こんな方にオススメの内容!
- なぜボロブドゥールが世界遺産に登録されたのか理由が気になる!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- インドネシアへの旅行を考えている!
遺産ポイント
- ボロブドゥールの建造目的はいまだ多くの謎に包まれている!
- 世界遺産に登録されているのはボロブドゥールを含めた3つの寺院遺跡!
- 建築構造は仏教の世界観を表現しブッダの生涯を伝えている!
「ボロブドゥール」のプロフィール
登録名称 | ボロブドゥール寺院遺跡群 |
---|---|
登録年 | 1991年 |
所在国 | インドネシア |
登録ジャンル | 文化遺産 |
登録基準 | (i)(ii)(vi) |
備考 | 世界三大仏教遺跡の一つ! |
そもそもボロブドゥールとは?
ボロブドゥール寺院遺跡の全体像
ボロブドゥールとは簡単に言うと”インドネシアにある仏教寺院の遺跡の一つ”です。
現在は”遺跡”であるため、日本の法隆寺などのような現役で使用されている寺院というわけではありません。
つまりかつて仏教徒の信仰(しんこう)の中心的存在だった寺院ということですね。
ちなみにボロブドゥールは、カンボジアの「アンコールワット」、ミャンマーの「バガン」と並んで”世界三大仏教遺跡”の一つです!
(なお、バガンに関してはこちらの記事で詳細に解説してます)
なお建造されたのは8世紀末(今から約1200〜1300年前)で、当時インドネシアを統治していたシャイレンドラ朝(ジャワ島中部にマレー人が建てた王朝)が建造したとされています。
ボロブドゥールが建造された理由
ボロブドゥールの中央の通り
こんなにも巨大な仏教建造物が作られた理由に関してですが、結論としては「いまだに建造理由がはっきりとわかっていない」となります!
現代の研究技術があっても建造理由がはっきりとわかっていない大きな理由としては、ボロブドゥールが長らく人目に触れない状態で取り残されていたからです。
目に触れない状態で取り残された理由としては大きく分けて2つあります(あくまでも仮説)。
- ボロブドゥール周辺の自然環境が人の出入りを阻んだため。
- イスラム教徒の人口が増えたことによる異教徒からの攻撃を恐れたため。
遺跡自体が熱帯雨林の中にあるため、生い茂る密林に埋もれてしまい人に見つけられることがなかったことが有力です。
さらに遺跡の近くにあるムラピ火山の噴火の影響を受けて何度も火山灰などに埋もれてしまっていた歴史があります。
また別の説としては、インドネシア国内にイスラム教徒が増えたことで、イスラム教徒に見つかって壊されないためにも、正体を明らかにせずに守り続けることを優先したという話もあります。
とはいえ研究が進むにつれてボロブドゥールの正体が少しずつわかってきてるのも事実です。
詳しくは後述の「修復工事によって見事に蘇ったボロブドゥール」で触れています。
修復工事によって見事に蘇ったボロブドゥール
ボロブドゥール周辺には密林のジャングルが広がっている
前述の「ボロブドゥールが建造された理由」でも触れたように、ボロブドゥールは長年誰にも発見されないまま放置されていました。
ところが1814年にイギリス人のトーマス・ラッフルズによって発見されると一気に注目が集まったのです!
しかし遺跡が発見された当時は非常に劣化しており、このままだと寺院自体が崩壊しかねない状態でした。
そのためボロブドゥールを復元させるためにユネスコなどを始めとした国際機関が動きだしたのです!
