こんな方にオススメの内容!
- なぜウルル、カタジュタ国立公園が世界遺産に登録されたのか理由が気になる!
- なぜ自然遺産ではなく複合遺産に登録されたのか理由が気になる!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- オーストラリアに興味関心がある!
- 次の旅行先の候補地を探している!
遺産ポイント
- 登録名称は「ウルル」と「カタジュタ」という2つの巨岩の名前から付けられている!
- 先住民族アボリジニのアナング族の伝統的な生活が見られる点も世界遺産の評価ポイント!
- 現在はオーストラリア政府が先住民族から土地を借り受けている状況!
「ウルル、カタジュタ国立公園」のプロフィール
登録名称 | ウルル、カタ・ジュタ国立公園 |
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登録年 | 1987年(範囲拡大:1994年) |
所在国 | オーストラリア |
登録ジャンル | 複合遺産 |
登録基準 | (v)(vi)(vii)(viii) |
なんでエアーズロックじゃないの?世界遺産名の謎
エアーズロック周辺は広大な砂漠が広がっている
この大きな岩の姿を見るとおそらく多くの方が、「エアーズロック」と答えると思います。
しかし、エアーズロックという名前はあくまでも別名であり、本来の名前は「ウルル」と言います!
この地に暮らす先住民族は、エアーズロックのことを神聖な場所としてあがめており、この時に「ウルル」と呼ばれていました。
しかし、ウルルと呼ばれていた時代にはまだエアーズロックは世界中に認知されておらず、ウルルという名前が浸透することはありませんでした。
その後、イギリスの探検家ウィリアム・ゴスによってウルルが発見されました!
この発見後に、当時の南オーストラリア植民地総督であった「ヘンリー・エアーズ」の名前から取って「エアーズロック」と名付けられたのです。
現在では主に先住民族や周辺に暮らす人々からは「ウルル」、そのほかの地域や諸外国からは「エアーズロック」と呼ばれる傾向があります。
巨大な一枚岩の誕生の歴史
上空から見るとその巨岩の大きさが顕著にわかる
世界遺産に登録されている「ウルル」と「カタジュタ」は、ともに周辺がまだ海底だった約6億年前に誕生しました。
その誕生過程は、大きく分けて下記の2つになります。
- 造山運動:地球内部にある層が動く様子
- 地殻変動:地球の表面にある層が時間をかけてずれていく様子
上記2つの変動によって、海底にある堆積層(たいせきそう)が地球の表面に現れました。
さらに現れた部分が、地上で起こる浸食や風化の影響を受けて強固な部分以外が削られました。
そして、強固な部分だけ残って誕生したのがウルルとカタジュタなのです!
エアーズロック(ウルル)の特徴と魅力
赤色に見える夕暮れ時の「エアーズロック(ウルル)」
前述の「なんでエアーズロックじゃないの?世界遺産名の謎」でも少し解説しましたが、現在よく知られている名前のエアーズロックは、先住民族からはウルルという名前で神聖な岩としてあがめられてました。
エアーズロックの大きさは、「周囲:約9km 高さ:348m 全長:3,400m」という非常に巨大な岩です。
横に大きい影響であまり高さが注目されませんが、実は東京タワーよりも高いのです!
こんなにも巨大なエアーズロックですが、実は一枚岩の大きさとしては世界一ではないのです!
世界一大きな一枚岩は、同じくオーストラリアにある「マウント・オーガスタ」です。
世界遺産に登録されていないためあまり聞き慣れない名前ですが、オーストラリアには一枚岩の大きさトップ2が存在するのです!
エアーズロックの岩肌には多くの鉄分が含まれているため、この鉄分が酸化して赤く見えているのです。
特に明け方や夕暮れ時の太陽光を浴びる瞬間が、最も赤色に見える時間帯です。
また近くでよく見ると、エアーズロックの岩肌には無数の裂け目がありその裂け目が洞窟やくぼみを形成しています。
マウントオルガ(カタ・ジュタ)の特徴と魅力
いくつかの巨岩に分離している「マウントオルガ(カタジュタ)」
一方で、同じく世界遺産に登録されているマウントオルガは、エアーズロックとは違い一枚岩ではなく36の巨岩で形成されています。
それもそのはず、「カタジュタ」という名前の由来は「たくさんの頭」という意味なのです!
マウントオルガの岩は、「礫岩(れきがん)」と呼ばれる比較的もろい性質の岩でできています。
そのため、浸食や風化の影響を受けて複数の岩山に分離したのです!
またマウントオルガには、「ウォルパ渓谷」という巨岩の間にできた渓谷があります。
この渓谷を訪れた日本人観光客の間では、スタジオジブリの「風の谷のナウシカ」のような世界観を体験できると話題になっています!
複合遺産に登録された疑問を解消
巨岩の近くまで来るとその高さにも驚く
文化遺産の要素となるアボリジニのアナング族の生活
ウルル、カタジュタ国立公園は天体観測の地としても人気
世界遺産に登録されているエアーズロック(ウルル)とマウントオルガ(カタジュタ)は、この地域に古くから暮らす先住民族アボリジニのアナング族にとって聖地としてあがめられてきました。
そして彼らによって、この巨岩の岩壁には数々の岩壁画が描かれていったのです!
