こんな方にオススメの内容!
- ケープ植物区保護地域群とはなにかを知りたい!
- ケープ植物区が世界遺産登録された理由が気になる!
- 生育する植物を知りたい!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- 南アフリカへの旅行を考えている!
遺産ポイント
- 世界遺産登録範囲のケープ植物区は13の保護区に分けられる
- ケープ植物区の約8割の範囲がフィンボスと呼ばれる灌木植生地域
- 過酷な環境に適応するように進化したプロテアが代表的な植物
「ケープ植物区保護地域群」のプロフィール
登録名称 | ケープ植物区保護地域群 |
---|---|
登録年 | 2004年登録(2015年:範囲拡大) |
所在国 | 南アフリカ |
登録ジャンル | 自然遺産 |
登録基準 | (ix)(x) |
そもそも「ケープ植物区」とは?
ケープタウンのウォーターフロントから見るテーブルマウンテン
ケープ植物区とは、アフリカ大陸南部(南アフリカ共和国)に位置する、世界にある6つの植物区系の一つです。
世界の6つの植物区系の中では最も小さいエリアのため、世界中探してもなかなか見られない固有の動植物が多く生息している点が最大の特徴です。
テーブルマウンテンのロープウェイ乗り場にある世界の6つの植物区系を表した地図
【世界の6つの植物区系の面積】
- 全北区:5,410万k㎡
- 旧熱帯区:2,210万k㎡
- 新熱帯区:1,900万k㎡
- オーストラリア区:770万k㎡
- 南極区:1,750万k㎡
- ケープ区:0.5万k㎡
ちなみに、世界遺産登録名称に”保護地域群”と書かれているように、ケープ保護区は複数の保護区に分けられています。
この保護区のうち、13カ所の保護区が世界遺産に登録されています。
(具体的な登録範囲については後述してます)
世界遺産登録理由
手軽に固有の植物を見ることができる「カーステンボッシュ国立植物園」園内の様子
ケープ植物区が世界遺産登録された理由は、大きく下記の2点に分けられます。
- ケープ植物区でしか見られない貴重な植物が生育
- 絶滅の恐れのある多種多様な動植物が生息
理由1:ケープ植物区でしか見られない貴重な植物が生育
テーブルマウンテン山頂にも多くの花が咲き誇る
世界遺産登録理由の1つ目は、ケープ植物区でしか見られない貴重な植物が生育していることです。
ケープ植物区に多くの固有種(その土地でしか見られない動植物)が見られる要因は、地中海性気候が大きく関係してきます。
用語メモ
地中海性気候とは、地球上にあるいくつかの気候のうち主に地中海やその周辺エリアに存在する気候を指す(オーストラリアやアメリカの一部も該当)。夏は乾燥し冬は雨が多いのが特徴で、一般的には温帯に分類される(例えば、北海道は冷帯に分類される)。地中海に面している北部を除いて、アフリカ大陸の中で地中海性気候を持つエリアはケープ植物区だけです。
こういった特別な気候によって、ケープ植物区はアフリカ大陸全体の面積の0.5%にすぎないにもかかわらず、アフリカ大陸の植物の約20%(9,000種)が見られます。
さらに、ケープ植物区に生育する9,000種の植物のうち、約70%(約8,000種)は固有種です。
他にも、特別な環境により植物の貴重な進化の過程が見られるなど、動植物の貴重な研究環境になっている点も高く評価されています。
理由2:絶滅の恐れのある多種多様な動植物が生息
ケープ半島にはプロテアなど数多くの個性的な植物が生育する
世界遺産登録理由の2つ目は、絶滅の恐れのある多種多様な動植物が生息していることです。
ケープ植物区は動植物のホットスポットと言われており、地球上ここでしか見られない生物を観察することができます。
用語メモ
ホットスポットとは、多様な生物が生息しているが、その存続が危ぶまれている地域。【ケープ植物区に生息する主な動植物】
- ストレリチア(極楽鳥花)
- キングプロテア
- ピンクッション
- エリカ
- ロングタンフライ(アブの仲間)
なかでも、キングプロテアはケープ植物区に生育する植物の象徴です。
キングプロテアはフィンボスという灌木(かんぼく)植生地域に生育し、フィンボスは世界遺産登録範囲のおよそ8割を占めています。
用語メモ
灌木(かんぼく)とは、幹があまり発達しない背の低い植物の総称。高さの厳密な定義はないが、一般的には人間の背丈よりも低い植物を指す。一般的なフィンボスは、地中海性気候のような乾燥した気候だと、夏に発生しやすい山火事の被害を受けてしまいます。
しかし、ケープ植物区のフィンボスは、なんと山火事に適応した能力を備えているのです。
【フィンボスに生育する植物の一つ「キングプロテア」の特徴】
- 高温の中で発芽する
- 1つでも多くの子孫を残すために種子を撒き散らす
ちなみに、キングプロテアは最大で30cmもの大きな花を咲かせ、日本ではドライフラワーとして人気を誇っています。
主な保護区(世界遺産登録範囲)
「テーブルマウンテン国立公園」内にあるアフリカ大陸最西南端「喜望峰」
世界遺産に登録されている保護区は13カ所です。
2004年に世界遺産に登録された際は8カ所でしたが、その後2015年の登録範囲拡大によって5つ増えました。
2004年登録時 | 8つの保護区 | 約5,600km |
---|---|---|
2015年拡大時 | +5つの保護区 | 約11,000km |
世界遺産登録範囲の最西端はケープ半島、最東端は港町のポートエリザベスで、全長は約650kmにおよびます。
この長さは、「東京-岡山」間に匹敵するほどの距離です。