ボロブドゥールの修復に関するポイントは下記になります。
- 1907年に基礎的な調査と1回目の修復工事が行われた。
- 1973年の2回目の修復工事は国際協力を得ながら10年にも及ぶ大規模修復となった。
- ボロブドゥールの修復工事には日本の協力が大きく関わっている。
- 修復工事によって寺院のヒミツも徐々に解明されていった。
また特に有名な出来事としては、ボロブドゥールの修復完成式典での桑原武夫(くわばらたけお)氏によるコメントです。
彼は下記のようなコメントを残しています。
世界遺産とは地球の品位を守るもの。
要するに世界遺産は地球上の自然や文化を次世代へと残していくことを指しています。
ボロブドゥールの修復工事は文化を次世代へと引き継いでいくことを目的の一つとしていたわけですね。
世界遺産に登録されている3つの寺院
ボロブドゥールに数体配置されているライオン像
世界遺産登録名称にも書かれているように「寺院遺跡”群”」として登録されているため、ボロブドゥール寺院以外にも世界遺産に登録されている寺院があります。
2021年時点で世界遺産に登録されている寺院遺跡は以下の3つです。
- ボロブドゥール寺院
- パウォン寺院
- ムンドゥー寺院
なによりも特徴的なのが、上空から見ると3つの遺跡が一直線状に並んで建造されているのです!
パウォン寺院の特徴は以下の通りです。
- ボロブドゥールとほぼ同年代の8世紀末に建造されたと考えられている。
- 聖樹カルパタルや半人半鳥の音楽神であるキンナラなどのレリーフで覆われている。
一方でムンドゥー寺院の特徴は以下の通りです。
- 寺院の入り口付近に美しい仏教のレリーフがある。
- 寺院内部には「観世音菩薩像」「金剛手菩薩像」「釈迦如来像」が残っている。
ボロブドゥールの特徴に関しては後述の「ボロブドゥールが世界遺産に登録された理由」で詳しく解説します。
ボロブドゥールが世界遺産に登録された理由
近づくとその圧巻の巨大さを感じる
ボロブドゥールが世界遺産に登録された理由は分かりやすく言うと下記の2点になります。
- 世界的にも美しく珍しい仏教遺跡!
- ジャワ島(インドネシア)で仏教が栄えた歴史を今に伝えている貴重さ!
仏教建造物としての美しさと特徴的な造り
中央にそびえるのは「ストゥーパ」という仏塔
ボロブドゥール寺院の写真を見てもわかる通り、壮大で美しい建物である点が世界遺産登録の理由であることは間違いありません!
さらにボロブドゥールの特徴としては下記などが挙げられます。
- 自然の丘を利用してピラミッド状に建造されている!
- 9つもの層が積み重なって寺院が形成されている!
- 頂上にはストゥーパがそびえる!
- 各階の回廊にはレリーフやきめ細かな彫刻が施されている!
ピラミッド状の仏教遺跡は世界的に見ても非常に珍しいです!
このような形で建造された大きな要因は、ボロブドゥール周辺にある丘を利用して建造されたことが大きいですね。
この丘を利用することで少ない石材で大きな寺院を建造することを実現させています。
さらに丘を利用していることで寺院の内部が存在しない点も特徴です!
ボロブドゥール遺跡から東に約30km行ったところにそびえるムラピ山は歴史上度々噴火を繰り返していました。
その影響でボロブドゥール周辺には火山岩が落ちてきます。
そう、この火山岩こそボロブドゥール建造で使用された石材の一つなのです!
また各階に刻まれている彫刻やレリーフの美しさも魅力の一つですが、彫刻やレリーフの内容の詳細については後述の「ジャワ島で仏教が栄えた歴史を今に伝える」で解説しますね!
頂上にそびえるストゥーパは、曼荼羅(まんだら)という色彩あざやかな絵図を立体的に表現しています。
これは立体的な曼荼羅ということで「立体曼荼羅」と呼ばれています。
ジャワ島で仏教が栄えた歴史を今に伝える
ブッダ(仏陀)の生涯を記したレリーフの数々
現在インドネシアの国民の99%がイスラム教を信仰(しんこう)しています。
そのため何百年前にインドネシアで栄えた仏教の歴史を今に伝える建造物は非常に貴重なのです!
その当時の仏教を表現しているのがボロブドゥールの回廊にある彫刻やレリーフの数々です。
レリーフは「ブッダ(仏陀)の生涯と仏教の教え」を伝えています。
そして回廊に沿ってある1,300面のレリーフを時計回りで見ていくとストーリー仕立てになっているのです。
ボロブドゥール全体の構造で言うと、大乗仏教の宇宙観である「三界(さんがい)」が表現されています。
三界とは具体的には下記の3つの世界を指しています。
①欲界(よくかい) | 欲望にとらわれた人が住む世界 |
---|---|
②色界(しきかい) | 「欲界」以上に欲にとらわれた人が暮らす世界 |
③無色界(むしきかい) | 「色界」をも超え精神だけで生きている人が住む世界 |
まとめると、ボロブドゥールはあらゆる方法で仏教の世界観を表現し、イスラム教が主教となった現代においても仏教を広く伝えている貴重な寺院遺跡ということですね!
