こんな方にオススメの内容!
- 最近の世界遺産検定の出題傾向を知って対策を練りたい!
- 世界遺産検定の勉強の進め方がいまいちわからない!
- 何度受験してもなかなか合格できない!
- 世界遺産検定の受験を考えている!
出題傾向のポイント
- 2〜4級までは比較的傾向は似ているが1級になると出題範囲が広くなるため傾向を分析することがより重要となる!
- 出題傾向を知ることで公式書籍の読み進め方がわかる!
- 最も出題傾向を分析するメリットが大きいのが”世界の遺産”!
補足
本記事に度々出てくる「公式テキスト」とは下記の書籍のことを指していますので、あらかじめ目を通しておくと読み進めやすくなります。出題傾向を分析する目的
世界遺産検定の出題傾向を分析する理由は、2つの大きなメリットを得られるからです!
その具体的なメリットとは下記になります。
- 効率よく世界遺産検定の対策学習ができる!
- 各世界遺産の魅力ポイントを押さえることができる!
効率よく世界遺産検定の対策学習ができる
高校受験や大学受験のことを思い出してみてください。
受験前に必ず行きたい学校の過去問を解いた経験はありませんか?
過去問を解く目的はおそらく”出題傾向を把握する”ためだと思います。
世界遺産検定の学習も学校の受験と同じです!
事前に出題傾向を把握できれば、的を絞って学習に励むことができます。
2021年時点で世界にある世界遺産の総数は、なんと1,000件を超えます!
それだけでなく世界遺産に関連する専門用語や専門機関の名称や役割も理解しなければなりません。
特に1級の出題範囲は全ての世界遺産になるため、なおさら出題傾向を把握して対策を練る必要があります。
このようにもしあなたが
「世界遺産検定に合格したい」
という目的であるならば、必ず出題傾向を把握することがマストになるわけです!
各世界遺産の魅力ポイントを押さえることができる
もちろん世界遺産検定対策のために世界遺産を学習するのではなく、純粋に世界遺産について興味本位で学習したい方も一定数いると思います。
そんな方であっても出題傾向を把握しておくことは非常にオススメです!
なぜなら、出題ポイントとなる部分にその遺産の魅力が詰まっていることが非常に多いからです!
冷静に考えてみればわかると思いますが、どうでもいい部分を遺産の出題対象にする意味なんてないですよね。
スポーツで例えるなら、サッカーの技術を学びたいために本を読んでいるのに、サッカーの歴史やスタジアムの名前ばかりが記載されているようなものです。
要するに世界遺産検定の問題作成者は、遺産の魅力や価値を理解できる部分を主に出題の対象にする傾向が強いということです。
たとえば、実際に検定の問題として出題された下記の例を見てみてください(第44回世界遺産検定1級の問題)。
世界遺産登録地域が生物件保存地域に含まれている『屋久島』において、過去の寒冷期に落葉広葉樹が南下しなかったために、針葉樹林としてのスギが残り固有種となっている状態の説明として、正しいものはどれか。
- 遺存固有
- 縮小固有
- 古式固有
- 残滓固有
このように屋久島には、固有種であるスギが何年にも渡って生育している点が魅力の一つであることがわかると思います。
そしてこの魅力の一つが屋久島が世界遺産に登録された要因にもなっているのです!
つまり世界遺産検定の出題傾向を把握すれば、自然と各世界遺産の魅力を知ることにも繋がるわけです!
実際に世界遺産検定の学習をして初めて遺産の魅力に気づき、その後その世界遺産を見に旅行を計画する人も多くいます(かくいう私がその一人です、笑)
このように世界遺産の出題傾向を分析することが、旅行などの娯楽へと繋がるきっかけを生み出すこともあるのです!
世界遺産検定の出題範囲
まず、受験する級によって出題の範囲が変わることについて理解しておく必要があります。
下記が世界遺産検定の正式HPで公表されている、各級の出題範囲(問題の比率)の目安になります。
級 | 基礎知識 | 日本の遺産 | 世界の自然遺産 | 世界の文化遺産 | その他 | 試験時間 | 合格基準 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
4級 | 13問 | 23問 | 13問 | 1問 | 50分 | 60点/100点 | |
3級 | 25% | 30% | 10% | 30% | 10% | 50分 | 60点/100点 |
2級 | 20% | 25% | 10% | 35% | 10% | 60分 | 60点/100点 |
1級 | 25% | 20% | 45% | 10% | 90分 | 140点/200点 |
上記の出題範囲のポイントをまとめると
- 級のレベルが上がるほど世界の遺産の割合が高くなる(特に文化遺産が多め)!
