こんな方にオススメの内容!
- ガラホナイ国立公園とはなにかを知りたい!
- ガラホナイ国立公園が世界遺産登録された理由が気になる!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- スペインへの旅行を考えている!
遺産ポイント
- ガラホナイは通年深い霧に包まれるラ・ゴメラ島にある国立公園
- 海底火山の噴火によって誕生したため一度も大陸と繋がったことがない
- 太古の時代のゲッケイジュ林など多くの希少な動植物が見られる
「ガラホナイ国立公園」のプロフィール
登録名称 | ガラホナイ国立公園 |
---|---|
登録年 | 1986年 |
所在国 | スペイン |
登録ジャンル | 自然遺産 |
登録基準 | (vii)(ix) |
その他 | スペイン初の世界自然遺産 |
そもそも「ガラホナイ国立公園(ラ・ゴメラ島)」とは?
『ガラホナイ国立公園』とは、希少な生き物が多く生息し、数百万年前の太古の森が残されている、地球の歴史を感じることができる国立公園です。
ガラホナイ国立公園は、スペイン領カナリア諸島の「ラ・ゴメラ島」に位置し、島の約1割が国立公園に指定されています。
面積は東京の新宿区と品川区を合計した広さほどですが、地球上の他の地域を見渡しても、ガラホナイ国立公園と似たような環境はほとんど存在しません。
つまり、ガラホナイ国立公園は地球上では唯一無二とも言える特殊な環境が残されているのです。
ガラホナイ国立公園(ラ・ゴメラ島)の特殊な環境とは?
具体的に、ガラホナイ国立公園(ラ・ゴメラ島)の特殊な環境とは、主に以下の2点が挙げられます。
- 長年、深い霧に包まれ続けている
- 一度も大陸と繋がったことがない
ガラホナイ国立公園のあるラ・ゴメラ島は、海洋性気候という年間を通して海から吹く湿った風を受けます。
その湿った風によって頻繁に濃い霧が発生し、常に島には水分がもたらされるのです。
また、ラ・ゴメラ島は島が誕生してから一度も大陸に繋がったことがありません。
その結果、ラ・ゴメラ島でしか見られない貴重な動植物が誕生しました。
このように、ラ・ゴメラ島は島の誕生背景や島周辺の気候条件によって、唯一無二な自然環境が育まれてきたのです。
島はどのようにして誕生した?
天気が良ければラ・ゴメラ島から隣の島テネリフェ島を臨むことができる
ラ・ゴメラ島は、大西洋の海底で発生した火山噴火によって誕生しました。
ラ・ゴメラ島だけでなく、「テネリフェ島」や「グラン・カナリア島」など周辺に点在する島々も同じく海底火山の噴火によって誕生し、これらの島々でスペイン領カナリア諸島を形成しています。
ちなみに近年では、2021年にカナリア諸島のラ・パルマ島で火山噴火が発生しました。
このように、カナリア諸島近辺の火山活動は今でも行われています。
世界遺産登録理由
ガラホナイ国立公園のシンボル「アガンド・ロック」
『ガラホナイ国立公園』が世界遺産登録された理由は、大きく下記の2つに分けられます。
- 地球を代表する貴重で美しい自然環境が残されている
- 希少な固有種が生育している
なお、ガラホナイ国立公園はスペインで初めて世界自然遺産に登録された記念すべき遺産です。
理由1:地球を代表する貴重で美しい自然環境が残されている
ラ・ゴメラ島ではギザギザした独特な地形が見られる
世界遺産登録理由の1つ目は、地球を代表する貴重で美しい自然環境が残されていることです。
前述の「ガラホナイ国立公園(ラ・ゴメラ島)の特殊な環境とは?」で解説したように、ガラホナイ国立公園のあるラ・ゴメラ島は一度も大陸と繋がったことのない、常に霧に包まれている特殊な島です。
この特殊な環境によって、以下のような特徴的な自然景観が誕生しました。
- 標高の高い場所は1年を通して豊かな緑に覆われている
