こんな方にオススメの内容!
- グランドキャニオンが世界遺産登録された理由が気になる!
- どのようにしてグランドキャニオンが誕生したのか歴史ついて詳しく知りたい!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- アメリカへの旅行を考えている!
遺産ポイント
- 約20億年前(先カンブリア時代)の世界最古の地層が見られる
- ウッドロー・ウィルソン大統領により国立公園に指定
- 現在もハバスパイ族などの先住民族が生活中
「グランドキャニオン」のプロフィール
登録名称 | グランドキャニオン国立公園 |
---|---|
登録年 | 1979年 |
所在国 | アメリカ |
登録ジャンル | 自然遺産 |
登録基準 | (vii)(viii)(ix)(x) |
備考 | 自然遺産の4つの登録条件全てを満たしている |
グランドキャニオンはどのようにして誕生した?
グランドキャニオンはアメリカを代表する国立公園の一つ
『グランドキャニオン』は、アメリカ・アリゾナ州北部に広がる、世界最大級の渓谷(キャニオン)です。
グランドキャニオンが誕生した要因は、下記の2つの自然現象が大きく関係してます。
- 地殻変動による隆起
- コロラド川の流れによって削られた
誕生の歴史
5月頃はグランドキャニオンの谷底へトレッキングすることができる
約6,500万年前 | グランドキャニオン周辺で大規模な地殻変動が発生する。 ⇨土地が隆起したことで軟らかい地層が地上に現れる。 |
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約1,000万年前 | 軟らかい地層がコロラド川の流れによって削られ始める。 ⇨加えて、風などの影響により岩が崩れ落ちる現象も発生。 |
約120万年前 | 現在見られるグランドキャニオンのような形が完成。 |
約2万5,000年前 | グランドキャニオン周辺に人が住み着き始る。 |
1919年 | 当時のアメリカ大統領ウッドロー・ウィルソンによって国立公園に指定される。 |
1979年 | 世界自然遺産に登録。 |
上記の歴史を見てわかる通り、グランドキャニオンは地殻変動によって隆起した軟らかい地層が、コロラド川の流れによって削られて誕生したのです。
研究によると、地殻変動による隆起の速度がコロラド川の流れによる浸食よりも遅かったと見られています。
つまり、どんなに土地が隆起して再び平坦な土地に戻ろうとしても、隆起以上のスピードでコロラド川が流れていたため、流れが途絶えることなくどんどん浸食を繰り返していったのです。
グランドキャニオンで暮らす先住民族
夕暮れ時のグランドキャニオンは観光客に大人気
グランドキャニオン一帯を含むコロラド川沿いには、アナサジ族やハバスパイ族といった先住民族が伝統的な暮らしをしています。
20世紀に入ってから、グランドキャニオンの壮大は景観を見るために多くの観光客が訪れるようになったことで、観光弊害により先住民族の暮らしに悪影響を及ぼしかねないことが指摘され始めました。
そこで、当時のアメリカ大統領ウッドロー・ウィルソンは、グランドキャニオンを国立公園に指定して、自然環境のみならず、先住民族の暮らしの保護を強化したのです。
グランドキャニオンの歴史は、自然現象だけでなく、自然環境を生活に取り入れた人々の暮らしも含まれるのです。
世界遺産登録理由
グランドキャニオン国立公園近辺の観光スポット「ホースシューベンド」
『グランドキャニオン』が世界遺産登録された理由は、大きく下記の3点に分けられます。
- 他に類を見ない世界最大級の渓谷
- 数億年の地球の歴史を刻む貴重な自然景観
- 多種多様な動植物が生息
理由1:他に類を見ない世界最大級の渓谷
雪化粧をした冬のグランドキャニオンも必見
世界遺産登録理由の1つ目は、地球上ここでしか見られない大渓谷が広がっている点です。
グランドキャニオンは、”宇宙から見える唯一の地形”と言われているほどのスケールを誇り、ここまで壮大な渓谷は他の地域を探してもなかなかありません。
- 総面積:4,930㎢(東京都の約2倍)
