こんな方にオススメの内容!
- なぜハロン湾が世界遺産に登録されたのか理由が気になる!
- ハロン湾が誕生した理由・歴史を知りたい!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- ベトナムへの旅行を考えている!
遺産ポイント
- 大小約1,600の島々が点在するベトナムを代表する景観
- 「フランソワリーフモンキー」「ファイールルトン」などの固有種が生息
- 石炭発掘による水質悪化などの問題を抱える
「ハロン湾」のプロフィール
登録名称 | ハ・ロン湾 |
---|---|
登録年 | 1994年 |
所在国 | ベトナム |
登録ジャンル | 文化遺産 |
登録基準 | (vii)(viii) |
そもそもハロン湾とは?(名前の由来)
龍にまつわる伝説が語られるハロン湾
ハロン湾とは、ベトナム北東部にあるトンキン湾の一部分を指します。
- ハ:降り立つ
- ロン:龍
つまりハロン湾は、”龍が降り立った場所(湾)”という意味なのです。
龍がハロン湾に降り立った話は、ベトナムの有名な伝説の一つです。
敵の侵入を目撃した龍が、国や住民を守るためにハロン湾に降り立った。その際に砕けた岩が湾に落ちて、現在のようなハロン湾の景観が誕生した。また、敵を打ち破る際に龍が口から出した宝石がそのまま島になったという伝説もある。
世界遺産登録理由
ハロン湾は水質が良く透明度が高い
ハロン湾が世界遺産登録された理由は、下記の2つに大きく分けられます。
- ハロン湾でしか見られない美しい自然景観
- 地球の歴史を感じられる
なお、ハロン湾はベトナム初の世界自然遺産です。
ベトナムの世界遺産全体で見ても2番目に登録された、まさにベトナムを代表する世界遺産と言えます。
ハロン湾でしか見られない美しい自然景観
湾に点在して立つ奇岩群はここでしか見られない景色
ハロン湾で見られる、エメラルドグリーンの海に点在する奇岩群の景色は、世界中探してもなかなか見られない光景です。
このような、地球を代表する美しい景色が見られる点が高く評価されて、世界遺産登録されました。
ハロン湾には、大小1,600以上の奇岩がそびえています。
そして奇岩には、「魔法使い」「幽霊」「カメ」「シャモ」などの名前が付かられているのです。
岩は島のように上陸することが可能ですが、「カットバ島」以外は現在でも無人島です。
このように、現在でも人の手がほとんど加えられていない保存状態だからこそ、今でも美しいハロン湾の景観が保たれているのです。
なお、ハロン湾にたくさんの奇岩が見られる理由に関しては、後述の「地球の歴史を感じられる」で詳しく解説します。
地球の歴史を感じられる
奇岩の中は巨大な洞窟になっているものもある
地球の歴史を知る上でハロン湾の地形や奇岩群が貴重な資料となると評価された点も、世界遺産登録に大きく関係しています。
ハロン湾の景色は、中国の桂林に似ているため”海の桂林”と呼ばれることもあります。
そんなハロン湾が誕生した過程には、氷河期に発生した海面の変化が大きく関係しています。
- 約11万5,000年前に地球に氷河期が訪れる。
- 氷河により海面が上昇し始める。
- 柔らかい台地が海面上昇によって沈み始める。
- 硬い大地だけが取り残され、現在のハロン湾に点在する奇岩群が姿を現す。
かつてハロン湾周辺は、岩の種類の中でも比較的柔らかめな石灰岩の大地で覆われていました。
その後の氷河期を経て、削り取られた石灰岩が無くなり、硬い岩の部分がハロン湾の奇岩として残ったのです。
また、奇岩の中には数多くの洞窟もつくられています。
中でもハロン湾で最も有名な「ティエンクン鍾乳洞」では、巨大な空間に数多くの石筍(せきじゅん)などを見ることができます。
用語メモ
石筍(せきじゅん)とは、洞窟内の水滴が空気中の物質と結びついて次第に形成される大きな柱。1cm伸びるためには約500年もかかると言われている。ハロン湾に生息する動物
ハロン湾は、なにも美しい景色だけが魅力ではありません。
残念ながら世界遺産登録の評価ポイントにはなっていないものの、他の地域ではなかなか見られない、珍しい動物の宝庫でもあるのです。
- フランソワリーフモンキー
- ファイールルトン(サル)
- カットバラングール(サル)
ハロン湾は平地が少なく、木々が生い茂っている地域であるため、人間が暮らすには不向きな環境です。
このような人間の出入りが難しい環境だったからこそ、サルを中心とした野生動物のオアシスになったのです!