- 深く入り組んだ海岸線
- 数多くの切り立った岩山
島は、ガラホナイ山を中心に広がっています。
島の面積は決して広くはないものの、海面と最も高い場所との標高差はなんと約1,500mもあります。
この大きな標高差によって、低い地域と高い地域で気候が大きく異なるのです。
標高が低い地域 | 雨の日が少ないため、乾燥した大地が広がる。 |
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標高が高い地域 | 霧によって常に水がもたらされているため、緑豊かな大地が広がる。 |
また、常に霧に包まれていることから、ヨーロッパやアフリカ北部を覆った氷河(いわゆる氷河期)など、地球の歴史上で起こった気候変動の影響をほとんど受けることがありませんでした。
そのため、ラ・ゴメラ島は島が誕生した太古の時代(約6,500万〜200万年前)の姿を今なお留めているのです。
理由2:希少な固有種が生育・生息している
標高の高い場所には常に深い霧が覆っている
世界遺産登録理由の2つ目は、希少な固有種が生育・生息していることです。
島が誕生した太古の時代から、ラ・ゴメラ島は常に深い霧に包まれていました。
さらに、一度も大陸と繋がったことのない”絶海の孤島”のため、他の大陸の動植物の影響を受けることもありませんでした。
その結果、ラ・ゴメラ島独自の植物相、動物相が誕生したのです。
用語メモ
植物相や動物相の相(そう)とは、特定の地域に生育・生息している動植物のすべての種類のことを指す。その地域に生育・生息する動植物を紹介する際に用いられやすい。【ラ・ゴメラ島で見られる主な植物の分類】 | |
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照葉樹林 | 主に暖かい地域に生育する森林の種類。葉っぱの表面の光具合が強いことが名前の由来。ガラホナイ国立公園で最も有名な照葉樹林はゲッケイジュ(月桂樹)林。 |
シダ植物 | 主に湿度の高い地域に生育し、胞子(ほうし)と呼ばれる細胞を使って繁殖する植物の種類。湿度の高い地域が多い日本でもよく見られる。 |
なお、ガラホナイ国立公園内に生育している植物の約7割が固有種であるとわかっています。
ラ・ゴメラ島はコロンブスの歴史を刻む島?
ガラホナイ国立公園のあるラ・ゴメラ島は、アフリカ大陸西岸の沖合に位置する大西洋上の島です。
アフリカ大陸のすぐ隣、ヨーロッパからも比較的近い距離に位置することから、かつては船で南北アメリカ大陸へ向かう際の寄港地にされていました。
実際に、アメリカ大陸を発見して世界に新大陸の存在を発信した人物として有名な、イタリア人探検家クリストファー・コロンブスは、ラ・ゴメラ島を最後の拠点にしてアメリカ大陸を目指したと言われています。
コロンブスの歴史があることから、ラ・ゴメラ島は別名”コロンブスの島”と呼ばれています。
現在では、コロンブスが水をくんだ井戸やコロンブスの銅像など、いくつかの記念碑が残されています。
本日の確認テスト
(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
2級レベル
『ガラホナイ国立公園』に多く生育する照葉樹林に分類される植物の名前として正しいものはどれか。
- シラビソ
- シラカシ
- ゲッケイジュ
- ヒノキ
③
答え(タップ)>>1級レベル
『ガラホナイ国立公園』の環境の特徴として誤っているものはどれか。
- 国立公園内に生育する植物の約7割が固有種
- 島の中心部にドーム型の砂丘が広がる
- 周囲からの海風によって常に霧に覆われている
- 一度も大陸と繋がったことがない火山島
②
答え(タップ)>>※「3,4級」レベルのトレーニングテストは対象外になります。
まとめ