- どの級でも日本の遺産は必ず問われる!
- どの級でも基礎知識は必ず問われる!
このようになります!
また上記の表を見ただけではわかりませんが、海外の遺産に関しては級のレベルが上がるほど出題対象となる遺産が増えます。
(詳しくは後述の「世界の遺産」で詳細を解説しています)
その対象となる世界遺産は、数年間隔で出版される世界遺産検定の公式テキストで取り上げられている遺産を参考にしてみてください。
もちろん好きで全ての世界遺産を学習したいのであれば構いません。
しかしもし学習の目的が「世界遺産検定に合格したい!」であれば、的確に的を絞って学習を進めていく必要があります。
たとえば4級を取得したいのに、海外の世界遺産ばかりを学習していては本試験で点数を伸ばすことは非常に難しいです。
逆に1級を取得したいのに海外の世界遺産を全く学習しなければ合格をすることは限りなく不可能に近いです!
具体的な世界遺産検定の出題傾向
インドを代表する世界遺産「タージ・マハル」
今回の出題傾向の解説では、主に1級と2級をメインに考察していきます。
ちなみにわかりやすいイメージとしては、2級の世界の遺産の出題対象が広くなったバージョンが1級と捉えていただいて問題ありません。
基礎知識
基礎知識とは具体的には下記などが挙げられます。
- 世界遺産に関わる専門用語
- 世界遺産に関わる専門機関
- 世界遺産に関わる歴史・人物・出来事など
基礎知識はどの級を受けても必ず2〜3割は出題されます。
つまり、基礎知識をマスターさえすればどの級を受けても2〜3割の点数を確実に取れるということです!
さらに基礎知識は、日本の遺産や世界の遺産と比べると学習ボリュームが比較的少ないため、コスパ良く点数を重ねることができる分野です。
2級:主要な専門用語・機関の概要を把握する
ここでいう”主要な”とは下記などを指します。
- ユネスコ
- 世界遺産条約
- 世界遺産委員会
- 世界遺産センター
- ICCROM / ICOMOS / IUCN
- 顕著な普遍的価値
- 文化遺産 / 自然遺産 / 複合遺産
- 危機遺産 / 負の遺産
- 登録基準
- 真正性 / 完全性
ざっとこんな感じですね。
また2級までであれば、各用語・機関の説明文の強調文字(太字・赤字)の部分だけでも押さえておけば8割ほどは点数を取ることができます!
もちろん2級になると少し範囲が広くなるため、強調されていない用語や文が出題対象になることもあります。
しかし2級までなら正直”捨て問題”と考えて、他の日本の遺産や世界の遺産で点数を取れれば合格ラインには十分届きます。
1級:全ての専門用語・機関の概要を把握する
1級に関しては2級までとは違い、世界遺産に関わる全ての専門用語・機関が出題対象になります。
もう少し具体的に言うと、世界遺産検定の公式テキストに記されている用語・機関に関しては全てに目を通しておく必要があります!
さらに2級までと違う最大のポイントは、「強調文字だけを押さえていても5割ほどしか点数が取れない」ということです。
とはいっても、出題範囲が果てしなく広い「世界の遺産」に比べたらまだ対策は練りやすい方です。
1級の基礎知識の対策としては下記を徹底してみてください。
- 強調文字(太字・赤字)は必ず押さえる!
- 同じ部類の用語が羅列されていたら一通り把握しておく!
→「謝っているものはどれか」の出題形式の対象になりやすいため! - 各機関の役割の部分は強調されていなくても把握しておく!
→「役割として正しいもの・誤っているものはどれか」の出題形式の対象になりやすいため! - 設立年や本文中に出てくる人物名は必ず押さえる!
ここまで対策を練れば基礎知識の範囲だけで9割は確実に取れます。
日本の遺産
干潟に建つ大鳥居で世界的に有名な「厳島神社」
前述の「基礎知識」と同様に、出題範囲が限られている上に必ず2〜3割出題対象になるのが日本の遺産です。
つまり、全ての日本の遺産をある程度把握しておけば2〜3割の点数を稼ぐことができるということです!
2級:強調文字を押さえるだけで十分点数を狙える
結論、2級までなら日本の遺産は強調文字(太字・赤字)だけを押さえておくだけで十分点数を稼げます!
また海外の遺産に比べたら強調されている部分は多めです。
あとは強調されていなくても、できれば「建物の名称」と「人物名」はだけ押さえておくと良いですね。
なぜなら、「穴埋め」や「仲間はずれ」といった出題形式で出される可能性があるからです!
ちなみに出題形式に関してはこちらの記事で詳しく解説しているので、ぜひ出題傾向を合わせて把握しておきましょう!
