内に外光が届かないことが名前の由来。光による色落ちがないため、今なお色鮮やかな壁画が残っている。
理由4:キリスト教徒の生活跡が残されている
聖堂や修道院などの宗教関連施設として使われた奇岩も数多くある
前述の「理由3:完成度の高い洞窟住居・聖堂・修道院が見られる」でも触れたように、カッパドキアには住居以外にも聖堂や修道院といったキリスト教関連施設も数多く残されています。
つまり、現在はイスラム教国家であるトルコにも、かつては多くのキリスト教徒が生活を送っていたのです!
大昔のトルコには、キリスト教を信仰する人々が数多くいました。
しかし、下記のような出来事の影響で、トルコからキリスト教徒が徐々に減っていってしまったのです。
- トルコのイスラム教化
- ビザンツ帝国によるイコン破壊運動(教会でのお祈りを禁止する命令)
用語メモ
ビザンツ帝国とは、4〜15世紀にかけて現在のトルコを中心に繁栄した巨大な国。古代ローマ帝国(現在のイタリア)の東側が領土だったことから「東ローマ帝国」と呼ばれることが一般的。3世紀ごろから、トルコでキリスト教の弾圧が開始されました。
さらに8世紀に入ると、イコン破壊運動によってトルコ国内でのキリスト教の肩身は狭くなっていきます。
そのため、トルコにいるキリスト教徒は弾圧から逃れるために、ギョレメ渓谷にある奇岩群に隠れようと決心します。
そう、この隠れた場所こそカッパドキアなのです!
噂を聞きつけたトルコ国内にいた他のキリスト教徒は、カッパドキアで生活するためにどんどん集まってきました。
結果、住居のみならず、洞窟聖堂や洞窟修道院などが誕生したのです!
なお建物内部には、フレスコ画などビザンツ美術の傑作が数多く残されています。
このように、キリスト教に関連する宗教関連施設や生活の痕跡が残されている点も、世界遺産としての高い評価を受けたのです!
ちなみに現在は、ギョレメ国立公園を中心に約30箇所の洞窟聖堂を見ることができます。
本日の確認テスト
(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
3,4級レベル
カッパドキアなどの奇岩群や聖堂などの宗教関連施設が見られる国立公園の名称として正しいものはどれか。
- メサ・ヴェルデ
- ミグアシャ
- グヌン・ムル
- ギョレメ
④
答え(タップ)>>2級レベル
かつてカッパドキアの洞窟住居に身を隠して生活していた人々の宗教名として正しいものはどれか。
- ユダヤ教
- ヒンドゥー教
- キリスト教
- ジャイナ教
③
答え(タップ)>>1級レベル
「カッパドキア」に関する説明として正しいものはどれか。
- 地下都市はイスラム教徒によって14世紀頃から造られた。
- 洞窟内にはモスクや宮殿などの宗教関連施設も造られた。
- アカギツネやオオカミなど野生動物の宝庫でもある。
- 地殻変動によって大地が隆起して誕生した。
③
答え(タップ)>>まとめ
- 世界遺産登録範囲は大きく「ギョレメ国立公園」「カイマクル」「デリンクユ」の3つに分けられる。
- カッパドキアは火山の噴火と雨風による浸食によって誕生した。
- 最盛期には300箇所の地下都市が存在した。
- 「リンゴの聖堂」「バックルの聖堂」「暗闇の聖堂」など宗教関連施設も残されている。
- イコン破壊運動などから逃れるために多くのキリスト教徒が洞窟住居で暮らしていた。
おまけ:「カッパドキア」のプチ観光情報
気球に乗って朝日を見る観光スタイルが大人気
最寄り都市 | ギョレメ、ネヴシェヒル |
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最寄り空港 | ネヴシェヒル・カッパドキア空港 |
公用語 | トルコ語 |
通貨 | トルコリラ |
観光のベストシーズン | 4〜10月 |
時差 | 6時間 ※日本の方が6時間進んでます。 |
治安 | 比較的良い(大都市イスタンブールに比べると良い) |
物価 | 安い(日本の1/2ほど) |
カッパドキアはトルコ最大の見どころと言っても過言ではないため、ホテルや飲食店などの観光施設が充実しています。
さらに、大都市イスタンブールなどと比べると比較的治安が安定しているため、初めてのトルコ観光に最適です。
ただし、個人でカッパドキアの主要スポットを全て訪れることは難しいため、なるべくツアーに参加して効率よく巡るのがオススメです。
アクセス
カッパドキアへはトルコ最大の都市イスタンブールを経由してアクセスする
残念ながら、日本からカッパドキア最寄り空港のあるネヴシェヒルへの直行便は就航していません。
ただし、トルコ最大の都市イスタンブールまでは直行便が就航しているため、1回の国内線乗り継ぎでアクセスが可能です!
【羽田or成田発の場合】
- 羽田or成田 [フライト時間:約12時間30分]⇨ イスタンブール・アタテュルク空港 [フライト時間:約1時間10分]⇨ ネヴシェヒル・カッパドキア空港
【その他の空港の場合(一例)】
- 日本各空港 [フライト時間:約2時間]⇨ 仁川国際空港(ソウル) [フライト時間:約11時間30分]⇨ イスタンブール・アタテュルク空港 [フライト時間:約1時間10分]⇨ ネヴシェヒル・カッパドキア空港
- その他「ドバイ」「シンガポール」経由などもある。
空港からカッパドキア観光の中心地「ギョレメ」までは、空港から出ているシャトルバスを利用すれば比較的簡単にアクセスができます(ギョレメまでは約30分)。
ギョレメに着くと、カッパドキアの主要スポットを巡るツアーを催行しているツアー会社がいくつかあるので、お好みのツアー会社を選んで参加してみましょう!
カッパドキアおすすめ滞在日数は「2泊3日」
奇岩の一部はホテルやレストランなどにも利用されている
- カッパドキア観光の目玉は「ギョレメ国立公園+地下都市(カイマクル、デリンクユ)」
- 主要スポットは1日で周りきれないほど広範囲に点在
- せっかくなら洞窟ホテルに泊まろう
カッパドキア観光で必要なおすすめ日数は、「2泊3日」です!
日本の旅行会社が催行しているツアーの多くも、たいてい2〜3日行程になります。
カッパドキア周辺の主要観光スポット
1日目 | ギョレメ国立公園観光(キノコ岩、三人姉妹の岩、ローズバレー、ギョレメ野外博物館、他) |
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2日目 | 気球に乗ってサンライズ鑑賞+地下都市(カイマクル、デリンクユ、他) |
3日目 | ウチヒサール城など+買い物 |
上記が、個人的なおすすめ滞在スケジュールです。
また、洞窟ホテルは大変人気が高いので、できれば数ヶ月前から予約を入れておきましょう。
参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。