こんな方にオススメの内容!
- イエスやヨハネに関する世界遺産を知りたい!
- マイナーな世界遺産に興味がある!
- 教養として世界遺産に関する知識を身につけたい!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
- 中東ヨルダン旅行を計画している!


遺産ポイント
- イエスが洗礼を受けたと信じられている聖書の名場面の舞台
- 初期キリスト教の洗礼文化や信仰を伝える貴重な遺跡群が残る
- 登録範囲は大きく分けて「エリヤの丘(テル・アル・カッラール)」「聖ヨハネの教会群地区」の2カ所
キリスト教においてとくに神聖な場所の一つとされる、ヨルダン川対岸のベタニア(アル・マグタス)。
「そもそもベタニア(アル・マグタス)ってなに?」
「どうしてイスラエル側は世界遺産ではないの?」
といったよくある疑問から、世界遺産登録にいたった背景までを、小学生でも理解できるようにどこよりも分かりやすく解説します。

『イエス洗礼の聖地「アル・マグタス」』のプロフィール
| 登録名称 | 洗礼の地「ヨルダン川の向こう側、ベタニア」(アル・マグタス) |
|---|---|
| 登録年 | 2015年 |
| 所在国 | ヨルダン |
| 登録ジャンル | 文化遺産 |
| 登録基準 | (iii)(vi) |
| 構成資産 | エリヤの丘(テル・アル・カッラール)[詳細は後述] 聖ヨハネの教会群地区 [詳細は後述] |
アル・マグタス(ヨルダン川対岸のベタニア)とは?

世界遺産登録名である
『洗礼の地「ヨルダン川の向こう側、ベタニア」(アル・マグタス)』
こちらをとてもわかりやすく以下の通りです。
| 洗礼の地 | 水を使って心を清める儀式(洗礼)が行われた場所→人生のリスタート |
|---|---|
| ヨルダン川 | キリスト教の聖書にも登場する、ヨルダンとイスラエルの国境を流れる川 |
| 向こう側 | 昔の人から見て、イスラエル側から東を見た方向(現在のヨルダン側) |
| ベタニア | 当時呼ばれていた地域の名前 |
| アル・マグタス | アラビア語で「水に浸かる場所」。つまり「洗礼をする場所」という意味 |
まとめると
ここは単なる遺跡ではなく、聖書に登場する「イエス・キリストが洗礼を受けた場所」そのものだと信じられているのです。
そしてこの遺産は、大きく以下の2つのエリアで構成されています。
- エリヤの丘(テル・アル・カッラール)
- 聖ヨハネの教会群地区
エリヤの丘(テル・アル・カッラール)

預言者エリヤが天へ昇ったとされる地
エリヤの丘(別名:テル・アル・カッラール)は、ヨルダン川の近くにある小さな丘ですが、実は下記のような伝説が残る場所です。
『約2900年前、有名な予言者のエリヤが「火のついた馬車」に乗って、そのまま空へ昇っていった』

また、その後に現れた古代ユダヤの宗教家ヨハネという人物も、この丘にある洞窟で生活しながら人々に大切な教えを伝えました。
現在も、大昔の教会の土台や遠くからお参りに来た人々が泊まった建物の跡が見つかっており、歴史と物語がギュッと詰まった特別な場所として大切に保護されています。
聖ヨハネの教会群地区

内部の壁画が美しいヨルダン川至近に建つギリシャ正教会
聖ヨハネの教会群地区は、ヨルダン川のすぐそばにある、洗礼の儀式の中心地です。
この地区には、イエスが実際に水に入ったとされる場所に、5~6世紀の教会の跡が残っています。その他にも、大理石の階段がついた十字形の洗礼池、当時の芸術の美しさを伝える鮮やかなタイルの床装飾(モザイク画)などを見ることができます。

なぜ世界遺産?(登録基準の解説)

