こんな方にオススメの内容!
- エレファンタ石窟群とはなにかを知りたい!
- エレファンタ石窟群が世界遺産登録された理由が気になる!
- なぜ建造されたのか歴史ついて詳しく知りたい!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- インドへの旅行を考えている!


遺産ポイント
- ポルトガル人によって偶然発見されたヒンドゥー教の寺院群
- 岩山を彫って造られた寺院内にはヒンドゥー教の神様「シヴァ神」に関係する多くの彫刻が見られる
- 「三面のシヴァ神の胸像」がシンボル
「エレファンタ石窟群」のプロフィール
登録名称 | エレファンタ石窟群 |
---|---|
登録年 | 1987年 |
所在国 | インド |
登録ジャンル | 文化遺産 |
登録基準 | (i)(iii) |
そもそも「エレファンタ石窟群」とは?

2023年にエレファンタ島を訪れた際の様子
エレファンタの特徴を一文で表現すると、下記のようになります。
インドの宗教に関する彫刻や石像が数多く残されている岩山を彫って造られた寺院群
- インドの宗教:ヒンドゥー教
- 岩山を彫って造られた寺院:石窟寺院
- 寺院がある場所:エレファンタ島


今から約500年前、ポルトガル人がエレファンタ島に上陸しました。
この上陸の際に、たまたま島で石で形造られた巨大なゾウを発見しました。
この発見以降、島はゾウを意味する「エレファンタ(ト)島」と呼ばれるようになったのです。
なお、島の名前の由来になったゾウの石像は現在は島では見られず、「ドクター・バウ・ダージ・ラッド」という博物館に収められいます。
石窟に関係する「シヴァ神」とは?

石窟群内にはシヴァ神に関する多くの彫刻が見られる
エレファンタ島を語る上で欠かせないキーワードがあります。
そのキーワードとは、「シヴァ神」です。
前述の「そもそもエレファンタ島とは?」で解説したように、エレファンタ島で見られる彫刻や石像はヒンドゥー教に関するものです。
そして、ヒンドゥー教には大きく分けて3つの代表的な神様がいます。
そのうちの1つが、シヴァ神です。

エレファンタ島はこのシヴァ神に対してお祈りを捧げる中心地として発展してきました。
つまり、エレファンタ島はヒンドゥー教を信仰する人々にとって大切な聖地の一つなのです。
世界遺産登録理由

世界遺産登録モニュメント
「エレファンタ島の石窟寺院群」が世界遺産登録された理由は、大きく下記の2つに分けられます。
- 美しく貴重なヒンドゥー教の芸術作品が見られる
- ヒンドゥー教の歴史を伝える彫刻や石像が数多く残されている

理由1:美しく貴重なヒンドゥー教の芸術作品が見られる

エレファンタ島の石窟群では多くの優れた彫刻や石柱を見ることができる
エレファンタ島の石窟寺院は、最も古いもので今から約1500年前に造られた考えられています。
そんなはるか昔のヒンドゥー教の建物や彫刻、石像作品が今なお良好な状態で残されている点に価値があると評価されています。
【エレファンタ島石窟寺院の特徴】
- 石窟寺院は西側に5つ、東側に2つの計7つ築かれている
- 洞窟内部は彫刻された石像で埋め尽くされている
- 洞窟の細部にいたるまで細かな彫刻が施されている


前述の「そもそもエレファンタ島とは?」で解説したように、エレファンタ島の石窟寺院はポルトガル人によって発見されました。
ポルトガルは主にキリスト教を信仰しており
「キリスト教にとってヒンドゥー教は邪魔な存在」
という偏った考えを持っていたため、ポルトガル人はエレファンタ島で見つけた多くの彫刻や石像を破壊していきました。
しかし一方で、「三面のシヴァ神の胸像(詳細は後述)」と言われるエレファンタ島で最も有名な石像や彫刻はキリスト教の「三位一体」という考えに通ずるものがあると思い、壊さずに残したのです。
用語メモ
三位一体(さんみいったい)とは、3つの別々のものごとが1つに結びつくというキリスト教における考え。「父」「子」「霊」の3つは全て神様という存在であり、本来は1つのもの(三位)として考えるのが好ましいとされる。そして、三面のシヴァ神の胸像とそれに関係する彫刻や石像が残されたことで、現在でも当時の芸術作品を見ることができるのです。

理由2:ヒンドゥー教の歴史を伝える彫刻や石像が数多く残されている

エレファンタ石窟群最大の見どころ「三面のシヴァ神の胸像」
エレファンタ島に残されている彫刻や石像は、当時のヒンドゥー教の歴史を分析する上で非常に貴重なものと評価されています。
なかでも、エレファンタ島で最も有名、且つ芸術性を感じることができる「三面のシヴァ神の胸像」が残されている第1窟は、今でもヒンドゥー教徒にとって非常に神聖な空間として知られています。

