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遺産ポイント
- イスタンブールの起源は都市国家メガラが建設した都市
- 長い期間オスマン帝国に支配され今に至る
- 「アヤ・ソフィア」や「トプカプ宮殿」など多くの歴史的建造物が残る
「イスタンブール歴史地区」のプロフィール
登録名称 | イスタンブール歴史地区 |
---|---|
登録年 | 1985年 |
所在国 | トルコ |
登録ジャンル | 文化遺産 |
登録基準 | (i)(ii)(iii)(iv) |
そもそも「イスタンブール」ってどんな街?
アジアとヨーロッパの境目に位置するイスタンブールは独特な歴史を刻んでいる
「イスタンブール」とは、アジアとヨーロッパの境目に位置する、様々な国の文化が入り混じった歴史を持つトルコ最大の都市です。
現在のトルコの首都はアンカラですが、かつてはイスタンブールが首都として機能していた時代もありました。
イスタンブールは、アジアとヨーロッパの境界線とも言われているボスポラス海峡にまたがります。
つまり、アジアとヨーロッパ両方に属する都市と言っても過言ではないのです。
このようにイスタンブールは立地的な都合で、歴史上アジアやヨーロッパの国々の影響を多く受けてきました。
イスタンブールの歴史
イスタンブールの歴史を知ることで、現在見られる街の誕生理由や宗教事情を理解することができます。
年 | 出来事 | 都市名称 |
---|---|---|
紀元前7世紀(約2,700年前) | 現在トプカプ宮殿がある丘に、イスタンブールの原型とも言われる都市がギリシャの都市国家メガラによって建設される | ビザンティオン |
2世紀末 | イスタンブールが、当時世界で大きな力を持っていたローマ帝国に占領される | ビザンティウムに改名 |
4世紀 | 皇帝コンスタンティヌスによりローマ帝国の首都が「ローマ⇨コンスタンティノープル」に移る | コンスタンティノープルに改名 |
4世紀末 | ローマ帝国が東西に分裂。分裂した東側がビザンツ帝国(別名、東ローマ帝国)として成立しコンスタンティノープルが首都となる | コンスタンティノープル |
11世紀半ば | 西側のローマがカトリック教会(キリスト教最大の組織)の中心となった一方、コンスタンティノープルはギリシャ正教会の中心となる | コンスタンティノープル |
15世紀半ば | ビザンツ帝国がメフメト2世率いるオスマン帝国との戦いに敗れる(ビザンツ帝国滅亡) | 徐々にイスタンブールと呼ばれるようになっていく |
20世紀初頭(1923年) | トルコ共和国が成立し、首都がアンカラに移される | イスタンブールが定着 |
イスタンブールの起源とされる都市は、メガラという国のビザスという人物によって建設されました。
その建設者のビザスから名前が取られて、最初の都市名「ビザンティオン」が誕生したのです。
その後も数世紀ごとに、イスタンブールの名前は何回も変更されていきました。
また、11世紀半ばにイスタンブール(当時のコンスタンティノープル)がギリシャ正教会の中心になったことで、他国からの攻撃を恐れ、巨大な城壁が築かれました。
この城壁は、現在でもイスタンブールで見ることができます。
「ローマ帝国」「ビザンツ帝国」「オスマン帝国」の首都となったイスタンブール
オスマン帝国の歴代の王様が過ごしたトプカプ宮殿の王室
前述の「イスタンブールの歴史」で解説したように、イスタンブールは歴史上様々な国に支配され、その国々の首都として機能していました。
中でも、イスタンブールの支配期間が長く、大きな影響を与えた代表的な国が以下の3カ国です。
ローマ帝国 | 1世紀ごろから地中海沿いを中心に大きく繁栄した巨大な国。現在のイタリアが中心部。 |
---|---|
ビザンツ帝国 | ローマ帝国が東西に分裂した際の東側の国。別名は東ローマ帝国。 |
オスマン帝国 | 13世紀末から20世紀初頭にかけて、中東、東欧、北アフリカを支配していたイスラムの巨大国家。 |
上記3カ国が支配していた時代、イスタンブールはそれぞれの国の首都として機能していました。
つまりイスタンブールは、ローマ帝国、ビザンツ帝国、オスマン帝国とって非常に重要な都市だったのです。
イスタンブールの立地は、以下のような特徴を持っています。
- 北部を黒海、南部をマルマラ海、東部にボスポラス海峡という三方を海に囲まれている
- ボスポラス海峡を境目に東部がアジア、西部がヨーロッパに属する
周囲を海に囲まれていることから、船を使った他国との交流・交易がしやすい環境でした。
さらにアジアとヨーロッパの境目に位置するため、ヨーロッパ側へ攻めることも、アジア側へ攻めることも容易にできます。
つまり、イスタンブールは交流・交易面でも軍事面でも非常に価値の高い地域だったのです!
