こんな方にオススメの内容!
- ロベン島とはなにかを知りたい!
- ロベン島が負の遺産として登録された理由が気になる!
- ロベン島の歴史について知りたい!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- 南アフリカへの旅行を考えている!
遺産ポイント
- アパルトヘイト政策による人種差別の歴史を刻む島
- 白人以外の人種や政策に反対する者を収監した刑務所などが残る
- 後に南アフリカ大統領となるネルソン・マンデラも投獄されていた
「ロベン島」のプロフィール
そもそも「ロベン島」とは?
ロベン島とは、かつて南アフリカで行われていた人種差別の歴史を刻む、監獄として使われていた島です。
島は南アフリカ第2の都市ケープタウンの沖合約12kmに位置し、約400年前から人々が行き交っていました。
ロベン島が監獄島として使用された理由については、後述の「歴史(ロベン島が監獄島として使われた理由)」で解説します。
なお、ロベン島は1999年に南アフリカ初の世界文化遺産として登録されました。
歴史(ロベン島が監獄島として使われた理由)
ロベン島が監獄島として使われた理由を理解するためにも、まずはロベン島の歴史について触れてみましょう。
17世紀ごろ | オランダやイギリスによって犯罪者を隔離するための施設は造られはじめる。 |
---|---|
18世紀ごろ | 用途が「隔離施設⇨軍事訓練場」に変わる。 |
1948年 | 南アフリカでアパルトヘイトが法律として定められる。 |
1991年 | アパルトヘイトが廃止される。 |
1996年 | 島が閉鎖される(監獄島としての役割を終える)。 |
1999年 | ロベン島が世界遺産に登録される。 |
ロベン島が監獄として使われ始めたのは、今から約400年前のことです。
当時は人種差別という理由ではなく、罪を犯した人たちを隔離するための施設として使われていました。
その後、南アフリカ地域を支配していた国々の軍事訓練場など、役割が転々と変わっていきました。
そして、南アフリカが独立して以降のロベン島は、世界遺産登録のきっかけとなるアパルトヘイト(人種差別)政策の目的で使用され始めたのです。
用語メモ
アパルトヘイトとは、20世紀半ばから20世紀末にかけて南アフリカで定められていた、白人と非白人によって扱いを取り決める政策。白人を優遇する一方、非白人に対して厳しい制度が設けられたり、理不尽なルールが課されたりなど、いわゆる”人種差別”が行われていた。なお、アパルトヘイトという言葉は、アフリカで誕生した独自の言葉「アフリカーンス語」で、”分離”や”隔離”という意味を持つ。ロベン島はケープタウンという大きな街からのアクセスが良い上に、周辺の潮の流れが激しいため島から脱出しにくいという特徴を持っています。
つまり、人をすぐに投獄し厳重に管理する環境として適していたのです。
世界遺産登録理由
沖合に見える島が「ロベン島」
ロベン島が世界遺産登録された理由は、大きく下記の2点に分けられます。
- 人類の負の歴史「アパルトヘイト(人種差別)」を刻む重要な場所
- 各時代の目的で使われた施設が残されている
ただし、ロベン島は他の多くの世界遺産とは違い、”負の遺産”という形で世界遺産登録されています。
(負の遺産についてはこちらの記事で詳しく解説してます)
ロベン島が世界遺産に推薦された当初、世界遺産の諮問機関の一つであるICOMOS(文化遺産候補の専門的な調査や報告を行う組織)は否定的な評価をしていました。
しかし、ロベン島の世界遺産登録の審議が行われていた年の世界遺産委員会議長だった松浦晃一郎たちの提案によって、”自由を象徴する資産”として世界遺産登録されました。
用語メモ
松浦晃一郎(まつうらこういちろう)とは、1999〜2005年、2005〜2009年の2期にわたってユネスコの事務局長を務めた日本人。在任期間中には、ユネスコ無形文化遺産の条約を成立させるなどの実績を残している。理由1:人類の負の歴史「アパルトヘイト(人種差別)」を刻む重要な場所
世界遺産登録理由の1つ目は、人類の負の歴史「アパルトヘイト(人種差別)」を刻む重要な場所であることです。
前述の「歴史(ロベン島が監獄島として使われた理由)」で解説したように、南アフリカは20世紀末までアパルトヘイト政策が取り入れられていたため、ひどく人種差別が行われていました。
その人種差別の形跡が最も色濃く残っている場所がロベン島です。
【ロベン島での出来事】
- 白人以外の人種を採石場などで強制労働させる。
- アパルトヘイト政策に反対する者を捉えて刑務所へと送る。
- アパルトヘイトに反対する人々で政策の撤廃と国の将来について語った。
ロベン島は、人種差別や人権の抑圧などのネガティブな出来事だけでなく、最終的にはアパルトヘイト政策撤廃にまで持ち込んだという”自由の勝ち取り”を象徴する島でもあります。
理由2:各時代の目的で使われた施設が残されている
世界遺産登録理由の2つ目は、各時代の目的で使われた施設が残されていることです。
