こんな方にオススメの内容!
- なぜ「コルドバ歴史地区」が世界遺産に登録されたのか理由が気になる!
- コルドバにイスラム建築が数多く残っている理由を知りたい!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- スペイン(コルドバ)への旅行を考えている!
遺産ポイント
- 「イスラム教」「ユダヤ教」「キリスト教」の文化が融合する街
- 6世紀にはイスラム教の国「西ゴート王国」が支配
- 「メスキータ」など今でもイスラム建築様式の建物が数多く残る
「コルドバ歴史地区」のプロフィール
登録名称 | コルドバ歴史地区 |
---|---|
登録年 | 1984年 |
所在国 | スペイン |
登録ジャンル | 文化遺産 |
登録基準 | (i)(ii)(iii)(iv) |
そもそもコルドバとは
コルドバの旧市街は大きな城壁に囲まれている
コルドバとは、スペイン南部のアンダルシア州に属する古都です。
アンダルシア州の中では第三の人口を抱える、比較的大きな都市になります。
コルドバの歴史をざっくりまとめると、下記になります。
紀元前3世紀〜5世紀(約2300〜2500年前) | ローマ(現在のイタリア)が支配 ⇨人、物、文化の交流が盛んになり発展 |
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6世紀 | 西ゴート王国(南フランスから現在のスペインにかけて繁栄していた国)が支配 ⇨引き続き交流が盛ん |
8世紀初頭 | イスラム教の国「後ウマイヤ朝」が統治 ⇨後ウマイヤ朝の首都としてコルドバが大きく栄える |
10世紀 | コンスタンティノープル(現在のトルコ・イスタンブール)やバグダード(現在のイラクの首都)と並ぶ、イスラム教の大都市へと遂げる |
13世紀 | 衰退し始めていたイスラム教の国をキリスト教の国「カスティーリャ王国」が攻める |
13世紀中頃 | キリスト教が統治する国に変わる |
8世紀頃にコルドバがイスラム教の国の首都になったことが、現在でもイスラム建築様式の建物を多くみることができる大きな要因になります。
コルドバで大人気のフォトスポット「花の小道」
そして、イスラム教からコルドバを奪い取ろうと考えたキリスト教の国の人物がフェルナンド3世です。
つまり、フェルナンド3世による決断が無ければ、現在でもコルドバはイスラム教が支配する都市のままだったかもしれないのです!
コルドバが世界遺産に登録された理由
メスキータと隣接する鐘楼の美しいライトアップ
世界遺産名称の「コルドバ歴史地区」からみてわかる通り、コルドバの歴史的建造物が多く建つエリア(主に旧市街と言われるエリア)が世界遺産の登録範囲です。
そして旧市街エリアが世界遺産に登録された要因は、大きく分けて下記の3点になります。
- コルドバならではの美しい建築物群
- 様々な宗教の建物が混在する
- 独特な建築様式の建物が多く残る
なお、コルドバ以外のスペイン南部の都市「セビージャ」「グラナダ」などでも、コルドバと似たような理由で世界遺産登録されています。
理由①:イスラムとキリストの建築様式が融合する美しい建築物群
聖堂の中ではイスラム建築様式を随所に見ることができる
前述の「そもそもコルドバとは」でも触れたように、コルドバの街は歴史上「イスラム教」と「キリスト教」の2大宗教に支配されていた時期が長かったです。
そのためキリスト教の都市となった現在でも、イスラム教の建築様式を持つ建物が数多く残っています。
イスラム建築様式は、当時のキリスト教徒の人々にとっても見惚れてしまうほどの美しいものでした。
そのため、イスラム建築を全て壊してしまうのではなく、現存するイスラム建築をキリスト教系の建築様式に少しずつ改修していく方針に決めたのです(諸説あり)。
グアダルキビルダ川越しに見るコルドバの夜景
もちろん他にも理由があります。
例えば、全てを取り壊して一から建設すると、建造までに多くの時間と予算がかかってきます。
つまり、少しでも早くコルドバを守るためのお城や砦を建てるという目的を達成するには、完全な取り壊しは非効率だったのです。
このような背景から、現在のコルドバでもイスラム教の建築様式を随所に見ることができる建造物が多く残っているのです。
理由②:様々な宗教の文化交流が図られた
手前は「ローマ橋」奥に見えるのはコルドバのシンボル「メスキータ(聖堂)」
コルドバは歴史上、下記の3つの宗教の活動拠点とされてきました。
- イスラム教
- ユダヤ教
- キリスト教
つまり、コルドバは様々な宗教が融合する特殊な都市だったのです。
このような文化交流が図られたことによって、コルドバの街が大きく発展したという歴史に価値があるとされたことが、世界遺産登録に至った要因の一つになります。
異なる文化同士が交流することで、その文化・宗教を持つ他の様々な国に対しても、街の繁栄や新たな文化・伝統の誕生をもたらすケースがあります。
つまり、現在見られる街の繁栄の土台部分として、異なる文化同士の交流の歴史が大きく関係してくるのです!
