こんな方にオススメの内容!
- なぜカナイマ国立公園(ギアナ高地)が世界遺産に登録されたのか理由が気になる!
- カナイマ国立公園(ギアナ高地)の独特な自然環境が形成された背景が気になる!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- 南米大陸への旅行を考えている!
遺産ポイント
- 『地球最後の秘境』と呼ばれるほど手付かずの大自然が残されている!
- 公園内には「テーブルマウンテン」と呼ばれる独特な形をした山が点在している!
- 手付かずの自然環境が故に数多くの固有種が生息し独特な生態系を形成している!
「カナイマ国立公園(ギアナ高地)」のプロフィール
登録名称 | カナイマ国立公園 |
---|---|
登録年 | 1994年 |
所在国 | ベネズエラ |
登録ジャンル | 自然遺産 |
登録基準 | (vii)(viii)(ix)(x) |
備考 | 自然遺産の登録条件(4つ)全てを満たす! |
カナイマ国立公園とは?ギアナ高地とは?
世界遺産に登録されている範囲の一つである草原地帯
カナイマ国立公園とは南米大陸北部にあるギアナ高地という標高の高い地域に位置する国立公園です。
このギアナ高地の広さは日本の総面積の約4倍というとてつもない広さを持ち、カナイマ国立公園はこの広大なギアナ高地の中心に位置しています。
(カナイマ国立公園だけの広さでも関東地方に匹敵する広さです)
ですので今回は、「ギアナ高地の一部の国立公園が世界遺産に登録されている」といったニュアンスで捉えてください。
カナイマ国立公園の世界遺産としての魅力は大きく分けて2つになります。
- 地球の歴史を感じることができる!
- 多種多様で且つ独特な動植物を見ることができる!
またカナイマ国立公園は大きく3つのエリアに分けられます。
- テーブルマウンテン地帯
- 熱帯雨林
- 草原地帯
特にギアナ高地独特の景観が見られる地帯として有名なのが「テーブルマウンテン」です!
テーブルマウンテンに関しては後述の「カナイマ国立公園名物の「テーブルマウンテン」とは?」で詳しく解説します。
このような「独特の景観が見られる」「地球の歴史を感じられる」「多種多様な動植物が見られる」ことからカナイマ国立公園があるギアナ高地は、”地球最後の秘境”とも言われています。
ちなみにカナイマ国立公園を含むギアナ高地は、コナン・ドイルが著したSF小説である「ザ・ロストワールド(失われた世界)」のモデルにもされた場所です。
ここまでで、カナイマ国立公園とギアナ高地の大まかな特徴について解説してきました。
この先から世界遺産の登録範囲であるカナイマ国立公園の自然の特徴について、さらに深堀りして行きます!
カナイマ国立公園(ギアナ高地)の自然景観の特徴
崖からいくつもの滝が流れ落ちている景観が見られる
ギアナ高地内には複数の国立公園が存在しますが、その中でもカナイマ国立公園はとりわけ特徴的な自然環境を有しています。
とりわけ有名なのが下記の2つの自然景観です。
- テーブルマウンテン
- アンヘルの滝(エンジェルフォール)
カナイマ国立公園を訪れる観光客の多くがこの2つの自然景観を見ることが目的と言っても過言ではありません!
世界中には数多くの国立公園が存在しますが、その中でも特に珍しい自然景観が広がるのがここカナイマ国立公園です。
その自然景観の成り立ちも含めて詳しく解説します。
カナイマ国立公園名物の「テーブルマウンテン」とは?