1級:本文全体を把握+歴史や出来事に沿って読み進める
当然のことながら、1級になると日本の遺産の出題傾向は多様になるため一気に難易度は上がります!
結論から言ってしまうと、世界遺産検定の公式テキスト(世界遺産大辞典<上>)に書かれている内容を全て把握しておく必要があります。
具体的には下記の点が出題対象となる傾向が高いです。
- 遺産に関わる人物や動植物の名称
- 登録対象になっている建物の名称
- ターニングポイントとなる出来事の詳細
- 出来事や現象の名称
- 各建物の部位や役割の名称
- 登録基準
確かに、本文で使われている強調単語や名称が出題のポイントになることは間違いありません。
しかし2級までと1級との大きな違いは、「強調単語や名称はあくまでもポイントに過ぎない」という点です。
ここでイメージしやすいように1級と2級以上の出題例を挙げて具体的に比較してみます。
2級までの場合
『古都奈良の文化財』に関して、( )に共通して当てはまる言葉として正しいものはどれか。
天武天皇の発願によって建立された( )は白鳳文化の代表例とされる三重塔が立つ「( )伽藍配置」で知られる。
- 興福寺
- 東大寺
- 唐招提寺
- 薬師寺
1級の場合
『古都奈良の文化財』に関する説明として、正しいものはどれか。
- 平城京への遷移後、まず718年に元興寺と東大寺が旧都である飛鳥藤原地方から移築された。
- 各寺院・神社からは宗教の影響力の下で和洋折衷が日本全国に定着していき、寺院や神社の力が社会的に大きくなっていった様子がわかる。
- 春日山原始林のバッファー・ゾーンに含まれる若草山において高速道路の建設が計画され、ICOMOSから計画の変更を求められている問題点がある。
- 薬師寺は天武天皇の発願によって建立され、白鳳文化の代表例とされる三重塔が立つ「薬師寺伽藍配置」で知られる。
今回の場合はキーワードがどちらも「薬師寺」になります。
確かに2級までであれば、「薬師寺」という名称さえ押さえておけば答えられるかもしれませんね。
一方で1級になると、たとえ薬師寺という名称を押さえてたとしても、選択肢④の内容が正しいかどうかを判別するのは難しいです。
なぜなら薬師寺という名称自体が正しくても、文全体が正しいという判断にはできないからです。
さらに、他の選択肢が正しいかどうかも判別することが難しいため、本文全体を通して把握することが求められるわけです。
また1級では歴史や出来事の流れに沿って遺産の理解をしないと解きづらい出題形式が出されることもよくあります。
たとえば下記のような出題形式のイメージですね。
『姫路城』に関して、起きた出来事が古い順に並べた時の正しいものはどれか。
ただこの流れに関する出題形式の対策としては、世界遺産検定の公式テキストに書かれている通りに読み進めればいいだけです!
公式テキストは、歴史や出来事・自然現象の発生の流れに沿って書かれています。
ですので、公式テキストを読んでいれば改めて自分で整理し直す必要はありません!
最後に、1級の場合だと出題対象にされる日本の遺産の件数の目安は15件前後になります(2級の場合は10件前後)。
もう少し詳細に解説すると、15件の日本の遺産が出題対象となり、その15件の遺産から20問前後の問題が作成されるイメージですね。
世界の遺産
小高い丘に造られた美しい街並みが人気のポルトガルの首都リスボンの歴史地区
2021年時点で世界にある遺産の総数はおよそ「1,150件」です。
ここから日本の遺産を除いたとしても、1,100件以上が世界に存在することになります!
つまり、世界遺産検定で出題範囲が最も広いのが世界の遺産ということになります。
2級:公式テキストに掲載されている遺産のみを把握すればOK
世界遺産の総件数は非常に多いため一見苦戦しそうに思えますが、2級までであれば公式テキストに掲載されている遺産さえ押さえておけば問題ありません!
2級までの公式テキストは、海外の遺産の学習がしやすいように遺産の件数を絞っています。
つまり、公式テキストに掲載されている遺産さえ押さえておけば合格ラインに届く点数を取ることができるわけです!
ただしここで注意しなければならないポイントが一つあります。
それは、「必ず最新の公式テキストを参考にする」ということです!
公式テキストは2〜3年に一度最新版が出版されます。
その理由は、検定で出題される遺産や基礎知識の情報が改訂されるからです。
つまり、最新版をもとに学習を進めないと出題対象外の遺産を余計に学習してしまう可能性があるのです!
