こんな方にオススメの内容!
- なぜ「ナミブ砂漠」が世界遺産に登録されたのか理由が気になる!
- ナミブ砂漠が真っ赤な理由を知りたい!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- ナミビア(アフリカ)への旅行を考えている!
遺産ポイント
- 霧の影響を受けた広大な砂漠
- ナミブ砂漠の赤色の正体は”酸化鉄”
- 「ウェルウィッチア」などの固有種が多く生息する
「ナミブ砂漠」のプロフィール
登録名称 | ナミブ砂漠 |
---|---|
登録年 | 2013年 |
所在国 | ナミビア |
登録ジャンル | 自然遺産 |
登録基準 | (vii)(viii)(ix)(x) |
備考 | 自然遺産の登録条件4つ全てを満たしている |
そもそも「ナミブ砂漠」とは?
観光客に人気の砂丘「デューン45」は上まで登ることができる
ナミブ砂漠とは、アフリカ大陸南西部の国ナミビア共和国にある、”海岸沿いの真っ赤な砂漠”です。
ナミブ砂漠近辺に暮らす「サン族」の言葉で
ナミブ = 何もない
という意味になります。
世界遺産に登録されている砂漠の面積は約3万kmで、なんとこの面積は関東地方とほぼ同じ広さなのです!
ちなみにサン族はアフリカ大陸南部で生活する、アフリカを代表する民族です。
そんなサン族の生活や文化に大きく関わる世界遺産が、アフリカ南部に点在しているのが特徴です。
世界遺産に登録された理由
ナミブ砂漠でよく見られる枯れた「アカシア」の木の姿
ナミブ砂漠が世界遺産に登録された理由は、大きく分けて下記の4つになります。
- 珍しい景観
- 砂漠がつくられた過程がわかる
- 固有種が生息する
- 生物多様性
とりわけナミブ砂漠最大の特徴は、地球上の他の地域では見られない砂漠が見せる独特な景観です!
一言に砂漠と言っても、他の地域の砂漠とは大きく異なります。
ちなみにナミブ砂漠は、自然遺産の登録条件である4つ全てを満たしている、非常に珍しい自然遺産なのです!
(登録条件に関しては、こちらの記事で詳しく解説してます)
世にも珍しい”真っ赤”な砂漠の絶景
ナミブ砂漠は陽が昇る早朝時に最も赤色の姿を見せる
”真っ赤な砂漠”
この表現は、ナミブ砂漠の特徴を最もよく表しています!
世界中にある砂漠と違い、ナミブ砂漠は太陽の陽が当たると、燃えるような赤い色を放つのが最大の特徴です。
ナミブ砂漠の砂には「鉄分」が多く含まれています。
この鉄分が空気中の酸素と結びつき、次第に”酸化鉄”へと変わっています。
そして酸化鉄は、陽に当たると赤色を反射する特徴を持っているのです。
この赤色の砂漠こそ、ナミブ砂漠の名が世界に知れ渡った最大の要因と言っても過言ではありません。
赤色の砂漠の絶景が見られる点は、世界遺産登録に大きく影響しています。
砂漠が誕生する過程がわかる”海岸砂漠”
海岸に沿って広がっているのがナミブ砂漠の特徴の一つ
前述の「世にも珍しい”真っ赤”な砂漠の絶景」で解説したナミブ砂漠の特徴の一つ”真っ赤な砂漠”と並んで、ナミブ砂漠にはもう一つ珍しい特徴があります。
その特徴とは、”霧の影響を受けた広大な砂漠”です!
ナミブ砂漠は、見た目だけだと乾燥した大地が永遠と続いているように見えます。
しかしナミブ砂漠の大気中には、”霧”という形でしっかり水分が含まれているのです!
この霧の水分のおかげで、過酷な砂漠環境でも多くの動植物が生息しているのです。
(ナミブ砂漠に生息する動植物の詳細に関しては、後述の「砂漠の環境に適した固有種が生息」などで解説します)
世界中にある砂漠の多くが、海から離れた内陸に広がります。
一方でナミブ砂漠は、なんと海岸沿いに広がる世界でも珍しい”海岸砂漠”なのです!