カナイマ国立公園名物の「テーブルマウンテン」
まずはテーブルマウンテンについてです。
テーブルマウンテンとは簡単に言うと
「山頂が平らな山」
といった表現になりますね。
一般的な山だと頂上に向かえば向かうほど山の面積は狭くなり、山によっては鋭い形状をしています。
しかしこのテーブルマウンテンはそういった一般的な山と形状が大きく異なります。
テーブルマウンテンが誕生した歴史の流れは下記になります。
- カナイマ国立公園のあるギアナ高地一帯は約18億年前は巨大な湖地帯だった。
- 長年をかけて湖に砂などが堆積(たいせき)していく。
- 地殻変動によって砂などが堆積した湖が地上に押し上げられる。
- 地上に露出した砂(岩)山は雨風によって徐々に削られていく。
- しかし硬い成分でできた部分は残りそれが台形状(テーブルの形)になっていった。
国立公園内にはぺモン族という先住民族が生活をしており、彼らはこのテーブルマウンテンのことを「テプイ(神々のすみか)」と呼んでいます。
一方で、国立公園内で有名なテーブルマウンテンである「アウヤン・テプイ(標高:2535m)」は先住民の言葉で「悪魔のすみか」と呼ばれています。
ちなみにアウヤン・テプイの山頂の面積は約700㎢で、なんと東京23区がすっぽり収まってしまう広さなのです!
そして100以上点在するテーブルマウンテンの中で最も標高が高いのが「ロライマ山」で標高は2810mと3000m近いです。
テーブルマウンテンの地層の特徴
テーブルマウンテン山頂からの眺め
テーブルマウンテンの特徴は独特な形だけでなく「地層」面にもあります。
その地層の特徴とは、現在地球で見られる地層の中でも特に古い地層を見ることができる点です!
国立公園内の地層は「先カンブリア紀」の地層と言われ、これほど古い地層が表面に露出しているところは地球上でも非常に珍しいです。
こういった古い地層から地球の歴史を観察できる点が世界遺産の「登録基準(viii)」が認められた理由でもあります。
現在の五大陸(ユーラシア、北アメリカ、南アメリカ、オーストラリア、アフリカ)が誕生したとされるプレート変動が発生した際には、その当時存在していた地層の多くが変動によって変化しました。
つまり、プレート変動が発生する以前の地層を見ることは非常に難しいのです。
一方でカナイマ国立公園付近はプレート変動の軸の部分に位置していたことからそこまで変動の影響を受けることがありませんでした。
その結果、プレート変動以前の地層がまだ残っており、現在も非常に古い地層を見ることができるのです!
なお、ギアナ高地にあるテーブルマウンテンの地層は17億年前のプレート変動よりも古い20億年前のものとされています。
アンヘルの滝(エンジェルフォール)には滝壺が無い!?
落差は979mと世界最大級
まずアンヘルの滝とはスペイン語で「天使」という意味です。
とはいっても天使のような神聖な滝であることからこの名が付けられたわけではありません。
ではなぜ天使という名前がつけられているかというと、この滝を最初に発見したアメリカの冒険者「ジミー・エンジェル」の名前から取られたためです。
ですので英語では「エンジェルフォール」と呼ばれています。
アンヘルの滝の特徴は以下の通りです。
- 979mという地球最大級の落差を誇る!
- 滝であるにもかかわらず滝壺(滝の落下地点にたまる水域)が存在しない!
- 水源はテーブルマウンテンの上!
この滝の水源は前述の「カナイマ国立公園名物の「テーブルマウンテン」とは?」でも度々出てきたテーブルマウンテンの山頂にあります。
テーブルマウンテン山頂に雨などで溜まった水が湖や川を形成し、その川から流れ落ちる際にできたのがこのエンジェルフォールです。
テーブルマウンテンは通常の山のなだらかな斜面とは違い、縁部分は断崖になっています。
つまり水がなだらかに流れることがなく、滝のように一気に水が落ちるということです!
さらに特徴的なのが、あまりにも落差があるため滝壺が存在しないのです!
このような現象が起きた理由としては、979m下の地上に落ちる前に滝の水が霧となってしまうからです。
こういった地球上でも珍しい自然現象・自然景観を見ることができる点が、世界遺産「登録基準(vii)」が認められた大きな理由ですね。
カナイマ国立公園に生息する動植物の特徴
国立公園内に生息する固有種であるカエルの仲間「オリオフリネラ」
前述の「カナイマ国立公園(ギアナ高地)のプロフィール」を見ていただければわかると思いますが、カナイマ国立公園は自然遺産の登録条件(vii, viii, ix, x)全てを満たしている珍しい自然遺産です!