理由③:独特な建築様式
「オレンジの中庭」から見るメスキータの正面
前述の「理由①:イスラムとキリストの建築様式が融合する美しい建築物群」で触れたように、コルドバの歴史的建造物の多くに、イスラムとキリストの建築様式が混在しています。
このように、様々な宗教の様々な建築様式の建物や街並みが今でも残されていることに、世界遺産登録としての価値があるとみなされました。
例えば、外見だけ見るとゴシック様式やバロック様式など、主にヨーロッパで広くみられる建築様式が目立ちます。
しかし1歩中に入ってみると、「モザイク装飾」などのイスラム建築様式の特徴的なデザインが見られたりします。
他にも、下記のようなイスラム建築を見ることができます。
ミナレット(塔) | 改修して聖堂に隣接する監視塔などに使われることがある。 |
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モスク | 建物の骨格や内部の装飾をそのまま残し外見をゴシックなどのヨーロッパの建築様式に改修 |
世界遺産に登録されている主な名所
綺麗に手入れがされたアルカサルの庭園
前述で何回も触れてきたように、コルドバ歴史地区内に点在する建造物の多くが、イスラム教の建築様式に大きく影響を受けています。
そんな多くの建造物の中で、特に歴史的にも価値のある壮大な建物や街並みをピックアップして紹介します。
メスキータ(大聖堂)
メスキータ内部には馬蹄形のアーチがいくつも連なる壮大な光景が広がっている
【ポイント】
- イスラム建築様式が色濃く残るコルドバ最大規模の聖堂
- 内部では馬蹄形アーチやモザイク装飾などが見られる
- ミナレットや「オレンジの中庭」など広大な敷地を有する
コルドバのシンボル的存在とも言える建物が「メスキータ」です。
イスラム教の国が支配していた時代には、何度も改修工事が行われ、世界最大規模のモスク(イスラム教の聖堂のようなもの)として使われていました。
しかし、キリスト教の国がコルドバを支配すると
モスク ⇨ カテドラル(聖堂)
上記のように活用が変更されました。
ただ、キリスト教関連の建物に変わったとはいえ、現在でもイスラム建築様式の面影が随所に残っています。
特に有名なのが、メスキータ内部にある「円柱の森」と呼ばれる、馬蹄形アーチがいくつも連なる姿です!
アルカサル
アルカサルの広大な庭園
【ポイント】
- かつてはイスラム教の王様の宮殿として使われていた
- キリスト教時代には他国からの攻撃に備える砦として使われていた
- 広大な庭園や美しい噴水を併設している
現在はお城(アルカサル)として保存されていますが、イスラム教の国がコルドバを支配していた時代には、イスラムの王様の宮殿として建造されました。
その後、キリスト教がコルドバを支配すると、宮殿をそのまま活用として、コルドバの街を守るための砦として使われました。
また宮殿の名残から、季節の花々が美しく咲き誇る広大な庭園も併設しています。
ユダヤ人街
メスキータの鐘楼から見たユダヤ人街の白い街並み
【ポイント】
- かつて多くのユダヤ人が暮らしていた住居エリア
- スペイン南部らしく白い家屋がいくつも連なる姿は絶景
- ユダヤ教の教会「シナゴーガ」が特に有名
イスラムとキリストの印象が強いコルドバですが、白い街並みが広がるユダヤ人街はユダヤ教の人々が生活していた歴史を漂わせる空間です。
白い家屋には花の小鉢がいくつも飾られ、とりわけ「花の小道」と呼ばれる場所は、道沿いにいくつも花々が咲き誇る、コルドバ屈指の人気観光地となっています。
ユダヤ人の教会「シナゴーガ」の内部
また、ユダヤ人が建てた「シナゴーガ」という教会の内部には、漆喰(しっくい)という建築素材で作られた美しい装飾を見ることができます。
カラオーラの塔&ローマ橋
かつて監視塔としての役割があった「カラオーラの塔」
【ポイント】
- 「ローマ橋」はコルドバの旧市街と新市街を結ぶ重要な橋
- ローマ橋を通行する人々を監視する役割を持つのが「カラオーラの塔」
コルドバの街に流れる大きな川「グアダルキビル川」にかかる橋が「ローマ橋」です。
この橋はその名の通り、ローマ人がコルドバを支配していた時代に建てられた古い橋です。
ローマ橋はコルドバの街に入る際の重要な橋であり、同時に敵の侵入も防がなければならない橋でもありました。
ローマ橋越しから見るコルドバ旧市街の景色は絶景
そんなローマ橋を渡る人々を監視する役割として建てられたのが「カラオーラの塔」です。
この塔は新市街側に建てられおり、ローマ橋を監視し、コルドバへの侵入を防ぐための要塞としての役割がありました。
現在は、コルドバ周辺の歴史を知ることができる博物館として使われています。
本日の確認テスト
(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
3・4級レベル
もともとはイスラム教のモスクとして建てられ、現在はキリスト教の聖堂として使われている建物の名称として正しいものはどれか。