海岸沿いに位置することで、海上で発生した霧がナミブ砂漠に流れこみ、恵の水分をもたらすのです。
アフリカ南部の内陸の砂が、川や海の流れ、風の影響などを受けて、数千キロ離れた現在のナミブ砂漠まで運ばれてきたとされています。
この砂が運ばれてきた歴史は非常に長く、ナミブ砂漠が形成された初期段階の砂は比較的固定されて動きません。
一方で最近運ばれてきた砂は、固定された古い砂の上に被さるようにして乗っかっています。
以上のことからナミブ砂漠は、”半固定化した層と若く流動的な層の2つの砂丘システム”と表現されているのです!
このように、ナミブ砂漠がつくられる過程には長い歴史があり、調査によると約8000万年前にできた世界最古の砂漠であるとわかっています。
ちなみに”世界最大の砂漠”として有名なサハラ砂漠は、数千年前までは緑が広がっていたとされているのです。
サハラ砂漠と比較しても、いかにナミブ砂漠が大昔から砂漠だったことがわかるかと思います。
砂漠の環境に適した固有種が生息
広大な砂漠でも多くの動植物が生息しているナミブ砂漠
ナミブ砂漠が世界遺産に登録されたポイントは、なにも砂漠の景観だけではありません。
生息する動植物にも、魅力が隠されているのです。
特にナミブ砂漠の気候に適した、ナミブ砂漠にしか生息しない”固有種”が存在することが大きなポイントです!
広大なナミブ砂漠を生き抜くために、生物には下記のような変化が求められます。
- 十分な水分を確保できるところに適宜生息場所を変更する。
- 砂漠の環境に耐えられるような身体のつくりに変化させる(生態系の変化)
ウェルウィッチア(植物)
- 発見したオーストリアの探検家の名前を取って付けられた
- 和名は「奇想天外(キソウテンガイ)」
- 約2000年も生きられる寿命が非常に長い植物
- 葉は生涯に2つしか出さない(伸ばし続ける)
砂漠でも十分な水分を補給するために、地下水を吸い上げるための強力な吸引力を持ちます。
さらに、大気中の霧からも水分を確保するために、葉っぱには細かい空洞をつくり、大気中からも水分補給できるつくりになっているのです!
ミズカキヤモリ
- 脚に水かきがあり砂漠の上でもスムーズに歩ける
- 水かきを利用して穴を掘り住処をつくる
- 夜間でもエサとなる昆虫を探せるように大きな眼を持つ
- 夜行性のためなかなか見られない(日中は砂の中にいる)
砂漠という過酷な環境では、移動をスムーズに行えることと、狙った獲物を確実に仕留めることが重要です。
この2つを見事に行える姿になった動物の代表的な例として、このミズカキヤモリが挙げられます。
基本的に夜行性のため、エサを探す際も暗闇の中を歩き回らなければなりません。
しかし、トレードマークの大きな眼を使うことで、正確に昆虫が存在する場所を特定することができるのです!
過酷な砂漠で生物多様性が見られる
シマウマやオリックスなどの大型哺乳類が数多く生息する
砂漠であるにもかかわらず、ナミブ砂漠には多くの動植物が生息しています。
多くの動植物の生存を支えているのは、前述の「砂漠が誕生する過程がわかる”海岸砂漠”」でも解説した通り大気中に存在する霧です!