17世紀ごろから造られはじめた刑務所や、白人以外の人種を強制労働させていた労働現場など、島には今でも当時の情景を浮かばせる建物がいくつも残されています。
刑務所や労働現場には、アパルトヘイト政策が採用されてから廃止されるまで、およそ3,000もの人々が送られていました。
この中には黒人だけでなく、政策に反対した白人や犯罪者、そして後にノーベル平和賞を受賞し南アフリカの大統領にもなったネルソン・マンデラも含まれています。
ちなみに、刑務所に収監されていたネルソン・マンデラは、服役中に『自由への長い道』という、自身の体験やアパルトヘイトについて書いた著書を残しました。
(著書の詳細はこちらから)
ネルソン・マンデラが著書を書き続けた独房(収容されていた部屋)も、現在ロベン島に残されています。
本日の確認テスト
(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
2級レベル
19世紀に南アフリカで取り入れられた人種差別に当たる政策の名称として正しいものはどれか。
- ツァーリズム
- モデルニスモ
- リソルジメント
- アパルトヘイト
④
答え(タップ)>>1級レベル
後にノーベル平和賞を受賞し、南アフリカ大統領となったロベン島に投獄された人物名として正しいものはどれか。
- アダム・スミス
- ネルソン・マンデラ
- ウィリアム・モリス
- ピエール・ポール・リケ
②
答え(タップ)>>※「3,4級」レベルのトレーニングテストは対象外になります。
まとめ
- ロベン島は南アフリカで行われていたアパルトヘイト(人種差別)政策の歴史を刻む監獄として使われていた島。
- 「隔離施設→軍事訓練場→刑務所&強制労働施設」のように時代によって利用目的が変わっていった。
- 当初は否定的な評価をされていたが、松浦晃一郎たちの提案によって負の遺産として世界遺産登録された。
- 人種差別の撤廃に持ち込んだ”自由の勝ち取り”の象徴として厳重に保護されている。
- ロベン島に投獄された人物の中には後に南アフリカ大統領となるネルソン・マンデラも含まれる。
- 投獄中の体験やアパルトヘイトについて書かれた書籍『自由への長い道』はマンデラが独房で描き続けたもの。
おまけ:「ロベン島」のプチ観光情報
ロベン島ガイドツアーの様子
拠点となる都市 | ケープタウン |
---|---|
最寄り空港 | ケープタウン国際空港 |
公用語 | 英語(他、数言語あり) |
通貨 | ランド(1ランド = 約8円) |
観光のベストシーズン | 10〜3月 |
時差 | 7時間 ※日本が7時間進んでます。 |
治安 | 少し悪い(市街中心部の一人歩きは危険) |
物価 | 日本より少し安い(ただし、レストランやホテルは日本と変わらない) |
ツアー相場 | 15,000〜50,000円(ツアー詳細はこちらから) |
ツアー催行時間 | 09:00, 11:00, 13:00, 15:00(計4回) ※冬季は15:00無し |
観覧料(ツアー料金) | 大人:R380、子供:R200 |
ビザ | 不要 |
なお、ツアー料金には下記が含まれています。
- 往復のボート代
- 島でのバスツアー
- 刑務所内でのガイド代
日帰り観光(半日)が可能なため、ケープタウン滞在で空き時間ができた際にはぜひ訪れることを検討してみてください。
アクセス
ロベン島行きの船が出ているケープタウンのウォーターフロントエリア
残念ながら、日本からロベン島観光の拠点となるケープタウンへの直行便は就航していません。
一般的には、「アジア諸国or中東諸国」を1〜2度経由してアクセスすることになります。
航空会社:エミレーツ航空 EK313
フライト時間:11時間50分
航空会社:エミレーツ航空 EK770
フライト時間:9時間35分
乗船時間:約1時間
なお、ロベン島上陸には必ずツアーに参加しなければならず、島での一人行動も禁止です。
また、島に滞在できる時間も決まっているので、ルールにしたがって観光しましょう。
ホテル情報
ビーチ沿いの治安は比較的安定しており安心して滞在できる
- ホテル集中エリアはケープタウン駅のある中心部とウォーターフロントの2カ所
- 西部や南部のビーチ沿いにはリゾートホテルやアパートメントが点在
- 治安が気になる場合はウォーターフロントがおすすめ
南アフリカのホテルは、ケープタウン駅のある中心部とウォーターフロントの2カ所に集中しています。
一方で、西部と南部のビーチ沿いにはリゾートホテルが点在しているため、夏季シーズンの際は中心部から離れたエリアでホテルを予約するのもおすすめです。
また、ケープタウンの中心部はあまり治安が良くないため、治安と立地の両方を優先したい場合は、ウォーターフロントエリアがおすすめです。
商業施設が多く立ち並び、高級ホテルも点在しているため、昼夜問わず比較的治安が良好です。
参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。