テーブルマウンテン国立公園(ケープ半島含む)
世界で唯一世界自然遺産に登録されている「カーステンボッシュ植物園」
- 南アフリカ第二の都市ケープタウンに位置
- 山頂が平らな様子がテーブルに見えることが名前の由来
- 約1470種の植物が見られる
- ケープポイントや喜望峰も含まれる
テーブルマウンテン国立公園は、南アフリカ第二の都市ケープタウン近郊に位置する国立公園です。
最大の特徴は、テーブルのように山頂が平らな山々がそびえ立つ景色です。
テーブルマウンテン山頂や周辺には、約1470種の植物をみることができ、この数はイギリス全体で見られる植物の種類よりも多いのです。
なお、国立公園の中には「カーステンボッシュ国立植物園」も含まれており、世界で唯一世界自然遺産に登録されている植物園です。
また、世界史の大航海時代などでよく耳にする「喜望峰」も世界遺産登録範囲に含まれています。
喜望峰のあるケープ半島もテーブルマウンテン同様に、ここでしか見られない多種多様な植物が生育しています。
セダーバーグ野生保護区
荒涼とした大地が続く「セダーバーグ野生保護区」
- 砂岩の乾燥した大地が広がる
- 乾燥した環境に適した多肉植物が多く生育
- 高さ25mの岩の塔がシンボル
セダーバーグ野生保護区は、乾燥した大地が広がり、環境に適した植物が生育するエリアです。
乾燥した環境に適した植物の代表例が多肉植物です。
用語メモ
多肉植物とは、茎や葉などに水を蓄える能力を持っている植物の総称。主な植物としてはサボテン科が挙げられる。多肉植物は水分を溜め込む能力があるため、乾燥した環境でも長生きすることができます。
また、セダーバーグは寒暖差が激しい環境である点も特徴です。
この寒暖差の影響でできた高さ25mの岩の塔や、寒暖に適した動植物も見られます。
本日の確認テスト
(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
3,4級レベル
ケープ植物区の約8割の範囲に広がる植物地域の名称として正しいものはどれか。
- パルカード・ギャップ
- ハンモック
- ウィルダネス
- フィンボス
④
答え(タップ)>>2級レベル
『ケープ植物区保護地域群』として世界遺産登録されている保護区の数として正しいものはどれか。
- 13
- 16
- 18
- 22
①
答え(タップ)>>1級レベル
ケープ植物区のフィンボスに生育するキングプロテアの特性として正しいものはどれか。
- 雨の少ない乾燥した地域でも海からの湿気を葉っぱで捉えて体内に取り込む。
- より多くの子孫を残すために種子を最大で5年分蓄える。
- 動物に簡単に食べられないように葉や茎にトゲを持っている。
- 高温の中で発芽するほど高温に強い。
④
答え(タップ)>>まとめ
- ケープ植物区とは世界にある6つの植物区系の一つで、南アフリカのみに属する。
- 13カ所の保護区が世界遺産登録された。
- ケープ植物区に生育する9,000種の植物のうち約70%(約8,000種)は固有種。
- ケープ植物区の代表的な植物はフィンボスに生育するキングプロテア。
- 2015年の登録範囲拡大によって5つの保護区が追加された。
- 世界遺産登録に含まれた主な保護区は「テーブルマウンテン国立公園」「セダーバーグ野生保護区」。
- 「カーステンボッシュ国立植物園」は世界で唯一世界自然遺産に登録されている植物園。
おまけ:「ケープ植物区保護地域群」のプチ観光情報
ツアー会社「City Sightseeing」のケープ半島ツアーの様子
拠点となる都市 | ケープタウン |
---|---|
最寄り空港 | ケープタウン国際空港 |
公用語 | 英語(その他複数の言語あり) |
通貨 | ランド(1R = 約8円) |
観光のベストシーズン | 5〜10月 |
時差 | 7時間 ※日本が7時間進んでます。 |
治安 | 普通(国立公園内は安全) |
物価 | 日本と同等や少し安い |
ツアー相場 | 8,000〜30,000円(ツアー詳細はこちらから) |
入園料 | ●テーブルマウンテン(ロープウェイ) 大人:R360 子供:R160 ※ロープウェイを使わない場合は無料) ●ケープポイント(喜望峰) 大人:R320 子供:R160 |
開園時間 | ●テーブルマウンテン(ロープウェイ) 08:00〜19:00 ●ケープポイント(喜望峰) 10〜3月 06:00〜18:00 4〜9月 07:00〜17:00 |
休園日 | 無し |
ビザ | 不要 |
世界遺産登録範囲だけで考えると広大なエリアに及びますが、比較的観光しやすい下記のエリアは、南アフリカ第二の都市ケープタウンを拠点にすると非常に訪れやすいです。
- テーブルマウンテン
- ケープ半島(ケープポイント、喜望峰)
- カーステンボッシュ植物園
各地へは、ケープタウン発のツアーが充実しているため、ツアー利用で訪れる方法が最も効率よく周ることができます。
ツアーによっては1日で全ての世界遺産を周ることができます。
一方で、「セダーバーグ原生地域」などはケープタウンから少し離れたところに位置しているため、ケープタウン発の日帰りツアーを申し込む or レンタカーでアクセスすることになります。
なお、具体的なアクセス方法やケープ半島の見どころについては下記の記事で詳しく解説してますので、気になる方はぜひ併せて読んでみてください。
合わせて読みたい!【世界遺産 ”ケープ半島(喜望峰)”】見どころ&アクセス方法&おすすめツアーをわかりやすく解説!参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。