本日の確認テスト
(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
3,4級レベル
ボロブドゥール寺院を建造したとされる王朝の名称として正しいものはどれか。
- バガン朝
- パッラヴァ朝
- グプタ朝
- シャイレンドラ朝
④
答え(タップ)>>2級レベル
『ボロブドゥール寺院遺跡群』として世界遺産に登録されている寺院として誤っているものはどれか。
- マーヤーデヴィ寺院
- パウォン寺院
- ボロブドゥール寺院
- ムンドゥー寺院
①
答え(タップ)>>1級レベル
『ボロブドゥール寺院遺跡群』に関する説明として誤っているものはどれか。
- 回廊にある彫刻やレリーフは仏陀の生涯を伝えるストーリーとなっている。
- 1973年から本格的に始まった修復工事は日本も協力している。
- ボロブドゥール寺院遺跡は1814年にトーマス・ラッフルズに発見されて以降注目されるようになった。
- ボロブドゥールの建築構造は仏教が政治もコントロールしていることを表現している。
④
答え(タップ)>>「ボロブドゥール」のまとめ
- 8世紀末にシャイレンドラ朝によって建造されたがいまだに建造目的ははっきりと分かっていない!
- トーマス・ラッフルズに発見されて以降、日本も協力に関わって修復工事が続けられた!
- 世界遺産には「ボロブドゥール寺院」「パウォン寺院」「ムンドゥー寺院」の3つが登録されている!
- 建築構造は仏教の宇宙観である「三界」を表現し、彫刻やレリーフでブッダ(仏陀)の生涯を伝えている!
おまけ:ボロブドゥールのプチ観光情報
空港のある最寄の街 | ジョクジャカルタ |
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最寄の空港 | ジョクジャカルタ国際空港 |
時差 | 2時間(東京 – ジョクジャカルタ間) ※日本の方が2時間進んでます。 |
観光のベストシーズン | 4〜11月の乾季 ※12〜3月は雨季に当たるため観光に不向き |
治安 | 比較的良い ※ただし、ジョクジャカルタ中心部ではスリなどの軽犯罪に要注意 |
物価 | 安い(日本の約1/3) |
ボロブドゥール観光の拠点となる街は「ジョクジャカルタ」です。
インドネシア国内の中でも比較的大きな都市であるため、宿泊施設や飲食店などは非常に充実しています!
日本と比べると物価は非常に安く、特に宿泊代は4つ星以上のホテルであっても1万円以内で宿泊できるほどです!
日本ではなかなか体験できないちょっと贅沢な生活を、ジョクジャカルタなら実現できそうですね。
ボロブドゥールまでのアクセス
2018年にボロブドゥールを訪れたときの様子
残念ながら2022年時点では、日本からボロブドゥールの最寄り都市となる「ジョクジャカルタ」への直行便は就航していません。
そのため、最低でも1回の乗り継ぎを経てアクセスすることになります。
主なフライトは下記の通りです。
- 成田 ⇨ ジャカルタ ⇨ ジョクジャカルタ国際空港(フライト時間:約9時間半)
- 羽田 ⇨ デンパサール(バリ島) ⇨ ジョクジャカルタ国際空港(フライト時間:約9時間)
- 関空 ⇨ シンガポール ⇨ ジョクジャカルタ国際空港(フライト時間:約9時間半)
インドネシア経由以外にも、「シンガポール」や「マレーシア」といった隣国を経由したフライトもあるので、日本からのアクセスは比較的良好と言えますね。
また東南アジア諸国へは「エアアジア」というLCC(格安航空会社)が数多く就航しているので、航空運賃を押さえて訪れることも可能です!