世界遺産に登録された理由は、主に以下の2点です。
洗礼の伝統を物語る唯一無二の証拠

洗礼を行うために使用されていたかつての浴槽
アル・マグタスには、4世紀から6世紀頃の初期キリスト教時代に作られた教会の跡や洗礼のための浴槽、巡礼者が宿泊した施設の遺跡が数多く残されています。これらの施設は、昔の人々がどのようにキリスト教の信仰を守り、継続的に洗礼の儀式を行っていたかを現代に伝える「生きた証拠」です。

当時の宗教の伝統や文化を示す貴重な場所として、極めて高い歴史的価値があると認められたことが世界遺産登録に大きく影響しています。
洗礼を受けた聖書の名場面の舞台

ヨルダン川に入って洗礼儀式をするイスラエル側の人々
キリスト教を創ったイエス・キリストが洗礼者ヨハネから洗礼を受けた「聖書の名場面」が実際に起きた舞台と考えられています。
また、預言者エリヤが天に昇った伝説の地としても知られています。つまり、単なる古い遺跡ということではなく、キリスト教において非常に神聖な場所であり、キリスト教徒にとっての精神的な支えにもなっているのです。
世界中のキリスト教徒が、人生の最後にここを訪れて涙を流すほど。今なお多くのキリスト教徒が「一度は訪れたい」と思いこの地に足を運ぶ、そんな歴史的な1ページとして刻まれています。


なぜイスラエル側(西岸)は世界遺産登録されていないの?

ヨルダン側にある遺構を訪問した際のローマ皇帝の様子を表したモザイク画
イスラエル側から見たヨルダン側の地域は世界遺産登録されているものの、一方で、ヨルダン川から見たイスラエル側の地域は世界遺産に登録されていません。
イスラエル側が登録されていない理由は、主に以下の3点です。
- ヨルダン側に比べて歴史的な遺構が少ない
- パレスチナとの領有問題など課題が山積み
- ローマ皇帝による公式な認定が得られていない


ヨルダン川を超えたらすぐそこはイスラエル(パレスチナ・ヨルダン川西岸地区)
また、ヨルダン側の世界遺産登録の際も、軍事地帯の近くという点から、安全性や警備体制に関する指摘がありました。そんないくつもの課題を乗り越えて2015年に正式に世界遺産登録が認められたため、イスラエル側の世界遺産登録のハードルはかなり高いと言えるでしょう。

本日の確認テスト



(「世界遺産検定」の概要についてはこちらの資料を参考にしてください)
2級レベル
「アル・マグタス」の意味に近いものとして正しいものはどれか。
- 洗礼
- 遺構
- 隊商
- 巡礼
①
答え(タップ)>>1級レベル
預言者エリヤが「火のついた馬車に乗って天へ昇っていった」という伝説が残る丘の名称として正しいものはどれか。
- ウンム・アッラサス
- シューシュタル
- ビュルサ
- テル・アル・カッラール
④
答え(タップ)>>まとめ

- アル・マグタスとは、イエスが洗礼を受けた、ヨルダン川東岸にある聖なる場所
- エリヤの丘とは、預言者エリヤが天に昇り、ヨハネが教えを説いた伝説の丘
- 聖ヨハネの教会群地区とは、洗礼の儀式の中心地で、古い教会跡や美しいモザイク画が残る
- 洗礼の伝統を物語る証拠:当時の信仰や儀式を現代に伝える教会や浴槽の遺跡群がある
- 聖書の名場面の舞台:イエス洗礼という歴史的な物語が刻まれた神聖な巡礼地
- 遺構の少なさや領有権問題など多くの課題があるためイスラエル側は世界遺産ではない

参考文献・注意事項
- 当記事の内容は「世界遺産検定1級公式テキスト<上>」と「世界遺産検定1級公式テキスト<下>」を大いに参考にしています。
- 当記事は100%正しい内容を保証するものではありません。一部誤った記載が存在する可能性があることをあらかじめご了承ください。