つまり動植物に大きく関わる登録条件「(ix)(x)」が認められた理由も必ずあるということですね。
(登録条件の詳細に関してはこちらの記事で解説してます)
この記事で何度も登場しているテーブルマウンテンですが、カナイマ国立公園の動植物の生態系にも大きく影響しています。
具体的にはテーブルマウンテンという周囲が断崖になっている隔絶された環境だからこそ、ここにしか生息しない動植物が存在する点です!
断崖絶壁の崖からは雲海が見られる
一般的な山であれば山頂までがなだらかになっているため、地上に生息する動物の生態系が山頂部分の生態系にも大きな影響を与えます。
とりわけ人間の出入りが容易であるため、悪い意味で地上と山頂両方の生態系を人間が作ってしまう(変えてしまう)こともあります。
一方でテーブルマウンテンの環境だと断崖絶壁であるため人間どころか地上に生息する他の動植物の影響もほとんど受けません。
前述の「カナイマ国立公園名物の「テーブルマウンテン」とは?」でも触れたように、テーブルマウンテンは硬い成分の部分だけが残されて誕生した山です。
つまり、この硬い地盤でも生育できる植物や動物しか生きていくことができません。
具体的には下記などの動植物が挙げられます。
- ランなどの地衣類(ちいるい)の植物
- オリオフリネラ(体中に突起物のあるカエルの仲間)
- 土壌の養分が不要のヘリアンフォラ(食中植物)
もちろんテーブルマウンテン以外の環境にもカナイマ国立公園独自の生態系があります。
熱帯雨林や草原地帯を含めたエリアには約4000種の植物が生育しており、その約75%がカナイマ国立公園の固有種です。
このように独特な環境だからこその独特な生態系が誕生している点も世界遺産に登録された理由に大きく関わっています!
本日の確認テスト
(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
3,4級レベル
『カナイマ国立公園』に点在する山頂が平面の山の名称として正しいものはどれか。
- フラットマウンテン
- パラレルマウンテン
- テーブルマウンテン
- フィールドマウンテン
③
答え(タップ)>>2級レベル
国立公園内に点在する山を”テプイ”と呼んでいる先住民族の名称として正しいものはどれか。
- ハバスパイ族
- グアラニ族
- ぺモン族
- アニシナアベ族
③
答え(タップ)>>1級レベル
『カナイマ国立公園』に関する説明として正しいものはどれか。
- テーブルマウンテン山頂には土壌の養分を必要としない食虫植物ヘリアンフォラや地衣類が生息している。
- 長年にわたる浸食と風化によって世界最大規模の峡谷が誕生した。
- 自然環境の維持方法として「ウィルダネス」という人の手を一切加えない概念が取り入れている。
- アンヘルの滝が流れるアウヤン・テプイは現地の言葉で「神々のすみか」という意味を持つ。
①
答え(タップ)>>まとめ
- カナイマ国立公園は広大なギアナ高地の一部分を指す!
- 世界遺産に登録されている範囲は「テーブルマウンテン」「熱帯雨林」「草原地帯」の3つの地帯に分けられる!
- 公園内には山頂が平な「テーブルマウンテン」点在する!
- テーブルマウンテンの一つの「アウヤン・テプイ」は先住民族のぺモン族から『悪魔のすみか』と呼ばれている!
- アウヤン・テプイからは世界最大級の落差979mを誇るアンヘルの滝(エンジェルフォール)が流れ落ちている!
- 閉ざされた環境により手付かずの自然が残っていることから独特な生態系を形成している!