- ヒラルダ
- アルカサバ
- アルハンブラ
- メスキータ
④
答え(タップ)>>2級レベル
歴史上コルドバを拠点としていた記録が残る宗教として誤っているものはどれか。
- ユダヤ教
- イスラム教
- キリスト教
- ヒンドゥー教
④
答え(タップ)>>1級レベル
『コルドバ歴史地区』の説明として正しいものはどれか。
- 聖堂の東部に位置するヘネラリーフェは王の離宮として使われていた。
- 6世紀頃に西ゴート王国が統治し交易拠点として繁栄した。
- 10世紀に入ると聖堂に「エル・シモロ」と呼ばれる塔が建造された。
- 11世紀頃になるとカスティーリャ王国の首都として繁栄した。
②
答え(タップ)>>まとめ
- 「イスラム教」「ユダヤ教」「キリスト教」の文化が融合する街
- イスラム教の国「西ゴート王国」が支配しイスラム文化が根付く
- フェルナンド3世によってキリスト教が支配する街へと変貌
- 馬蹄形アーチが美しい「メスキータ」など今でもイスラム建築様式を見ることができる建物が多く残る
おまけ:「コルドバ」のプチ観光情報
コルドバ新市街の中心「テンディーリャス広場」
人口 | 約30万人 |
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最寄の空港 | コルドバ空港 |
通貨 | ユーロ |
観光のベストシーズン | 4〜10月(街やアルカサルに綺麗な花々が咲き誇る時期) |
時差 | 7時間(東京 – コルドバ間) ※日本の方が7時間進んでます。 |
治安 | 比較的良好 |
物価 | 日本とほぼ同じ |
コルドバへのアクセスは、海外とスペイン国内の最低でも2回の飛行機による乗り換えが必要です。
またマドリードからであれば、高速鉄道を利用してのアクセスが可能です。
【全て空路の場合】
- 日本各都市の空港 ⇨ 中東(ドバイ、アブダビ、ドーハ、他) or ヨーロッパ(ロンドン、フランクフルト、他) ⇨ マドリード or バルセロナ ⇨ コルドバ空港(フライト時間:約20〜22時間)
【鉄道利用の場合】
- 日本各都市の空港 ⇨ 中東(ドバイ、アブダビ、ドーハ、他) or ヨーロッパ(ロンドン、フランクフルト、他) ⇨ マドリード・バラハス国際空港(フライト時間:約18〜20時間)
- マドリード・アトーチャ駅 ⇨ コルドバ駅(所用時間:約2時間)
治安に関しては、マドリードやバルセロナといった大きな都市と比べると、安全な傾向にあります。
ただし、コルドバはスペインを代表する観光都市です。
そのため、観光客を狙ったスリなどは定期的に発生するため、手荷物の管理には十分に気をつけましょう。
パティオ祭り
パティオ祭り期間中の様子 / 参照:「Nao」さんのInstagramより
毎年5月に2週間ほど開催され、旧市街を中心に美しい花の小鉢が飾られるコンクール形式の祭り
- 町中に花が飾られる光景を見てみたい!
- 普段なかなか入ることができない家屋の中庭を見てみたい!
上記に当てはまる方には強くおすすめできます!
そもそもは、自宅の中庭に数多くの花々を飾って美しさなどを審査するコンクール形式のイベントです。
そのため、コンクールに参加する中庭の数だけ、美しい花々を見ることができるというわけです。
パティオ祭り開催期間中には、国内はもちろん世界中から観光客が押し寄せるため、コルドバの街は大変混雑します。
とはいえ、混雑してでも5月の祭り期間しか見ることができない、花々に飾られたコルドバの街並みを見る価値は十分にあります。
おすすめホテル:ポサーダ・デ・バリナ(Posada de Vallina by MiRa)
歴史を感じるホテル内のパティオ(中庭)
【宿泊ポイント】
- メスキータよりも古い歴史的な建物をホテルに改修
- あのコロンブスが滞在したという記録が残っている
- 美しい中庭(パティオ)や石造のロビーなどもはや観光スポットのようなホテル
世界遺産の旧市街に位置し、コルドバの人気観光スポット「メスキータ」の目の前に建つプチホテルです。
世界遺産の旧市街に位置していることからも分かるとおり、ホテルの建物自体も世界遺産に登録されています。
そして最大の特徴と言えるのが、あの歴史的に有名な航海士「コロンブス」がコルドバに立ち寄った際に宿泊したホテルとして有名なのです!
ホテルのロビーに飾られている巨大な絵画
そんな歴史を刻むポサーダ・デ・バリナ・ホテルは、石造のロビーや歴史を感じさせてくれるパティオ(中庭)など、もはや観光スポットでもおかしくないほど見所があります。
また、人気観光スポットのメスキータの真隣に位置するため、コルドバ観光の拠点としても非常におすすめできるホテルです。
- ポサーダ・デ・バリナ(Posada de Vallina by MiRa)
参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。