こんな方にオススメの内容!
- エバーグレーズ国立公園が世界遺産登録された理由が気になる!
- エバーグレーズ国立公園に生息する固有種や絶滅危惧種を知りたい!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- アメリカへの旅行を考えている!
遺産ポイント
- オーキーチョビー湖を水源に持つアメリカ最大の湿原地帯
- ハンモックやマングローブなど特徴的な自然景観が見られる
- 2度も危機遺産登録された珍しい世界遺産
「エバーグレーズ国立公園」のプロフィール
登録名称 | エバーグレーズ国立公園 |
---|---|
登録年 | 1979年 |
所在国 | アメリカ |
登録ジャンル | 自然遺産 |
登録基準 | (viii)(ix)(x) |
備考 | 危機遺産に登録されている(詳細は後述で) |
そもそも「エバーグレーズ国立公園」とは?
平均水深が約30cmと非常に浅いのが特徴の一つ
『エバーグレーズ国立公園』とは、アメリカ・フロリダ州の南部に位置する、広大な湿原地帯で構成される国立公園を指します。
用語メモ
湿原とは、水によって湿った草原地帯を指す。日本では「釧路(北海道)」や「尾瀬(群馬県)」の湿原が有名。アメリカ最大の湿原地帯として知られ、その広大な面積には多種多様な動植物が生息しています。
さらに、エバーグレーズでしか見られない固有種や、絶滅危惧種に指定されている貴重な動物も数多く生息しているのです。
エバーグレーズ国立公園が危機的状況に置かれている理由に関しては、後述の「2度も危機遺産登録された理由」で詳しく解説します。
世界遺産登録理由
果てしなく続く湿原地帯
『エバーグレーズ国立公園』が世界遺産登録された理由は、下記の3点に大きく分けられます。
- 特徴的な自然景観が見られる
- 固有種を含む多様な生物が生息する
- 絶滅危惧種が生息する
なお、世界遺産登録範囲は国立公園全体の約1/5ほどと、意外にも限られたエリアなのです。
とはいえ、登録範囲だけでも日本の愛媛県の面積とほぼ同じ約5,900kmもの広さがあります!
理由1:特徴的な自然景観が見られる
海沿いには広大なマングローブ林が広がっている
エバーグレーズ国立公園以外ではなかなか見られない、特徴的な自然景観が広がる点が高く評価されたことが、世界遺産登録に大きく貢献しています。
【具体的な自然景観の特徴】
- 湿原地帯の平均水深はわずか30cm
- 「ハンモック」と呼ばれる島々が点在
- エリアによって生育する植物が異なる
エバーグレーズ国立公園の水は、国立公園の北部に位置する「オキーチョビー湖」から流れてくるものです。
そして湖の水は、園内に山や窪みなどの起伏が全くないため、国立公園の南側にあるフロリダ湾に向かって1日数cm〜数mという非常にゆっくりなペースで流れています。
その結果、平均水深がわずか30cmという広大な湿原が誕生したのです!
さらに、湖周辺には”湿原版の島”とも言える「ハンモック」と呼ばれる島がたくさん存在します。
この島の正体は、「マホガニー」や「シダ」など熱帯植物などが密集して誕生した植物の塊なのです。
また、フロリダ湾の近くは淡水と海水が混ざり合う環境であるため、広大なマングローブの森林が広がっている点も特徴です。
用語メモ
マングローブとは、主に暖かい地域の海と川or湖の境目に生育する植物の総称。日本では沖縄県や奄美大島(鹿児島県)などで見られる。理由2:固有種を含む多様な生物が生息する
国立公園内はワニの遭遇率が高いほどワニの楽園
エバーグレーズ国立公園には、魚類から大型の哺乳類、貴重な固有種まで、幅広い動物が生息しています。
加えて、多種多様な植物が生育している点も特徴です。
このように、エバーグレーズ国立公園が様々な動植物が生息する楽園となった最大の要因は、ハンモックとマングローブの存在が大きく影響しています。
(ハンモックとマングローブに関しては、後述の「特徴的な自然景観が見られる」で解説してます)
- 豊な水によってハンモックやマングローブの森林が増える。
- 水や植物を求めてシカなどの大型哺乳類が集まるようになる。
- 一方で植物の周囲が小魚やカニなど住処になる。
- エサを求めてワニや鳥類(サギ、ヘビウなど)がやってくる。
つまり、ハンモックやマングローブが食物連鎖の重要な役割を果たしているのです!