おまけ:カナイマ国立公園(ギアナ高地)のプチ観光情報
ベネズエラの玄関都市「カラカス」の街並み
空港のある最寄の街 | プエルト・オルダス |
---|---|
最寄の空港 | ヘネラル・マヌエル・カルロス・ピアル国際空港 |
観光のベストシーズン | 5〜11月の雨季 (目玉のエンジェルフォールの水量が増えて大迫力な滝を見ることができるため) |
時差 | 13時間(東京 – カラカス間) ※日本の方が13時間進んでます。 |
治安 | 普通 ※そもそもベネズエラ全土の治安があまりよくないが首都などの大都市と比べると比較的安定している(油断は禁物) |
物価 | 普通 ※インフレなどが度々起こるため、時期によって物価が大きく異なる。 |
2021年時点ではベネズエラはおろか、日本から南米諸国への直行便は就航していません。
ベネズエラの玄関口となる首都の「カラカス」までは、最低でもアメリカの都市などで1回以上(主に2回)の乗り換えが必要になります。
カラカスに到着後、国内線を利用して最寄の空港がある「プエルト・オルダス」へ向かう流れになります。
主なフライトは下記の通りです。
- 日本の各空港 ⇨ ロサンゼルス(アメリカ) ⇨ パナマシティ(パナマ) ⇨ カラカス ⇨ ヘネラル・マヌエル・カルロス・ピアル国際空港(フライト時間:約20時間)
- 日本の各空港 ⇨ イスタンブール、ドーハ、他 ⇨ カラカス ⇨ ヘネラル・マヌエル・カルロス・ピアル国際空港(フライト時間:約25時間)
カナイマ国立公園(ギアナ高地)までのアクセス
前述では最寄り空港がある都市として「プエルト・オルダス」を挙げていますが、一応「カナイマ空港」というカナイマ国立公園に最も近い空港もあります。
しかし首都カラカスからこちらの空港への就航本数は非常に少なく(基本的に無い)、どちらにせよ一度プエルト・オルダスを乗り継いでアクセスすることになります。
ですので、今回はカナイマ国立公園(ギアナ高地)観光で多くの観光客が利用する、プエルト・オルダスから国立公園へのアクセスを紹介します!
まず初めに、近年観光地化が進んできている公園内とは言え、「地球最後の秘境」と言われる通り、他の国立公園と比べるとアクセスが難しいことは事実です。
ですので基本的には日本の旅行会社が企画しているツアーか現地ベネズエラのツアー会社が企画しているツアーに参加することが一般的ですね。
ツアーに参加すれば効率良く、且つ確実に国立公園を訪れることができますし、メインどころの観光スポットにはだいたい周れます!
またベネズエラ全土が治安的にもあまり良くないので、個別でアクセスするのは避けた方が無難ですね(苦笑)
それでもどうしても個人で国立公園へアクセスしたい場合は、プエルト・オルダスではなく、そこからさらに飛行機で1時間ほど行った「カナイマ空港」からのアクセスがオススメです。
なぜならカナイマ空港は国立公園へアクセスするための空港と言っても過言ではないからです!
空港内にはカナイマ国立公園の入場券を購入するデスクがありますし、観光用の車や小型機をチャーターすることもできます(必ずしもレンタルできるとは限らないので要予約)。
しかしツアーで訪れようが個人で訪れようが、テーブルマウンテンやエンジェルフォールを間近で見るとなると必ず遊覧飛行で見て周ることになるので、小型機を利用する分非常に高額な観光となります(苦笑)
現地ベネズエラに行くまでの航空費用も高いですが、現地の観光費用での出費も高額になることを承知の上で観光してください。
宿泊施設情報
まず大前提として、カナイマ国立公園観光では基本的にはツアーで訪れることが多くなるため、自分たちでホテルの予約を取る機会はほぼありません。
またそもそもカナイマ国立公園周辺には、アメリカやカナダといった先進国にある国立公園とは違い観光客用の宿泊施設は非常に少ないです。
とはいっても個人で訪れたいと考えている方もいると思うので、少しだけ宿泊ホテルについて触れておきます!
宿泊するエリアは基本的に下記の3つになります。
- カナイマ空港周辺の小さな宿泊施設orキャンプ施設に宿泊
- カナイマ国立公園周辺の中でも大きな街であるプエルト・オルダスの空港周辺のホテルに宿泊
- ベネズエラの首都カラカスに宿泊(ここから現地の日帰りツアーに参加)
国立公園内には宿泊施設はほとんどないため簡易的な宿泊施設やキャンプ施設で過ごすことになります。
一方で公園から少し離れたプエルト・オルダスであれば3つ星ホテルほどのグレードであればいくつかあるので、ちょっと良いホテルを希望する場合はプエルト・オルダスを拠点にしましょう。
また首都のカラカスまで離れれば5つ星グレードの高級ホテルが点在しているので、衛生面や設備の充実度を気にする方であれば、カラカスを拠点とした観光がオススメですね!
参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。