一方で、イスタンブールに近づくことが容易であることから、歴史上様々な国に支配され続けたという面も持っています。
最終的には、イスラム教の国であるオスマン帝国がイスタンブールを支配したため、現在もイスラム教都市としてイスタンブールは存在しています。
世界遺産登録理由
広大な敷地を有する「トプカプ宮殿」も世界遺産に登録されている
イスタンブール歴史地区が世界遺産登録された理由は、大きく下記の3点に分けられます。
- アジアとヨーロッパをつなぐ重要な役割を持つ古都
- 独特な建造物が多く残されている
- 世界を代表する美しい建造物が数多く見られる
また、イスタンブールの世界遺産登録範囲は、大きく下記の4エリアに分けられます。
- ヨーロッパ側の歴史的建造物が多く残る海岸沿い
- スレイマニエ・モスクとその周辺
- ゼイレク・モスクとその周辺
- 旧市街の西側にある城壁付近
理由1:アジアとヨーロッパをつなぐ重要な役割を持つ古都
前述の「「ローマ帝国」「ビザンツ帝国」「オスマン帝国」の首都となったイスタンブール」でも解説したように、イスタンブールの立地はアジアとヨーロッパの境目に位置します。
このような地理的要因により、イスタンブールはアジアとヨーロッパをつなぐ重要な役割を持つ都市として発展していったのです。
イスタンブールは、アジアとヨーロッパという異なる文化の交流・貿易を大きく発達させることに成功した都市と言えます。
このように、世界の交流や繁栄に大きく貢献した歴史を持つ点が高く評価され、世界遺産登録されたのです。
理由2:独特な建造物が多く残されている
キリスト教文化とイスラム教文化が融合した建物「アヤ・ソフィア」
イスタンブールは歴史上様々な国に支配されたことから、建築や芸術という面でもいろんな国の文化を見ることができる特殊な都市です。
例えば、イスタンブールの象徴的な建物であるアヤ・ソフィアは、完成当初は教会として使われていたため、ヨーロッパの文化を色濃く残しています。
しかし、その後イスタンブールはイスラム教の国(オスマン帝国)に支配されたため、アヤ・ソフィアもイスラム風のデザインに変更されました。
アヤ・ソフィアのように、様々な国の支配を経て変化していった独特な建物が数多く見られる点は、イスタンブールの魅力の一つでもあります。
理由3:世界を代表する美しい建造物が数多く見られる
青いタイルが象徴的で美しい「ブルーモスク」の内部
アジアとヨーロッパの交易・交流などによって大きく栄えたため、イスタンブールには豪華で壮大な建造物が数多く残されています。
このような、世界を代表する美しい建造物が多く残されている景観に対して高い評価を受けました。
中でもブルーモスク(スルタン・アフメト・モスク)は、ブルーという名前の通り、青く美しい姿が特徴的なイスタンブールを代表する巨大なモスクです。
こういった美しく巨大な建造物を中心に、イスタンブールの古き良き街並みが広がっている景観こそ、イスタンブールの街づくりの特徴の一つです。
なお、歴史的建造物が多く残るのはボスポラス海峡を挟んでヨーロッパ側のエリアで、一般的にイスタンブールの旧市街はヨーロッパ側のエリアを指します。
世界遺産登録されている代表的な建造物
イスタンブールは建物だけでなく街自体が世界遺産登録されている
イスタンブールには世界遺産登録されている美しい建造物が数多く残っていますが、特に代表的な建造物としてよく挙げられるのが下記になります。
- アヤ・ソフィア
- ブルーモスク
- トプカプ宮殿
- スレイマニエ・モスク
アヤ・ソフィア
- 巨大なドームを持つイスタンブール最大級の建造物
- かつては聖堂、現在はモスク