そう、霧こそナミブ砂漠の主要な水分になるのです。
- オリックス(ウシ科の哺乳類)
- チチュウカイモグラ
- シマウマ
ナミブ砂漠に生息する多くの動植物は、砂漠に適応できる身体のつくりになっています。
- 高い気温でも耐えられる身体づくり
- 砂漠を移動しやすい脚
- 僅かな水分を吸収するための工夫
また、前述でも紹介した「ウェルウィッチア」は絶滅危惧種に指定されている植物です。
このように希少な動植物が生息する点も、世界遺産登録の大きなポイントになってきます。
本日の確認テスト
(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
2級レベル
ナミブ砂漠が赤色に見える要因となっている成分として正しいものはどれか。
- 昆虫の死骸
- バクテリア
- 鉱物
- 酸化鉄
④
答え(タップ)>>1級レベル
『ナミブ砂漠』に関する説明として正しいものはどれか。
- 先住民スー族が暮らしている。
- 半固定化した層と若く流動的な層の2つの砂丘システムが見られる。
- 海岸に沿って無数の島が点在する。
- ジュラ紀の魚竜イクチオサウルなど多くの化石が見つかっている。
②
答え(タップ)>>※「3,4級」レベルのトレーニングテストは対象外になります。
まとめ
- サン族の言葉で「ナミブ = 何もない」という意味。
- 自然遺産の4つの登録条件全てを満たしている。
- 真っ赤な砂漠の正体は酸化鉄の色。
- 霧の影響を受けた広大な砂漠で大気中に水分が存在するため多くの動植物が生息できる。
- ナミブ砂漠は半固定化した層と若く流動的な層の2つの砂丘システム。
- 約8000万年前にできた世界最古の砂漠。
- 約2000年の寿命を持つ絶滅危惧種「ウェルウィッチア」が生育している。
おまけ:「ナミブ砂漠」のプチ観光情報
最寄り都市 | セスリエム |
---|---|
最寄の空港 | ウィンドフック・ホセア・クタコ国際空港 |
通貨 | ナミビア・ドル |
観光のベストシーズン | ほぼ通年 ⇨ 一応11〜2月が雨季だが、一瞬しか降らないため問題ない |
時差 | 7時間(東京 - ウィントフック間) ※日本の方が7時間進んでます。 |
治安 | 比較的良い(アフリカ諸国の中では治安の良い国) |
物価 | 普通(日本とほぼ同じ) |
ナミブ砂漠のあるナミビアは、治安面が不安要素になるアフリカの中でも、特に治安の良い国として有名です。
その証拠に、ナミブ砂漠や周辺の国立公園を訪れるために、欧米を中心に多くの観光客が訪れています。
アフリカ旅行を検討している方で、治安面を最も重視しているのであれば、ナミビアは非常にオススメできる国ですね!
ナミブ砂漠のベストシーズンは、ほぼ通年と言っても良いでしょう。
一方で、首都のウィントフックは標高が1,500m以上もあるため、冬(4〜8月)はかなり寒くなります。
防寒対策には十分気を配りましょう。
ナミブ砂漠へのアクセス
ナミブ砂漠観光の拠点となるナミビアの首都「ウィントフック」
残念ながら、日本からナミブ砂漠のあるナミビアへの直行便はありません。
そのためアジアや中東諸国を経由し、さらに南アフリカのヨハネスブルグを経由してアクセスすることになります。
- 日本の各空港 ⇨ 香港・中東諸国 ⇨ ヨハネスブルグ(南アフリカ) ⇨ ウィントフック・ホセア・クタコ国際空港(合計フライト時間:約25〜30時間)
- ウィントフック(車) ⇨ セスリエム
ナミブ砂漠の観光拠点となる街は、ナミブ砂漠の入り口に位置する街「セスリエム」です。
セスリエムにあるロッジに宿泊してナミブ砂漠観光を満喫するプランが最もポピュラーですね。
またセスリエムにあるロッジは、プールが付いていたり、おしゃれなデザインだったりと、非常にしっかりした設備が整っているのが特徴です。
ただし、個人でナミブ砂漠を訪れることは非常に困難なので、必然的に下記のいずれかの方法でナミブ砂漠を訪れることになります。
- 日本の旅行会社主催のガイド付きツアーに参加する。
- ナミブ砂漠観光のみオプショナルツアーを付ける(日本からの空路は自分で手配)
- 首都のウィントフックにある現地ツアーに申し込む。
個人ではなかなか行きづらい場所ではありますが、ツアーに参加してでも訪れる価値のある美しい砂漠です。
なお、首都のウィントフックからナミブ砂漠のツアーに参加できる会社としては、「ナミビアエクスプレスツアー」が挙げられます。
ぜひ一度、こちらのツアーへの参加を検討してみてはいかがでしょうか。
ナミブ砂漠の人気撮影スポット「デッド・フレイ(死の沼地)」
まるで絵画の中の世界にいる錯覚を体験できる人気スポット「デッド・フレア」
デッド・フレイ = 死の沼地
デッド・フレイはナミブ砂漠観光で最も人気と言っても過言ではない撮影スポットです!
ここは数百年前まで沼地だった場所で、水が干からびて、枯れた木だけが取り残されました。
その枯れた木の姿が背景の砂漠と重なることで、まるで絵画の中の世界のように見えると噂になったのです!
ナミブ砂漠を訪れた際は、ぜひデッド・フレイには足を運んでみてください。
参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。