【三面のシヴァ神の胸像の特徴】
- 高さ5.5mもある繊細な彫刻が施された巨大な石像
- シヴァ神の3つの性格とされる「創造」「破壊」「維持」が表現されている
三面のシヴァ神の胸像は、3体のシヴァ神の石像がつくられているのではなく、1体の石像の顔の左右正面にそれぞれの表情が彫られています。
- 創造(正面):瞑想中の穏やかな表情
- 破壊(左):険しく強張った表情
- 維持・守護(右):眠りについているような表情
このシヴァ神の石像を見てわかるように、ヒンドゥー教徒の人々は、神様には様々な性格があり、いろんな表情で自分たちを見守ってくれているという考えが根付いていたのです。

本日の確認テスト



(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
2級レベル
『エレファンタ石窟群』に大きく関係する宗教として正しいものはどれか。
- ジャイナ教
- ゾロアスター教
- ヒンドゥー教
- 仏教
③
答え(タップ)>>1級レベル
エレファンタ石窟群の第1窟に残されている石像の名称として正しいものはどれか。
- 三面のシヴァ神の胸像
- マハーボディ
- アザル・ゴシュナスブ
- ブランド・ダルワーザ
①
答え(タップ)>>※「3,4級」レベルのトレーニングテストは対象外になります。
まとめ

- エレファンタ石窟群はポルトガル人によってたまたま発見されたヒンドゥー教の寺院。
- ヒンドゥー教の神様「シヴァ神」信仰の中心地として発展。
- 美しく貴重なヒンドゥー教の芸術作品が見られることが評価された。
- ヒンドゥー教の歴史を伝える彫刻や石像が数多く残されていることが評価された。
- 「三面のシヴァ神の胸像」がエレファンタ石窟群のシンボル。
おまけ:「エレファンタ石窟群」のプチ観光情報

石窟寺院に向かうまでの道には多くの露店が軒を連ねている
拠点となる都市 | ムンバイ |
---|---|
最寄り空港 | チャトラパティ・シヴァージー国際空港 |
公用語 | ヒンディー語 |
通貨 | インドルピー |
営業時間 | 09:00 – 17:30 |
休業日 | 月曜日 |
料金 | 乗船チケット:260ルピー(往復) 入島税:5ルピー 入場料:600ルピー ※ビデオ撮影をする場合は別途25ルピー |
観光のベストシーズン | 10〜4月 |
時差 | 3時間30分 ※日本が3時間30分進んでます。 |
治安 | 普通(スリなどの軽犯罪には要注意) |
物価 | 安い(日本の1/3ほど) |
ビザ | 必要(アライバルビザ、e-visaあり) |
ムンバイ市内は決して治安が良いとは言えませんが(エリアによる)、石窟寺院のあるエレファンタは島であるため、比較的安心して散策することができるのが魅力です。
一方で、雨季にあたる「6〜9月」は波が荒れて船が欠航することもあるため、雨季に訪れる際は余裕を持って2日ほどスケジュールを確保しておきましょう。
アクセス

エレファンタ島までは小型の船で約1時間の船旅
日本からエレファンタ石窟群の最寄り都市ムンバイへの直行便は就航しています。
航空会社:全日空(ANA) NH829
フライト時間:10時間50分
乗車時間:約1時間
※往路の最終便は「15:00」
徒歩:約30分
エレファンタ島行きの乗船場は、ムンバイのランドマークの一つであるインド門の近くにあります。(インド門へ入るための簡易セキュリティチェックあり)
ただし、乗船場とは言ってもチケットカウンターのような施設は無く、乗船場近くで手渡しでチケットを配っているため、スタッフに直接お金を払って乗船することになります。

エレファンタ島到着後、石窟寺院群のある場所まで約30分ほど歩くことになります。
その道中には多くの階段があるため、必ず歩きやすい服装と登りやすい靴で訪れましょう。
ムンバイのホテル情報

ムンバイおすすめホテル「ゴードン・ハウス・ホテル」の客室(一例)
- ホテル密集エリアは「コラバ地区」と「フォート地区」
- 高級ホテル密集エリアは無くムンバイ市内に点在
- 3〜4つ星ホテルの相場は「5,000〜10,000円/1泊」
ホテルが多く点在する地区は、ムンバイ南部の「コラバ地区」と「フォート地区」です。
この2つの地区は観光名所も多いため、観光客が拠点にする地区になります。

一方で、有名な外資系ホテルや高級ホテルは、必ずしもコラバ地区やフォート地区にあるとは限りません。
例えば、インターコンチネンタルホテルは「マリンドライブ」という観光エリアに位置してますが、フォーシーズンズホテルは観光エリアから少し離れたエリアに位置しています。
このようにホテル重視で選ぶと、観光エリアから少し離れる可能性があるので、事前にホテルの立地は確認しておきましょう。
なお、エレファンタ島行きの船が出ているインド門近く(コラバ地区)にも数多くのホテルがあるため、必ずエレファンタ島を訪れる場合はインド門付近でホテルを探すこともおすすめです。

参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。