- ビザンツ建築×イスラム建築
アヤ・ソフィアは、6世紀頃に建造されたイスタンブールに現存する最大規模の建造物です。
高さは東京ドームとほぼ同じ55m、最大直径は約31mと、全世界にあるモスクの中でも特に大きなモスクに分類されます。
建築様式が「ビザンツ×イスラム」の融合という、独特なデザインも特徴的です。
建設当初、イスタンブールはローマ帝国に支配されていたため、当時のリーダーであるユスティニアヌス帝によってアヤ・ソフィアはキリスト教の聖堂として建てられました。
その後、ビザンツ帝国に支配された際に、ビザンツ様式として改築されました。
しかし、イスラム教の国であるオスマン帝国に支配された後は、アヤ・ソフィアはモスクに改築されたのです。
また、モスクになったことで、キリスト教建築の特徴であるモザイク画は塗りつぶされました。
しかし、トルコ初代大統領ケマル・アタテュルクの指示により、アヤ・ソフィアは無宗教の博物館に変更されました。
その結果、モザイク画も復元されることになったのです。
ただし、2020年に再びモスクとして使われることになったため、再度大きな改築が行われる可能性が出てきています。
ブルーモスク
- 正式名称は「スルタンアフメト・モスク」
- ”世界で最も美しいモスク”と称される
- 青いタイルが特徴的
ブルーモスクは、17世紀のオスマン帝国時代に建造されました。
建造を支持した人物がアフメト1世だったため、正式名称は人物名から取って「スルタンアフメト・モスク」と言います。
モスクは青いタイルを用いて建造されているため、”ブルーモスク”という愛称で世界的に知られています。
また、通常モスクは4本のミナレット(尖塔)をもちますが、ブルーモスクは珍しく6本ものミナレットを持っています。
一説には、聞き間違いにより4本の設計が6本になったと言われています。
トプカプ宮殿
- 歴代オスマン帝国の王様の居城
- 王様が代わるたびに増改築
- 現在は博物館として公開
トプカプ宮殿は、15世紀半ばに当時王様だったメフメト2世によって建造された、イスタンブール最大規模の宮殿です。
19世紀半ばまでは、歴代の王様の居城として使用され、王様が代わるたびに増改築が行われてました。
何度も増改築された結果、宮殿の面積はどんどん広がり、敷地内には病院、庭園、処刑場など、多数の施設が建てられました。
なお、現在はオスマン帝国の秘宝を展示する博物館として一般公開されています。
スレイマニエ・モスク
- オスマン帝国時代を代表する建造物
- スレイマン1世が建築を指示し、ミマール・スィナンが設計
- タイル装飾が美しいことで有名
スレイマニエ・モスクは、オスマン帝国を代表する建築家ミマール・スィナンによって設計された、イスタンブールを代表する巨大なモスクです。
当時の王様スレイマン1世が建設を指示したため、別名「スレイマン・モスク」とも呼ばれています。
スレイマニエ・モスクの特徴な、なんといっても美しいタイル装飾です。
さらにモスク以外にも、病院やマドラサ(法律を学ぶ教育機関)など様々な施設が建てられた巨大な複合施設という顔も持っています。
スレイマン自身も建設に力を貸すほど思い入れが強かった影響で、このような美しく巨大なモスクが誕生しました。
本日の確認テスト
(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
3,4級レベル
6世紀頃に建てられ、かつては聖堂その後はモスクとして改築された建造物の名称として正しいものはどれか。
- メタモルフォシス
- スレイマニエ・モスク
- アヤ・ソフィア
- シェル・ドル・マドラサ
③