- ガラホナイとは希少な生き物が多く生息し数百万年前の太古の森が残されている国立公園。
- 国立公園はラ・ゴメラ島の総面積約1割を占める。
- 海洋性気候の影響で島は1年を通して深い霧に包まれている。
- 海底火山による誕生のため島は一度も大陸と繋がったことがない。
- 標高の低い地域は乾燥した大地、標高の高い地域は緑に覆われている。
- 氷河期の影響を受けなかったため、太古の時代(約6,500万〜200万年前)の姿を今なお留めている。
- 国立公園内に生育している植物の約7割が固有種
- クリストファー・コロンブスはラ・ゴメラ島をアメリカ大陸到達の航路の拠点にした。
おまけ:「ガラホナイ国立公園(ラ・ゴメラ島)」のプチ観光情報
ラ・ゴメラ島の中心都市「サン・セバスティアン・デ・ラ・ゴメラ」
拠点となる都市 | サンセバスティアン・デ・ラ・ゴメラ (ラゴメラ島行きの船が出発する街はテネリフェ島のロス・クリスティアーノス) |
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最寄り空港 | ラ・ゴメラ空港 (または、テネリフェ・ノルテ空港、テネリフェ・スール空港) |
公用語 | スペイン語 |
通貨 | ユーロ |
観光のベストシーズン | 5〜9月 |
時差 | 8時間(サマータイム時は7時間) ※日本が8時間進んでます。 |
治安 | 非常に良い |
物価 | 普通(日本とほぼ同じ) |
ビザ | 不要 |
ツアー相場 | 10,000〜30,000円(ツアー詳細はこちらから) |
日本ではあまり知られていないラ・ゴメラ島(ガラホナイ国立公園)ですが、ヨーロッパでは人気の観光島の一つです。
そのため、ラ・ゴメラ島の隣の島テネリフェ島から多くのツアーが催行されています。
ただし、テネリフェ島に比べて観光施設は決して充実しているとは言えないため、テネリフェ島から日帰りツアーに参加して観光するスタイルが人気です。
アクセス
「テネリフェ島⇨ラ・ゴメラ島」へ向かう船(一例)
残念ながら、日本からラ・ゴメラ島への直行便は就航していません。
一般的には、アジア各都市、ヨーロッパ各都市、中東各都市で1〜2回乗り継いで隣の島テネリフェ島へ行き、テネリフェ島からは南部の港町から船でアクセスすることになります。
航空会社:中国国際航空 CA920
フライト時間:3時間35分
航空会社:中国国際航空 CA827
フライト時間:11時間55分
航空会社:ルフトハンザドイツ航空 LH1838
フライト時間:5時間
乗船時間:約50分
ちなみに、ラ・ゴメラ島には小さな空港があるため、「テネリフェ島 ⇨ ラ・ゴメラ島」へのアクセスは飛行機を使うこともできます。
しかし、空港到着後の移動手段はレンタカーになってしまうため、低コストで効率良くラ・ゴメラ島を観光したい場合は、テネリフェ島からツアーに参加して訪れるのがおすすめです。
ホテル情報
- ラ・ゴメラ島にはリゾートホテルはほぼない
- 基本的にはテネリフェ島南部のホテルに宿泊
- 島の中心「サン・セバスティアン・デ・ラ・ゴメラ」には小規模ホテルが点在
残念ながら、ラ・ゴメラ島にはあまり大型の宿泊施設はありません。
どうしてもラ・ゴメラ島で宿泊したい場合は、島の中心であるサン・セバスティアン・デ・ラ・ゴメラという街で探すことになります。
多くの観光客は、隣の島テネリフェ島南部(ラ・ゴメラ島行きの船が出ている港に近いエリア)で宿泊施設を予約することがほとんどです。
テネリフェ島であれば、南国らしいリゾートホテルも多くあるため、ホテル滞在にこだわりのかる方はテネリフェ島でホテルを探し、日帰りでラ・ゴメラを訪れることを検討してみましょう。
参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。