アナング族が描いた岩壁画の内容は主に下記などです。
- ウルルとカタジュタにまつわる神話
- 伝統的な狩猟採集の方法
ちなみにアナング族は文字を持たない先住民族だったため、このように岩壁に絵を描いて表現していたのです!
最古の岩壁画の起源は、およそ1万年前にまでさかのぼります。
このようなアボリジニの伝統的な生活や、岩壁画に対して文化的な価値があると認められたため、自然遺産に文化遺産の要素も加わり複合遺産として登録されました!
壮大な美しい自然だけではなく、その自然の中に伝統的な生活を送る先住民族の営みが混ざり合った典型的な例がウルル、カタジュタ国立公園なのです。
アナング族の聖地がゆえの厳重な保護体制
巨岩には無数の窪みや洞窟がある
ウルル、カタジュタ国立公園は美しい自然はもちろんのこと、先住民族の伝統的な生活を守る観点から近年は特に厳重な保護体制を敷いています!
最近だと、エアーズロック名物だった登山が2019年10月から禁止されました。
また、世界中にある遺産の多くが国が保護する体制を敷いています。
しかしウルル、カタジュタ国立公園は特殊で、オーストラリア政府と先住民族アナング族と共同で公園の運営・管理をしています。
公園は1958年にオーストラリア政府によって国立公園となりましたが、1976年から9年間にも及ぶ裁判の結果この土地は先住民族のアナング族に返還されました。
この結果、現在はオーストラリア政府がアナング族から土地を借り受ける形となっているのです。
本日の確認テスト
(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
3,4級レベル
「ウルル」の別名として正しいものはどれか。
- レッドロック
- ケーブロック
- エアーズロック
- ダーウィンロック
③
答え(タップ)>>2級レベル
古くからウルル、カタジュタ国立公園に暮らしている先住民族の名称として正しいものはどれか。
- アナング族
- ヨルバ族
- アナサジ族
- ドゴン族
②
答え(タップ)>>1級レベル
『ウルル、カタジュタ国立公園』に関する説明として正しいものはどれか。
- 巨岩の岩壁には先住民族アボリジニのアナサジ族によって多くの岩壁画が描かれている。
- ウルル、カタジュタ国立公園は主にエアーズロックとマウントオーガスタの2つの巨岩から構成される世界遺産である。
- ウルルの第一発見者はアメリカの探検家であるハイラム・ビンガムである。
- 2021年時点ではオーストラリア政府が先住民族から土地を借り受ける形となっている。
④
答え(タップ)>>「ウルル、カタジュタ国立公園」のまとめ
- 世界遺産に登録されている巨岩は大きく分けて「エアーズロック(ウルル)」と「マウントオルガ(カタジュタ)」の2つ!
- 造山運動や地殻変動による隆起や浸食や風化の影響を受けて巨大な一枚岩が誕生した!
- 先住民族アボリジニのアナング族の伝統的な生活の観点も評価されているため文化遺産の要素も満たしている!
- 現在国立公園はオーストラリア政府と先住民族アナング族と共同で管理・保護をしている!
おまけ:ウルル、カタジュタ国立公園のプチ観光情報
最寄の街 | アリススプリングス |
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最寄の空港 | エアーズロック空港 |
時差 | 30分(東京 – アリススプリングス間) ※オーストラリアの方が30分進んでます。 |
観光のベストシーズン | 4〜5月、9〜11月 |
入園料 | 大人:$38 子供:無料(2021年1月時点) |
治安 | 非常に良好 |
物価 | 普通(日本とほぼ同じ) |
2021年時点では、残念ながら日本からのエアーズロック空港までの直行便は就航していません。
そのためオーストラリア国内の空港で最低1回の乗り継ぎが必要になります。
主に下記がアクセスの良いフライトです。
- 日本 → ケアンズ → エアーズロック空港(フライト時間:約2時間30分)
- 日本 → シドニー → エアーズロック空港(フライト時間:約3時間30分)
他にもウルル、カタジュタ国立公園の最寄りの街「アリススプリングス」から陸路で向かう手段もあります(片道約5時間)。
この場合は、アリススプリングスから1〜3泊のツアーに参加する形が一般的です!
日中は非常に暑くなりますが、逆に夜になると砂漠地帯ということもあり少し冷え込むので夏場でも一枚上着を持っていくと良いです!
ウルル、カタジュタ国立公園の近くには、「エアーズロック・リゾート」という複数のホテルが点在している大規模な宿泊エリアがあります。
宿泊ツアーに参加すると、大半がこのリゾートエリアのホテルに滞在することになりますね。
数あるホテルの中でも特に人気のホテルが「セイルズ・イン・ザ・デザート」というエアーズロック周辺で唯一のデラックスホテルです!
写真提供:ホテルサイトagodaより
砂漠の中にあるプールや充実した飲食店がある点が人気で、周辺に商業施設がない国立公園内でもホテル内で十分楽しめるほど施設が充実しています!
参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。