- 最大の深さ:1,700m(東京スカイツリーの約3倍)
- 長さ:440km以上(「東京-神戸」間の距離に匹敵)
理由2:数億年の地球の歴史を刻む貴重な自然景観
最深部の地層は世界最古と考えられる約20億年前のもの
世界遺産登録理由の2つ目は、数億年にもおよぶ地球の貴重な姿が見られるからです。
- 約20億年前(先カンブリア時代)の地層が地上で見られる
- 年代の異なる11もの地層が見られる
- 約5億年前(古生代)に生息していたとされる三葉虫の化石が見つかった
グランドキャニオンで見られる地層で最も古いものが約20億年前、最も新しいと考えられている地層でも約2億5,000万年前にまでさかのぼります。
最も古い約20億年前の地層は、地上で見られる地層として世界最古と考えられているのです。
また、地層からは三葉虫を始めとする、古代に生息していた生物の化石が見つかっています。
このように、グランドキャニオンは地球の歴史を知る上で非常に貴重な環境なのです。
理由3:多種多様な動植物が生息
あまり知られてないがグランドキャニオンでは豊富な動植物を観察できる
世界遺産登録理由の3つ目は、多種多様な動植物が生息する生物の宝庫である点です。
一見、グランドキャニオンは草木が少なく生物があまり生息していない大地のように見えます。
しかし、実際グランドキャニオンには動物約500種、植物約1,000種が生息しており、アメリカを代表するの動植物の楽園なのです。
【主な生息動物】
- アメリカグマ
- カナダオオヤマネコ
- ハヤブサ
- ピューマ
前述の「理由1:他に類を見ない世界最大級の渓谷」で解説したように、グランドキャニオンの深さは最大で1,700mもあります。
このように、地表と渓谷の最深部に大きな標高差が存在するため、同じ地域にもかかわらず気候帯が5つも存在するのです。
複数の気候帯が存在することで、その気候に適した動植物が生息し、多種多様な動植物が生息する楽園を作っているのです。
「ペットボトルの持ち込み禁止!?」環境保護の取り組み
グランドキャニオン国立公園で実施されている環境保護政策の一つが、ペットボトルの持ち込み禁止です。
観光客などの園内へのペットボトル持ち込みはもちろん、なんと園内でのペットボトル飲料の販売も禁止されています。
グランドキャニオン国立公園で出るゴミの中で最も多いのが、ペットボトルを含むボトル製品です。
つまり、ペットボトルの持ち込みを禁止することで、園内で出る主要なゴミを無くすことができるのです。
ペットボトルはリサイクルできる反面、木や紙のような比較的簡単に自然にかえる資源ではありません。
ポイ捨てが行われてしまうと、自然環境に大きな悪影響を及ぼしてしまいます。
一方で、水筒などのマイボトルを持ち込めば、園内の複数箇所に設置された給水所で水を入れることができます。
このように、グランドキャニオンでは環境保護政策を行いつつ、熱中症対策や観光の利便性も高めているのです。
本日の確認テスト
(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
3,4級レベル
グランドキャニオン最古の地層の年数として正しいものはどれか。
- 3億年
- 8億年
- 14億年
- 20億年
④
答え(タップ)>>2級レベル
今なおグランドキャニオン周辺で生活を送っている先住民族の名前として正しいものはどれか。
- ヨルバ族
- ハバスパイ族
- サン族
- メリナ族
②
答え(タップ)>>1級レベル
『グランドキャニオン国立公園』に関する説明として正しいものはどれか。
- 地表と渓谷の最深部に最大で1,700mもの標高差があるため、同じ地域にもかかわらず気候帯が5つ存在する。
- 20世紀末に1億年以上前の植物と考えられている「ウォレミマツ」が発見された。
- 貴重な自然環境が残されていることに加え、先住民族の聖域であることからアメリカ初の国立公園に指定された。
- 河川の上流に位置する都市から大量の生活汚水が園内に流れ込んできていることが問題視されている
①
答え(タップ)>>まとめ
- 地殻変動による隆起とコロラド川の流れによる浸食で巨大な渓谷が誕生した。