答え(タップ)>>2級レベル
13世紀から20世紀にかけてイスタンブールを支配したイスラム国家の名称として正しいものはどれか。
- オスマン帝国
- マケドニア王国
- ビザンツ帝国
- ティムール帝国
①
答え(タップ)>>1級レベル
「イスタンブール歴史地区」に関する説明として正しいものはどれか。
- 地盤が柔らかいため地下には3,500もの洞窟住居がつくられた。
- 9〜10世紀にかけてサーマーン朝の首都となりペルシア語が発達した。
- 三方を海に囲まれているため、交易や軍事面で価値があると評価された。
- 15世紀に商業都市として大きく繁栄し、ウマイヤ・モスクなどの建造物が多く建てられた。
③
答え(タップ)>>まとめ
- イスタンブールはボスポラス海峡を挟んでアジアとヨーロッパの境目に位置する都市。
- イスタンブールの起源となるビザンティオンがギリシャの都市国家メガラによって建設される。
- 「ローマ帝国」「ビザンツ帝国」「オスマン帝国」に首都となった歴史を持つ。
- アヤ・ソフィアはビザンツ様式とイスラム様式が混在した独特なモスク。
- 青タイルでつくられたブルーモスクは世にも珍しく6本ものミナレットも持つ。
- トプカプ宮殿はオスマン帝国時代の歴代の王様が過ごした巨大な宮殿。
- オスマン帝国の象徴的なモスクであるスレイマニエ・モスクはミマール・スィナンが設計。
おまけ:「イスタンブール」のプチ観光情報
最寄り空港 | イスタンブール空港 |
---|---|
公用語 | トルコ語 |
通貨 | トルコリラ |
観光のベストシーズン | 4〜10月 |
時差 | 6時間 ※日本の方が6時間進んでます。 |
治安 | 普通 |
物価 | 安い(日本の半分ほど) |
イスタンブール観光の中心は「スルタン・アフメト地区」です。
この地区には、「アヤ・ソフィア」「トプカプ宮殿」「ブルーモスク」と言った、人気観光スポットが集中しています。
ただし、人気観光エリアがゆえにスリや置き引きがよく発生するため、手荷物管理には十分要注意しましょう。
アクセス
東京発の場合はイスタンブールへの直行便が就航しています。
東京以外から出国する場合は、一般的に他の中東各都市を経由してアクセスすることになります。
【羽田発or成田発の場合】
- 羽田or成田 [フライト時間:約12時間30分] ⇨ イスタンブール空港
【東京以外の場合】
- 日本各空港 [フライト時間:約11時間] ⇨ 中東各都市(ドバイ、アブダビ、他) [フライト時間:約5時間] ⇨ イスタンブール空港
なお、空港からイスタンブール旧市街までは地下鉄を利用して約30分でアクセスできます。
ホテル情報
- ホテルは旧市街やボスポラス海峡のヨーロッパ側に集中
- 外資系高級ホテルも多数あり
- 3つ星ホテルの相場は1室5,000〜1万円
イスタンブールは世界的人気観光地ということもあり、外資系の高級ホテルからゲストハウスまで幅広く充実しています。
ホテルが集中しているエリアは大きく分けて下記の2箇所です。
- スルタン・アフメト地区(旧市街)
- ボスポラス海峡のヨーロッパ側海岸沿い
また、イスタンブールは日本と比べて物価が安いため、2名前1室であれば1泊1万円以下で宿泊できるホテルが多数あるのがありがたいです。
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- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
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