そして、ジョクジャカルタから寺院遺跡群へのアクセス方法は、大きく分けて下記の4つになります。
- 日本の旅行会社主催のツアーに参加して空港から直接バスで向かう。
- ホテルや市内にあるツアーデスク等で現地主催のツアーに申し込む。
- 空港でタクシーを拾って向かう。
- 一度ジョクジャカルタ市内に行き、バスを乗り継いで向かう。
安心安全な旅行を第一と考えている方は、日本で事前にツアーに申し込むのが一番です!
ボロブドゥールツアーは多くの旅行会社が主催して、インドネシアの物価自体も安いためツアー参加料金は比較的安価なものが多いです。
一方で、「自分たちで自由に周りたい」且つ「早く訪れたい」と考えている場合は空港でタクシーを拾う方法が最良の選択ですね。
ただもちろんツアー参加やバス利用に比べると料金は高くなります。
ボロブドゥール周辺にはタクシーも多く止まっているので、帰りのタクシーも比較的容易に捕まえることができます。
ボロブドゥール観光の拠点となるジョクジャカルタの中心部の様子
「価格重視」で訪れようと考えている場合はバス一択ですね!
ジョクジャカルタ市内からは、ボロブドゥール行きのバスが定期的に運行しています。
ただし市内中心部からだと1度乗り換えが必要になるので、旅慣れた方向けのアクセス方法になります。
行き方についてまとめると下記になります。
- 自由度・早く訪れること優先:タクシーを利用!
- 価格重視:市内からのバス利用!
また近年人気を集めているのが、バリ島からのボロブドゥール日帰りツアーへの参加ですね!
インドネシア旅行といえば定番のバリ島が有名ですよね。
そんな人気リゾート地から、日帰りでボロブドゥールを訪れるツアーを主催する旅行会社が非常に増えています。
そのため、「リゾート×遺跡」という新感覚な旅行を楽しめます!
ボロブドゥールおすすめホテル①:マノハラ・リゾート・ホテル(Manohara Resort)
ホテルポイント
- 世界遺産のボロブドゥールに最も近いホテル!
- 遺跡に近いため「日の出〜日の入り」までの姿を見ることができる!
- 安心の3つ星グレードのため十分な設備が整っている!
- 空港までのシャトルバスの利用可能!
遺跡へすぐにアクセスできることはもちろん、ホテル宿泊者専用のボロブドゥール遺跡への入り口があるため混雑を回避してスムーズに遺跡内に入ることができます。
またなによりも、いつでも気軽に遺跡を訪れることができるため、朝日やサンセットなどのタイミングを狙って遺跡観光をすることが容易にできます!
日本の旅行会社が主催するツアーで利用されるホテルとしても増えてきています。
美しい日の出を見られるのもホテル宿泊者の特権
グレード | ★★★☆☆ |
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価格 | 12,000円/泊〜(時期によって異なります) |
住所 | Komplek Taman Wisata Candi, Kw. Candi Borobudur, Borobudur, Magelang, Central Java 56553 |
公式HP | https://manoharaborobudur.com/ja-jp/ |
ボロブドゥールおすすめホテル②:プラタラン・ボロブドゥール・リゾート&スパ(Plataran Borobudur Resort & Spa)
ホテルポイント
- 世界遺産ボロブドゥールまでタクシーで5分程とアクセス抜群!
- ボロブドゥール周辺のホテルの中でも大型の高級リゾートホテル!
- 大型のプールや充実したレストラン・スパ施設などを完備しファミリーやカップルにもおすすめ!
- 空港までのシャトルバスの利用可能!
ボロブドゥール周辺のホテルの中でも一際高級感を放つ大型のリゾートホテルです。
各部屋は広々としていてスタイリッシュでアメニティが充実しているので、どのお客さん層にも満足できる空間になってます。
遺跡までも近いので、ホテルのレンタサイクルサービスを利用して気軽にアクセスしてみるのもいいですね!
グレード | ★★★★☆ |
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価格 | 16,000円/泊〜(時期によって異なります) |
住所 | Dusun Kretek, Karangrejo, Borobudur, Magelang, Central Java 56553 |
公式HP | https://www.plataran.com/heritage-borobudur/ |
参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。