- 20世紀初頭にウッドロー・ウィルソン大統領により国立公園に指定される。
- 国立公園周辺には現在もハバスパイ族などの先住民族が伝統的な暮らしをしている。
- 約20億年前(カンブリア時代)とされる世界最古の地層が見られる。
- 地層からは三葉虫などの古代に生息していた生物の化石が見つかっている。
- 「アメリカグマ」や「ハヤブサ」など多種多様な動植物が生息している。
- 地表と渓谷の最深部に大きな標高差が存在するため気候帯が5つ存在する。
- 環境保護政策のため園内へのペットボトルの持ち込み&販売が禁止されている。
おまけ:「グランドキャニオン」のプチ観光情報
拠点となる都市 | ラスベガス、フェニックス |
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最寄り空港 | グランドキャニオン・ナショナルパーク空港 (一般的にはラスベガスの「ハリー・リード国際空港」から陸路移動が多い) |
公用語 | 英語 |
通貨 | USドル |
観光のベストシーズン | 3〜5月、10〜11月 |
時差 | 16時間 ※日本が16時間進んでます。 |
治安 | 良い |
物価 | 少し高い(日本の物価の約1.5倍) |
ビザ | 不要 ※ただし、ESTA登録が必須 |
谷底へのトレッキングなど、様々な楽しみ方を満喫したい方は、3〜5月に訪れるのがおすすめです。
一方で、熱中症の心配がなく快適に過ごしたい方は、10〜11月に訪れるのがおすすめです。
ただし、10〜11月は日没が早く園内は街灯が少ないため、夏場に比べると観光時間が限られてきます。
アクセス
グランドキャニオン観光の拠点となる街ラスベガス
残念ながら、日本からグランドキャニオン周辺への直行便は就航していません。
一般的には、他のアメリカの都市を1〜2回経由してアクセスすることになります。
【ラスベガス or フェニックスから陸路移動の場合】
- 日本の各空港 [フライト時間:9〜11時間] ⇨ アメリカ各都市(シアトル、サンフランシスコ、他) [フライト時間:約2〜3時間] ⇨ ハリー・リード国際空港(ラスベガス)or フェニックス・スカイハーバー国際空港 [ツアーバス:約4〜5時間] ⇨ グランドキャニオン国立公園
【グランドキャニオン・ナショナルパーク空港利用の場合】
- 日本の各空港 [フライト時間:9〜11時間] ⇨ アメリカ各都市(シアトル、サンフランシスコ、他) [フライト時間:約2時間] ⇨ ハリー・リード国際空港(ラスベガス) [フライト時間:約40分] ⇨ グランドキャニオン・ナショナルパーク空港 [車:約20分] ⇨ グランドキャニオン国立公園
- 「ラスベガス – グランドキャニオン」間の空路はハリー・リード国際空港ではなく、郊外の「ボールダー・シティ空港」または「ヘンダーソン・エグゼクティブ空港」を利用する。
グランドキャニオンを訪れる観光客の大半が、ラスベガス発のバスツアーに参加します。
日本の旅行会社でも数多くツアーを取り扱っているので、ツアーを利用して効率よく訪れましょう。
なお、園内に9つある展望スポットへは、無料のシャトルバスを使って訪れることができます。
グランドキャニオンのホテル情報
- 園内の宿泊施設の多くが「サウス・リム」に集中
- ホテルは少なくロッジがメイン
- ラスベガスやフェニックスからの日帰り観光(宿泊無し)は困難
グランドキャニオン国立公園内で宿泊する場合、ほとんどのケースで「サウス・リム」という街で過ごすことになります。
サウス・リムは、グランドキャニオンのビジターセンターなどがある、国立公園観光の拠点となる街です。
サウス・リムには数棟の中規模ロッジが点在し、宿泊するには十分な設備が整っています。
宿泊費の相場は「3〜5万円」と少し高いものの、観光シーズンを外せば2万円台からの宿泊もできます。
なお、自分で宿泊施設の予約をしなくても、最短で1泊2日の宿泊費込みのツアーも多数あるので、ぜひツアーを活用してお得にグランドキャニオン観光を楽しみましょう。
参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。