問題・課題
近年は観光客の増加によって起きている問題が指摘されている
ハロン湾は大きく分けて、下記の3つの問題・課題を抱えています。
- 石炭発掘による水質悪化
- 農地開拓による生態系の破壊
- 観光客殺到による環境汚染
ハロン湾には豊富な石灰が眠っています。
そのため近年ハロン湾では、石灰の発掘作業が行われています。
結果、海に流出した石灰などによって水質が悪化し、海中のサンゴに大きなダメージを与えてしまっているのです。
さらに、農業が盛んなベトナムでは、農地を広げる計画がハロン湾付近にまで押し寄せています。
こうして、ハロン湾周辺の環境が次第に悪化してきているのです。
また、ハロン湾には年間約100万人の観光客がやってきます。
その結果、自然が荒らされたり、人工物が増加したりなど、自然環境に大きなダメージを与えてしまっているのです。
まずは、人間の手をあまり加えない、自然環境の保全計画の発表が待たれます。
本日の確認テスト
(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
3,4級レベル
『ハロン湾』の名前の由来として正しいものはどれか。
- 龍が飛び立った場所
- 神が舞い降りた場所
- 龍が降り立った場所
- 神が暮らした場所
③
答え(タップ)>>2級レベル
『ハロン湾』で挙げられている問題・課題として誤っているものはどれか。
- 過度な漁獲
- 観光客増加による環境汚染
- 農地の拡大
- 石灰発掘による水質汚染
①
答え(タップ)>>1級レベル
『ハロン湾』に生息する固有種として正しいものはどれか。
- ドウボウシハチドリ
- シロガシラシャクケイ
- フランソワリーフモンキー
- ワリアアイベックス
③
答え(タップ)>>まとめ
- ハロン湾という名前は龍の伝説に由来している。
- 湾には大小1,600以上の奇岩群がそびえる。
- 氷河期による海面の変化によってハロン湾の景観が誕生した。
- 奇岩の中には「ティエンクン鍾乳洞」などの空洞が存在する。
- 「フランソワリーフモンキー」「ファイールルトン」などの固有種が生息する。
- 石炭発掘による水質悪化や観光客殺到による環境汚染が問題として挙げられている。
おまけ:「ハロン湾」のプチ観光情報
夕暮れ時の美しいハロン湾
最寄り都市 | バイチャイ(ハロン湾最寄りの国際空港がある都市は「ハノイ」) |
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最寄り空港 | ノイバイ国際空港 |
公用語 | ベトナム語 |
通貨 | ドン |
観光のベストシーズン | 10〜4月 |
時差 | 2時間 ※日本の方が2時間進んでます。 |
治安 | 良い |
物価 | 安い(日本の1/2ほど) |
ベトナムは他の東南アジアの国々と比較しても、治安が良い国として知られています。
さらに、日本から非常に近く、物価も安いため、ベトナムは海外旅行初心者にもおすすめできる国です!
アクセス
ハロン湾観光の拠点となるベトナムの首都「ハノイ」
日本からハノイへの直行便は就航しています。
また、毎日運行しているため、日本から気軽に行ける国の一つと言っても過言ではありません。
- 日本各空港(成田、関西、他) [フライト時間:5〜6時間]⇨ ノイバイ国際空港(ハノイ)
- ハノイ市内のバスターミナル [バス乗車時間:3〜4時間]⇨ バイチャイ [徒歩すぐ] ⇨ ハロン湾クルーズ乗り場
一方で、ハノイを含むハロン湾周辺の都市では、頻繁にハロン湾ツアーが催行されています。
そのため、自力ではなくツアー利用で訪れる観光客が大半です。
宿泊・ホテル事情
ハロン湾ではクルーズ船で宿泊するプランが大人気
- ハロン湾クルーズ船での宿泊が大人気
- 近年はハロン湾周辺で大型ホテルの建設ラッシュ
- 日帰り観光の場合はハノイで宿を取る観光客がほとんど
ハロン湾は日帰り観光も可能ですが、見どころの多さや疲労のことを考えると最低でも1泊するのがオススメです。
そんなハロン湾で最も人気の宿泊スタイルと言えば、クルーズ船宿泊です!
ホテル同様、クルーズ船宿泊にもランクが付けられており、予算に合わせた滞在ができます。
【宿泊クルーズ船クラス一例】
- ラザレーデラックス:大手企業が運営するコスパ抜群クルーズ船。価格重視の方におすすめ。
- アテナ・クルーズ:ハロン湾のクルーズ船の中で最大規模の大きさを誇る。設備の充実度や部屋の広さを優先したい方におすすめ。
- カペラ・クルーズ:ベトナム政府公認の5つ星高級クルーズ船。贅沢旅行や新婚旅行などの利用におすすめ。
- 時期によって運行休止する場合がございます。
クルーズ船以外にもハロン湾周辺には、ベトナムで有名な高級ホテルとして知られる「ヴィンパール・リゾート」をはじめとする、4〜5つ星ホテルも充実しています。
(「ヴィンパール・リゾート」の公式ホームページはこちらから)
ホテルによってはハロン湾のビーチに直結しているため、ビーチリゾート気分を味わいたい方には、クルーズ船ではなくハロン湾周辺ホテルをおすすめします。
合わせて読みたい!【2024年最新版 | ハノイからハロン湾へのアクセス方法5選】おすすめツアー会社を含め元ベトナムツアー企画者が解説!参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。