そもそも世界遺産は毎年数十件単位で新しく登録されているので、5年も10年も前の公式テキストを参考にしていても情報に鮮度がありません。
2〜4級に関しては、「最新の公式テキストを購入して掲載されている遺産のみを学習する」だけで十分合格ラインを狙うことができます!
1級:すべての遺産に目を通す必要がある
よく受験者の間では下記のように言われています。
「1級になると急に合格ハードルが高くなる」この合格のハードルが高くなる最大の要因が、「世界の遺産の出題範囲が広すぎる問題」が発生するからです!
1級の公式テキストは「世界遺産大辞典<上> <下>」です。
このタイトルから見てもわかるように、上巻と下巻に別れているほど内容にボリュームがあります。
それもそのはず、全世界に存在する世界遺産が出題対象になるからです!
ただもちろん、1級対策としての世界の遺産の学習法にはコツが存在します。
そのコツとは下記の割合で学習することです
主要な遺産 7割 : 3割 マイナー遺産
”主要な遺産”とは公式テキスト内で1ページ、または2ページに渡って紹介されている遺産を指します。
反対に”マイナー遺産”とは公式テキスト内で半ページ以下(1ページで2,3分割されている)で紹介されている遺産を指します。
たとえどんなに自分にとっては主要な遺産だと思っていても、公式テキストで掲載されているエリアが小さければ”マイナー遺産”と考えてOKです。
具体的にイメージしやすいように下記の写真をご覧ください。
【主要な遺産の例(2ページ掲載)】
【主要な遺産の例(1ページ掲載)】
【マイナー遺産の例(半ページ掲載)】
1〜2ページに渡って紹介されている遺産は半ページで紹介されている遺産よりも出題される可能性が高いです!
それだけでなく1つの遺産に対して複数出題される可能性もあります。
つまり
主要な遺産を押さえておけば「2〜6点」ほど点数を獲得できる可能性があるということです!
私は1級を複数回受験した経験がありますが、正直マイナー遺産に関してはどれが出題されやすいという傾向はほぼありません。
だからこそ自分が興味のある遺産を学習する程度で問題ないのです。
またエリア別・ジャンル別の出題傾向の高い遺産をまとめると下記になります。
- 現在の世界遺産はアジアとヨーロッパに多く所在しているため、アジア・ヨーロッパの遺産を中心に学習する!
- アジアだと中国と韓国の遺産はほぼ間違いなく出題される!
- 北米やオセアニア(特にオーストラリア)は自然遺産の問題が出されやすい!
- 中南米の遺跡に関する出題はよくされる!
- 産業・農業関連の遺産は毎回数問は出題される!
- アフリカの遺産は毎回出題が少ないため”捨て問題”と考えてもいい!
- ここ1〜2年で登録された遺産は出題されやすい!
世界の遺産の出題範囲は非常に広いですが、ある程度対策は寝れるため、むやみに学習をせずに計画的な学習をすることがポイントです!
その他
2013年に無形文化遺産に登録された日本の「和食」
「その他」とは、主に時事ネタ関連の出題になります。
たとえば下記などが出題される傾向が強いです。
- 直近の世界遺産委員会について(議長の名前、開催国など)
- 現在抱えている世界遺産の課題
- 無形文化遺産
- 世界遺産に関わる出来事(式典、工事、トラブルなど)
時事ネタ系に関しては1〜4級全てで問われますが難易度はほぼ変わらないです。
具体的な対策としてはシンプルに世界遺産にまつわる最近の出来事を調べておくことですね。
時事ネタに関しては公式テキストに載ってないことが多いので、ユネスコや世界遺産検定の公式HPを見ておけばOKです!
まとめ
- 出題傾向を把握することで効率よく世界遺産検定の対策学習をすることができる!
- 出題傾向を把握することは各世界遺産の魅力ポイントを知ることにも繋がり純粋に楽しめるようになる!
- 出題傾向を分析する前に各級の”出題範囲”を把握することで学習の重点を定めることができる!
- どのジャンルにおいても2〜4級であれば公式テキストで強調文字にされている部分だけ押さえておけば合格ラインの点数は取れる!
- どの級を受験するにしても基礎知識と日本の遺産を押さえておけば「4〜5割」の点数を稼ぐことができる!
- 1級は強調文字だけでなく遺産全体の流れを把握する必要があるため難易度がさらに上がる!
- 世界の遺産は公式テキストで1〜2ページに渡って解説されている遺産が出題される傾向が高い!
- その他(時事ネタ系)はほとんど公式テキストに載っていないため世界遺産検定のHPやユネスコのHPを見て自分で把握する必要がある!
なお、公式書籍以外の学習教材に関しては下記の記事で紹介しているので、書籍学習が苦手な方や他の教材が気になる方はぜひご覧ください。
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