「海水×淡水」「温帯×熱帯の動植物」
このような複雑な生態系が見られる場所は、エバーグレーズ国立公園以外ではなかなかありません。
なお、植物は固有種を含めて約1,000種、動物はアリゲーターとアメリカンクロコダイルの2種類のワニを含めた約700種が生息しています。
理由3:絶滅危惧種が生息する
絶滅が危惧されているマナティ
エバーグレーズ国立公園には、多種多様な動植物が生息してることに加え、絶滅危惧種に指定されているような貴重な動物も生息しています。
【主な絶滅危惧種や希少動物】
- フロリダピューマ
- フロリダパンサー
- アメリカマナティ
- アメリカンクロコダイル
ただしこれらの絶滅危惧種は、必ずしも世界遺産登録された当時から指定されていたわけではないのです。
実は、世界遺産登録後に人間の手によって絶滅危惧種になってしまった動物も少なくありません。
絶滅危惧種が増えてしまった具体的な理由に関しては、後述の「2度も危機遺産登録された理由」で詳しく解説します。
2度も危機遺産登録された理由
水質汚染は国立公園の深刻な問題の一つ
エバーグレーズ国立公園は、実は2度も危機遺産登録されてしまった非常に珍しい世界遺産なのです。
そして、現在も危機遺産に登録されたままです。
1947年 | アメリカ政府によって国立公園に指定される。 |
---|---|
1979年 | 世界遺産登録。 |
1993年 | 水位の低下や水質汚染が問題になる。危機遺産リストに掲載。 |
2007年 | 商業目的の漁業の禁止や環境を改善するプロジェクトの進行によって危機遺産リストから脱する。 |
2010年 | 水質汚染が改善されなかったため再び危機遺産リストへ掲載。 |
エバーグレーズ国立公園周辺には、人口の多いマイアミなどの大都市や人気観光都市が多く点在します。
そのため都市部で必要な生活用水は、水が豊富な近くのエバーグレーズ国立公園から引かれてしまっているのです。
加えて、都市部の汚染された生活用水が海や川に流れ込む問題も同時に発生してます。
都市部の大規模な再開発の影響も受け、1930年代から現在に至るまでに、魚類80%、鳥類90%が減少してしまっています。
さらに、固有種のフロリダピューマやアメリカマナティなどを含む50種以上の生物が絶滅危惧種に指定されてしまっているのです。
一方で、一時は姿を消していたフラミンゴが見られるようになったなど、少しずつ改善が見られるものの、危機遺産から脱するような根本的な解決には至っていません。
本日の確認テスト
(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
2級レベル
湿原地帯に点在する植物で作られた島の名称として正しいものはどれか。
- バルゼア
- ハンモック
- セラード
- アレルセ
②
答え(タップ)>>1級レベル
「エバーグレーズ国立公園」が危機遺産登録された原因として正しいものはどれか。
- 過度な観光客の増加
- 森林伐採
- 外来種の増加
- 水質汚染
④
答え(タップ)>>※「3,4級」レベルのトレーニングテストは対象外になります。
まとめ
- エバーグレーズ国立公園はオキーチョビー湖を水源とするアメリカ最大の湿原地帯。
- 湿原地帯の平均水深はわずか30cm。
- マンモックやマングローブなどの特徴的な自然景観が見られる。
- 「フロリダピューマ」「アメリカマナティ」など絶滅危惧種の生息地。
- 水位の低下や水質汚染によって2度も危機遺産登録された。
おまけ:「エバーグレーズ国立公園」のプチ観光情報
エバーグレーズ国立公園では頻繁にボートツアーが催行されている
最寄り都市 | マイアミ(厳密には、フラミンゴ、シャークバレー、エバーグレーズシティの3都市) |
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最寄り空港 | マイアミ国際空港 |
公用語 | 英語 |
通貨 | USドル |
観光のベストシーズン | 11〜4月 |
時差 | 14時間 ※日本の方が14時間進んでます。 |
治安 | 普通 ※マイアミなどの都市部を参考 |
物価 | 高い(日本の約1.5倍) ※マイアミなどの都市部を参考 |
エバーグレーズ国立公園を訪れる場合は、ほぼ間違いなく人気観光地マイアミを経由することになります。
治安は決して良いとはいえず、物価も高めではあるものの、「リゾート×国立公園」という2度おいしい観光ができるため、一度は訪れるべき場所です。
なお、国立公園には多くの蚊やハエがいるため、虫除けスプレーがマストアイテムとなります!
園内の売店でも購入可能なので、必ず虫対策はしておきましょう。
アクセス
エバーグレーズ国立公園の観光拠点となるマイアミのビーチ沿い
残念ながら、日本からマイアミまでの直行便は就航していません。
そのため、1度アメリカ国内で経由することになります。
- 日本各空港 [フライト時間:11〜13時間]⇨ アメリカ国内経由(ロサンゼルス、ニューヨーク、他) [フライト時間:3〜6時間] ⇨ マイアミ [陸路移動時間:約1時間]⇨ エバーグレーズ国立公園(シャークバレー)
エバーグレーズ国立公園の観光拠点は、「フラミンゴ」「シャークバレー」「エバーグレーズシティ」の3カ所になります。
特にシャークバレーは、都市部から比較的近く、ワニなどの大型動物を見ることができるため、人気の高い観光拠点となっています。
基本的には、マイアミなどから催行されているツアーに参加して訪れるのが一般的ですが、レンタカーによるアクセスも可能です。
エバーグレーズ国立公園のホテル情報
エバーグレーズ国立公園で美しいサンセットを見たい場合はキャンプ場に泊まるのがおすすめ
- 国立公園内にホテルは無い
- 数カ所のキャンプ施設の利用が可能
- マイアミからの日帰りが一般的
国立公園内は、小さなキャンプ場が数カ所あるだけで、大型ホテルなどはありません。
そのため、マイアミから日帰り観光で訪れることが一般的です。
ただし、湿原から見る朝日は息を呑むほど美しいため、事前にキャンプ場を予約して国立公園内で宿泊することも可能です。
参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。